そして、イランの首都テヘランでは「突然変異した巨大ネズミの大群とイラン軍の戦争」が進行中
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▲ イランの首都テヘランで起きている「軍隊と巨大ネズミの戦争」をギャグで表したらしい記事。エジプトの報道メディア El Balad より。しかし、テヘランで軍隊が巨大ネズミの狙撃を始めていることは事実で、そのことは下のほうで報道記事をご紹介します。
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聖書の世界が次々と現れる中東にて
先日の記事、
・ガザ地区に打ち上げられた無数のマンタと、エジプトに現れたイナゴの大群に思う「第6の太陽の時代」
2013年03月02日
では、エジプトに出現したイナゴの大群のことを取り上げたのですが、事態は拡大の様相を見せ始めています。
事態が拡大というより「報道の規模が拡大した」という感じです。
それはイナゴの大群が「イスラエルに向かい始めた」からです。
前回の記事に載せた位置関係の地図に、現在の状況を加えたものが下の地図です。
関係した記事を簡単にご紹介しておきます。
Israel on alert as locusts swarm Egypt
news.com.au 2013.03.05
隣国エジプトのイナゴの大群発生に対して警戒するイスラエル
破壊的な数のイナゴの大群がエジプトで発生しているが、隣国であるイスラエルも警戒態勢に入った。イナゴは農作物に壊滅的な影響を与える可能性がある。このイナゴの大群が、エジプトからイスラエルに広がる可能性があり、懸念を強めている。
イスラエル農業省は緊急ホットラインを開設し、イナゴの大発生を防ぐためにイナゴの目撃情報を当局に報告するようにイスラエル住民に求めている。
くしくも、イスラエルでは聖書にイナゴの厄災が登場する「出エジプト記」と関係する過越祭が近づいている時期でもある。聖書によれば、イナゴの厄災は、神が古代ヘブライ人を奴隷にしたためにエジプト人に課せられた十の災いの一つだ。
news.com.au 2013.03.05
隣国エジプトのイナゴの大群発生に対して警戒するイスラエル
破壊的な数のイナゴの大群がエジプトで発生しているが、隣国であるイスラエルも警戒態勢に入った。イナゴは農作物に壊滅的な影響を与える可能性がある。このイナゴの大群が、エジプトからイスラエルに広がる可能性があり、懸念を強めている。
イスラエル農業省は緊急ホットラインを開設し、イナゴの大発生を防ぐためにイナゴの目撃情報を当局に報告するようにイスラエル住民に求めている。
くしくも、イスラエルでは聖書にイナゴの厄災が登場する「出エジプト記」と関係する過越祭が近づいている時期でもある。聖書によれば、イナゴの厄災は、神が古代ヘブライ人を奴隷にしたためにエジプト人に課せられた十の災いの一つだ。
というような感じになっているようです。
前回記事で書きましたが、私のようなキリスト教徒ではない人間でも「聖書の中の記述」を気にしていたくらいですから、聖書に関わりの深い人たちには「エジプトからイスラエルにかけてイナゴの大群が出現している」とい事実は印象的に感じるのかもしれません。
下は、米国「タイム」のオンライン版のその記事のページです。
▲ TIME より。
「イナゴの大群が、聖書にある十の厄災のごとくエジプトに舞い降りた」いうような見出しになっていて、アメリカの記者でさえもこの出来事から「聖書」の記述を連想していたようです。
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旧約聖書の予言書「ヨエル書」に出てくるイナゴ
イナゴは、聖書の中に繰り返し出てきます。
特に「出エジプト記」といものの中には、現在起きている光景とよく似た描写が出てきます。
日本聖書協会の共同訳から抜粋します。
出エジプト記 / 10章 12-15節
主はモーセに言われた。「手をエジプトの地に差し伸べ、いなごを呼び寄せなさい。いなごはエジプトの国を襲い、地のあらゆる草、雹の害を免れたすべてのものを食い尽くすであろう。」
モーセがエジプトの地に杖を差し伸べると、主はまる一昼夜、東風を吹かせられた。朝になると、東風がいなごの大群を運んで来た。いなごは、エジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にとどまった。このようにおびただしいいなごの大群は前にも後にもなかった。
いなごが地の面をすべて覆ったので、地は暗くなった。いなごは地のあらゆる草、雹の害を免れた木の実をすべて食い尽くしたので、木であれ、野の草であれ、エジプト全土のどこにも緑のものは何一つ残らなかった。
また、一方で、イナゴは旧約聖書の「ヨエル書」というものにも出てきます。
そもそも、この「ヨエル書」の第1章は、日本聖書協会のページでは下のように始まります。
この「ヨエル書」のヨエルというのは誰だかよくわからないみたいで、Wikipedia には、
1章1節によれば、筆者はペトエルの子ヨエルであるという。ただし、ペトエルという名は聖書中ここにしか出現せず、ヨエルの出自を明らかにする情報は存在しないと言ってもよい。
とあります。
この「ヨエル書」というのは、上の Wikiepdia によれば、「ユダヤ教では後の預言者に分類され、キリスト教では預言書(十二小預言書)に分類される」というものだそうで、つまり、予言的な正確を持つもののようです。
