1971年7月9日の米国ワシントンポスト紙より
▲ 過去の新聞の文書をデータ保存している ProQuest Archiver より。
1940年12月14日発行のニュージーランドの新聞オークランドスター紙より
▲ 過去の新聞メディア文書をデータ保存している Papers Past より。
現実化してきている「小氷河期的」な光景
冬になる前までは、
・ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性
2013年09月09日
というような比較的「第三者的な見方」をしていた雪と寒波の問題ですが、ここにきて、「ついに」とか「可能性」とか、そういう悠長なことを言っている場合ではないということになってきていて、北半球のいくつかの地域ではシャレにならない状況に陥っています。
雪と寒波の被害の規模での筆頭はアメリカ東部ですが、日本も先日の大雪により、世界中にその被害が報道されているほどの災害となっています。
▲ 2014年2月16日の BBC より。
そして、まだ災害救助は進んでいません。村や道路の孤立状況は 2014年2月17日の毎日新聞「大雪:13都県で8000人孤立 自治体「想定外」」によれば、関東から東北までで 8000人ほどの方が孤立していて、中にはいまだに安否の確認をとることもできない(電気、通信も途絶えているため)場所もあるようです。
2月17日の朝日新聞の「大雪の死者23人 関東は20日も降雪の予報」という記事では、タイトル通り、現在まで今回の大雪で 23人の方が亡くなったことが報じられています。
アメリカでは、寒波と暴風雪により 2月15日の時点で 25人( ナショナル・ポスト より)が死亡。
韓国では、昨日の大雪による屋根の崩落事故など、10名が亡くなっています。
▲ 2014年2月18日の朝鮮日報より。事故は慶州市にある「マウナ・オーシャンリゾート」で起きました。事故に遭ったのは多くが釜山外国語大学の学生たち。
韓国も2月の1週目から東部などで激しい雪に見舞われています。
・韓国の東部が歴史的な大雪により麻痺状態
地球の記録 2014年02月12日
という記事に記しましたが、日本の今回の大雪被害のように、多くの村が孤立した状態でした。
欧州や中東でも、
・ディズニー映画の「氷の王国アレンデール」と化したスロベニアと 1000の村が雪で覆われ物資が不足しているイラン
2014年02月06日
という記事でご紹介しましたように、観測史上で経験したことのないような寒波や大雪に見舞われる地域が多くなっています。
もちろん、これらのことだけをとって、世界が寒冷化しているということはできません。あまりにも短い期間の話ですので、一過性のものかもしれないからです。それに、北半球でも「異常に暖かい冬」が続いている地域もあります。ロシアやウクライナ、アメリカの西部などですが、それは後に記します。
しかし、それでも、寒波と大雪の異常さが目立つことは事実です。
さて、そして今回の本題は、その「現時点での寒波」という問題から離れて、「過去」にも同じような騒動が起きていたことが、海外の古い新聞からわかるということがありまして、それをご紹介したいと思います。
1940年代に「地球温暖化」はピークを打った
(キャプション) 日本の気象庁の1959年のデータ(非公開)を元に、1969年に作成された北半球の年平均気温の変化。
▲ 1975年の米国科学アカデミー( National Academy of Sciences )の報告書より、1880年から1970年までの全世界の平均気温の変化。
今回ご紹介する、数十年前の新聞や資料は、科学系ブログの Real Science で紹介されていたものをいくつか取り上げて、こちらで日本語などを入れてみました。
記事の冒頭にも貼りましたが、1940年代には「地球温暖化と、ほぼ同じ言葉」が日常的に欧米の新聞の見出しになっていたことがわかります。
1947年5月31日発行のオーストラリアの新聞ウェスト・オーストラリアン紙より
▲ 過去の新聞のデータを保存する trove.nla.gov.au より。
1940年2月23日発行のオーストラリアの新聞タウンスヴィル・ブルティン紙より
▲ 過去の新聞のデータを保存する trove.nla.gov.au より。
