
▲ スペースウェザーより NASA の動画のスクリーンショット。下にその動画自体もあります。
今回は「アイソン彗星の崩壊」という、ちょっと想像もしていなかった事態が起きたかもしれない可能性について記します。
それと、「崩壊」というキーワードつながりではないですが、先日、アメリカでは年間 90万人が行方不明になっている、つまり、「消滅している」という事実を知り、衝撃を受けまして、その記事も翻訳しておこうと思います。

▲ Clime Library on truTV より。
これは最近のデータではなく、数年前のものですが、いずれにしても、1日に換算すると、「アメリカでは毎日毎日 2300人が消えている」ということです。
とにかく、まずはアイソン彗星の記事からです。
今年最大の天体のイベントになるはずだった彗星へのレクイエム
最近いくつか記しましたアイソン彗星関係の記事、
・彗星も太陽もメチャクチャ : アイソン彗星は突然の爆発を見せ、太陽は1日のうちに黒点数が2倍に増加
2013年11月15日
・アイソン彗星の「爆発」は続く。そして、珍しい現象でもある「水星と彗星のクロス」を目撃することになる2013年の地球の人類
2013年11月16日
などで、非常に活発というか、異常な動きを見せていたアイソン彗星ですが、その激しい動きも関係していたのかもしれないですが、今朝のスペースウェザーの記事によりますと、11月21日から24日頃にかけて「アイソン彗星の核が崩壊してしまった」という可能性が高くなっているようです。
スペインにあるミリ波電波天文学研究所の望遠鏡での観測で、「分子輝線」という、つまり彗星の分子の明るさが急激に減少していることが確認されたのだそう。
その原因はわかっていませんが、もし、彗星の核が崩壊してしまっていたことが事実の場合は、「アイソン彗星は崩壊してしまった」ということになるかと思われます。
これが本当なら・・・世紀の天体ショーとなるはずだったアイソン彗星のイベントが「終わった」ことを意味するものなのかもしれません。
アイソン彗星。
この1年、「月より明るく輝く可能性」を楽しみにしていた世界中の天文家たちは、それこそ星の数ほどのアイソン彗星の写真を撮影し続けてその日を待ち続けていました。
もしかすると、その「世紀の天体イベント」は幕を閉じてしまったのかもしれません。
しかし、もちろん、まだ確定したわけではなく、今でも NASA の観測衛星はアイソン彗星を撮影していますので、他の理由で分子輝度が下がっているのかもしれないです。今の時点では何ともいえないですが、その今朝のスペースウェザーの記事をご紹介しておきます。
IS COMET ISON IN TROUBLE?
Spaceweather 2013.11.27
アイソン彗星にトラブルが発生?
スペインのミリ波電波天文学研究所によって運営されている口径30mの「 IRAM 30m 望遠鏡」による観測により、天文学者たちからアイソン彗星の急激な変化についての報告がなされている。
カリフォルニア工科大学のミカル・ドラハス( Michal Drahus )氏は、以下のように述べる。
「私たちは 11月 21日から 25日の間に、コンスタントで、かつ急速に分子輝線が薄くなっていく様子を観測しました。20倍以上の退色が認められます。これは、彗星の核が最高の状態で活動していることを示唆するかもしれないですし、あるいは・・・すでに存在しないかもしれません」。
しかし、これを聞いてパニックを起こすのはまだ早すぎる。まず、 NASAの太陽観測衛星 STEREO-A 宇宙艇が撮影した下の映像を見てほしい。
この映像は、 IRAM 望遠鏡が分子輝線の退色を観測した 11月 21日から 11月 24日までの3日間の映像だ。
ズームすると、アイソン彗星の尾の下に小さな煙のようなものが渦巻いていることが見てとれるが、彗星自体が崩壊しているようには見えない。しかも、今から数時間前に STEREO-A が撮影した映像にもアイソン彗星の姿が映っている。
NASA のアイソン彗星観測キャンペーン( Comet ISON Observing Campaign )を担当する天文学者のカール・バタマス( Karl Battams )氏は、この分子輝線の退色は、アイソン彗星の核が完全に崩壊したことを示している可能性があるという。それにより核が膨大の塵を排出し、その後に排出量が大幅に減少したことを示唆しているかもしれないという。
核の崩壊、あるいは核の分断という事態がアイソン彗星にとって最も危険な要因だったとバタマス氏は述べる。仮に核の崩壊が発生してしまったとしても、それは驚くことではないと氏は言う。
そして、氏は続ける。
「確かにこれらの報告は新しいもので、間違いなく有効なものです。しかし、私たちはアイソン彗星に何が起きたのかを観測し続けなければなりません」。
「アイソン彗星が発見された時のことを思い出して下さい。遠いオールトの雲からやってきた新しいサングレーズ彗星(太陽に近づく彗星)が突然として現れた時のあの衝撃と感動を思い出して下さい」。
「私たちはこのような彗星を今まで細部まで研究できたことはなかったのです。そして、アイソンは彗星についての予測が難しいこと、そして、私たちは宇宙に対してあまりに多くのことを知らないということを教えてくれたのです」。
