2013年06月17日



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木の中から蘇る「修復キリスト」。そして、中国の「修復前エイリアン」の作者は監獄の中



最近、個人的に「虚無感」のようなものが長く続いているんですが、周囲にもそういう人が多いとことを知りました。最近、その虚無感と平行宇宙のことなどと絡めた記事を書いているんですが、書けば書くほど何が何やらわからない記事になりまして、そちらはもう一度整理してみます。

今回は虚無感とも平行宇宙とも関係ない、むしろライトな内容ですが、最近、少し気に入っていたふたつのニュースについてです。






 

忘れた頃に蘇る「彼ら」


先日、英国のベルファスト市というところの墓地にある木を切り倒したところ、「木の切断面にキリストのような顔が現れ、参拝者が殺到している」というニュースがありました。

下は YouTube に投稿された動画からのスクリーンショットです。

jesus-tree-1.jpg

Belfast City Cemetery Phenomenon より。


こういうニュースはわりとよくあることでして、これ自体はそんなに驚くようなことでもないとも思うのですが、この YouTube の動画を見た時に私が反応したのは、すぐ下にあった「コメント」だったのでした。

動画自体はイギリスからのもので、全体的に英語のコメントばかりの中に、日本語でのコメントがありまして、そこに下のように書かれてありました。

comment-1.png


これを読んで思わず笑ってしまったのですが、皆さんは昨年の「修復ブーム」を憶えてらっしゃるでしょうか。

In Deep でも二度ほど記事にしています。

2012年にスペインで生まれた「新しいキリスト像」の価値観が瞬く間に世界を席巻
 2012年08月27日

モナリザとマンモンとマタイ(とブラッド・ピッドも含む)に挟まれ、7つの大罪が心にしみる秋の朝
 2012年09月28日


どんな出来事かということに関しては、当時の AFP の記事から部分的に抜粋しておきます。


「世界最悪」の修復キリスト画が大人気、訪問者が急増
AFP 2012.08.26

「世界最悪の修復」でサルさながらに変貌してしまった102年前のキリストの肖像画を見ようと、スペイン北東部ボルハを訪れる人々が数百人規模に急増している。

この肖像画はスペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネスが1910年に描いたもので、ボルハ市内の教会の柱に直接描かれている。傷みが目立ち始めたため、年齢が 80代とされるセシリア・ヒメネスさんが善意で修復を試みたところ、オリジナルと似ても似つかないとして地元住民から苦情が殺到。

静かな町だったボルハに、世界中のメディアの注目が一気に集まった。一部メディアはこれを史上最悪の修復と伝えた。



その上にあるスペインのヒメネスさんによる「史上最悪の修復」と言われた修復キリスト画は下のものです。

re-jesus-01.jpg



そして、下の写真がイギリスで話題となっている「木の中から現れたキリストの顔」です。

re-jesus-2.jpg


まあ・・・・・確かに雰囲気は似ています。


ちなみに、スペインの修復キリストは「修復される前のキリスト像」と並べたものがあります。地元スペインの当時のメディアからのものです。



▲ キリスト画の修復前(左)と修復後。


今回の木の切り株に浮かび上がったイエス像がどちらによく似ているかというと・・・やはり修復後のほうに見えなくもないです。




あるいは存在しないリアルなイエス様

ところで、本物のキリストの顔に関係するものといえば、トリノにある聖ヨハネ大聖堂に保管されている「トリノの聖骸布」というものがあります。Wikipedia から説明を抜粋します。


聖骸布(せいがいふ)

Shroud_positive_negative_compare.jpg

▲ トリノの聖骸布

聖骸布は、キリスト教でいう聖遺物の一つで、イエス・キリストが磔にされて死んだ後、その遺体を包んだとされる布。

聖骸布は、その発見以来、長き言い伝えと共に、キリストの遺骸を包んだ布であると信じられてきた。その真偽については、これまでにも一般公開された機会などに合わせて専門家による科学的調査が進められてきた。

いずれにしても、その真偽については依然として決定的なことは言えず、現在も世界中で様々な研究が行われている。カトリック教会は布の真偽に関係なく、信仰のための重要な道具であるとの立場である。




この聖骸布ですが、年代を測る方法のひとつである放射性炭素年代測定法などでは、西暦 1260〜 1390年の間くらいのものと出たりしていて、信憑性についてはいろいろありますが、真偽はともかく、上の聖骸布の複製から再現された「イエスの顔」というものがあります。

