2013年02月16日



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良い時代と悪い時代(4): 2013年 2月15日に世界各地で同時に太陽の光のように爆発した複数の隕石



シリーズ:良い時代と悪い時代







 

▲ 2月15日にロシア上空で爆発した隕石が、大気圏から地球に侵入した直後の写真。ヨーロッパ各国が共同運用している気象衛星メテオサット10 ( Meteosat 10 )が撮影していました。このあと、ロシア上空 20キロ程度のところで爆発したようです。


 

小惑星 DA14 の地球への最接近の日にロシア、キューバ、米国の少なくとも3カ国で爆発した隕石


昨日、夕方過ぎに昔からの知り合いから電話がかかってきて、まあ他の用事のある電話だったんですが、最初の会話はこのように始まりました。


相手 「ニュース見た?」
わたし「見た見た」
相手 「驚いたよな」
わたし「ああ。 AKB もあそこまでいくと・・・」
相手 「違うわボケが。そのニュースじゃないよ」
わたし「え? じゃあバングラデシュでドラえもんが禁止になったニュース?」
相手 「それも違うわ!・・・って、本当?」
わたし「AFP の記事に載ってた」(※ 日本語記事
相手 「なんでドラえもんが禁止だ?」
わたし「それはスカイ君にでも聞いてよ」
相手 「誰だよ、それは」
わたし「板橋の駅前に毎日立って空を眺めている青年だよ」
相手 「それもどうでもええわ! とにかくテレビでニュースつけてみ」
わたし「今?」
相手 「今すぐ」
わたし「はいはい」


ということで、昨日のロシアの隕石のニュースを知ったのでした。

テレビをつけたのは昨日の夜7時の NHK ニュースの前の天気予報の時だったんですが、ニュースが始まると、最初のニュースがロシアの隕石のニュース。

「 NHK の7時のトップニュースが隕石ってのもすごいなあ」と思いながら、そのニュースを見ていました。

それにしても、こんなに多くの映像が一気に「世界中に」広まるということに関しては、日本の震災の後の「日本人が歩んできた歴史の中のテクノロジーの意味」というタイトルの記事に書いたことがあるんですけれど、

・携帯
・インターネット

の加速度的な普及というのが寄与していることは間違いがなく、2011年の震災は、「世界が同時にショックをほぼ同時体験した」ことが認識された災害でもありました。





NASA の人の「100年に1度」の談話を見た日に


rt-live-meteo.jpg

▲ ロシアのメディア RT の隕石報道より。見出しの Apocalypse Now はフランシス・コッポラ監督の映画『地獄の黙示録』の英語タイトル。地獄の黙示録は若い時に何度も見た映画です。



このロシアの隕石の爆発の規模ですが、爆発のエネルギーの比較というのが、どのくらい正確にできるものかわからないですが、今日の NHK の報道では、あんな十数メートル程度の隕石でも、広島型原爆の30倍の威力があったという NASA の発言を引用していました。

NHK のウェブ上のニュースはわりとすぐ更新されて消えてしまうので、抜粋しておきます。


爆発の威力は広島型原爆の30倍以上
NHK 2013.02.16


nhk-0216.jpg


ロシア中部に落下した隕石とみられる物体に関連して、NASA=アメリカ航空宇宙局は、小惑星が上空20キロ前後で爆発し、その威力は広島型の原爆の30倍以上に上るとみられることを明らかにしました。

これは、NASAが15日夜に明らかにしたもので、観測データをさらに解析した結果、大気圏に突入した小惑星は直径がおよそ17メートル、重さがおよそ1万トンと当初の推定よりも大きく、上空20キロ前後のところで爆発したとみられるということです。

小惑星は火星と木星の間にある無数の小惑星がある領域、いわゆる「小惑星帯」にあったとみられていますが、NASAでは「100年に1度という極めてまれな事態だ」だと説明しています。




さて、上で、NASA の人は、

 > 「100年に1度という極めてまれな事態だ」

と言っていますが、今回のロシアでの出来事の「どのこと」を「100年に1度」と言っているのかがハッキリしません。

NASA というところは、前回の記事でご紹介した下のような分析図を持つ機関です。

これは太陽系で、黄色い点はすべて(わかっている)小惑星で、矢印は彗星です。



太陽系内の「彗星と小惑星の数と配置の状況」に心底驚いた今日は小惑星 DA14 が最接近する日 より。


おびただしい天体が太陽系と地球の周囲にあることを知っていて、そして、やはり、過去記事からのものですが、下のような天体が地球の大気圏にどれだけ頻繁に突入しているかの「頻度」も世界で一番よく知っている機関のひとつです。



