2013年10月23日



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イスラエル・ガリラヤ湖が震源となる連続した地震の発生で気づいた「地球上の大陸の分断」の始まる地点



g-swarm-2013-02.jpg

▲ どちらもイスラエルのガリラヤ湖で、左が 2013年 4月に報道されたガリラヤ湖の海底で発見された遺跡のような人工物の位置を示した図。右は今回の連続した地震の震源地を示します。


どうも体調が今ひとつで、気象だの太陽だの老化だといろいろな原因があるんでしょうけれど、胃などの不調は明らかに飲み過ぎなのかもしれません。

さてしかし、過去の記事の多くのことと結びつく、ある意味で興味深い報道を今朝見まして、そのことを書きたいと思い、老体に鞭打って(そこまでトシかよ)、書かせていただきます。







 



それはキリスト教発祥の地


最近、地震のことにふれることが多かったのですが、イスラエルでこの1週間のあいだに5回の地震が発生していることが報じられています。

どれもマグニチュード2から4の間の、日本の感覚で考えると小さな地震なのですが、しかし、報道では、イスラエルのネタニヤフ首相が地震対策を議論する特別閣議を招集したり、あるいは、イスラエル民間防衛軍が地震発生時の緊急対策についての会議を開催ということがおこなわれているということで、イスラエル国家としてそこそこに大きな出来事であることが伺えます。

ちなみに、この「イスラエル民間防衛軍」というのはも、その名前の通り、戦争や紛争などに関しての民間に対しての防衛を担当する当局ですが、地震対応の際にも行動する部署だということを今回知りました。

あまり関係ないことですが、このイスラエル民間防衛軍が緊急時に発令する内容は、たとえば、紛争地に行った場合や、旅行先で紛争やロケット攻撃などに巻き込まれた場合、あるいは、日本でそのような事態になった場合などに役立つ知識が多く書かれてありますので、そのような可能性のあると思われる方は読まれておくのもいいかと思います。

イスラエルの日本大使館のサイトには、日本語で掲載されますが、こちらに昨年の11月20日の民間に対しての警報文章があり、


イスラエル民間防衛軍より、お住まいの地域にロケット攻撃がある場合、或いは、サイレンが鳴る場合の対応について、以下の案内が発出されており、御案内いたします。



から始まる、ロケット攻撃時の対処に関しての日本語の文章があります。

今はどこの国でもあっという間に「いろいろなこと」に巻き込まれる可能性はありますし、日本だってこの先どうなるのかわかりませんので、こういうことを知っておくのもいいかもしれません。

しかし、これは余談です。
ここから本題です。






大地溝帯にある唯一の33度線上の地点であるイスラエル周辺


本題のイスラエルの地震に関してなのですが、今回の報道でのポイントは、

・ガリラヤ湖
・大地溝帯


のふたつのように思います。


今年4月の記事で、

イスラエル・ガリラヤ湖の水面下で年代不明の謎の古代構造物が発見される
 2013年04月12日

という記事を載せたことがありました。

今回の記事の最初にその古代建造物の位置と、今回の地震の震源を並べた図を載せましたが、その遺跡の実際の写真も当時多く報道されていました。

下は、CNNの2013年4月23日の「湖底に謎の巨大構造物、数千年前の古代遺跡か イスラエル」という報道にあるその人工物の写真です。

cnn-0423.jpg


また、上の過去記事で、このイスラエルのガリラヤ湖の位置が、「北緯33度線上にある」ということにふれています。

33rd_parallel-galilee.gif


この「北緯33度」という概念が最初に記事の中に出てきたのは、昨年8月の「フリーメイソンと高知に導かれて Google Earth 上で北緯 33度の旅をする」という記事でしたが、その後、何度も何度も出てきています、しかし、これについて書くとまた長くなりますので、今回は過去記事をいくつかリンクしておくだけにしておきます。




さて、33度線のことから1度離れます。

今回ご紹介する報道には、「イスラエルは大地溝帯に位置する」というニュアンスの記述があるのですが、これを見て私は、

「ああ、イスラエルもガリラヤ湖も大地溝帯の始まりの位置にあったんだ!」

という事実を始めて知り、大変に興味深く思い、わかりやすい話になるとは思えないですが、そのことについて少し書かせていただきます。


まず「大地溝帯」というものですが、その場所は下のラインにあります。

Great_Rift_Valley.jpg


これに関して Wikipedia の説明では、


主にアフリカ大陸を南北に縦断する巨大な谷で、プレート境界の一つである。

大地溝帯の谷は、幅35 - 100km、総延長は7,000kmにのぼる。




というもので、総延長は日本列島の長さ(3000キロ程度)など比較にならないほどの距離のある巨大な断層のようなものです。

そして、 Wikipedia には下の記述があります。


今のままで行けば、数十万 - 数百万年後には大地溝帯でアフリカ大陸が分裂すると予想されている。



つまり、この場所でアフリカ大陸は分断されると予測されているのですが、上の記述には


> 数十万 - 数百万年後


という気の長い年月が書かれていますが、「そんなことはないかもしれない」とういう示唆を感じさせる出来事が 2008年にエチオピアの大地溝帯で起きているのです。

これに関しては、3年以上前に英国 BBC の記事をご紹介したものがあります。

bbc-2009.jpg

▲ 過去記事「近いうちにアフリカ大陸が2つに分断されるかもしれないとの研究」より。


上の写真は、2005年にエチオピアの大地溝帯の上にできた巨大な亀裂なのですが、この亀裂が形成された時の状況について、下のように記事にあります。


英国王立協会の研究者ティム・ライト博士は、今起きている出来事を「本当に信じられない」と述べる。

何百万年というような長い単位で地球の変化を理解してきたライト博士を含む研究チームにとって、エチオピアのアファー三角帯での変化の規模とスピードは驚くべきものだった。

