
▲ 嵐による豪雨で氾濫したテルアビブのアヤルコーン(Ayarkhon)川の周辺。看板があるということは、ここは陸だったようです。 Global Post より。
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急激に水位が上がり続けているイスラエルでのガリラヤ湖の報道を見て
先日の、
・死んでいない太陽。そして、「地獄の猛暑」に困惑する南半球
2013年01月06日
という記事で、オーストラリアで場所によって、かつてないほどの猛暑に見舞われていることに少しふれたのですが、その状況がさらに深刻になっているようです。
それがどのくらい深刻かというと、たとえば、日本でも天気予報では予想気温を色分けしたりします。大体、青から赤の間などで色分けするのですが、オーストラリアの気象庁は、その「気温の色分け」に新しい「色」を加えることになったのですが、「 55度以上」を示す色が加えられたというのです。
「ロシアの声」から抜粋します。
オーストラリア、空前の炎暑と森林火災に見舞われる
VOR 2013.01.10
オーストラリアに前例のない高気温が訪れており、気象学者らは大陸の気象地図のための指標を新たにすることを強いられている。気象局では気温50度超を示すための新たな色2つを追加した。今やまったく夢物語ではない数字である。
これまでの最高レベルは40度を示すオレンジ色。しかし、今週、温度計が40.33度という数字を示し、1972年の記録を上回り、さらに、ニューサザンウェリス州南東部の居住地区で気温が45度に達すると、こうした異常気象を受けて、地図に2つの色を付け加えることになった。新規に追加されるのは、気温54度以下を示すすみれ色と、55度以上を示すバラ色である。
下が、現在のオーストラリアの新しい気温予測図です。

▲ 最高気温が 54度までとなっていますが(54度も今までは非現実的と言われていたのに)、「その上(55度以上)」も追加されたことが上の記事に載っています。これは日本と同じ「摂氏」の話です。
この 54度とかいう話に関しては、「日本でこのような気温予想が適用されたら」と考えると、そのすごさがおわかりかと思います。日本の今年の夏だってどうなるかわからないですしね。個人的には暑くならないと思っていますけれど、今の世界の状況を見ていると、この先の気温や天候の予測などはできなそうです。
最近の In Deep では様々な地域の「荒れた天候や極端な気温」について記すことがありますが、私の知り合いの方でイスラエルのエルサレムに住んでいる方から現地の天候に関してのメールがありました。
イスラエルを含む中東全員が今、ひどい嵐に見舞われているということなんですが、その中に、「ガリラヤ湖は一時間一センチの速度で水位が上昇しているそうです」という一文が。
1時間で1センチずつ水位が上昇するというのは、大きな湖ではちょっとスゴイ話だなあと思いまして、調べてみましたら、確かにニュースになっている。
下はヘブライ語のニュースですが、「新記録: ガリラヤ湖の水位が一日で22センチ上昇」という見出しの記事です。

