2012年11月15日



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これが本当の地球の形・・・?



今回は、「真実の地球の形」を計測する理論が確定されたというような話の記事についてですが、かなり難しい内容なのですが、ご紹介しようと思ったのは、その記事に出ていた図に軽いショックを覚えたからです。

人工衛星などの計測からあらわされる「ジオイド」というものによる「地球の形」なのですが、それが下の形なのです。

earth-shape-2012.jpg

Daily Galaxy より。


「な・・・」と一瞬、絶句しました。
これじゃ丸く見えない

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「ジオイド」という言葉は、私も今回初めて知りましたので、もう少しきちんと説明文を記しますと、Wikipedia では、


ジオイドは、平均海水面を陸地にまで延長したと仮定した場合に全地球を覆う仮想的な海面のこと。



というものです。

少しネットを調べてみましたら、日本語のサイトがありました。

測位衛星による高精度測位技術の研究開発」というサイトの「2005年の日記」に下の図がありました。

earth-shape-2005.jpg


さらにデコボコな感じですが、日記には以下のように記されていました。


NASA GSFC/NIMA EGM96 全球ジオイドモデル。基準楕円WGS84。0.25度格子。凹凸を強調した全球表示を下に示す。こうして見ると地球は本当にジャガイモみたいだなあ。



「うーむ・・・」と私は唸りました。




完全な球体に囲まれた中で反逆する地球

宇宙などから撮影される地球はとても丸く見えるわけで、私などは、ほとんど何の疑いもなく「地球は丸い」と思いこんでいます。下のようなものだろうと。

maru-01.jpg

▲ ほとんどの人が想像するだろうと思われる「地球」の形。


しかし、少なくとも現在の衛星の観測と計測での計算からは「地球は丸くはない」ようです。
下のように。

earth-geoid.jpg

Earth’s True Shape Revealed for 1st Time (地球の形状が初めて明らかになる)より。


もっとも、今回ご紹介する記事は、原子時計というものを使って、「正しい地球の形」というものが明らかになるだろうというものですので、正しく計測すれば丸に収まっていくのだろうとも思いますが、もし仮に「正しく計測してもデコボコ」だったら、それはそれで何だか面白いなあ、と思います。

なぜなら、「地球と人類を取り囲むものは丸い」からです。

過去記事の、


私たちの太陽が「宇宙の中で最も完全な球体」であったことが判明してショックを受ける科学者たち
 2012年08月18日


では、太陽がこの世の中で最も正確な球体であることがわかり、また、それ以前の記事の、


電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった
 2011年05月27日


では、この世の中で最も小さなもののひとつである電子がほぼ完ぺきな球体であることが突き止められたという記事でした。


地球をめぐる「最も大きなもの」と「最も小さなもの」は究極的にまん丸。

なのに、その真実を突き止めた人類の住む地球自体はジャガイモみたいにデッコボコの形ということも考えられる。

これは悪い意味で書いているのではなく、「完全な丸」という完ぺきしか作り出せなかった宇宙という存在に対しての何という自由な態度か! とむしろ感嘆します。


私は「完全」とか「完ぺき」という概念が好きではなく、「不完全」が大好きな人ですが、もしかすると、地球も同じかもしれません。「完全な球体なんてイヤだね」とボコボコの形で宇宙に浮かび続ける地球の意志というものもまた素敵だなと思ったりした次第です。





では、どうして地球は丸く見えるのか

ちなみに、上のようなものを見ても、「でも写真では地球って丸く見えるよなあ」と思うわけですが、同じことを思う人は多いらしく、Yahoo! 知恵袋の質問、「地球が丸く見えるのはなぜ?」というものがありました。

ベストアンサーは、


日常の経験からその様なものは球状であると脳が判断する為。 もしくは、学習により惑星は球状であるという固定観念からそう見てしまうのかもしれません。



とありましたが、しかしまあ、もっと単純に考えれば、私たちは宇宙から撮影した地球の写真を「大気圏」を通じている見ているわけで、大気が薄いとはいえ塵やエアロゾルなど「目に見える」微粒子がその大気圏には漂っているわけで、その層もかなり厚いはず。