そこでは、あっという間に大陸に断裂が走り、大地がこじ開けられたのだ。2005年にはこの地でたった10日間の間に 60キロの長さに渡り、8メートルの幅の断裂が開いた。



この中の下の部分。


> たった10日間の間に 60キロの長さに渡り、8メートルの幅の断裂が開いた。


ここには「数百万年」というような年月は存在しません。

そして、「 パキスタンでのクリスチャン追放活動の渦中で発生した大地震と共に海底から浮上した新たな島」などで取り上げた最近のパキスタンの島。

あの島もたった数時間〜数十時間で海上に浮き上がりました。

pakistan-33.jpg


この島も海上に出ている部分はそれほど巨大ではなくとも、「海底から海の上にまで浮上したすべての質量」はものすごいものがあるはずです。


つまり、もしアフリカ大陸が分断するとしたら、それは数百万年というような歳月の中で起きるのではなく、数日から数週間でアフリカ大陸は分断してしまうと考えた方が現実的ではないのだろうかという話なのですが、今回の話は、さらに、


その分断の起点はイスラエルの場所、つまり、北緯33度上かもしれない


ということに気づいたというようなことかもしれません。


上に載せた大地溝帯の地図に「北緯33度線」を書き加えたものが下の地図です。

33-kiten.jpg


ちなみに、あまり関係のあることではないですが、新しい島ができた地震が起きたパキスタンも首都のイスラマバード近くに33度線が走っています。




なお、33度線といえば、アメリカもその両端で異変が起きています。

33-usa-02.jpg

33度線の西であるロサンゼルスでは、最近、ロサンゼルスタイムスが「大地震」に関しての大特集を組みました。

米国の33度線の東は、ノースカロライナ州というあたりですが、このあたりは、今年、イルカの大量死が続いています。



今後、世界で何が起きるかはわからないにしても、それが地質的な出来事だった場合、地質学者たちの言うような「何万年」というような時間軸が介入する余地はないように感じます。

あっという間に地球は変化してしまう。
そう思います。


ここまで長くなってしまいましたが、ここからイスラエルの地震の報道です。




Fifth quake in six days rattles north
Times of Israel 2013.10.22

イスラエル北部で6日間のあいだに5回の地震が発生


10月22日の午前、ガリラヤ湖エリアは小さな地震で揺さぶられた。この地域では、1週間に満たない間に5回の同じような地震に見舞われている。

今回の地震は、マグニチュード 3.3が計測されたが、損傷や負傷者は報告されていない。

その前の地震は、10月20日の日曜日で、この日に2つの小さな地震が発生した。どちらもマグニチュード 3.6が計測された。さらにその前日10月19日と、10月17日にも同じような場所で地震が起きた。

この際、ガリラヤ湖の北西岸に位置するティベリア市では建物が揺れで被害を受けたが、負傷者は報告されていない。

先週、10月12日にはギリシャのクレタ島の近くの地中海の中央付近を震源とするマグニチュード 6.4の地震が発生し、この時にはアテネの他、震源から離れたエジプトやイスラエルなどでも地震を感じた。

また、9月には、早朝に発生したマグニチュード 3.5の地震により、エルサレムを含めたイスラエル北部の死海エリアで感じられた。

これらの地震に対応して、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は10月21日に、国の地震対策を議論する特別閣議を招集した。その前日には、イスラエル民間防衛軍( Home Front Command )緊急局が、さらに大規模な地震が発生した際の緊急時の対応手順を議論する会議をおこなった。

しかし、イスラエル地球物理研究所( GII )の地震学者ドヴ・ラコフスキー博士は、警報を発するための原因なくして地震は発生するものだとし、また、今回の一連の地震は通常よりやや強いが、この規模の地震はいつでも起きる可能性があると語った。

イスラエル地球物理研究所の統計によると、2013年にイスラエル国内で、揺れを感じる規模の地震が少なくとも7回起きている。

イスラエルは、イスラエルとヨルダンを隔てる境界線の長さに相当するシリア・アフリカ地溝帯に沿う場所に位置している。そして、このシリア・アフリカ大地溝帯は、シリア北部からモザンビークにまで及ぶ「大地溝帯」の一部だ。

なお、イスラエルで発生した最後の大地震は 1927年に起きたマグニチュード 6.2の地震だ。この地震により 500名が死亡し、 700名が負傷した。

1837年の地震は、最大で 5,000人もの人が死亡した。2010年のイスラエルの新聞ハアレツ紙の報告書によると、イスラエルは 80年ほどの間隔で大地震に見舞われているという。

現在、イスラエル国家で進んでいる主要な計画のひとつに、建造物が地震に耐えられるように建物の耐震を向上させるプログラムがある。