2013年11月03日



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オバマ大統領が「気候変動に対しての大統領令」を合衆国に発令する中、英国の科学者が「太陽活動はこの1万年間で最も急速に低下している」と発言




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米当局が気候に対して持っているかもしれない「何らかの予測」

日本時間での昨日、アメリカのホワイトハウスのウェブサイトに「即日発表」としてオバマ大統領の「大統領命令(大統領令)」としての文書が掲示されました。その内容は「気候変動に対して国家の各機関が備えよ」というようなものです。

下はその冒頭と最後です。

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ホワイトハウス 大統領令より。



この「大統領命令」というのはどのようなものかというと、 Wikipedia によりますと、


大統領令

大統領令は、アメリカ合衆国大統領が行政権を行使することにより発令されるアメリカ合衆国の行政命令。大統領命令ともいう。君主国や立憲君主国における勅令に相当する。

大統領令は連邦議会の制定する法律に従い、その法律による大統領への委任を受けて発することもあり、その場合法的強制力が付与される。



ということで、後半のほうの説明はよくわからないのですが、Wikipediaに「勅令に相当する」という記述があります。この「勅令」という言葉は、たとえばかつての日本では「天皇陛下が直接発した命令」のことを言いますので、それなりの権威のある命令というようなことにはなるようです。


それで、このオバマ大統領の「気候変動の衝撃への備え」という大統領令の内容なんですが、「各関係機関は備えるように」と、様々な機関への対応が延々と書かれているだけで、肝心の「気候がどのように変動するのか」ということについては、あまりふれられていないものでした。

しかし、大統領令の冒頭部分には「過度に高い気温」という表現があり、そのあたりから考えると、どうやら、これは「地球温暖化」ということを前提に出された大統領命令のようで、やや香ばしさが漂うものではありそうです。

いずれにしても、すべてを紹介してもあまり意味がないものですので、冒頭部分だけを先にご紹介しておこうと思います。

文中にある「私」というのはオバマ大統領です。



Executive Order -- Preparing the United States for the Impacts of Climate Change
ホワイトハウス 即日発表 (米国) 2013.11.01


大統領令 - 合衆国の気候変動の衝撃に対しての準備

アメリカ合衆国の憲法と法律で定められている大統領としての私に帰属する権威によって、気候への準備力と回復力を高めるために、アメリカ国家の気候変動の衝撃に対して準備を以下のように命じる:

第一項/政策  過度に高い気温、より激しい豪雨等の気候変動の影響は山林火事の増加、激しい干ばつ、あるいは永久凍土の融解、また、海洋の酸性化と海面上昇等と関係し、それらは天然資源、生態系、経済、そして公衆衛生に影響を与えるものであり、すでに現時点で我々は経済と健康問題の課題に直面している。

これらのリスクを管理する連邦、州、民間、人種、地方の、気候への対策と回復力を向上させるための非営利セクターの取り組みを促進するために連邦政府は緊密に計画的、協調的に協力する。

(以下略)





しかし、温暖化でも寒冷期でもどちらにしても、確かに気候変動というか、はっきりいえば、「異常な気象」はすでに連続しているわけで、そして今後の予測でも、特に、アメリカ、および、ヨーロッパなどでは、今回の冬が「極めて厳しいものになる」という見解については多くの専門家の間で一致しています。

これは過去記事の、

この夏すでに聞こえていた小氷河期の足音 : アメリカのこの夏は記録的な「低温」が圧倒していたことが判明
 2013年08月27日

の最初に、 アメリカの「ファーマーズ・アルマナック」という、気象予測の正確さで定評のある気象年鑑での気象予想の発表についてふれましたが、今年のアメリカの冬は北東部を中心に例年以上に厳しい寒さとなるとの予想しています。

“米国の寒波”

▲ 過去記事より。



また、今年のアメリカの夏は「記録的に気温の低い夏だった」ことも上の記事に記しています。

2013年7月24日から8月21日までの間のアメリカでは、

・暑さの記録を更新した観測地点が 667 か所

に対して

・低温の記録を更新した観測地点は 2,899 か所

だったことがわかっています。

そういうこともあり、大統領令では「温暖化」を漂わせているとはいえ、そうではない方向だとしても、いずれにせよ「国家が気候に備える」ということについては必要になってきているということなのかもしれません。


というか・・・アメリカには連邦所属の科学者たちがいるわけで、彼らが「とんでもない気候がやってくることを予想していたりするのでは・・・」というような邪推もしたくなります。

そもそも、温暖化に対応しての大統領令なら冬を迎える今でなくてもいいわけですので。







過去1万年の太陽活動の調査結果により、今後、太陽が極小期に入る確率は低くないと語る英国の科学者

そして、今回のタイトルに記しました「太陽活動がこの1万年で最大の落ち込みを見せている」という件ですが、これは、10月28日の英国 BBC の気象関係の記事にあったもので、話題となっています。

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BBC より。



述べたのは、英国レディング大学の太陽物理学専門家であるマイク・ロックウッド博士という方です。


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▲ 太陽活動と地球の気候の関係についての研究の第一人者のマイク・ロックウッド教授。


今回はその記事を翻訳してご紹介したいと思います。

仮に、オバマ大統領の大統領令が温暖化を示唆したものだとすれば、ロックウッド教授の発言は、その真逆となるものですが、いずれのほうも「通常ではない今後」を示しているものだとは思います。




Real risk of a Maunder minimum 'Little Ice Age' says leading scientist
BBC (英国) 2013.10.28


マウンダー極小期による「小氷期」のリアルなリスク


1600年代に英国と欧州全域を覆った厳しい冬が頻繁に訪れた時期は「小氷期」として知られている。

その厳しい寒さに対して、当時の極めて弱い太陽活動は共に手を結ぶようにリンクしていたが、その弱い太陽活動時期はマウンダー極小期と呼ばれていた。

英国レディング大学の一流科学者は、現在の太陽活動の低下のレートは、この時のマウンダー極小期の際の条件に戻っている危険性があると述べた。
 
マイク・ロックウッド( Mike Lockwood )教授は、これまで、太陽活動と気候パターンの関係を研究し続けてきた。
 
教授によると、 20世紀後半は太陽が異常に活発だった時期で、いわゆる「太陽活動の極大期」は 1985年頃に発生したという。

それ以来、太陽活動は静かになってきている。 

教授は、氷床コアの特定同位体の測定から、太陽のこの数千年間の活動の状況を判明させた。

そのデータの分析があらわすところでは、教授は、現在の太陽活動はこれまでの1万年間のどの時期よりも急速に低下していると考えている。
 
過去1万年の間には、現在と同じように太陽活動が急速に低下した時期が 24回あったが、今回の太陽活動の低下の勢いは過去のそれらよりはるかに急速に低下しているという。

この調査結果に基づき、ロックウッド教授は、今後、マウンダー極小期と同じ状態になるリスクの率を数年前に予測した 10パーセント未満から、「 25から 30パーセントの確率」と予測を引き上げた。

教授は、今後、私たちが気候の変化を目撃していくことになると確信している。そうなった場合、何十年にもわたり寒い冬と寒い夏とが繰り返される。

教授は「それはすでに始まっていると思われます」と述べる。





(訳者注) ここまでですが、どちらの方向性であるにしても、「地球の気候」に対しての緊張は高まっているということはいえそうです。

「準備の時代」というのは実はこれからなのかもしれません。