下の写真です。

torino.jpg


聖骸布のイエス様の顔と、修復キリストのお顔ではずいぶんと違った風情となっているわけですが、2013年になってイギリスに出現したそのお顔は、どちらかというと修復系だったということに、いろいろと思うところがありました。


ちなみに、昨年の「修復騒動」は、後日談を書いた記事「モナリザとマンモンとマタイ(とブラッド・ピッドも含む)に挟まれ、7つの大罪が心にしみる秋の朝」に書きましたが、修復した女性が突如「ヒール」となったりした展開などもあり、いろいろと「この世」を考えさせてくれる出来事でした。



ところで、中国では、先週くらいに、「エイリアン捕獲」騒動が中国内外のメディアで大きく報じられていました。そのことにも少しふれておきます。







ゴムの残骸をなすすべなく報道するメディア


これは、日本語でも報道されていましたので、その記事を抜粋しておきます。


山東省浜州の男性が宇宙人捕獲、当局や専門家は結論出さず
newsclip.be 2013.06.11

宇宙人を自ら仕留めたと警察に通報したという話題が山東省浜州市で広がっている。宇宙人か否かを含めた真偽は、まだ明らかにされていないという。政府系ウェブメディアの人民網が6月10日付で伝えた。

本人の李さんが記したブログによると、今年3月9日の午前2時ごろ、黄河周辺を飛行中のUFOを偶然発見。UFO本体は取り逃がしたものの、野兎を狩る電撃ネットを巧みに利用し、乗組員5人のうち1人を死亡させ捕獲した。収穫物は自動車で自宅に運び込み、損傷しないよう冷蔵ケースに入れて保存している。

生き残った宇宙人の報復を恐れて、李さんは速やかに通報して公安を呼んだ。冷蔵ケースの物体は全体が茶色で、ゴムのような材質で形成。目と思われる穴や、手足はついているが、生物とは思えない無機質な姿で収納されていた。



記事はまだ続きもありますが、文字だけで写真がなかったですので、中国のメディアを探してみたのです。

そして・・・。

記事の写真を見た途端に、「これは紹介するのはやめよう」と思い、当時は話題にふれることもありませんでした。

何しろ、その李さんが捕獲して保管しているという宇宙人は下の写真のシロモノです。


ch-ali-1.jpg



ch-ali-2.jpg

▲ 中国メディア kdnet 他より。


・・・(笑)。

ちなみに、横でポーズを決めている男性が李さんです。


私は若い頃、SF映画が好きで、特殊メイクアップアーティストになりたいと思っていたこともあったのです。そんなこともあり、十代の頃からいろいろな素材でモンスターなどを作っていましたが、上手ではなかったとは思いますけれど、しかし、それでも、李さんの作ったこのエイリアンよりは丁寧に作っていたと思います。


ちなみに、この李さんはその後どうなったかというと、続報があります。


宇宙人の写真をネット公開した中国人 刑務所に
VOR 2013.06.13


冗談でインターネット上に写真を公開し、あたかも宇宙人が存在するかのように信じ込ませた中国人が、刑務所に送られる羽目になった。

山東省のリ・カイさんは、嘘の情報を流布させたとして5日間自由を剥奪された。「Global Times」紙が伝えた。リ・カイさんによれば、3月、黄河で宇宙人の死体を見つけ、それを冷凍保存していたという。その写真は6月9日に公開された。

ブロガーたちの間ではこの写真が瞬く間に広がったが、警察は公式に、これが「偽物」であるとの声明を出した。

警察がリ・カイさんのところを訪れたところ、宇宙人を自作したことを自白した。

「テレグラフ」紙がリ・カイさんの言葉として伝えたところによれば、「私はUFOファンだ。他の人も宇宙人を信じるようになって欲しかっただけだ。」という。



まあ、李さんにとっては残念な結果になってしまいましたが、しかし、まだ方法は残っているかもしれません。

それは「修復すること」です。

李さんの言う「他の人も宇宙人を信じるようになって欲しかっただけだ」という思い入れも、このゴム人形では他の人々に通じませんので、修復を重ねて、さらなる高みを目指してもらいたいと思います。

そうすれば、どこかから自然とその姿が出てくるようになるかもしれません。


イギリスの墓地の木の中に現れた修復されたキリスト様のように。