2013年09月05日



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「銀河からの宇宙線が直接地球の天候を変化させている」 : デンマーク工科大学での実験で確定しつつある宇宙線と雲の関係



sun-cosmicray-earth.png

▲ 太陽活動の地球への宇宙線の量への影響について描いた図。Unexpected Cosmic Ray Magic Found In Cloud Formation より。
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現在の異常な気象と密接に関係する「雲」が宇宙からのコントロールで作られている可能性がさらに高まる


今回の記事は、2年前の以下の記事の続きとなるものです。

宇宙線が雲を生成に関係していることを証明しようとするデンマークでの実験
 2011年05月14日

その記事の翻訳部分から抜粋しますと、下のような記事でした。


宇宙線が雲を生成している証拠が発見される

宇宙線が水の雫を形成するために大気中でどのように刺激を与えていたかということについて、デンマークの物理学者たちが霧箱へ粒子線を発射する実験によりひとつの示唆を示した。

この実験により、太陽が宇宙線の流れに干渉することによって、地球の表面に届く宇宙線の強弱を太陽が変えており、それによって地球の天候が変化していることが証明されたと研究者たちは述べている。

今回、デンマーク国立宇宙研究所の研究員ヘンリク・スヴェンスマルク氏は、太陽活動と宇宙線の流れには関係があるとする仮説を発表した。



というものでした。

そして今回、実験がさらに進んで、「宇宙線が雲の生成を助けている」という実験結果について、上と同じヘンリク・スヴェンスマルクという科学者がほぼ確実という形で語ったものです。

この「宇宙線が雲の形成に関係している」という説に関しては、 欧州原子核研究機構( CERN )の CLOUD 実験というものでもおこなっていて、そのことも「宇宙線が雲を作るメカニズム」の一部を欧州原子核研究機構 CERN が解明という記事で取り上げたことがあります。


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▲ 欧州原子核研究機構の CLOUD は、非常に大がかりな実験。これは装置の内部。 Live Science より。



この「宇宙線が雲を形成している」という理論がなぜ魅力的なのかということに関しては、地球の天候が、宇宙からの直接的なコントロール下にあるということのひとつの証となる可能性があるからです。

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▲ ゲリラ豪雨。2012年9月1日の東京を襲うゲリラ豪雨より。このようなものを含む、あらゆる雲の生成に宇宙線が関与している可能性が以前よりさらに高くなっています。





地球の天候が変化しているということは「宇宙からの作用も変化した」といえるのではないかと


最近は、世界や日本の気候や天候に関しての記事が多いですが、特に多く取り上げているのは「豪雨」や「洪水」、あるいは逆の「干ばつ」などですが、どれもが雨と関係していることで、そして、雨を作り出すのは雲です。


その雲がどうして作られるのか。


これが気象に関しての現在までの最大の謎でした。

その中のひとつの仮説である「宇宙線が雲を作っている」という理論は、スベンスマルク効果と呼ばれていて、今回の記事にも出てくるヘンリク・スベンスマルク博士の名前に由来するものです。

そして、宇宙空間から飛来する宇宙線が地球の雲の形成を誘起しているという説に対しての懐疑的意見も非常に多いです。

「宇宙線が地球に何か作用している」という説を嫌う人は案外多くいるようにも感じます。宇宙線に地球に作用をおよぼすようなエネルギーはないということなのかもしれません。


しかし、私はほぼ真逆の考えを持っていて、地球、あるいは人間の心身の状態に至るまで、私たちの生活のかなり多くの部分が宇宙線の作用を受けていると考えています。「何もかも通り抜けていく高エネルギー粒子」というのは宇宙線くらいしか存在しないわけで、私の主張というよりは「想い」のひとつでありますけれど、宇宙線はまさに偉大であり、過去記事の、

2012年8月は人類による宇宙線の発見から100年目
 2012年08月04日

で抜粋しました、東京大学にある宇宙線研究所サイトの「宇宙線について」というページにかつてあった下の記述そのものに思うのです。


宇宙線を調べると何が分かるのか

宇宙線を調べるのは、そこに物質に働く力の根源や宇宙の成り立ちについての情報がたくさん隠されているからです。前文部大臣の有馬朗人先生は、当研究所の神岡グループに次の言葉を贈ってくださいました。