下の写真のように地球の大気の層は目に見えるものです。

earth-upper-02.jpg


大気の層は地球の磁場などから考えると、デコボコのない円形(楕円として)になるはずで、なので、多分、私たちは「地球の大気が形作る丸」を地球の形として見ているのかもしれません。このあたりは科学的な裏付けなく書いていることで、想像ですけれど。

1961年に世界初の有人宇宙飛行をおこなったソ連の宇宙飛行士ガガーリンの「地球は青かった」という言葉は有名ですが、これは、上の写真の青い大気圏のことを指して言ったということが「ガガーリン7 / 交信記録を読んで」というページに書かれてあります。

ガガーリンには、この大気層の青さが非常に美しく映ったようです。


私たちの認識の中で変わりつつある「近隣宇宙の姿」

近隣の宇宙が「形や色」というもの自体からその概念を変えてきていることは、過去記事でも何度か取り上げました。たとえば、「月の色」は、


真実の月の色: NASA の公式資料から見える本当の月の光景
 2012年07月03日


という記事で、いろいろな可能性を考えてみたりしたことがあります。
下の写真は誇張されていますが、 NASA の発表した月の疑似カラー写真です。
月には色の差自体は存在するようです。



真実の月の色: NASA の公式資料から見える本当の月の光景より。


あるいは、「水星の色」というものもあります。



「水星は他の惑星とはまったく違う起源を持つ」可能性があることが無人探査機のデータによって明らかにより、NASA の水星探査機メッセンジャーが送信してきたデータから NASA が構築した「真実に近い色」の水星の疑似カラー写真。


そんなわけで、少なくとも、私の頭の中にある「近隣宇宙の概念」は地球を含めて、ずいぶんと変わり続けています。

もちろん、もともとの色や形がそうであっただけで、変化したのはこちら側の「認識」だけではあるのでしょうが、人間の認識というのは宇宙存在のすべてであり、その変化というのは現実の変化さえ示していると思っています。

それでは、ここから翻訳記事です。




Orbiting Atomic Clocks will Reveal Earth's True Shape
Daily Galaxy 2012.11.13


原子時計を地球の軌道に乗せることにより、地球に本当の形が明らかになるだろう


科学者たちは、原子時計が、ジオイドにより地球の状態の正確な計測する段階に達したと結論づけた。これは「地球の本当の物理的形状」が明らかとなることを意味する。

また、現在の地質学的な説による地球内部の調査のために原子時計を使用することもできる。

今日まで平均海水面を陸地にまで延長したと仮定したジオイドは間接的に地球の形状を伝えただけだった。ジオイドは、地球の軌道上の衛星の高度から計算されているが、正確に地表の状態を計算することは複雑で、様々な問題がある。

チューリッヒ大学の天体物理学者フィリップ・ジェッター(Philippe Jetzer)博士らを中心とした国際研究チームは、携帯用の正確な原子時計が、地球の本当の形、ならびに地球の鉱物の特定、そして、隠された水資源を発見できると確信している。

これは次の10年間で達成できるとチームは見ている。

ジオイドを決定するために原子時計を使うことに関しては、過去 30年間議論されてきた。
これは一般相対性理論に基づく考えだ。

早ければ、2022年までに正確な携帯用の原始時計が ESA (欧州宇宙機関)の人工衛星に搭載されて宇宙空間に飛びたつだろうとスイスの開発会社は述べる。これは、一般相対性理論をテストすることを目的ともしている。

また、 2014年から 2015年に、フランスの宇宙航空企業グループであるアストリウム社の原子時計集合体 ACES アトミック・クロック・アンサンブル・イン・スペース ( Atomic Clock Ensemble in Space )が ISS 国際宇宙ステーションに搭載されることになっている。