そして、1970年代になってからは、今度は「地球寒冷化」の報道が目立ちますが、その頃、アメリカ合衆国中央情報局( CIA )が「地球は新たな氷河期に向かっている可能性がある」という内容の報告書を出していたという事実があります。
その CIA の報告書と、それを裏付けるアメリカ大気研究センターの 1975年のデータを見てみます。
アメリカ合衆国中央情報局( CIA )の1974年の報告書
▲ CIA の報告書より。
ちなみに、この CIA の報告書は、現在はインターネットで閲覧できます。
・A Study of Climatological Research as it Petains to Intelligence Problem
(諜報の問題に関連する気候の研究報告)
この CIA の文書の内容は、1970年以降、地球が寒冷化に突入していくことを示唆したもので、タイトルの「諜報の問題に関連する気候の研究報告」から見ると、 CIA の活動への影響を記したものだと思われます。
今から 40年前のものですが、天候のサイクルを地球的な規模で見ている、とても大局的なもので、 70万年前から現在までの地球の気温の変化を分析して、地球が寒冷化に向かう可能性を示唆しています。
▲ CIA の報告書より。
そして、1975年にはアメリカの国家としての環境研究組織であるアメリカ大気研究センター( National Center for Atomospheric Research )が報告書を出し、そこには 1940年代で気温が頂点となり、後は下落していくとした推測が記されています。
▲ アメリカ大気研究センター( National Center for Atomospheric Research )の報告書より。
そんなわけで、どうやら、1970年代には、アメリカの政府機関においては「地球は寒冷化する」。あるいは、もっと直接的に「地球は小氷河期に入る」ということが、推測としての結論として出されていたということのようです。
なぜなら、その後、これらの見解を否定する公式文書の存在がない(と思われる)ためです。
しかし、そのアメリカ。
このブログでも、新年早々の、
・ロシア・アメリカ両大国が同時に経験する「マイナス 50度の日常」
2014年01月06日
という記事などから始まって以来、今年はずっと寒波と大雪のニュースが絶えないですが、実際にアメリカ海洋大気庁( NOAA )の数値を元にアメリカのこの120年間の気温の推移を見ますと、このアメリカの冬は「観測史上3番目に低い」ことがわかります。
▲ アメリカの1896年から2014年までの「12-2月の気温」のグラフ。 Third Coldest Winter On Record So Far In The US より。
アメリカの気温の異常な現状
しかし、アメリカ全体としては上の通りなのですが、州ごとに見ると、また違った今年のアメリカの姿が見えてきます。
アメリカの2014年1月の州ごとの気温の平年との比較
▲ アメリカ海洋大気庁 NOAA より、2014年1月のアメリカの気温の記録。
上で、
・青い部分は「平年より気温が低い」地域
・ピンクやオレンジの部分は「平年より気温が高い」地域
・白い部分は平年とほぼ同じ気温
ということになりますが、低い地域と高い地域がほぼ半々であることがわかります。
なので、「今年のアメリカは寒い」というのは間違った言い方になってしまい、あくまでも「アメリカ東部を中心として寒い」ということになるようです。西部や南部の一部は「異常な高温」とさえなっているのです。
2月の始めに、
・過去 100年で最悪の干ばつにより「ついに水の供給が不可能」に至った米国カリフォルニア州
2014年02月02日
という記事で、アメリカ西海岸の干ばつのひどさをご紹介したことがありますが、
・東では大雪とその後の洪水の懸念
・西では記録にないほど強烈な干ばつが進行
というのがアメリカの状況のようです。
また、今回はふれる余裕がないですけれど、北半球でも、ロシアやウクライナ等のいくつかの地域では「異常な暖かさ」が続いている場所もあります。
どうも地球のバランスの異常(もう、ある程度「異常」といってもいいかと思います)はますます加速している感じもあります。