たとえば、下のような下りが次々と出てきます。
ヨエル書 1章 15節
ああ、恐るべき日よ
主の日が近づく。全能者による破滅の日が来る。
ヨエル書 2章 10節
その前に、地はおののき、天は震える。太陽も月も暗くなり、星も光を失う。
このヨエル書のラストは何となく、こう、「情緒的」ともいえる結末を見せておりまして、読んでいてなかなか響きがよかったですので、3章を全文抜粋しておきます。
ヨエル書 3章 1-5節
その後
わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。
あなたたちの息子や娘は預言し
老人は夢を見、若者は幻を見る。
その日、わたしは
奴隷となっている男女にもわが霊を注ぐ。
天と地に、しるしを示す。それは、血と火と煙の柱である。
主の日、大いなる恐るべき日が来る前に
太陽は闇に、月は血に変わる。
しかし、主の御名を呼ぶ者は皆、救われる。主が言われたように
シオンの山、エルサレムには逃れ場があり
主が呼ばれる残りの者はそこにいる。
最初は「ヨエル書を読めば、酔えるっしょ」という冗談を書こうとしていましたが、そういう感じではないですね(書いてるじゃねえか)。
過越祭 (ペサハ)というユダヤの祭
このようなことが書かれてある聖書ですが、今回の「イスラエルへのイナゴの進行」が大きく報道されるのには他の理由もあるようで、もうじき、ユダヤ教の非常に大きな宗教的祭事があることも関係しているようです。
その直前にイナゴがイスラエルにやって来たと。
その祭事とは、私は今回初めて知ったのですけれど、日本語では「過越」(すぎこし)というものだそうです。英語で、Passover、 現地のヘブライ語では、というものだそうで、「ペサハ」というような読み方をするようです。こちらによりますと、起源は、
聖書の出エジプト記 12章に記述されている、古代エジプトでアビブの月に起こったとされる出来事と、それに起源を持つとするユダヤ教の行事のことである。
(中略)
神は、当時 80歳になっていたモーセを民の指導者に任命して約束の地へと向かわせようとするが、ファラオがこれを妨害しようとする。そこで神は、エジプトに対して十の災いを臨ませる。その十番目の災いは、人間から家畜に至るまで、エジプトの「すべての初子を撃つ」というものであった。
この十の災いの中に「イナゴ」が出てくるのです。
前回記事から引用しますと、モーセは、
> イナゴの猛威は、全てを食いつくし 最後は、伝染病により ファラオから奴隷、家畜に至るまでその初子は全て死に絶えたのであった。
というようなことをしたようです。
あーなるほどねえ・・・。
たかがイナゴの大群の出来事がどうしてこんなに大きく報道されているか、やっとわかりましたよ。
いや、イナゴの大群なんてもの自体は数年おきにどこかで発生していて、それほど珍しいことではないのですが、「場所」と「時期」の関係でこんなに大きくなったもののようです。
このペサハという祭、今年は 3月 26日の日没から始まるようです。
ここまで長くなってしまいましたが、冒頭に載せました、「イランの巨大ネズミとの戦い」の話を簡単に書いておきます。
いまだかつて見たことのないような巨大ネズミの鎮圧に軍隊が乗り出したイラン
ちょっとグロい写真ですが、その「巨大ネズミの巨大さ」を示すために、写真つきのニュースのひとつを載せておきます。
▲ 英国のインターナショナル・ビジネスタイムズより。タイトルは「変異体の巨大ネズミと陸軍の狙撃手たちによる戦争がテヘランで発生」。
上の記事をご紹介します。
ここからです。
ちなみに、記事に、イランの大学教授の話として、「おそらく放射線、およびそれらに使用される化学物質の結果として、遺伝子が変異を起こしたのではないだろうか」というゴジラみたいな談話がありますが、そのあたりは研究実証された話ではないですので、適度にお受け下さい。
Tehran Battles Plague of 'Mutant' Giant Rats with Army Snipers
International Business Times 2013.02.20
「変異した」巨大ネズミと軍の狙撃手たちによる戦争がテヘランで発生
▲ 巨大ネズミたちとの「戦争」のためにイラン軍の狙撃手たちの特別編成チームが作られている。
イランの首都テヘランを含む 26の地区で、突然変異でも起こしたかと思われるような巨大なネズミの群れに悩まされている。
大きなものでは重さ5キロに達するこのネズミたちを一層するために、テヘラン市には、軍の狙撃手たちが送り込まれた。
テヘランの市議会の環境保全顧問を務める大学教授のイスマイル・カーラム博士は、「おそらく放射線、およびそれらに使用される化学物質の結果として、遺伝子が変異を起こしたのではないだろうか」と述べた。
この体重5キロにも及ぶ変種ネズミは「猫よりも大きく」、一般の捕獲器で捕獲できないため、当局はネズミ対策に熟練の狙撃手 10人からなる「ネズミ狙撃チーム」を編成し、すでに2205匹を駆除したという。
イランの環境庁は、今後、狙撃チームを最大で 40組にまで増やす計画があり、テヘランでの「ネズミ戦争」はまだ続く。
(訳者注) もう本当にこの光景を考えるとイヤですね。猫より大きなネズミが走り回る市内・・・(苦笑)。テヘランって、行ったことのある人にきくとかなりキレイな街で、それだけに何だかすごい話だなあと思います。
いろいろなことが起こります。