2013年02月19日



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天体の接近と共に忍び寄るパンデミックの影: 全世界で一斉に拡大し始めた強毒性鳥インフルエンザ




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▲ 今朝のロサンゼルスタイムスの記事より。2月17日にフロリダで上のような隕石かもしれない(現時点では何かは不明)ものが目撃されたことついての報道です。なんだか毎日のように、この手の報道があります。






 


中世までの人間の大きな死因のひとつが「天体の衝突」だった


最近、天候が不安定なので、天気予報を見ます。昨日、夕食時に天気予報を見ようと NHK の7時のニュースの終わる頃にテレビをつけました。

天気予報が終わった後、「クローズアップ現代」が始まったのですが、先日のロシアの隕石爆発の事件の内容だったようです。「ようです」というのは、天気予報が終わったのでそのままテレビは消して、番組そのものは見ていないからですが、テレビをよく見るうちの奥さんは、「最近は、朝の番組とかでも隕石のことばっかりやってる」と言っていました。

わたし「今後どんどん増えて日常的になっちゃえば、大騒ぎしなくなるんじゃないの」
奥さん「また起きるってこと? テレビでは 100年に一回とか言ってるけど」
わたし「フレッド・ホイルっていう昔のイギリスの科学者がさ、時代によっては、一生のうちでひとりの人間が天体の衝突で死ぬ確率は 20パーセントだか30パーセントほどあったって書いてた」
奥さん「そんなに?」
わたし「大昔の話だけどね」


そんな話をしていたのですが、実際どのように書かれていたのか曖昧にしか覚えていなかったので、ホイル博士の本を見てみました。すると下のように書かれてありました。

この部分は、過去記事の、

「良い時代と悪い時代」(1): 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
 2012年10月06日

の後半で、抜粋したフレッド・ホイル博士の『生命はどこから来たか』という著作の中にある下りです。

読みやすくするために改行を入れています。


『生命はどこから来たか』 エピローグより
 フレッド・ホイル著
 大島泰郎(東京工業大学名誉教授)訳


衝突によって死ぬ範囲を五〇〇〇平方キロメートルとすれば、地球の全表面積は一億平方キロメートルなので、一回の爆発で死ぬ確率は二万分の一となる。

一年に一または二回の割合で衝突があるとすれば、現在の交通事故と同じほどの確率となる。しかし彗星の群と遭遇する頃の、一年間に一〇〇回もの衝突があるとすれば、三〇年間に当たる確率は一五パーセントとかなり高くなる。

もっとも古代では、他の理由で死ぬ確率も同じくらいあったであろう。

さらに重要な結果は、三つの人口中心地帯のうち一つは完全に破壊されるであろということである。生き残った人は一〇〇キロメートル以上遠くから、空から火の雨が降るのを見ただろう。

過去一万年にわたる人類の歴史における文明の盛衰は、周期的またはほぼ周期的な彗星の衝突で説明できるだろう。衰退はほんの短期間で劇的に起きるが、繁栄は長く続く。

悪い時代は厳格な哲学や宗教が興り、途中の穏やかな時代になってそれらは円くなる。



上の文章に「悪い時代」という表現がありますが、このブログで昨年からたまに書くシリーズの「良い時代と悪い時代」というタイトルはそこから連想したものです。

フレッド・ホイル博士は、自身で言うところの「悪い時代」(天体の衝突が日常の時代)が「そう遠くない未来に来る」ことを確信していました(ホイル博士ご本人は 2001年に 86歳で亡くなっています)。


その「そう遠くない未来」は、上の著作の書かれた1990年代から「短くても数十年後には」と博士は思っていたようです。

とはいえ、実際は、先日のロシアの隕石程度の事件がこんなに毎日大きく報道されるほどで、今は「まだ悪い時代ではない」といえます。ホイル博士の書いていた「過去の地球の様相」は壮絶なものがあります。

たとえば、上の『生命はどこから来たか』には下の表がありますが、



著作では、下のような文章の下りもありました。

文中の「表1」とあるのが上の表です。


最初の氷河期が終わってからしばらくの間は、人類は農作を始めていなかったが、その後狩猟生活から抜け出し始めた。そして定住を始めた頃、ツングースカや、もっと強力な宇宙からの爆撃が頻繁に起こったことだろう。表1に示したすべてのレベルのことが繰り返し起こっただろう。



とあります。

先日のロシアの隕石を上の表と照らし合わせますと、「表の一番上の最も被害想定の少ないものの、さらに何分の1」という非常に小さなものとなり、地球の歴史の中での天体の事象としては、非常に小さな出来事であることがわかります。

