今回は最初に「驚くべき映像」をご紹介します。
11月18日にオーストラリアの海岸で、観光客によって撮影されたものです。
動画は Waterspout at Batemans Bay にあります。
明るく晴れた中で、突如発生したこの超巨大竜巻は、約 20分間にわたり観測されました。オーストラリアの沖合いで観測された中では、これは最大のものである可能性があるのだそう。
ビデオの全編は、英語のニュースですが、
・Australia Tornado:Giant Twister at New South Wales beach
National Turk 2012.11.19
の記事の下にあります。
というわけで、毎日驚くような自然現象が起きる地球ですが、さっそく、本題に入ります。
予想以上に激しかったかもしれない地球の大陸の移動現象
今回の記事は、先月に書かせていただいた、
・起きていることは「ポールシフトではなく地球の大陸移動」: 地球の極の物理的な移動が起きていることが地球物理学会で発表される
2012年10月03日
と関係があります。
上の記事では、アメリカ地球物理学会の発行する科学誌で「地球で過去に何度も起きていた『真の極移動』と呼ばれる大陸移動が現在起きている」という可能性についての論文をご紹介しました。
真の極移動とは、つまり地球の大陸(コアではなく、外殻と呼ばれる表面)が、下のように移動する地球の地質上での大きなイベントです。
上の記事では、この図について、
> 上の図の傾きは誇張されており、過去の真の極移動の際には地球が9度傾いた。
ということになっていましたが、どうやら、上の図はそれほど誇張されていないかもしれない・・・というより、「真の極移動による大陸移動はもっと大きく地表が動いていた可能性」を、米国のハーバード大学の研究チームが発表しました。
その際に地球が傾いた角度は、なんと 50度以上。
あくまで、ハーバード大学の研究チームの推定ですが、過去の真の極移動の際には、地球は 50度かそれ以上傾いた可能性があるということになるようです。
そして、地球では過去に6回その現象が起きていたということも示されたそうです。
50度も傾くと、あらゆる地球の状態は今とは変わるわけですが、それ自体に関しては、「まあ、そういうこともあるだろう」ということは言えるのですが、問題は「その期間」です。
未来はともかく、過去はどのくらいの時間をかけて「50度」も傾いたのか。
ハーバード大学の研究では「数十万年かかって、その現象が進行した」と考えられるということですが、本当にそんなゆったりとした惑星の現象が存在するのだろうか? と今の私は思います。
確かに「数十万年かかって50度傾いた」というのなら、自然環境も生物形態も、ある程度は適応できる時間があるとは思うのですが、仮に・・・たとえば「 250年で 50度傾いた」というようなことが「もし」あれば、それはさすがに地球自身のあらゆる存在が、その変化に対応できる時間としては少ないのではないかと思います。
しかし、なぜ、そんな極端に思える「250年」などという数字を出したかというと、その根拠は「最近の現象が示す事実」からです。
たとえば、以下のふたつの過去記事などからの連想という面もあります。
・ドイツの科学研究法人が「急速なポールシフトと気候変動と超巨大火山の噴火が同時に発生していた」ことを証明
2012年10月18日
という記事では、約4万年前の地球のポールシフト(物理的な移動ではなく、地球の磁極の反転で北極と南極の磁場が入れ替わる)では、「 250年間ほどの間に磁場が完全に逆転した」ということが、調査で判明しつつあります。
磁場のポールシフトも地球環境には極めて大きな現象ですが、これも、かつては何万年以上の単位の長い時間をかけて磁場が逆転すると考えられていたのですが、実際には(地質的な時間の単位では)「あっという間」に始まって完了したという事実があります。
▲ 地球の磁場の逆転現象の時の磁場の移動のイメージ。
そして、もうひとつの過去記事の、
・奇妙な太陽のポールシフトは太陽系全体に影響を与えるか?: 国立天文台が発表した「4極化する太陽磁場」
2012年04月21日
