2014年05月02日



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「数千万人の死」という言葉に違和感を感じないアメリカという国のイメージ。そして、戦争や耐性菌の蔓延にさえ思う「犠牲」というキーワード



昨日のロイターの記事に、

米オクラホマ州で薬物注射の死刑失敗、「拷問死」との非難も
 ロイター 2014.05.01

というものがありました。

報道の内容はタイトル通りのもので、このこと自体はともかくとして、この記事の中で、「え?」と思ったのが以下の短いくだりでした。


死刑情報センターによると、米国では現在、薬物注射が死刑執行の主な方法となり、1976年以来、約1200万人が薬物注射によって死刑に処された。



ud-dbi.gif


「 1200・・・万人?


1976年から 2014年までの年数は 38年間です。
人口3億人程度の国で、38年で 1200万人が薬物で死刑?


「・・・誤植?」


そこで、アメリカ合衆国における死刑 - Wikipedia を見てみると、1977年以降のアメリカでの「連邦と軍隊と50州」、そして、特別区や自治領、あるいは信託統治領を含め、アメリカ合衆国全体の合計は 1,320人(2013年4月1日時点)となっていまして、ロイターの「万」というのは誤植のようです。

正しくは、薬物注射によって死刑に処された数は約1200人ということになりそうです。

「そりゃそうだよなあ」

と思いながらも、たとえ一瞬でも、こんな考えられもしない数を「本当かも」と信じてしまいそうになる「負の力」が、アメリカという国には確かにあります。

これは、過去記事の、

アイソン彗星が死んだかもしれない
 2013年11月27日

の後半に、記事のテーマとは関係のない「アメリカでは毎日2300人が「消えて」いる」というセクションを書いたことがありまして、その時の記憶が消えないということもあります。

America's Missing という記事を翻訳したもので、抜粋しますと、以下のようなものでした。


アメリカの行方不明者


アメリカの行方不明者の報告は、この 25年間のあいだに6倍増加している。1980年には約 150,000人だったのが、今年は約 900,000人にのぼる。この増加の理由のひとつには、アメリカの人口増加が関係しているが、しかし、現実には社会から疎外された人々の深刻な問題が存在する。

この、現在のアメリカでの「毎日 2,300人」という驚くべき数の行方不明者には大人も子どもも含まれる。

連邦政府は 2001年に 840,279人の行方不明者の数を発表した。そして、その中の約 50,000人は 18歳未満の少年少女であった​​。

さらに複雑な事件の分類として、米連邦捜査局( FBI )は、成人と子どもの両方を含むいくつかの行方不明事件の中で最も悲惨な可能性が考えられるケースを「死亡が懸念される」、あるいは「自分の意志での失踪ではない」というカテゴリーとして指定している。

この「死亡が懸念される」と指定される行方不明の子供たちは、毎年 100,000人以上にのぼる。そのうちの約 30,000人は、自発的な失踪ではないとされている。




また、2013年10月22日の CNN の報道には下のようにあります。


推定で毎年約 800,000人の子供たちの行方不明が報告されている。 2002年にアメリカ司法省によって発表された調査では、この1年間だけで アメリカで 797,500人の子供たちの消息が途絶えたことが報告された。



下の表はアメリカ司法省が発表した 2002年の1年間のあいだにアメリカで起きた「子どもの行方不明物数」と、その理由の表を日本語にしたものです。

ここには大人の行方不明は含まれていません

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▲ 2013年11月28日の記事「アイソン彗星は死んでいなかったけれど、世界のほうはすっかり死んでるみたいな」より。


「理由が不明の行方不明」が、1年間で 34万人も発生している国。

上の数をすべて合わせると、80万人を越えます。

たとえば、さきほどのロイターの記事にある「38年間」を賭けると、たった 38年間で 3,000万人以上の子どもたちが行方不明になっているという凄まじいとしかいえない数が弾き出されます。

多分、このあたりのことを上の記事を書いた時に計算していたので、「 38年間で 1,200万人の死刑」という数も抵抗なく読めてしまったのかもしれません。


そして、このことを知って以来、アメリカと「大量の人間が消える」という概念が、どうも結びついてしまっています

もちろん、行方不明の件数は「発生件数」ですので、その後、家に戻ったり、発見されたりする子どもたちも数多くいる一方で、そうはならなかった子どもたちもたくさんいることも事実だと思います。