「宇宙線は天啓である」

この言葉が宇宙線の本質を示しています。宇宙線とはまさに天からの啓示であり、そこには物質の根源のミクロの問題から宇宙のマクロの問題までの情報が詰まっているのです。



専門の研究者をして「宇宙線とはまさに天からの啓示であり」と言わせしめるほど科学者たちを惹きつける存在ではあるのだと思います。

ちなみに、上の記述は現在の東大宇宙線研究所のページには見当たりません。


ところで、今回の記事には、宇宙線の発生源について、「恒星の爆発で誕生してやってきた宇宙線」というような記述がありますが、実際には宇宙線がどこからやってきているのか、その全貌はほとんどわかっていないはずです。

宇宙からやって来るものは放射線などを含めて発生源がわかっていないものが多いです。

たとえば、宇宙の現象で知られている中で最も光度の明るい「ガンマ線バースト」という現象がありますが、それなども、観測と調査が進めば進むほど、発生源として不明な部分が増えてきたというようなこともありました。

下の図は、過去記事「ガンマ線バーストの発生源の3分の1は完全に不明」に載せた NASA が 2011年に発表したグラフです。

fermi-g3.jpg


宇宙線にしても、どこから発生しているのか・・・というより、あるいは「どこからでも発生しているかもしれない」という考え方もあります。何しろ太陽からも、あるいは地球の内部からも宇宙線(ニュートリノなど)が放出されているわけですから。

というわけで、今回の翻訳記事をご紹介します。




"Milky Way's Cosmic Rays Have Direct Impact on Earth's Weather & Climate"
Daily Galaxy 2013.09.04


「天の川の宇宙線は、地球の天気と気候に直接影響を与える」


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デンマーク工科大学のヘンリク・スヴェンスマルク( Henrik Svensmark )教授は、長年の実験から魅力的な新しい説を発表した。

それは、私たちの天の川銀河からやって来る宇宙線が、直接、地球の天気や気候に関与していることを示すという理論だ。

スヴェンスマルク教授はこのように言う。


「電離放射線が、雲の生成に関係する小さな分子クラスター(複数の分子が集合した状態のこと)を形成するための補助となっていることが私たちの実験によって示されました」。

「この説に対して批判的な意見としては、分子クラスターは雲の生成に影響を与えるために十分な大きさにまで成長しないという主張がありました。しかし、私たちが現在おこなっている研究である SKY2 実験では、そのひとつの部分を形成したわけで、彼らの主張とは矛盾するのです」。

「私たちは地球の大気上で起こる予期しなかった化学的事象の詳細についての結論を出したいと思います。それは、恒星の爆発から生じて地球まで遠い旅をしてきた宇宙線の最期についてです」。


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▲ 提供:デンマーク工科大学。


この理論によれば、大気中の分子の小さなクラスターは、低高度の雲を作るために集まる雲凝結核(くもぎょうけつかく)として機能するために十分な大きさに成長するという。

この SKY2 実験によれば、クラスターの成長は非常に活発で、大気中の宇宙線におけるガンマ線である電離線を提供する。そして、これが宇宙線による化学の魔法として機能するというわけだ。

デンマークの物理学者たちは、さかのぼること 1996年に、宇宙からの高エネルギー粒子である宇宙線が雲の生成に重要な関与をしていることを示唆していた。

それ以来、コペンハーゲンをはじめとして様々な場所でおこなわれた実験は、宇宙線が実際に小さなクラスターを生成することが実証された。しかし「宇宙線が雲を生成している」というこの仮説は化学理論の数値シミュレーションからは成立しないものだと指摘され続けていた。

しかし、幸運にもこの「宇宙線が雲を生成している」という化学理論は SKY2 実験のような実験において何度も試されることになった。しかし、一連の実験では、新しいクラスターが雲の生成のために有力であるほど十分に成長させることについては失敗するというシミュレーションでの予測通りの結果となってしまった。

ところが、電離線を用いた他の一連の実験では非常に異なる結果が得られ、クラスターが雲の生成に重要な関与を示していることが確認された。

私たちの頭上の空気中で起こっている反応はごく普通の分子を含む。そして、たとえば、太陽からの紫外線は、硫酸を作るオゾンと水蒸気と反応して二酸化硫黄をつくる。

雲の形成に関係するクラスターは、主に硫酸および水の分子で構成され、それらは他の分子を用いて成長する。

大気化学者は、クラスターがその日の結合量の上限に達したときには成長を停止することを想定しており、その一部は天候に関連するほど十分な大きさに成長する可能性がある。

現在のところ、SKY2 実験では、イオン化した内部の空気を保つ自然の宇宙線やガンマ線ではそのような成長の停止は発生してしない。この結果は、クラスターが成長を維持するためには、成長維持のために必要な分子を供給する別の化学プロセスが存在していることを示唆している。


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