▲ 2009年から2011年までの隕石の落下を組み合わせた複合画像。過去記事「
「エンケ彗星の覚醒」: 今、地球の大気圏が「無数の彗星の破片」の爆撃を受けている」より。


おびただしい天体がほぼ毎月(あるいはもっと)のように地球の大気圏に突っ込んできている。

そして、NASA だけではないですが、世界中の天体の観測家たちは、それが最近になって増えてきていることと、そして今年から劇的に増えるという「予測の存在」を知っているはずです。

私自身も NASA のサイトでそのことを知ったのですから。

なので、「100年に1度という極めてまれな」という言い方にはどうも違和感を感じます。


まあ、実際には「被害が出た」ということに対してのコメントだと思いますが、この1年は類似した謎の爆発は多かったです。

たとえば、下の記事のロシアでの「謎の爆発」は、ちょうど1年前でした。


ロシア 2012年2月

russia-explosion-2012.jpg

▲ 過去記事「ロシアで発生した「謎の大爆発」は1908年のツングースカ大爆発の再来か?」より。動画も YouTube のこちらにあります。


下の昨年11月の米インディアナで起きた巨大な爆発も、私個人は何らかの小さな天体(非常に小さな隕石など)の衝突か何かなのではと思っています。

2012年11月12日の報道より



▲ 記事「4つ以上の太陽を私たちが見る日: 満月より明るく爆発した流星群の火球を見て」より。


上の「4つ以上の太陽を私たちが見る日」という記事で引用した NHK ニュースでは、

 > 大音響とともに爆発が起き

とあり、朝になり爆発の範囲の広さが尋常ではないことが判明したのでした。左側の人や車と爆破の瓦礫の散らばる範囲を比べると、家庭用ガスのガス爆発とはとても考えられない規模であることがわかります。




さて、ロシアの爆発に話を戻します。
というか、「その日」の話です。

NASA の人の「100年に1度という極めてまれな事態だ」という言葉とは裏腹に、同じ日に他に複数の隕石の爆発が、世界のいろいろなところで目撃されていたのでした。

そのそれぞれの報道を翻訳してご紹介しておきます。


ところで、この「良い時代と悪い時代」というシリーズは、過去の地球の時代の「天体と地球」との関わりのサイクルを書いてきたものでした。ちょっと話が逸れるかもしれないですが、少しだけ書かせていただきます。





宇宙が人間に教えてくれる「究極的に傲慢な世界」の行く先


古代ギリシャの時代やピラミッドの時代、そして、最後は 500年くらい前まで断片的に続いていたと思いますが、この地球には、先日のロシアでのできごとのようなことが「日常的だった」という時代が何度も何度もありました


フレッド・ホイル博士は自著の中に、紀元前の哲学者プラトンの対話の「今は忘れられてしまったが、ずっと昔アテネそして人類に驚くべきような出来事が起こった」から始まる対話を抜粋した後に以下のように書いています。



彗星や火球の衝突の話は、プラトンの時代には全く普通の話であった。しかし過去の大災害の記憶は忘れられ、哲学者アリストテレスからは地球が彗星には関係なく安全だと考えられるようになった。

アリストテレスは彗星や隕石を天体とはせず、大気現象だとした。西洋思想では地球は宇宙から切り離されてしまったのである。

(中略)

悪い時代には、空からやってくる天災に対して、どんなに強力な指導者であっても対抗できなかった。しかし天災がしばらくなかったときには、専制的な支配者に対抗するものは何もなかった。