このアメリカの行方不明の数・・・・・今読み返してみても、やっぱり異常です。





「犠牲」というキーワード

そして、私は上の記事を書いた昨年は気づかなかったですが、最近の記事、

「神の意志、あるいは悪魔の輪郭」 : 北緯 33度線にある韓国の済州島。そして「血の月」の連続と共にユダヤ教では祭りに突入
 2014年04月18日

の後半の「神が与えようとした厄災を避けるための犠牲」というセクションで、ユダヤ教の重要な祭典である「過ぎ越し」について書いています。

この過ぎ越しは、 過越 - Wikipedia によると、


神は、エジプトに対して十の災いを臨ませる。その十番目の災いは、人間から家畜に至るまで、エジプトの「すべての初子を撃つ」というものであった。

神は、戸口に印のない家にその災いを臨ませることをモーセに伝える。つまり、この名称は、戸口に印のあった家にはその災厄が臨まなかった(過ぎ越された)ことに由来する。




というもので、「戸口の印」というのは、殺した子羊の血で、それを家の戸口の鴨居の上と左右に塗ります。

passover-doorpost.jpg

Passover Lamb: A True Story より。


旧約聖書「出エジプト記」 12章 21節には、

「さあ、家族ごとに羊を取り、過越の犠牲を屠りなさい。」

というモーセの言葉があります。
23節には、

「主がエジプト人を撃つために巡るとき、鴨居と二本の柱に塗られた血を御覧になって、その入り口を過ぎ越される。」という、やはりモーセの言葉があります。


そんなわけで、過ぎ越しの祭というのは、もともとは、

初子を厄災から守るために子羊を犠牲にする

という「犠牲」の上に成り立っている宗教的式典でもあるわけです。


このことと、アメリカの子どもたちの行方不明が関係あるといっているわけではないですが、「ほんの一握り」は関係あるのかもしれないとも正直思うこともあります。

そして、最近の記事の、

赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった
 2014年04月06日

では、今年の 4月 15日から始まり、来年 2014年 9月 28日まで続く「ユダヤ教の宗教的祭事と4連続する皆既月食のシンクロ」のことを書きました。

過去に同じような出来事があった時に、

・イスラエル独立戦争(第一次中東戦争 / 1948-1949年)
・六日戦争の年(第三次中東戦争 / 1967年)


が起きて、イスラエルが建国されたことを書いています。


考えてみれば、戦争という出来事そのものが「大きな命の犠牲」を払っておこなわれるものですが、上のうちの第三次中東戦争での、

・イスラエル側の死者
・アラブ側の死者


について、第三次中東戦争 - Wikipedia に詳細に記されています。
それが下の表です。

arb-israel.gif

戦力の数そのものは、アラブ連合のほうがはるかに多く、航空機の数もアラブ側が圧倒しているのに、「その死者数」の差。アラブ連合が 21,000人、イスラエル側は 779人、という、とんでもない差となっています。

イスラエル側の奇襲と、電撃作戦によるものだそうですが、戦争は6日間でイスラエル側の勝利となり、 この戦争で、


イスラエルの占領地域は戦前の4倍以上までに拡大した。



という出来事でもありました。

いかなる戦争にしてもそこには「犠牲」が生じます。

そういえば、関係ないですけど、イスラエルのネタニヤフ首相が 5月 11日から、公式実務訪問賓客として来日すると、外務省のホームページに書かれてありました。まあ本当に全然関係ないですけど。

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▲ 2014年4月25日の外務省ホームページより。






抗生物質への耐性菌が跋扈している

最近はいろいろと疑い深くなっているということもあるのか、マレーシア機の失踪にしても、韓国での事故にしても、あるいは、つい先日の、格安航空会社の旅客機が那覇空港付近で海面に異常接近した「人為ミスの疑い強まる ピーチ機の海面異常接近、機体に異常なし(産経新聞 2014.04.30)なども含めて、どんなことにも「つながり」を感じてしまう次第です。

それは、「見えるつながり」だけではなく、「見えないつながり」といったような、書きようによっては完全にオカルト的な世界観も含みますが、今年 2014年から起きようとしていることの中に感じてしまう「犠牲」というキーワードの概念が頭から離れません。

病気で人が亡くなるのもウイルスやバクテリアによる「犠牲」ですが、先日、 WHO は、「世界中で抗生物質効かなくなっている」という報告を出しました。

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▲ 2014年5月1日の NHK 「WHO 耐性菌感染 世界で広がっている」より。

以下のような報道でした。


WHOは耐性菌の世界的な感染状況を調べるため、114の加盟国から提供されたデータを基に、黄色ブドウ球菌など7つの細菌について、従来は効果が見られた特定の抗生物質が効かなかった例を報告書としてまとめ、30日、発表しました。

