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2013年07月11日
太陽系もまた彗星のように生命を運搬する役割なのかも
私たちの天の川銀河の中での太陽系(あるいは太陽圏)の位置というのは、銀河を上から見たような形でいえば、下のあたりにあるとされています。
▲ 名古屋市科学館サイト「銀河系と天の川」より。
太陽系が移動しているということもまた、何となくですが知ってはいることで、その速度に関しては、 2012年 5月のナショナルジオグラフィックのニュースによりますと、時速 8万 3700キロということになるそうで、かなりの高速で移動しているようです。
時速 8万 3700キロとサラリと書きましたけれど、これがどのくらいの速さかというと、たとえば、地球の直径は下の通り、1万 2700キロ程度。
地球の直径の2倍以上の距離の時速で移動しているのです。
それでも、何となく私たちの頭の中にある太陽系の移動のイメージは下のような感じで「円のままスーッと動いている」ような状態を想定しているような感じは、少なくとも私にはあります。
しかし、実際には太陽は下のように移動していたのでした。
NASA には太陽圏を観測する星間探査衛星 IBEX というものがあり、星間境界、つまり太陽系の中と外の状態などを観測するために打ち上げられた衛星なのですが、その観測のデータ解析により上のことが明らかになりました。
7月12日に NASA はニュースリリースと同時に、イメージ動画も YouTube に発表しています。下は、その中からの抜粋です。実際には音楽が入っているわけではありません(苦笑)。
太陽系の尾
▲ NASA がリリースしたオリジナル動画はこちらにあります。
太陽系がこういう「尾」を持って高速で移動しているという状態を見ると「太陽系自身もまた彗星の役割を持つものなのかもしれない」ということを考えさせてくれます。
「彗星の役割」はパンスペルミア説では宇宙での生命の運搬です。
そして、役割と同時に、宇宙の遠くの他の地点から見れば、太陽系というのは案外、下のようなものに見えているのかもしれないなあと思ったりもいたします。
太陽系が彗星なら、太陽系と共に移動する私たち人類にも「太陽系と同じ意味」があるのかもしれないと思ってみたり
そして、パンスペルミア説で言われるように「彗星が生命を宇宙にもたらしている」とすれば、太陽系も、そして太陽系の中にいる私たち人類もその太陽系という巨大な彗星の中の生命の一員であることは間違いないわけで、あるいは、生命に溢れたこの地球も、太陽系と共に銀河全体に生命を運搬し続けているものなのかもしれないとも思います。
最近の私は、
「どうして自分はこの世にいるのだろう」
ということを考えることが多いですけれど、自分には宇宙の中の生命の運搬役の末端としての役割もあるのかもしれないと思うと、そこにかろうじて「存在の理由」も何となく見いだせるのかもしれないと思ったり。
何しろ、私たちは太陽系と共に、1時間で8万キロメートルも宇宙の中を動き続けているわけですから。
全部その中でやっている。
ご飯を食べたり、恋をしたり、戦争したり、すべてその中でおこなわれています。時速8万キロの移動の中で。
まあ、そんなわけで、今回は、この「太陽系の尾」が観測されたことについて NASA のニュースリリースからご紹介したいと思います。
ところで、太陽の話題のついでに、小さな余談を。
これも例の太陽に向かう天使?
今年2月に、
・太陽の天使の再来
2013年02月21日
という記事を記したことがあります。
これは 2013年 2月 20日と、昨年の 2012年 10月 15日に太陽観測衛星に、「天使のような形」の同じようなものが写っていたというものでした。それが光などの何らかの現象なのか、あるいは何かの物体なのかはわからないですが、写っていたことは確かでした。
そして、3日ほど前の 7月11日に、また「少し似たようなもの」が、やはり太陽観測衛星 SOHO の画像に写っていました。
上の丸の部分で、拡大しますと、下のような感じです。
写真のリンクは SOHO のこちらとなります。
このことは、まあ一応続けて今までご紹介していることですので、簡単にふれておきました。
では、ここから「太陽系の尾」に関しての NASA のニュースリリースです。
NASA’s IBEX Provides First View Of the Solar System’s Tail
NASA 2013.07.10
NASAの星間観測衛星 IBEX は「太陽系の尾」の最初の観測を提供する
長い間、私たちの太陽系は、彗星のような尾を持っているだろうと仮定されてきた。
それは、たとえば、地球の大気を通過する流星や彗星が尾を持っているように、別の媒体を介して移動する物体がその後部から粒子による流れを発生させるように、太陽系も彗星のような尾を持つのではないかという仮定があったのだ。
しかし、私たちの太陽系を包む泡である太陽圏と呼ばれる領域はこれまで観測されたことはなく、その尾も観測されていなかったが、太陽系と星間宇宙との境界付近の全領域を観測するために打ち上げられた NASA の星間境界探査衛星 IBEX が、以前は可能ではなかった「太陽圏の尾」のマッピングのデータを提供したのだ。
科学者たちは The Astrophysical Journal (天体物理学ジャーナル)で、2013年7月10日にその論文を発表した。その中で、この尾について説明されている。
科学者たちは、 IBEX によって観測された3年間の観測画像データを組み合わせ、高速と低速移動する粒子の組み合わせを示すことにより尾をマッピングした。
「中性原子を調べることにより、 IBEX はヘリオテイル( 太陽圏の尾)の最初の観察を行ったのです」と、 IBEX プロジェクトのディヴィッド・マッコマス主任研究員( David McComas )は述べる。
「これまで、太陽圏が尾を持つという可能性は示唆されてきました。しかし、私たちには観測することができなかったのです」。
今回、太陽圏の境界での衝突によって作成された中性粒子を測定することにより、このような領域をマッピングすることができたという。
このテクノロジーは、高エネルギー中性原子イメージング( energetic neutral atom imaging )と呼ばれ、中性原子の動きは太陽磁場の影響を受けないという事実に基づいている技術だ。その結果、中性粒子がどこから来たのか観察することができる。
中性原子を使って、IBEXは地球の軌道から遠くの構造を観察することができる。 IBEX は全天をスキャンするので、太陽圏の持つ尾は、天の川銀河での私たちの位置を理解するために重要なもので、これはそのための最初のデータとなる。
NASA のエリック・クリスチャン( Eric Christian )氏は以下のように述べた。
「この尾は、天の川銀河の中を私たちが辿ってきた足跡です。私たちがその構造の一端を理解し始めたことは大変にエキサイティングなことだとです。次のステップは、私たちの宇宙モデルにこれらの観測を取り入れ、私たちが本当の太陽圏を理解するプロセスを開始することです」。