いずれにしても、続報を待ちたい。
なんとなく、天文学者カール・バタマス博士の言葉は「レクイエム」のような響きとなっていて、そこにやや寂しさも感じます。
それでも、核の崩壊は確認されているわけではないですし、何より、 NASA の観測衛星にはまだアイソン彗星の姿は捉えられていますので、「奇跡のサバイバル」を期待したいところでもあります。
2011年のエレニン彗星もそうでしたけれど、地球の人々の関心を「異常なほど」集めた彗星はどんどん死んでいく傾向にあるようです。エレニン彗星が消滅した時の記事は、
・消滅したエレニン彗星:そして、彗星の存在の意味
2011年08月31日

▲ エレニン彗星が崩壊・消滅した光景を写した GIF 動画。彗星監視サイト Southern Comets Homepage より。
などにあります。
そして、ここからは唐突ではありますが、上のアイソン彗星の崩壊と同じほどショックを受けたアメリカの行方不明者の記事です。
アメリカでは毎日2300人が「消えて」いる
私が下手な説明をするより、記事そのものを載せたほうがいいと思いますので、始めます。
ところで、この記事は年月日のクレジットが見当たらず、何年に書かれた記事かわからないです。ただ、「 1980年から 25年間で」というような表現が見られるあたりから考えますと、 2005年頃のものである可能性があると思われます。なので、新しい情報データではありません。
しかし、その時ですでに年間 90万人が行方不明になっている。
2013年現在、どのようなことになっているのかはわからないですが、今後、機会があれば調べてみたいとも思います。何しろ、アメリカが本格的に「荒れ始めた」のはその後からのことのように思いますし、増えていることはあっても、減っているようには考えられない感じもします。
それにしても、「簡単にひとりの人間がこの世から消えてしまう」という事実を改めて思います。
America's Missing
Clime Library on truTV
アメリカの行方不明者
アメリカの行方不明者の報告は、この 25年間のあいだに6倍増加している。1980年には約 150,000人だったのが、今年は約 900,000人にのぼる。この増加の理由のひとつには、アメリカの人口増加が関係しているが、しかし、現実には社会から疎外された人々の深刻な問題が存在する。
この、現在のアメリカでの「毎日 2,300人」という驚くべき数の行方不明者には大人も子どもも含まれる。しかし実は、典型的な拉致や誘拐などは、その中のほんのわずかな数でしかないのだ。
連邦政府は 2001年に 840,279人の行方不明者の数を発表した。そして、その中の約 50,000人は 18歳未満の少年少女であった。
アリゾナ州フェニックス市に拠点を持つ「行方不明の成人のためのセンター」( National Center for Missing Adults )では、常に約 48,000人の行方不明者を追跡調査している。
センターの責任者は電話取材で、アメリカの行方不明者たちの社会的傾向を明らかにした。
48,000人の約半分にあたる 25,500人は男性だ。そして、その中の4割が白人で、3割が黒人、2割がラテン系だ。
行方不明の成人では、約6分の1の人たちが精神的な問題を抱えている。若い男性の場合だと薬物やアルコール依存症、また、高齢者では認知症に悩む人々が行方不明者のひとつのグループを形成している。
2001年のアメリカの約 800,000人の行方不明者の中のおよそ半分を占める少年少女の失踪事件には、家出も含まれる。そして約 200,000人は、家庭問題、あるいは親権問題などが関係する「家族によっての拉致」に分類されている。
失踪事件の典型と思われがちな見知らぬ人物による子どもの拉致や誘拐事件は毎年の行方不明者全体の中で 100件ほどの報告があるだけだ。
アメリカ司法省の調査によると、それらの被害者の3分の2は、12歳から17歳で、8割が白人の女性だった。犯人の90パーセントは男性で、被害者に性的被害を加えていた。
さらに複雑な事件の分類として、米連邦捜査局( FBI )は、成人と子どもの両方を含むいくつかの行方不明事件の中で最も悲惨な可能性が考えられるケースを「死亡が懸念される( endangered )」、あるいは「自分の意志での失踪ではない( involuntary )」というカテゴリーとして指定している。
この「死亡が懸念される」と指定される行方不明の子供たちは、毎年 100,000人以上にのぼる。そのうちの約 30,000人は、自発的な失踪ではないとみなされている。
(訳者注) 数年前のデータではありますけれど、「アメリカでは毎年、約 10万人の子どもたちが生存の可否の問題を持つような消え方をしている」ということになるということのようです。
仮に、この数が今でも同じように続いているとすると、アメリカでは 10年間で 100万人近い数の子どもたちの存在が消えているかもしれないという話なのかもしれません。
さすがに、この数には異常な迫力と恐怖を感じます。