それによりますと、黄色ブドウ球菌の場合、アフリカや南北アメリカの一部の国で、抗生物質のメチシリンを投与しても80%から90%の患者に効かなかったということです。

肺炎などを引き起こす肺炎かん菌でも、アフリカを中心に多くの国で50%以上の患者に抗生物質を投与しても効かなかったと報告されるなど、世界中で耐性菌の感染が広がっているとしています。




この


投与しても80%から90%の患者に効かなかった



というのは、この地では抗生物質が何の役にも立たないという状況を示しています。


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▲ その報告が発表された2014年4月30日の WHO ウェブサイト Antimicrobial resistance: a serious threat to public health より。


抗生物質はいろいろと悪者扱いされることが多いですけれど、確かに、現在の日本のように「風邪を引いただけで抗生剤を出す」などの気軽すぎる処方はいいとは思わないですけれど、現在でも、多くの重大な病気、あるいは怪我や手術の治癒などにとって、大変に重要なものです。

私は数年前に、胃潰瘍で胃の複数から同時に出血し、真夜中に吐血して緊急手術を受けたことがあります。橋本龍太郎さんが死亡した病院に遠くから緊急搬送されて、ちょっと違ったら死んでいたほどの吐血でした。

胃潰瘍になった原因は「ピロリ菌」というものが私の胃にあったということがあります。

これは日本人には特に多く、また、次の日経BPネットのタイトル、

50歳以上の日本人の8割がピロリ菌に感染、年間10万人が胃がんを発症 ― これからは「除菌」で胃潰瘍・胃がんを防ぐ
 日経BP 2013.05.17

とあるように、50代( 40代以上でも同じくらいの割合だと思います)のほとんど人が持つこの「ピロリ菌」というものが胃潰瘍と胃がんの大きな原因であることが確定していまして、このピロリ菌を除菌すると、胃潰瘍や胃がんになる確率が低くなります(胃潰瘍に関しては、直接的な原因としては、ピロリ菌の他に解熱鎮痛剤があります)。

上の記事には、


胃・十二指腸潰瘍の患者の約 90%がピロリ菌に感染しており、ピロリ菌が除菌できた場合は潰瘍の再発が著しく抑えられることがわかっている。



という部分がありますが、私も「除菌」をしたのですが、これに使うのは「非常に強力な抗生物質」です。ピロリ菌駆除 - 薬服用日記 というページにありますが、

・サワシリンカプセル250mg × 3錠 ペニシリン系の抗生物質
・クラリス錠200 × 2錠 マクロライド系の抗生物質


これだけの抗生物質を、朝晩、5錠ずつ飲むという治療です。

これだけ大量の抗生物質を服用し続けるので、人により強い副作用がありますが、胃潰瘍の再発防止と胃がんの予防には最も近道でもあり、私も行いました。


また、結核の薬であるストレプトマイシンも抗生物質ですが、作家の埴谷雄高さんは、若い頃から結核で、NHK のドキュメント『死霊の世界』の中で、埴谷さんは以下のように語っていました。

1950年頃、人生で四度目の結核を再発し、10年に及ぶ長い療養の中で「ストレプトマイシン」がこの世に出た後からの話です。


『埴谷雄高 独白 死霊の世界』よ

僕にしても、吉行淳之介にしても、それから探偵小説を書いている結城昌治にしても、結核で助かったのはみんなストレプトマイシンのお陰ですよ。ストレプトマイシンが出る前に発病したら、それは死んじゃっていますよ。だからストレプトマイシンというものが出た後に(結核に)なったやつはみんな幸い。吉行たちは幸いでしたよ。

だからストマイがなければ僕は死んでいたでしょうね。

ストマイはですね、1クールが 40本、1週間に2本打つわけですよ。だから、その 40本打つのもかなり時間がたつわけですけど、2クール打つと 80本打つわけです。そうすると、耐性菌といってストマイに抵抗する菌が出てくる。だから、2クール以上打てないのですよ。そうするとヒドラジッドというのがちょうどそのときできてですね。




というようなことを書いていて、とりあえずその世の中、あるいは現在の世の中でも、抗生物質以外では治すことが難しい(できないとは書きません)病気は数多くあります。それだけに、重大な病気のいくつかにおいて「抗生物質が効かなくなる」というのは非常に大変な事態ではあると思います。

過去記事の、

抗生物質に代わる物質がドイツの機関で特定される(短鎖ペプチド)
 2011年06月09日

という記事には、


2010年には抗生物質に耐性を持つ結核に50万人が感染し、その3分の1が死亡した。



という記述があり、耐性菌は様々な病気に広がっているのが現状です。

2014年で思う「犠牲」というキーワード。
その強迫観念を捨て去りたいですが、なかなか強い強迫観念となっています。

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