空には何も見えなかっただろう。

そして天上の神々の地位は下がり、専制的支配者をも含めた神がとって代わった。



今の 2013年・・・というか 21世紀の「今」もまた、私は上の「空には何も見えなかっただろう」という時代が続いた状態だと考えます。

つまり、「専制的支配者をも含めた神がとって代わった」とフレッド・ホイル博士が表した時代と同じということです。

これは別に誰か特定の人物や国家や体制の話ではなく、「現代社会と現代文明すべてが、それら自身が神となり地球に君臨している」という状態だと、私は感じています。

そしてそれは傲慢が究極にまで行き着いた世の中だ、と。


人間の傲慢、とは言っていません。
もっともっと大きな、すべてを包括するような「地球を包み込む傲慢」です。


そして、私も当然その「今の社会」を享受しているひとりです。

こうやってエラソーなことを書いていても、実際に自分が天体から被害を受けて、ひどい目に遭い、そして、「死なないとわからない」のだと思います。


彗星か隕石か小惑星の爆発の中で息が途絶える瞬間に、「俺たちはやっばり宇宙にはかなわない」と思うのかもしれません。


しかし、その時に同時に、苦痛の中で「宇宙に殺される自分」という存在に誇りを感じられるということもあり得ます。何しろ死ぬ時に「俺は宇宙に殺されるんだ」と気づける(「物理的空間を宇宙と共有している」ということを実感できるということです)のですから。


地球上の死んだすべての生命の DNA は、永久不滅ではないにしても、何千万年も、あるいは環境がよければ何億年も「この世」に存在し続けます。

驚くことに、「仮に地球がなくなっても」 DNA が崩壊(消滅)することはないどころか、皮肉なことに、そのほうが DNA も細胞も長く生きのびることができます。

それは、宇宙空間が「極端に低い気温」であるために損傷が進まないと思われるからです。細胞や精子などの冷凍保存はご存じかと思いますが、宇宙空間は、「自然に保存に適した状態となっている」のです。

生体の小さな部分なら何もかも「永久近く保存される」のが宇宙空間です。

死んだ生命から解き放たれた DNA がその後どうなるのかは科学ではわかっていません。しかし、「何事にも理由と存在の意味がある」という考えからすれば、DNA が永久不滅に近いということには意味があるのだと思います。


ちなみに、 DNA は「永久ではない」と上に書いたのですが、それを発表した科学論文の記事を訳した過去記事があります。

「 DNA は永遠不滅ではなかった」: 研究により DNA の分子は 680万年程度で消滅することが判明
 2012年10月13日



なんだか変な話の流れとなってしまいましたが、とにかく、「新しい時代」は着実に進んでいることを毎日の報道の中で実感します。それが「基本的には死の時代」だとしても。



ところで、「観測史上、最も地球に接近した」小惑星 DA14 は、無事に地球のすぐ近くを通過していきましたが、Spaceweather の写真の投稿欄には、各国からアマチュア天文家による DA14 の写真がアップされていました。前回の記事で、スペースウェザーでは、「この速度を望遠鏡で追跡するのはかなり難しい。しかし、経験豊富なアマチュア天文家なら、観測に成功する可能性もある」とありましたが、かなりの人々が撮影に成功したようです。

下はその一部です。

da14-2013-0215.jpg

Spaceweather のギャラリーより。


というわけで、何だかすでに本題かどうかわからなくなりましたが、ロシアの隕石と同じに、キューバで目撃された隕石の記事と、米国サンフランシスコで目撃された隕石の記事をそれぞれ、ご紹介します。

ここからです。





キューバで隕石と思われる爆発


Suspected meteor explosion reported in central Cuba
新華社 2013.02.16


2月15日の夜、キューバ中央の上空から巨大な「火の玉」が落ちてきたことが多くの住民たちに目撃された。キューバのテレビ局は、「爆発する前には「太陽よりも大きく光った」と、目撃談を引用して伝えた。目撃者たちは数分後に大きな爆発音を聞いたという。隕石や流星体の専門家が目撃された地域に向かっており、今後調査が始まる。





サンフランシスコの空を火球が横切る


Meteor streaks across Bay Area skies
Mercury News 2013.02.15

us-meteo.jpeg


ロシア上空での隕石の爆発が大きなニュースとなっているが、米国でも同じ日に、いくつかの火球の目撃報告があり、少なくともワシントン州と、また、サンフランシスコなどの西海岸のベイエリアでの目撃も多数報告されている。火球の光は約5秒間続いた。

しかし、オークランドの「チャボット宇宙科学センター ( Chabot Space and Science Center )」は、隕石は発見できていないと述べている。宇宙科学センターの天文学者は、これは流星群に属さない「散在流星」ではないかと話す。この散在流星は、一日数回発生する可能性があるという。





  
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