という記事は、「太陽の磁場が4つになること」を国立天文台が予測したことをご紹介したものですが、大まかに説明すれば下の図の左から右のようになるということです。
太陽の「大きさ」というものは今さら語るところでもないと思いますが、上の図でおわかりの通り、その巨大な太陽で巨大な変化が「あっという間に磁場の変化が起きた」のです。
巨大な太陽でさえ、その巨大な変化があっという間だったという事実。
▲ 太陽系の惑星の比較。太陽の大きさと比較した「地球の大きさ」は矢印の先に小さく写っている青い点ほどです。
昨年だったか、
・「太陽の位置がずれてきている」と語るイヌイットたち
2011年07月11日
という記事で、カナダのイヌイットの人たちが、「太陽の位置や夜空の星の位置が昔とは変わってしまったんだ」と口々に言っているビデオをご紹介したことがありました。
▲ カナダのヌナブト準州に住むイヌイットのサムエリ・アマックさんの言葉。
その時には私自身、「いくらなんでも人間ひとりの人生の期間の中で、そんなに大きな地球の傾きというような変化なんて起きるのかなあ」と半信半疑でしたが、上の過去記事にあるように、「巨大な自然現象が急激に発生して進行して、そして完了する」という過去の事実を前にすると、あるいは、自然と密着して生きてきたイヌイットの人たちは、その「些細な変化」を見逃していなかっただけなのかもしれないと思うようになりました。
すなわち、すでに地球の軸は傾き始めているという可能性を感じたりした次第であります。
上の記事のイヌイットの人の中には下のようなことを言っている人もいました。
▲ カナダのヌナブト準州に住むイヌイットのイヌーキー・アダミーさんの言葉。「多分、地球の軸が傾いてきているのだと思う」。
実際の「今の現状」はわからないのですけれど、ハーバード大学の研究チームの発表し「過去のこと」に関しての記事をご紹介します。
もちろん、記事には上に私が書いたような物騒なことが書かれてあるわけではなく、かつて地球が何度も 50度以上傾いたことは事実でも、「それは 10万年から 100万年かけてそうなっていった」というように書かれてあります。
それなら安心ですが。
本当に 100万年もかかる現象であるならば。
では、ここからです。
Boston On The Equator? Polar Shift Could Tip The Earth Over By As Far As 50° And It Has Happened 6 Times Say Geologists
Ideas, Inventions And Innovations 2012.11.16
ボストンが赤道直下に? 過去の地球は、50度以上の傾きを伴う極の移動を6度経験していた
▲現在の地球の北極線、北回帰線、赤道の位置。50度傾くと、これらの位置が劇的に変転する。
地球の軸が、もし突然 50度以上傾いたら何が起きるだろう?
これはまるで出来の悪いSF映画のストーリーのような話だが、地球の地質学上の記録は、過去の地球でそれが数回起きたことを示している。
ハーバード大学の研究者たちは、そのような軸のシフトについてのいくつかの疑問を研究している。それは、傾く時にはどのように傾き、そして、「なぜ地球は元の状態に戻ることができるのか」ということだ。
ハーバード大学の地球物理学教授であるジェリー・ミトロヴィカ( Jerry X. Mitrovica )博士とジェシカ・クレヴェリング博士( Jessica Creveling )は、大学の地球内部のモデルを使って研究を進めた。この研究には、地球惑星部のガイ・ハム・チャン( Ngai Ham Chan )氏も助手として加わった。
▲ 写真中央がジェリー・ミトロヴィカ博士。右がジェシカ・クレヴェリング博士。
地球のコアに対しての回転の平衡を保つために、地球の表面外皮が液体外殻に対して移動する「真の極移動」という現象では、地球の緯度の低い場所が影響を強く受けるかもしれない。
この極のシフトのため 10万年から 100万年の期間をかけて、地球が 50度以上傾いた可能性がある。そして、この期間の地球では大きな環境変動が起きたと考えられる。
研究者たちは現在、超大陸が移動した際のモデルから真の極移動の際の傾きがどのように起きて、そして、どのように元に戻ってくるのかを探っている。