その氷河期の後の頃、仮にホイル博士の言うように、上の表のレベルが繰り返し起きていたとすると、確かに大変な時代だったと思います。

そして、「その時代は周期的にやってくる」とホイル博士は言っていて、その周期が近いことを天体活動から私たちは今気づき始めています。


ちなみに、恐竜の絶滅の原因として、イリジウムという物質の検出から「彗星の衝突」という説を最初に正式な論拠のもと 1978年に科学界に提案したのもフレッド・ホイル博士でした。





極限に達した文明は「ゼロ」に戻る

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NASA says ‘small asteroid’ exploded over Russia: event took everyone by surprise ( NASA は「ロシアで爆発した隕石はとても小さなものだ」と述べた。)より。


ホイル博士の想定している「悪い時代の日常」は、あのロシアの隕石騒動程度のことを言っているのではなく、基本的に「大きな文明圏の中のいくつかが消滅した」というような出来事が日常的に起きたのが過去の時代だったというようなことを書いています。

今でいえば、例としてはどこでもいいですが、東京、ニューヨーク、北京、ロンドン、バンコクなどいろいろな文明の栄えている年や地域がありますが、「そのいくつかが丸ごと消えながら時代が進んだというように例えられる」ものだったということのようです。

そして、またその時代が近いうちに来ると。

私自身も昨年以来、そのように感じてはいます。


そう思う理由のひとつは、太陽系での天体の衝突などの活動が盛んだという事実もありますが、しかし、私がそう思う「もっと大きな理由」は科学とは関係ありません。

その理由とは、「現代文明がすでに精神的に破局しているから」という感情的な話であり、また、「文明がこれ以上進めないところにまで(これ以上進んではいけないところまで、という意味かもしれません)来てしまった」ということもあります。

過去の多くの巨大文明が「その文明の中での科学や技術、そして精神性がすでに極限に達してしまい、破局しか残されていないような頃」に滅亡していったように見える」ようなことを考えますと、この「感情的な感じ方」というのもそれほど的外れとも言えない気もします。






2013年に入り爆発的な流行を見せ始めた鳥インフルエンザ


さて、今回は、フレッド・ホイル博士の主要な研究テーマであった「パンスペルミア説」、すなわち、「彗星などの天体が宇宙に生命を拡散させている」という説に関係する話です。つまり、地球の生命も、彗星などによって宇宙から地球にもたらされたというもので、このブログ In Deep をはじめた最大のテーマがこの「地球の生命は宇宙からもたらされた」ということではあります。

それはともかく、生命という中には「病原菌やウイルス」含まれます。

すなわち、病気の流行も「宇宙からもたらされる」とするのがパンスペルミア説の主張です。

ホイル博士は、人間を含めた、地球のあらゆる生命、そして「病原菌やウイルス」も、すべて常に天体から地球にもたらされていると考えていました。

このあたりに関しては、過去の資料との照らし合わせでは、昨年の、


西暦 541年の東ローマ帝国でのペスト襲来に関してのヨーアンネースの記録
 2012年09月20日


というものに記していますので、お読みいただければ幸いです。


地球への天体の接近の多い今年はどうかというと、あまり日本では報道されていないので、ご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、「強毒性の鳥インフルエンザが猛威を奮っている」のです。最近の他の年の流行と比較でどのくらいの猛威なのかはよくわからないのですが、「報道数の多さと報道の大きさ」を見ても、普通の出来事では収まらないということがありそうです。

全然関係ないですが、日本でも「風疹」というものが非常に流行しているようで、NHK で先日、下のような報道を見ました。


都内の風疹患者 去年の32倍
NHK 2013.02.14

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首都圏を中心に大流行している風疹の患者が、都内では今月10日までの6週間で260人に上り、去年の同じ時期の32倍となっています。専門家はこのペースで流行が続くと妊婦に感染が広がり、赤ちゃんに障害が出る可能性が高まるとして、妊娠を希望する女性や妊婦の夫などに予防接種を受けるよう、呼びかけています。

風疹は妊娠中の女性が感染すると、赤ちゃんの心臓や耳などに障害が出るおそれがあり、去年10月以降、実際に障害が出た「先天性風疹症候群」の赤ちゃんが全国で6人報告されています。

風疹は去年、関東や関西を中心に流行し、患者の数が過去5年間で最も多くなりましたが、ことしは、それをさらに上回るペースで流行していて、特に都内では、今月10日までの1週間に、90人が新たに報告され、患者数は6週間で合わせて260人に上り、去年の同じ時期の32倍となっています。



風疹はかかった本人の症状よりも、「妊娠中のお腹の赤ちゃん」に強い影響が出る可能性の非常に強いということが問題のようです。国立感染症研究所のページによりますと、


(赤ちゃんの障害の)発生頻度は、妊娠1カ月50%以上、2カ月35%、3カ月18%、4 カ月8%程度



とあり、妊娠初期ではかなり高い確率ですので、妊娠されている方などは、特に気をつけていただきたいと思います。また、同じページには、「妊娠可能年齢の女性で風疹抗体が無い場合には、積極的にワクチンで免疫を獲得しておくことが望まれる。」と書かれてあります。

