2013年07月25日



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「現代の社会で海水面が 20メートル上昇したら」: 過去の南極の氷床は繰り返し溶解し、海水面の上昇を起こしていたことが判明



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様々な洪水の原因の中のひとつにある「海水面の上昇」


最近は、洪水の報道をご紹介することが多かったのですが、ここ数日では、日本の東京、韓国のソウル、北朝鮮のピョンヤンと、立て続けに東アジアの首都が「記録的な短時間豪雨」で一瞬にして一時的な洪水に見舞われています。

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▲ 7月15日頃の北朝鮮の中部の様子。imbc より。北朝鮮の多くの地域で7月に入って以来、雨が降り止まない場所が多いのだそうです。



これらのことは、地球の記録の、

東京 - ソウル - 平壌 : 東アジアの各首都が豪雨のターゲットになっている 2013年の夏
 2013年07月24日

などで記事にさせていただいています。


それにしても、今年の「洪水の被害」は、経済的な数字から見ても過去最悪のクラスのものであるらしいことが、 2013年上半期での世界での保険金支払いについて記されていた米国のディスカバリー・ニュースを見て知りました。

Floods Top 2013 World Disaster Bill So Far
 

その内容を簡単に書くと、

・欧州、アジア、カナダ、オーストラリアの洪水での損失は自然災害全体の 47%を占めた。
・5月と6月のドイツの洪水では 160億ドル( 1兆 6000億円)の損害があった。
・ドイツと欧州の洪水被害(金額的損失)は 1980年から 2倍に増加。


というような感じです。

その一方で意外な感じがしたのは下の点です。

・地震や竜巻を含めた自然災害の保険額の損失は平均を下回っている。
・米国の竜巻は平均よりかなり少ない(年前半の平均発生数が 1075に対し、今年前半の発生数は 625)。


ということです。

ただ、米国の竜巻の数は減っているのかもしれないですが、ひとつひとつの規模と被害の程度の激しさは、大きくなっているような気がします。

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▲ 5月26日に、米国ネブラスカ州カスターという町で撮影された竜巻と落雷が一緒になった写真。ここまでくると、恐ろしさを越えて、美しくさえ感じます。Capturing Adventure より。




記録的豪雨の中で進む史上最悪の関東の水不足

ところで、一昨日(7月23日)に、関東各地で「局地的な記録的豪雨」がありました。雨の被害の状況なども知りたく、6時くらいからの NHK の首都圏のニュースをつけていたのですが、ちょっと苦笑してしまったことがありました。

その日の夕方はずっと画面の左に「大雨情報」のテロップが出て、画面上部には「どこそこで浸水」とか、「何々川の水位が警戒レベルを突破」とか次々と流れるのですけれど、そんな「大雨に関するニュース」の文字に囲まれる画面の中で始まったのが下の報道でした。

water-10.jpg

利根川水系 あすから10%の取水制限


そうなんですよ。

実は、関東地方はずっと渇水状態が続いていて、ついに取水制限が始まったのです。今後もしばらくまとまった雨が降る可能性もないようで、気象のサイトでも「台風だけが頼り」というようなニュアンスのことが書かれていました。

場合によっては、関東(一都五県)は過去最悪レベルの水不足に陥る可能性もあります。

私の住んでいるところは完全にその中に入っております。

最近の関東では、毎日のように局地的な短時間豪雨が降り、そのたびに雨の被害が出ますが、こういうものはまったく水不足の解消には関係ないそうです。「大雨警報のテロップに囲まれながら深刻な水不足のニュースを見る」というのは、どうにも見事に均衡を欠いている現実を思わせます。


というわけで、ここから本題です。





南極が気候変動に「反応」するのはいつなのか


南極大陸周辺の環境の一種の「崩壊」に関しては昨年来取り上げていて、最近では、

崩壊し続ける南極大陸 : 東京23区のサイズ以上の面積の氷山が南極の氷河から分離して漂流中
 2013年07月17日

という記事でふれたことがありますが、その他にちょうど1年ほど前の記事の、

メルトダウンの序章? : たった4日間でほぼすべて溶けて消えたグリーンランドの氷床
 2012年07月26日




というような出来事もあり、最近は「極地周辺の氷が大規模に崩壊したり、溶けたりしている」という事実はあるようです。


そんな中で、最近の学術論文の紹介記事で、「過去、南極大陸の氷床は繰り返し大規模に溶け、海水面を10〜20メートル押し上げていた」という内容のものを見つけましたので、ご紹介したいと思います。

