▲ 2013年 9月 20日の Daily Mail より。
参考用語:クライメイトゲート(気候研究ユニット・メール流出事件)
朝日新聞 2012年8月2日 朝刊 オピニオンより。
2009年、気象研究で有名な英イーストアングリア大学のコンピューターから電子メールなどが盗み出され、わざと気温の低下を隠したかのようなやりとりが暴露された。温暖化に懐疑的な人たちが、ここぞとばかりに批判し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)への信頼性も大きく揺らいだ。英米メディアはウォーターゲート事件をまねて「クライメート(気候)ゲート事件」と呼んだ。
南極の海氷の面積が観測史上で過去最大に
わりと最近の記事で、
・ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性
2013年09月09日
というものを記したことがありましたが、その中に、雪圏の観測とデータの管理を行っているアメリカ雪氷データセンター( NSIDC )というところで発表された下のグラフを載せました。
そのアメリカ雪氷データセンターの最近の新しいデータで、「南極の海氷の面積が観測史上で過去最大になった」ことを示す図が掲載されていました。
下がその図で、日本語はこちらで入れたものです。
▲ アメリカ雪氷データセンター( NSIDC )より。
アメリカ雪氷データセンターのデータから具体的な数値を書きますと、9月14日の時点で、南極の海氷面積は、 1,951万 2,000平方キロメートルとなったとのこと。
これまでの南極の最大の海氷の面積が、昨年 2012年の 1,947万 7,000万平方キロメートルですので、この 9月 14日に昨年の記録を抜いて、観測史上最大の海氷の面積を記録したことになるようです。
南極の海氷面積のデータの集計は 1979年に始められたものですので、34年程度の歴史でしかないのですが、しかし、少なくとも、その中では最大の海氷面積を更新したということになります。
そのようなデータを目にしたからというわけでもないですけれど、過去記事「ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性」において、寒冷化についての記事を掲載していたことをご紹介した英国のデイリーメールが、昨日、ページの一番上に載せました記事を掲載しました。
また、アメリカの FOX ニュースは、同じ日に「クライメート2」(第2のクライメートゲート事件)というタイトルで、下のような記事を掲載し、そこに、各メディアの報道や、関係機関の動きなどをまとめた記事を掲載しています。
▲ FOX ニュース より。
上の FOX ニュースの一番上に「カテゴリー」が出ているのですが、Politics とあります。つまり政治コーナーの記事となっているのです。FOX ニュースには、他に「環境」や、「科学」というカテゴリーもあるのですが、それらではなく、政治の範疇の記事として掲載されていて、このあたりに、この問題の「性質」を感じます。
それにしても、最近の「地球温暖化」問題に関しての怒濤の流れを見ていますと、地球温暖化という説をめぐる周辺に何か異変が起きていることは確かのようで、どうもそこには政治的なバランスも感じたりもするのですが、私は政治のほうには興味はありません。
いずれにしても、たとえば、過去記事もそうですが、最近の南極や北極や、全世界の気温のデータ、あるいは太陽活動の現状などから、(その程度や時間はわからないですが)全体としては寒冷化に向かっているという方向性を示しているという状態は続いていました。
何より、「人的な原因による」という部分に対しては昔から非常に不思議に思っていて、たとえば、地球と海洋の動きと気温の関係、あるいは、太陽や宇宙線を含む「宇宙と気温の関係」などを考えていますと、人為的な原因による地球への「大規模な環境への干渉」を大きく考えることは難しいよなあと今でも思ってはいます。
ところで、最近、「寒冷化」に関してはずいぶん昔から語られていたことを知るいくつかの資料を見ました。
1970年代に米国政府機関が予見していた「小氷河期の到来」
1974年にアメリカ政府は、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の長官を代表とした「気候変動に関しての小委員会」というものを組織して研究を続けていたのですが、その 1974年の時点で、すでに「今後の世界の寒冷化の可能性」についての警告が発せられていました。
その報告書の内容の一部は、当時の科学誌などで発表され、当時の記事の一部は PDF でこちらなどにあります。
下のは 1975年 1月のサイエンス・ニュースという科学雑誌に掲載されたと思しき「 Chilling Possibilities 」(寒冷化の可能性)というタイトルの記事です。イラストが「雪の中に閉ざされた街」となっています。
▲ CHILLING POSSIBILITIES より。
少なくとも 1970年代には、米国なども「寒冷化に向けた政策」をとっていたということがわかる気がします。
あと最近、古本で、土屋巌さんという気象専門の理学博士の方が 1974年に記した『地球は寒くなるか - 小氷期と異常気象』という今から 40年前の本を読んだりしていたのですが、そこにも、興味深い資料が数多くありました。
この『地球は寒くなるか』の内容についてはふれないですが、 Amazon のこちらのリンクに古本のみですが、あります。
この本はそれほど衝撃的なものというわけではないのですが、今ではあまり知ることが難しいような、今から 50年前の日本の気候などが詳しく書かれていて、参考になります。
数十年前からの流れとして「寒冷化への懸念」というものが強くあったようなのですが、その中で降って湧いたような「地球温暖化」という説ですが、今、その地球温暖化説という説そのものが少しずつ消滅しかかっているということなのかもしれません。