気になる方は上のリンクのページをご自分で読まれてもいいかと思います。今年の風疹の拡大はちょっと異常な感じで、また赤ちゃんの話でもありますので、関係のある方(妊娠初期の可能性のある方)は気にされてもいいかとも思います。

1ヶ月目だとご自分でも妊娠に気づいていない方もいらっしゃるかもしれないですので。


さて、鳥インフルエンザの件。
各国で報道されている記事のいくつかと、その内容の要約を記しておきます。

まず、中国からです。

中国は、壊滅的な鳥類への感染の拡大が懸念されているだけではなく、すでに、ヒトでの死者も出ていて、ヒトからヒトへの感染による H5N1 のパンデミックの懸念が示されています。

なお、この「鳥インフルエンザ H5N1 」というのは、数年前にパンデミックとなった豚インフルエンザとは比較にならない強い毒性を持っており、2003年にヒトへの感染が確認されてから、感染した人間の死亡率は 60パーセントに達しています

各国の報道を短く要約いたします。

ここからです。






2013年の世界での鳥インフルエンザの報道


中国

Bird Flu Death In China Sparks Fear Of Human-Transmitted H5N1 Strain
インターナショナル・ビジネス・タイムズ 2013.02.15

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中国で鳥インフルエンザが猛威を奮っており、ヒトへの H5N1 の感染が懸念される

中国南西部の貴州省の保健当局によれば、2月6日に鳥インフルエンザ H5N1 に起因する多臓器不全により 21歳の女性が死亡した。同保健省によれば、これは新型の鳥インフルエンザで、同地域でもうひとりが症状を示しているという。ふたりとも発症前に家禽類との接触があったという。

カンボジアでは今年に入り、すでに7名が鳥インフルエンザで死亡している。その中にはまだ3歳の女の子もいた。

保健当局は、鳥インフルエンザがヒトからヒトへ感染するウイルスに変異することを懸念している。東南アジアでは 2003年からの鳥インフルエンザに感染でのヒトの死亡率は 60パーセントに達している。




ドイツ

Bird Flu Symptoms 2013: H5N1 Case Reported On German Duck Farm, Cambodian Girl Dies From The Virus
Latino Post 2013.02.15

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鳥インフルエンザ 2013: ドイツのアヒル農場で H5N1の発生が報告。カンボジアでは少女が死亡

ドイツの保健当局は、ブランデンブルクのアヒル農場で、鳥インフルエンザ H5N1 が発見されたことを発表した。鳥インフルエンザは鳥類に感染する他、人間にも過感染し得る。

中国やカンボジア、インドネシアなどは鳥インフルエンザのヒトへの感染が報告されており、専門家たちは、ウイルスの変異によるヒトからヒトへの感染の拡大に懸念を示している。

ヒトは鳥インフルエンザに対しての免疫を持たないため、ウイルスの変異によっては爆発的感染に発展する可能性がある。




メキシコ

Bird Flu Symptoms: 500,000 Chickens Affected in Mexico, Over One Million Vaccines Distributed
Latino Post 2013.02.15

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メキシコで 50万羽の鶏が鳥インフルエンザに感染。100万羽にワクチンが接種される

メキシコ農業局によれば、メキシコのグアナファトの7つのニワトリ農場の 58万 2,000羽から鳥インフルエンザが確認された。これらの7つの農場で見つかったのは H7 型と呼ばれる鳥インフルエンザだ。

感染した鳥は殺処分され、また、100万羽分の鳥にワクチンを摂取する。



他に、ネパールでも鳥インフルエンザが発生しています。



英国ではSARSに似た新型ウイルスもヒト感染

鳥インフルエンザではないですが、イギリスで、「SARSに似た新型ウイルスがヒトに感染したことを確認」という報道がありました。下はロイターの記事です。


SARSに似た新型ウイルス、英国でヒト感染を確認
ロイター 2013.02.14

英国健康保護局(HPA)は13日、同国で3人目となるSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに似た新型ウイルス感染を確認したと明らかにした。同ウイルスの感染確認はこの1週間で2例目で、ヒトからヒトに感染したとみられる。

今回感染が確認された患者は、別の感染者と同じ家族の男性。この新種のコロナウイルス(NCoV)の患者は世界全体で11人となり、うち5人が死亡した。ほとんどの感染者は中東に居住している。

HPAによると、3人目の患者は英国に住んでおり、最近の海外渡航歴はなかった。現在、英中部の病院で集中治療を受けているという。HPAは「中東への渡航歴がない人から新たなコロナウイルスの感染が確認されたことは、英国内でヒトからヒトに感染したことを示している」と述べた。



これらに関しては何か新しい報道がありましたら、なるべく早めに書くようにいたします。