内容を簡単に要約します。
というようなものです。
通常のイスラエルの冬の天候がどのようなものかは私にはわからないのですが、「通常よりかなりひどいもの」ではあるようです。
下の動画は、イスラエルの現地の映像などをいくつか重ねたものです。急いでつなぎ合わせたので、音が入っていないですが、悪天候であることと、川が各地で氾濫していることがおわかりかと思います。
イスラエルのスーパーストーム 2013年01月07日
その他でも、各地で大変に荒れた気候の地域が多いようで、そのことについて、世界中の様々なメディアで写真で特集されていますので、今回も含めて少しずつご紹介したいと思っています。
どうしてガリラヤ湖の「歴史的な氾濫」が気になるのか
ところで、ちょっと話が横道に逸れますが、上の記事では「ガリラヤ湖」の水位の上昇についての記事でしたが、どうして、このことが気になったのかというと、ガリラヤ湖というのは、いくつかの宗教の信奉者たちにとって特別な湖であるということがあります。
そのあたりを ガリラヤ湖 - Wikipedia から抜粋しておきます。
ガリラヤ湖
ガリラヤ湖は、イスラエル北部地区に位置する、国内最大の湖である。(略)
福音書によると、イエスの布教活動はほとんどガリラヤ湖周辺で行われた。当時、湖の周辺には多数の都市が存在し、湖の上を多くの船が行き来していた。『マルコによる福音書』(1:14-20)と『マタイによる福音書』(4:18-22)にはイエスが漁師だった使徒たちにどのように声をかけたかが描かれている。
有名なイエスの山上の説教はガリラヤ湖を見下ろす丘の上で行われ、湖の上を歩く、嵐を鎮めるなどのイエスの行ったとされる奇跡もガリラヤ湖畔で行われたものが多かったと推測されている。
という場所のようです。
また、このガリラヤ湖というのは、上記によると、
また、ガリラヤ湖では多くの魚がとれるが、特にティラピアという魚がよく取れる。この魚は、使徒ペトロがガリラヤ湖の漁師であったという福音書の記述にちなんで「聖ペトロの魚」とも呼ばれる。
という、昔から魚が捕れた場所らしいのですが、これに関しても個人的に思い入れがあるのです。
もう2年ほど前になりますが、「クレアなひととき」というブログに「ペアである自分」というシリーズを書いていた時に、資料として、作家の埴輪雄高さんの「死霊」から、ガリラヤ湖が記述される部分を抜粋したことがあります。
・ペアである自分(資料編2)「死霊」 よりイエスと釈迦の弾劾
クレアなひととき 2011年01月28日
そこでは、ガリラヤ湖で捕獲されて、キリストたちに食べられて死んだ魚の一匹が「キリスト本人を弾劾する」というシーンが描かれます。
多分、死後の魚(あるいは「その魚の存在の想念」)による言葉なのだと思います。
そのシーンの一部は下のようなものです。
ちょっと横道に逸れすぎますが、お許しを。
埴輪雄高「死霊」 第七章 最後の審判(1984年)より
いいかな、イエス、これほどお前に食われた魚の悲哀についてばかりこだわりつづけた俺についていっておくと、さて、お前はテベリアの海ともキンネテレの海ともまたゲネサレ湖とも呼ばれたあのガリラヤ湖のきらめき光った眩しい水面を憶えているかな。(略)
俺たちが入った大きな網が引き上げられて、跳ねあがっている俺達の重さと多さを眺めて満足な喜悦を現しているお前の残忍な顔を、水上の宙に跳ねあがった数瞬の俺は、永遠に忘れることはできないのだ。(略)
おお、イエス、その顔をあげてみよ、お前の「ガラリヤ湖の魚の魂」にまで思い及ばぬその魂が偉大なる憂愁につつまれて震撼すれば、俺達の生と死と存在の謎の歴史はなおまだまだ救われるのだ。おお、イエス、イエスよ。自覚してくれ。過誤の人類史を正してくれ。

▲ 1995年の NHK の ETV特集「埴輪雄高 死霊の世界」より。
というわけで、キリスト教が生まれた現場ともいえるガリラヤ湖は、また、キリスト教の立役者たちを支えた食糧源でもあった場所でした。
その湖が、「かつてない氾濫の徴候を見せている」ということが、なんとなく、先日の記事の、
・水没していく地球に住む私たちの 2013年からの決意
2013年01月03日
という記事に書いてあることについての(個人的な)予測や概念に結びついたりするような気がした次第です。
ちょっと余談が長くなりすぎましたので、各地の悪天候の記事は今後も、少しずつご紹介したいと思います。
今回は、一昨日から昨日(1月8日〜1月9日)にかけての印象的な2枚を。
共に、Global Post の記事からです。
雪が積もるシリアの難民キャンプ

▲ ディヤルバクルとマルディンの間にあるシリアの難民キャンプ。4〜5歳くらいの子どもでしょうか。2013年1月9日。
川と化したベイルートへの入り口となる道路

▲ レバノンの首都ベイルート。2013年1月7日。
では、他にもいろいろなことがありますので、できるだけ更新いたします。