2013年09月06日



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「太陽系で最大の火山」が太平洋で発見される




太陽系で最大の火山が日本のお隣に


昨日、米国のヒューストン大学のニュースリリースで、下のような記事を見かけました。

big-vol-01.png

ヒューストン大学のウェブサイト より。

読みますと、地球最大どころか、「太陽系で最大の火山が発見された」ということなんですね。






 

これまで太陽系で発見された中で最大の火山は、火星にある「オリンポス山」というものだとされています。まあ、もちろん未発見のもののほうがはるかに多いはずですけれど、現時点まで確認された火山で、ということになると、その火星の火山が太陽系で最も巨大な火山だったのですが、それより大きなものが見つかったと。

sp6.jpg

▲ これまで太陽系で最大の火山とされていた火星のオリンポス山。山体はエベレストの3倍程度の約27,000メートル。裾野の直径は550キロメートル以上とのことです。


そして、特筆すべきというのか、今回見つかった超巨大火山は場所が日本と比較的近いのです。太平洋にあるシャツキー海台という場所の一部だということで、大ざっぱにいえば、日本とハワイの間あたりのやや日本寄りにあるものだと思います。

シャツキー海台というのは下のあたりにあるもので、これも巨大の超巨大火山の名残といわれているものです。

shatky1.jpg

Science Portal より。


まあ、そんなわけで、「なんかすごいのが見つかったなあ、日本の近くで」と思って、翻訳して終えようとしていた時・・・ふと、Yahoo! のトップニュース見てみましたら、なんとすでにちゃんとした日本語の報道となっていたんですね。

読内容的にはヒューストン大学のニュースリリースとほぼ同じでしたので、それなら私の素人翻訳よりも、報道のリンクを提示したほうがいいかなと思いまして、 AFP の記事を少し短く概要化してご紹介します。




大体の大きさの比較

ところで、この新しく見つかった火山は「タム」と名付けられたのですけれど、その火山の面積は「約31万平方キロメートル」とのこと。でも、数字ではまったくその規模がわかりません。

記事では「英国とアイルランドを合わせた面積に相当する」とあるのですけれど、これでも今ひとつわからないですので、「もう少し丸い国土の国」で探してみますと、ドイツの面積が、

german-357.png

ということで、わりと近いかと思いまして、この「タム」という火山はドイツを丸で囲んだくらいの面積になるのかなと、地図に赤丸で囲んでみました。

german-men.jpg


これはデカイ


噴火したのは1億年以上前と見られるということなんですけれど、こんなのが噴火した時はそれはもう地球全体がムチャクチャになったことでしょうね。


高さとかを含めた比較としては、富士山から火星のオリンポス山まで比較してみます。

まず、富士山とエベレスト山(チョモランマ)の比較。

fujitakasa.jpg

akusyu.shizuoka-c.ed.jp より。


そして、エベレスト山と、火星のオリンポス山の比較。

oly-eve.jpg

Daily Galaxy より。


これらよりさらに大きな火山だということになるようです。

というわけで、AFP の記事より。






太平洋海底に超巨大火山を発見、太陽系で最大級
AFP 2013.09.06

地球上で最大で、太陽系で最大の火山にも匹敵する超巨大火山を発見したとの論文が英科学誌ネイチャージオサイエンスで発表された。

論文によると、タム山塊と呼ばれるこの火山は、太平洋の海底にある台地、シャツキー海台の一部で、日本の東方約 1600キロに位置している。タム山塊は、約 1億 4400万年前の噴火で吹き出した溶岩が盾状に固まった単一の巨大な丸いドームから成っている。

面積は約 31万平方キロで、英国とアイルランドを合わせた面積に相当する。海底から頂上までの高さは約 3500メートルに達する。

研究チームは論文の中で「タム山塊は、世界で知られている中で最大の単一の中央火山だ」と報告している。

面積では「太陽系内で最大の火山とみなされている火星のオリンポス山とほぼ同じ」だが「オリンポス山は標高が 2万メートル以上なので巨人のように見えるが、体積は(タム山塊と比べ)約 25%大きいだけだ」という。

海洋測量士らはこれまで、タム山塊を複数の火山から成る広大な火山系だと考えていた。この種の火山系は、世界中に十数個ほど存在する。

研究チームは、海底掘削プロジェクトで採取されたデータと、深部地震探査装置で得られた海底地図を組み合わせ、タム山塊の全体像の解明を試みた。

その結果、タム山塊が超巨大な単一の火山であることが分かり、他の太陽系惑星にある超巨大火山と同類の火山が地球上にも存在することが示唆されたという。

「地球にある超巨大火山は、海の下という良い隠れ場所があるために、理解がほとんど進んでいない」と論文は指摘している。 AFP の電子メール取材に応じたセーガー氏は、タム山塊が活火山である可能性は低いとみられると述べた。

