2014年03月18日



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直径1メートル以上のヒョウ(というより氷爆弾)が雨あられと降り注いだエリトリアの光景を見て思う「母なる自然の最後の勝敗」



雹(ヒョウ)の嵐が過ぎ去った後のエリトリアの首都アスマラ

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▲ 2014年3月14日のエリトリアの政府系新聞 Hadas Eritrea より。






 




エリトリアという、初めて知ったような気がする国の出来事から

上の白い塊はすべて降って来たヒョウだそうで、「降った」というより「落ちてきた」とか、そのような感じの何だかもうスゴイ光景ではあるのですが、この壮絶な出来事を最初に知ったのは、英国の BBC の報道からでした。


Eritrea: Hail storm dumps metre of ice on capital
BBC 2014.03.14

er-tv.jpg

▲ エリトリアのテレビ映像より。


エリトリアの首都アスマラにメートル級のヒョウが空から放り投げられた

奇妙な暴風雨がエリトリアの首都アスマラを襲い、おそらくはその地で記録されたものとしては最大の1メートル級のヒョウが降り積もった。

政府系新聞ハダスエリトリアが報じた。

嵐は 90分間続き、ヒョウが降り落ちた市内は氷で完全にブロックされた。地元テレビでは、水で埋まった道路と、氷につぶされた自動車の姿などの映像が流されている。

BBC のケニア・ナイロビ支局のジャーナリストによれば、この時期にヒョウが降ったことはあると思われるが、今回の嵐の強さと、そしてこのヒョウに住民たちは驚いているという。

アフリカ大陸の隅に位置するエリトリアは、2月から4月は雨の少ない時期(現地で「 belg 」と呼ばれる)で、 6月から 9月までが雨季となる。エリトリアの年間平均降水量は 61センチメートルだ。




以上が BBC の報道です。

エリトリアの「降水量 61センチメートル」というのが多いのか少ないのかよくわからなかったですので、比較として、東京の降水量を見てみますと、東京の年間平均降水量(1981年 - 2010年)は 126センチメートルくらいのようです。


ちなみに、トップの写真の記事が掲載されているエリトリアの政府系新聞は、写真下のリンクから PDF でダウンロードできますが、エリトリアの公用語の「ティグリニャ語」という、ちょっと対応不可の言語で書かれていますので、読むのは無理そうです。

haz.jpg

ハダス・エリトリアの紙面のトップページ。全部で12ページでした。


erilan.jpg

▲ エリトリア公用語のティグリニャ語。 Google 翻訳にもありません。


それにしても、このエリトリアという国。
まず場所からしてわからないのですが、下の位置にあるようです。

map_eritrea.gif

アフリカ大陸基本情報より。



この国がどんな感じの国なのかというのは、まあ、いろいろな側面があるでしょうけれど、下のような面もあるようです。

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▲ 2012年5月3日の ロシアの声「世界で最も検閲が厳しい国」より。


上の記事によりますと、世界で最も検閲が厳しい国は、


1位はエリトリア、2位は北朝鮮、3位はシリア。続いてイラン、赤道ギニア、ウズベキスタン、ミャンマー、サウジアラビア、クウェート、ベラルーシ。



だそうです。

しかし、遺跡や自然など、観光的な場所も多い国のようです。

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タイでも特大のヒョウが

ヒョウといえば、昨日、タイの東北地方でも、「巨大なヒョウ」が降ったことが報じられていました。

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▲ 2014年3月17日のタイ MCOT より。


タイ東北部にあるルーイ県という場所で、ゴルフボール大のヒョウが降り続け、400世帯の家屋が被害を受けたとのこと。

中には、上の写真のサッカーボールほどもあるヒョウも降ったようです。写真では持っている人たちは笑顔なのですが、地元の方々は、上のようにヒョウを集めて楽しんだのだそうです。

「ムチャクチャに家屋に被害が出ているのに、まずは遊ぶ」というあたりはタイ人らしいということもありますが、何となく、これからの世の中の「生き方」をタイ人たちが教えてくれているような気もします。


そういえば、つい最近、インドでも降りました。




インドの雹

実は、3月に入ってから、インドのいくつかの地域では、「ヒョウがやたらと降る」ということが続いていて、死者も多数出ています。

india-hail-01.gif

▲ 2014年3月13日のインド英字紙 Indian Express より。


下の写真はヒョウが降り積もった農地で、非常に大規模な農作物被害を受けたことが、その後明らかになってきました。

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▲ 2013年3月18日の Indian Express より。


上のヒョウ被害の後、農民二人が、被害を悲嘆して自殺してしまうという出来事も地元メディアで報じられています。





大雪もまだ続いている

ヒョウの話が長く続きましたけれど、アメリカなどでは、首都のワシントン DC などで、まだ記録的な雪が降っているようです。下の写真は昨日 3月 17日の光景です。

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▲ 2014年3月17日の米国ワシントンポストより。


この大雪により、連邦政府機関は閉鎖となったそう。

ちなみに、3月 17日は、アメリカでは「聖パトリックの祝日」という日だそうで、 Wikipedia によれば、アイルランドにキリスト教を広めた聖人聖パトリックという人の命日で、カトリックにおける祭日だそうです。今年は大変に珍しい「大雪の中の聖パトリックの祝日」となりました。


大雪といえば、インドのカシミール地方でも大雪が続いているのですが、雪に家がつぶされ、車もつぶされ、次第にどうにもならないほどの被害となってきているようです。

600棟の家が雪により倒壊したカシミールの村

Kashmir-Snow-Fall.jpg

▲ 2014年3月14日の Pakistan Ka Khuda Hafiz より。


日本は(今のところ)比較的穏やかな気候ですけれど、世界的に見れば、気候はさらにひどく荒れている感じがします。





母なる自然がおこなったこと

今回は気候の関係の記事のご紹介が中心でしたけれど、昨日の毎日新聞に、

温暖化:今世紀末6.4度上昇 洪水被害、年6800億円
毎日新聞 20014.03.17

という記事がありました。

それを見て「ああ、まだ地球温暖化という言葉は生きているのだなあ」と、むしろ妙な感慨を覚えながら、世界各地のヒョウと暴風雪の光景を眺めたりしていました。


そして、上の記事の見出しを見ていて、先日、カナダで起きた出来事を思い出しました。

地球温暖化の講演が大雪で中止になった」というものです。

ondan.gif

▲ 2014年3月14日の Patriot Post より。


以下のような記事でした。


気候の皮肉

カナダ・ケベック州マギル大学の生物学教授キャサリン・ポトヴィン博士( Catherine Potvin )が、3月12日にオンタリオ州のウィンザー大学で開催する予定だった地球温暖化に関する講演のスケジュールに、母なる自然から「偉大な皮肉」が投げつけられた。

講演会で博士は、熱帯地方での森林破壊と、工業化による気候の温暖化での荒廃についての集中的な議論をおこなう予定だった。

しかし、当日のオンタリオ州は記録的な大雪に見舞われ、「地球温暖化」の講演は中止に追い込まれた。

さらに皮肉なのは、この日の暴風雪の積雪が市の積雪量の記録を更新したことだ。

母なる自然はいつも結局勝つ。





この最後の「母なる自然はいつも結局勝つ」は、原文は、

Mother Nature always gets the last laugh.

とあり、「 last laugh 」というのを「結局勝つ」として、やや違うニュアンスかもしれないですけれど、いずれにしても「大自然の真実は負けない」というような意味でこのニュースは締めくくられていました。


これからの世界・・・。


先はわかりませんが、現時点では厳しい「雪や氷やヒョウ」の被害が世界各地を襲っています。