2013年05月06日



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シリア・ダマスカスで巨大なキノコ雲を発生させた爆発を巡るさまざまな事実と思惑



私はシリアとイスラエルの関係をよく知らないんですが、「過去」もいろいろと出てきます。下の写真は、2007年9月6日に、シリアの未完成の原子炉がイスラエル空軍によって空爆されたとされる写真です。

s-i-top.jpg

▲ 2007年9月の航空写真。上の写真の中央にあるのがシリアの未完成の原子炉。空爆後には完全に消えています。 アルジャジーラ より。
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ダマスカスに立ち昇ったキノコ雲から一夜明けて


昨日の記事の、

シリアで撮影された「核爆発」のような大爆発は何なのか?
 2013年05月05日



での爆発は、その後、(イスラエルはコメントしていないものの)イスラエルによるロケット弾による攻撃だったという報道が主になっています。

どうして、あんな核爆発のような規模の大きな爆発になったのかというと、軍事化学工場に近い性質の施設だったと推定されます。ただし、後述しますが、あのキノコ雲の理由は、シリア政府は他の理由を述べています。

なお、空爆の後の現地の写真もありまして、下のような感じになっているようです。

syria_b1.jpg

ニューヨーク・タイムズより。


現地に最初に入ったシリアの一般ジャーナリストの動画のリンクも後に貼っておきます。


このイスラエルの攻撃については日本語でも多く報道されていますので、 CNN の報道から「概要」だけ抜粋しておきます。


イスラエルが首都近郊の研究施設を「砲撃」 シリア国営TV
CNN 2013.05.05

シリア国営テレビは、首都ダマスカス近郊ジャムラヤにある「科学研究施設」がイスラエル軍によるロケット弾攻撃を受けたと伝えた。

標的になったのは、政府の国防関連の研究施設とみられる。

国営テレビは、イスラエルがシリア反体制派に加勢していると非難した。一方、イスラエル軍は「そのような報道にはコメントしない」との立場を貫いている。




そして、日本語や、あるいは欧米の英語圏のニュースでは見当たらなかったのですが、シリア政府は「イスラエルは爆撃に劣化ウラン弾か、あるいは新型の兵器を使ったと思われる」と言っておりまして、今回はそのことが書かれてあるロシアタイムスの報道をご紹介します。

劣化ウラン弾というのは、それに関する様々な感情論などもあり、ここでは Wikipedia から「兵器の性質」だけを抜粋しておきます。一昨日のキノコ雲との関連を考えるためです。


劣化ウラン弾

劣化ウラン弾とは、弾体として劣化ウランを主原料とする合金を使用した弾丸全般を指す。(中略)合金化して砲弾に用いると、同サイズ、同速度でより大きな運動エネルギーを得られるため、主に対戦車用の砲弾・弾頭として使用される。

劣化ウラン弾は穿孔過程で侵徹体の先端温度は 1,200度を越えて溶解温度に達する。装甲板を貫通した後で侵徹体の溶解した一部が微細化して撒き散らされる。金属ウラン成分は高温下で容易に酸素と結びついて激しく燃焼するため、劣化ウラン弾は焼夷効果を発揮する。



なかなか難しい記述ですが、どうやら、装甲部分や建物の壁などを、貫通した後に、その内部などを高温で焼き尽くすという特徴があるようです。

ダマスカスのあのキノコ雲は、たとえそこが化学兵器などの施設であっても、外側だけの爆発ではあのようなものにはならないような気もしますので、何らかの内部を高温で焼き尽くす兵器が使われていた可能性はあるのかもしれません。

一応、参考までに昨日の記事に貼りました動画から爆発の瞬間をピックアップしたものを貼っておきます。このような爆発でした。

2013年5月5日のダマスカスでの爆発





では、ここから、ロシアタイムズの記事の翻訳です。




‘Israel used depleted uranium shells in air strike’ – Syrian source
RT 2013.05.05

シリアの情報筋は「イスラエルは劣化ウラン弾を爆撃に使用した」と語る

ru-si.jpg

▲ 爆撃を受けたと見られる跡。


イスラエル軍からの攻撃を受けたシリア軍の高官はロシアタイムスに「イスラエルは " 新しいタイプの兵器 " を使用した」と述べた。

「爆発は5日5日の早朝にダマスカス郊外で起きた。その爆発で地震のような揺れを感じた」と高官は述べ、そして、

「その後、巨大なキノコ雲が現れた。私たち(シリア軍)はこれは、イスラエルが劣化ウラン弾を使用としたことを示唆していると考えている」と言った

劣化ウラン弾は、ウラン濃縮過程の副産物で、1991年の湾岸紛争に米国により使用されていた。核兵器に使用される放射性物質とは異なり、劣化ウラン弾は、その爆発の威力は評価されてはいないが、その特徴として、 非常に頑強な装甲鉄や保護壁を貫通させることができる。

劣化ウラン弾を使用している国は、物質が有毒であることを主張するが、体内に留まらない限りは危険な放射性物質ではない。

「いくつかの民間の工場や建物が破壊されたが、最大のターゲットは兵器倉庫だったようだ。この爆撃は私たちにとっての宣戦布告といえる。戦略的な動機に基づいた攻撃ではない」と高官は述べる。

欧米のメディアでは、この攻撃は、シリアのアサド大統領政府に同情的であるレバノンのヒズボラへの武器の移転を阻止するためと語っている。

しかし、ロシアタイムスが話を聞いたシリアの関係者は「現場に重要な物資や機材はなかった」と、欧米の話を否定している。






(訳者注) ロシアタイムズの記事は、ここまでです。

爆撃後の現地に入った現地の一般人ジャーナリストの映像が YouTube にあります。特に悲惨な映像ではないですが、何が写っているかわからない面もありますので、リンクにしておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=d1T2enP_orI

動画に砲弾がいくつか写っておりまして、詳しい方なら何かわかるかもしれませんので、動画の砲弾の写真を貼っておきます。

ro-01.jpg



ro-02.jpg




ro-03.jpg


昨日今日と、シリアのことを記しましたが、宇宙でもいくつか大きな現象が起きていて、観測史上最大クラスのガンマ線バーストがこの4月の終わりに発生していたり、太陽が相変わらず妙な挙動を見せたりしています。

近いうちにご紹介したいと思います。