「タム山塊は百万〜数百万年という(地質学的にみて)短期間で形成され、それ以来活動を停止していると、われわれは考えている」

また、世界中に十数個ほど存在する広大な海台の中には、モンスター級の巨大火山が他にも潜んでいるかもしれないとセーガー氏は考えている。

「ソロモン諸島の東方、太平洋の赤道近くにある世界最大のオントンジャワ海台は、タムよりずっと大きく、フランスくらいの大きさがある」という。


シヤツキー海台だとか、オントンジャワ海台だとか、耳慣れない名前がたくさんでてくると思いますが、これらは、すべて「地球の7つの超巨大火山」とされているものです。

参考までに、過去記事の「7つの超巨大火山」について載せておきます。





7つの超巨大火山
7つの超巨大火山より。

1.イタリアのセージア渓谷

場所:イタリア・アルプス
最後の大噴火:約2億8000万年前
噴火の規模 :セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍

リンク:内部のねじれた超巨大火山、イタリア(ナショナルジオグラフィック)


2.米国イエローストーン

場所:米国
最後の大噴火:64万年前
噴火の規模 :セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍
噴火によって:噴火山灰は上空約3万メートルにまで達し、噴出物は西部一帯を覆い、南はメキシコ湾にまで達した

リンク:特集 超巨大火山 イエローストーン (ナショナルジオグラフィック)


3.薩摩硫黄島

場所:日本・鹿児島県
最後の大噴火:約7300年前
噴火の規模 :雲仙普賢岳の1回の火砕流噴の数十万倍
噴火によって:到達範囲は、半径100キロにも及び、鹿児島県では、屋久島、種子島、大隅半島では鹿屋市、薩摩半島では鹿児島市くらいまでを瞬時に埋め立て、焼きつくした。

リンク:薩摩硫黄島。巨大噴火に埋もれていた幻の縄文文化


4.インドネシア・トバ火山

場所:インドネシア・スマトラ島
最後の大噴火:約7万4000年前
噴火の規模 :セントヘレンズ山の大噴火のおよそ3000倍
噴火によって:地球の気温が5℃低下したと言われる。当時の人類の大半が死滅したという説もある(トバ・カタストロフ理論)。

リンク:スマトラ:スーパー噴火の現実味


5.ニュージーランド北島のカルデラ群(タウポ)

場所:ニュージーランド・北島
最後の大噴火:西暦150年頃
噴火の規模 :不明
噴火によって:不明

リンク:「スーパーボルケーノ 超巨大噴火の脅威」より抜粋(日経サイエンス)


6.シャツキー海台

場所:日本の太平洋側
最後の大噴火:不明
噴火の規模 :不明
噴火によって:不明

リンク:茨城大学地質情報活用プロジェクトのブログ


7.オントンジャワ海台

場所:ソロモン諸島
最後の大噴火:1億2000万年前という予測
噴火の規模 :不明
噴火によって:不明

リンク:プルームテクトニクス






以上です。


ところで関係ないですけれど、前回、

「銀河からの宇宙線が直接地球の天候を変化させている」 : デンマーク工科大学での実験で確定しつつある宇宙線と雲の関係
 2013年09月05日

という記事で、雲のことについて書いたりしていたのですけけれど、最近、「雲と火山の絡み」でとても気に入った写真を見ました。

下の写真です。

mayon-1.jpg


フィリピンのマヨン山という火山らしいんですけれど、なんかこう、雲が火山とたわむれているみたいな感じで、いろいろな雲が山頂に覆い被さったり周囲をまわったりしているように見える、とてもいい感じの写真だなあと見ていました。

もともとはオカルト系のサイトにあったもので、左上のほうに UFO が飛んでいるらしいんですが、それはどうでもいいです。この写真の非常に大きなサイズのものはこちらにあります。


いずれにしても、今回の「タム」という火山みたいなものが再び活動し始めた場合は、それは「地球は根本的に環境が変わる時」だとは思います。未来的なことはともかく、過去にはあったということは事実のようです。

こんなのが「破局噴火」を起こしたら、日本列島あたりすべて消えちゃうのじゃないでしょうかね。