2013年07月03日



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南極大陸で史上最大規模の洪水が発生していたことが確認される : 60億トンの氷底湖の水が海へと流れ込んだ計算に





▲ 2012年1月に南極で発見された約30キロメートルに渡って生じている亀裂。過去記事「南極で 30キロメートルの長さに渡って出現した「巨大な亀裂」」より。
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穏やかな気候の日々だったのですけれど

いきなり余談で申し訳ないですが、最近、ロシアやアメリカの熱波などを取り上げることが多かったのですが、「灯台もと暗し」でありました。

さきほど週間天気を見てみましたら、私の住む地域の気温の予想が下のようなことに。

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「な・・・・・・・」と、思わず絶句に近い声が出ます。


赤で囲んだ日の予想最高気温が 37度!


「37度?」


私の表情は NHK 天気予報「熱中症予防情報」の「厳重注意」の顔になっていきました。

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子どもの誕生が 7日 7日なので、いろいろと呑気な予定を立てたりしていたのですが、本当に上のような気温になるとすると、外出自体が命がけになる可能性もあります。

それにしても何だか非常に唐突感のある気温ではあります。

関東というか、少なくとも私のいるあたりはわりとずっと過ごしやすい気温が続いているのです。暑さに弱い私が今年はまだ「暑い」と感じた日がほぼない感じで、朝方などは寒く感じる日さえありました。


気象庁のサイトを見てみますと、あー出てます、出てます。高温に関する異常天候早期警戒情報(関東甲信地方)というものが出ています。

souki-77.jpg



まあ、「30パーセントの確率」とあるのが救いでしょうか。

こういうのは、先日の記事などに書きましたジェット気流の「乱れ」が唐突に発生すると、予測が大きく外れる可能性もあります。頑張ってほしいですね(何に対して言ってる)。

私は本当に暑さに弱いです。




その後のアメリカ

ちなみに、アメリカの中央部から西海岸にかけては相変わらず猛暑のようです。

下の図はアメリカ国立気象局による今日 7月 3日の気温予測です。縮小したため文字が見えにくいですが、気温を摂氏に換算して、いくつかの場所の気温を記してみました。

赤の地域は、 38度以上あると考えていいと思います。

us-temp-2013-07-03.jpg

最も暑い場所はネバダ州の南部のあたりですかね。47.2度となっています。
サンフランシスコも 42度の予測で、都市部のこの気温はかなり厳しい感じがします。


genju.jpg



でも、過去記事などを思い出してみますと、今は冬に向かっている南半球のオーストラリアの今年の夏もスゴかったんです。

下は、2013年1月1日から1月18日までのオーストラリアの各地域で記録した最も高い気温を示したものです。茶色の場所は少なくとも、その期間に1度以上は「摂氏 45度以上」を記録したということになります。

heatwave_max_temps.jpg


広いオーストラリア全体がこの茶色の地域に覆われていて、かなり激しい夏であったことがわかります。これだけ広い国の中で、夏とはいえ 36度以下の場所(ピンク)がほんの少ししかないというあたりが「逃げ場なし」といった感じであります。


genju.jpg



それでは、身近に迫っている「猛暑」はきっと避けられるだろうという希望を持ちながら本題に入ります。




南極の氷の消失の原因のひとつかもしれない「大洪水」


昨日、「南極で観測史上最大の洪水が確認される」というようなタイトルの報道をいくつか目にしました。

このタイトルだけを見た時にはあまり意味がわからなかったわけです。

「氷だらけの南極でなぜ洪水が?」

と思ったからなんですが、記事を読みますと、南極大陸の持つ特性のいくつかを知る必要がありました。

まず「氷底湖」という存在。

これの一般的な意味については Wikipedia の「氷河の下、氷冠か氷床の下にある湖」ということで、つまり氷の大地の下にある湖ということなんですが、南極に限ると下のようになります。


氷底湖 - 南極

2009年、124の氷底湖をのせた地図が出版された。124のうちほとんどはNASAの人工衛星、ICESatによって新しく発見されたものである。内陸の湖は安定している傾向がある一方で、海岸近くの湖の多くはかなり変わる。いくつかの湖は何百キロメートルもの長さの運河のような構造で繋がっている。



というもので、今回の南極での洪水というのは、この「氷底湖が隆起したことによる洪水」というようなことらしいです。

起きた場所は南極大陸の下のあたりです。

ant-floods-01.jpg


メカニズムはともかく、このことによって起きた洪水での水量というのが、記事によれば、「ロンドンのテムズ川の水量の2倍と等しいほど」という、ちょっと想像しにくい表現だったので、これを数値にすると 60億トンということで、こちらだと、さらにどのくらいの量なのかよくわからないですが、とにかくものすごい量の洪水が起きていたということのようです。

この洪水が発生したのは最近のことではなく、2007年から2008年にかけて2年間近く起き続けていたようなんですが、どうも、この「氷底湖の洪水」というのは、他にもかなり起きていることだと考えられることのようで、海水面の上昇にも大きく関係しているということらしいです。