記事の中では、「今世紀の終わりまでにはまた起きる」というような書き方がされていますが、上のグリーンランドの例をみても、溶ける時には一瞬だと思います


ところで、これは単なる興味の範疇の話となりますが、「日本で海水面が20メートル上昇したらどうなるか?」ということについて、やや興味があります。これは、海外の Flood Maps というサイトで調べることができます。

そこでシミュレーションをしてみましたら、海水面が20メートル上昇した場合、日本の都市部などの沿岸は次のような感じとなるようです。

青いところは水没する場所です。


東京湾周辺

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大阪湾周辺

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北海道内陸部

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東京、大阪共になかなか厳しい状態となりそうです。

ところで、なぜ、北海道のシミュレーションを載せたかというと、真ん中のほうに「岩見沢」という地名が見えると思いますが、ここは私が生まれたところで、今でも家族全部と、父方、母方のほとんどの親戚が住んでいます。

ここは海から数十キロ離れた場所なんですが、それでも「見事に水没する」のです(笑)。

北海道の海岸線は 20メートルの海水面上昇でもほとんど水没しないのに、遠く離れた札幌や岩見沢が水没するわけなんです。海水面が上昇した場合、実家は海の中ということになりそうで、未来の帰省は下のようになるのかも。

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ちなみに、この岩見沢のあたりは「空地平野」という平らな土地で、一節では「古代火山の破局噴火のカルデラの残骸」という話もあるということを聞いたことがあります。

まあ、いずれにいたしましても、海水面の上昇が私たちの生きている時代に来るのかどうかはわからないですが、しかし、今回のインペリアル・カレッジ・ロンドンの調査では、「そう遠くない未来に壊滅的な海面上昇がやって来る」ということは間違いないようです。

それでは、ここからその記事です。




Antarctica Reveals Ancient Sea Level Rise of up to 20 Meters
Daily Galaxy 2013.07.22

南極の氷の溶解で古代に 20メートルまでの海面上昇があったことが明らかに


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鮮新世の時代(約 500万年前から約 258万年前まで)は現在より気温が2度から3度高かった。そして、二酸化炭素濃度も現在と似ていたと、インペリアル・カレッジ・ロンドンのティナ・ヴァン・デフリアート博士( Dr Tina Van De Flierdt )は述べている。

「私たちの研究は、この時代の自然状況が大規模な氷の損失を招き、その結果として、著しい海水面の上昇が過去にあったことを強調しています。科学者たちは、今世紀の終わりまでに地球の気温が当時と同じようなレベルにまで上昇すると予測しており、その結果としてどのようなことが起きるのかを理解することが大変に重要です」と博士は言う。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、古代に溶けた南極大陸東部の氷床の泥のサンプルを研究した。その結果、研究チームは、 300万年前から 500万年前前の鮮新世に、南極の氷床の「溶解」が繰り返し発生していたことを発見した。

それは海水面レベルの大幅な上昇をもたらした。南極大陸の西部では約 10メートルの海水面の上昇があり、グリーンランドでは、海水面が 20メートル上昇したことがわかった。

鮮新世の氷河の溶解を理解することは、現在の私たちの地球の気温の上昇の結果に対しての洞察を与える可能性がある。なぜなら、鮮新世は、現代の地球と同じレベルの二酸化炭素濃度を持っていたからだ。

南極大陸東部の氷床は、地球上でほぼ最大の氷の塊で、その面積はオーストラリア程度の大きさがある。氷床のサイズは 34万年前以来変動しているが、科学者たちは、約 14年前に現在のサイズの氷床として安定したことを想定している。

現在の研究では、氷床の堆積物中の泥の化学物質の含有量を分析することによって、この期間中に溶けていたことを判断することができる。これらの堆積物は南極沖の海面下3キロの深さから掘削された。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの気候変動に関するグラハム研究所のカーリス・クック( Carys Cook )博士は、「私たちの現在の研究は、これまでの考えより、南極大陸東部の氷床は気候変動にとても敏感だということを示しています。今回の発見は、今後の地球の環境変動に私たちが対処しない場合、何が起きるかということを示唆する上で、非常に重要なものです」。


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