ここから、英国デイリーメールの内容をご紹介します。
なお、この記事に出てくる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の新しい報告書」というのは、この夏に、日本などのメディアでも、「温暖化が進んでいる」という表現で多く紹介されていましたので、そのような記事のひとつをご紹介しておきます。
IPCC:温暖化で海面最大81センチ上昇 報告書最新案
毎日新聞 2013.08.22
今世紀末の地球の平均海面水位は、最近20年間と比べて最大81センチ上がり、平均気温は最大4.8度上昇すると予測した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会の第5次報告書案が22日、明らかになった。報告書の改定は6年ぶり。
人間の活動が原因で地球温暖化が起きている可能性は「極めて高い」(95%以上の確率)と踏み込んだ表現となっており、二酸化炭素(CO2)の排出削減が急務であることを示す内容。今後の温暖化対策の基礎資料となる。9月下旬にストックホルムで開かれる世界の科学者と政府関係者らの会合で最終調整した上で確定し、公表される。
デイリーメールの記事は、「この報告書の内容は温暖化を示していない」という主張です。
ここからです。
World's top climate scientists told to 'cover up' the fact that the Earth's temperature hasn't risen for the last 15 years
Daily Mail (英国) 2013.09.20
世界のトップクラスの気象学者たちは、地球の気温が最後の15年間上昇していない事実を「隠蔽」することを促された
▲ リークされた国連の文書によると、ベルギー、ドイツ、ハンガリー、そして、米国の政治家たちが最終草案への懸念を高めていることが示された。写真はニューヨークの国連本部。
気候変動に関する最も権威のある研究に取り組んでいた科学者たちは、世界の気温は過去 15年間にわたり上昇していないという事実を「隠蔽」するよう促されていたことが語られた。
リークされた「気候変動に関する国連の政府間パネル( IPCC )」の報告書によると、ベルギー、ドイツ、ハンガリー、米国の政治家たちから最終案についての懸念が提起されたことが示されている。この報告書は科学者数百人がまとめたものだ。
来週発行される報告書は、1998年が最も暑い年だったという事実に対処することが期待されており、科学者たちは説明に苦慮している。
この報告書は IPCC による6年間の作業の結果として、気候変動と、その要因について書かれたものとしての世界的な権威として見られるはずだ。そして、これは英国の「緑の政策」を含む各国の政府に対しての権威となる。
しかし、昨日から AP 通信上で閲覧することのできるリークされた文書によれば、この数年間の「地球温暖化の不足」に対して政治家たちは深い憂慮を示していることがあきらかにされた。
ドイツでは、わずか 10年や 15年の期間を見て判断するのは「誤解させる」ものだったとして、数十年から数世紀のスパンに焦点を当てるべきだということで、温暖化説の削除に向かっている。
ハンガリーでは、この報告書が、人的な要因による気候変動に否定的な立場の人たちにとって有利な材料になるのではないかと懸念している。
米国の代表団も議論に加わり、低いレベルでの温暖化が海洋によって吸収されることによって、さらに熱を低くしているという、科学者たちによる「仮説」を引用して、温暖化の不足を説明した。
これまでの最後の IPCC の「評価報告書」は 2007年に発行されたが、そこには、「ヒマラヤ山脈は 2035年までに溶けてしまうだろう」というような当惑させるような主張があり、これらを修正しなければならくなった後に、大きな論争の対象となってきた。
その後、 IPCC は「クライメートゲート事件」のスキャンダルにまみれる。しかし、最終的には不正行為が発見されることはなかった。
来週発行される今回の最新の報告書は 2,000ページに及び、ストックホルムにおいて、全世界 195カ国の代表団に提示される。
しかし、この報告書が6月に各国政府に発表されて以来、科学者たちの調査結果をまとめた政策立案者たちから何百もの異議が提出されている。
たとえば、この報告書には、 1998年から 2012年の間の温暖化の率は 1951年からの平均値の半分だったとされている。ここには、エルニーニョ現象やラニーニャ現象などの海洋のサイクルと火山噴火による冷却効果などの自然変動について記されている。
海洋の表面に関しての章を記したドイツの気候科学者、ステファン・ラームストルフ博士は、温暖化の減速への対処について、「公開討論」による圧力を感じ続けていたことを昨日認めた。
この報告は新しい調査ではなく、世界中の科学者によって行われてきたすべての作業の集大成であるため、会議では高度に争われる可能性がある。
また、報告書では、人間による炭素排出が地球温暖化を引き起こしているという説に対して、 2007年には「非常に可能性が高い」という表現だったものが「極めて可能性が高い」という表現に変わっているが、そのようなケースもあるかもしれない。
しかし、科学者たちは、 2000年から 2010年までの 10年間が暑さとしての記録を作ったのに、なぜ、それが 1998年の水準を越えていないのかということに対して説明する必要に迫られている。
IPCCのスポークスマンのジョナサン・リンは昨日、以下のように述べた。「これは数百人の科学者たちの働きによる4年間の集大成です。そして、これは政府が政策立案者のために、これを書いた科学者との対話の中で、明確かつ簡潔に、その概要を保証する機会を得ることになります」。