▲ 無人火星探査機が撮影した火星の写真を「作者の目に映るような風景に」色彩、コントラスト等が強調されている火星の地表。強調以外の「加工」はされていません。
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人間の感情が「無の中からリアルを蘇らせる」瞬間
米国のフォト・ギャラリーで大変におもしろいものを見つけまして、今回は、それをご紹介したいと思います。
それは、1977年のバイキングから、2012年のキュリオシティまで、火星無人探査機が撮影した「火星の写真」から「自分の感情の中で気になる部分を強調した」という写真コレクションなのです。なので、いわゆる NASA が発表した写真とはまったく違うように見えますが、形などを加工したものでもないということも事実です。
「自分はこのように見える」という意志で色彩やコントラストなどに強調を加えているもののようです。だと思います。現在のところ 214枚アップされて、本人によると「あと 800枚アップする予定がある」とのこと。
この作者のおこなったことには今まで私が火星の写真に対して思っていた様々なことに対して、「感情面」を含めて、いろいろなことを感じさせるものがあるものです。
なので、ある意味で「自分への反省」の意味を含めまして、ぜひご紹介させていただきたいと思いました。
私たちは「見ている」のに「見ていない」と気づかされるとき
たとえばですね、火星からの写真で NASA から発表れているものには、モノクロからカラーまでいろいろとあります。
たとえば、下のような火星のモノクロの写真があるとします。
あるとします、というか、実際に NASA にあるものです。
よくある「砂漠っぽい火星」があるだけのように見えます。
これが、今回ご紹介する、「作者の目」には下のように写るのです。
彼は、写真にほとんどキャプションをつけないですが、「戦争の後」とぶっきらぼうと書かれてありました。
さらに、下のような(多分想像上の)説明つきの写真も載せていました。
あえて写真には日本語は入れませんでしたが、「腕」とか「マシン」とか、いろいろなものに見えるということのようです。あくまで彼には。
しかし、私にもとにかくいろいろなものが見えます。
上の写真のオリジナルはもっと広域なのですが、上の風景の他のエリアには下のような風景が広がっています。 NASA 発表のオリジナルです。
これも、火星の写真でよく見る、岩と砂の殺風景な風景の写真です。
ところが、この「作者の目」には上の写真の風景は下のようなものなのです。
特に、中央右あたりの「モノ」と、その周辺はもうなんというか、ゲゲゲの鬼太郎も妖怪人間ベムも逃げ出したくなるような禍々しい迫力があります。
そう・・・。この作者の「目」にうつる火星は「生きている」のです。そして、それは生き物がいるというだけの小さな範疇ではなく、火星全部が生きているという感じがするのです。
全部が生きているということを現す意味では、たとえば、下の写真。
火星の山のようになっている部分の一部に矢印を引いています。
ここをピックアップした写真がいくつかあって、そして、「作者の目に映るこの部分の光景」の写真が色彩と共に作り出されているのです。
上の部分の拡大写真は何枚かありますが、そのうちのひとつが下です
こんどは、まるで「亡霊の火星」の様相を呈しています。
作者はほとんど説明やキャプションをつけずに、このように写真の色彩やコントラストを強して、淡々と日々、新しい「写真」を作っているようで、まだ数百枚は作るつもりだとか。
フォトギャラリーの URL 自体は、
・214 Photos Of What Mars Really Looks Like
なのですが、ページによっては「マルウェア(ウイルス)の警告」が出ることがありますので、そういう表示に慣れていない方は直接行かないほうがいいかもしれません。
こういうマルウェアなどを含むコンピュータウイルス的なものは、サイトの作者本人が仕込むのではなく、「悪意のある第三者などによって仕込まれる」ということが多いと思います。ですので、上のページに何らかのマルウェアが存在している可能性は、排除できないからです。
なので、上のフォトギャラリーの存在を知った米国の BBS のサイトをご紹介しておきます。
ここからです。
214 Photos Of What Mars Really Looks Like
Before It's News 2012.12.25
火星は本当はどのように見えているのか?と題された 214枚の写真
これらは生成するのに1年以上をかけた、『強された』火星の写真画像コレクションだ。 214枚はストーリーラインに沿って並んでいるので、できればそれに沿うようにごになってほしい。
火星のこのような写真は 1977年から2012年に至るまで何万枚もの写真が生成されている。そして、多くの人々がこれらのイメージを今に至るまで研究し続けている。私は将来的に火星の真理がわかるようになればいいと思っている。現在の火星に関しての「嘘」が、現代の子どもたちの世代が大人になるまで続くようなことがあってはいけない。
(訳者注) ところで、今回の写真サイトをご紹介しようと思った理由の、もうひとつの理由には、以前、私が「また写真に何かやってるのでは・・・と」書いたキュリオシティの撮影した写真の「イメージ」もあったのです。
その過去記事は、
・キュリオシティへの無関心を貫けない夏の夜
2012年08月19日
という記事で、そこに無人火星探査機キュリオシティが撮影した下の写真を載せました。 NASA が発表したものです。
この後ろの山のあたりが妙に不自然だと思って、写真を明るくしていたら、下のように「モヤらしきエフェクト」をかけているように見えたんです。
ちょっと霧やモヤのかかりかたとしては不自然で。
そうしましたら、今回のフォト・ギャラリーにこの写真を「作者の目に映る光景」としての写真として掲載してくれていたんです。
それが下の写真です。
背景(多分、空のこと)以外は写真の天然の色だと、わざわざ写真に表記していますので、そうなのかもしれません。
上の写真を少し拡大しますと、下のように、いかにも楽しげな色彩の「ちょっとした桃源郷」のような様相さえ見せています。
私はこの作者のコレクションを見て、「こういうふうに火星の写真を見ていた人がいたんだ」と深く感動すると同時に、非常に偏った見方しかしていなかった自分をとても情けなく思いました。
人間にはもともと大きな想像力があり、それをどのように使おうと本来は自由なわけです。
かつて「自称」芸術家のようなことをやっていたにも関わらず、そういう物の見方を少し忘れていたかもしれないと気づきました。
このことにはたまに気づいて、過去にも、
・地球の変貌: 「原因がわかることに何の意味が?」という反省の中で
2012年02月07日
という記事で同じような反省をしたことがあります。
▲ 地球の変貌: 「原因がわかることに何の意味が?」という反省の中でより、ノルウェーで 2009年12月に報道された原因不明の光。
火星の真実がどうだこうだではなく、「私には、そして人類には想像力という力がある」。それを思い出したことに、このフォトの作者に感謝したいです。
このフォトサイトの写真の数は膨大で、もう少しご紹介したい写真もありますので、もう一度ご紹介することになると思います。
なお、今回のラストの写真は、そのサイトからこの一枚を。
少し前なら、ダリなども大喜びしたかのような素敵な火星の地表の風景です。