そして、私は今回、上の Wikipedia の説明を読んでいて、その中に気になる記述があることに気づきました。下の部分です。


氷底湖 - 特性

地熱による加熱と氷表面における熱損失のバランスが取れているため、氷の下の水は液体の状態を保つ。氷の圧力が水の融点を0°C以下としている。氷底湖の天井はちょうど水の圧力融解点と温度勾配が交わるところと考えられる。



説明そのものはあまりわからないのですが、この冒頭の「地熱による加熱と氷表面における熱損失のバランスが取れているため」という説明部分が気になった次第です。

つまり、そのバランスが崩れた場合はどうなるのだろうと。

現在この「バランス」という概念に関しては、自然において様々に崩れているように思いますし、また、「地熱」というものの変化も過去記事取り上げたことがあります。



そして、その表面の気象に関しても、先日の記事にも載せましたが、2012年に4日間でグリーンランドの氷床が溶けたという出来事がありましたが、原因は「ジェット気流の変化」と判明したようです。こういうグリーンランドのような「唐突な出来事」がとりあえず気象の事実として起きています。



▲ 過去記事「メルトダウンの序章? : 「たった4日間でほぼすべて溶けて消えた」グリーンランドの氷床」より。



そして、グリーンランドとは関係ないですが、そもそも、南極の周辺は昨年から非常に不安定となっていることがあります。




▲ 過去記事「南極で 30キロメートルの長さに渡って出現した「巨大な亀裂」」より。



最近は、「洪水伝説」のようなものを思うことがよくあって、「日々の洪水の夢を包む地球はカオスの真っ直中」という記事に書いたことがあるのですが、洪水の夢ばかりを見ていた時期があって、実際の洪水の頻発の中で今回のようなニュースを見ると、「南極の氷が全部溶けたらどんなことになるのだろう」というようなことを考えることもあります。


ともかく、ここからその記事です。

英国 BBC の報道です。




Antarctic flood produces 'ice crater'
BBC (英国) 2013.07.02

南極の洪水が氷のクレーターを形成した


antarctic-floods-2008.jpg


南極大陸の下で巨大な洪水が発生し、推定で 60億トンに上る量の水が海へと直接排出された証拠を、今、科学者たちは見ている。洪水の原因は、深い場所にある湖が突然そびえ上がり上昇したことによると考えられる。

南極の上に 2.7キロメートルの厚さで広がる氷床の最上部に流れ出る水によって作られたクレーターを観測するために、NASA と ESA の衛星が使われた。

この洪水のピーク時の水量は、ロンドンのテムズ川の通常時の水量の倍はあっただろうと研究者は言う。

洪水が起きた場所は、大陸の東にあるクック氷底湖で、洪水自体は 2007年から 2008年の間の 18ヶ月間に渡って発生していた。

今回の検出は、現在は使われていないいない米国 NASA の地球観測衛星 ICESat-2 と、欧州宇宙機関(ESA)の地球観測衛星クライオサット( Cryosat )によって集められたデータを組み合わせたことによって判明した。



湖の比較

欧州宇宙機関のクライオサットの二重のアンテナ構造は、効果的に斜面をマッピングすることができる。

「このクレーターが大きな特徴なのです」と英国リーズ大学のマルコム・マクミラン( Malcolm McMillan )博士は言う。博士は、今回の調査結果を専門誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ」( Geophysical Research Letters )に執筆した。

「それは約 260キロ平方メートルの面積をカバーしていました。これは英国のエジンバラと同じくらいの面積です。深さは 70メートルくらいです」と、博士は述べた。

「私たちは、観測衛星 ICESat のデータから、南極のその地で大きな標高の変化があったことはわかっていました。しかし、具体的に何が起きたのかまではわからなかったのですが、今回のクライオサットのデータによって、そこで何が起きたのかという真実に私たちは近づくことができたのです」。

クレーターの形状は、その爆発によって流出した水の量とその速度を算出するために役立つ。その推定値は 6.4立方キロメートル。これは、スコットランドの有名なネス湖の量と同じ程度になる。そして、洪水のピーク時には、水は毎秒 160立方メートルの割合で、クック氷底湖から流れて出ていったと考えられる。



質量損失

南極大陸に格納されていた 60億トンの水は非常な短期間で海に流れ出ていき、失なわれてことになる。

現時点で、南極は年間に 500億トンから 1000億トンの割合でその質量を失い続けている。これは、海水面の上昇の要因ともなっている。今回の研究では、南極でのこの無視できない量の質量損失の原因がクック氷底湖に見られるような洪水によるものである可能性を示唆している。

英国リーズ大学のアンディ・シェファード( Andy Shepherd )教授は、「南極に 400近くの氷底湖があるとすると、それらほんの一握りが毎年いくらかの質量を排出しています。これはもっと考える必要のある事柄かもしれません」と述べた。




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