最近、世界中の報道で頻繁に「謎の病気」( Mysterious disease )という英語を見るようになりました。あまりにも多いです。今回はそういう中のいくつかをご紹介したいと思います。
パキスタン・バジャウル
▲ 2014年5月2日のパキスタンの英字紙 DAWN オンライン版 Mysterious disease claims lives of 14 women in Bajaur より。
上の記事の要約です。
バジャウルで、この1週間のうちに、少なくとも 14人の女性が謎の感染症により死亡した。
バジャウルからカールバンまでの山岳地帯の十数キロメートルの範囲を中心にこの病気の大流行が起きており、地元の人の話によると、病気が発生したのは1週間前で、感染したのは女性ばかり。現在も、死亡した 14名の他に多くの人が感染しているという。死亡した女性たちは、すべて 40代から 50代で、病気に感染する前には、健康上に問題はなかった。
被災地を訪問したパキスタン保健省の外科医は、多数の女性がこの病気に感染していたことを述べた。外科医は、「病状は深刻で致命的だが、我々は過去にこのような病気を見たことがない」と語った。保健省は、現在、病気の原因を見つけるための努力を続けていると述べた。また、該当地域に医療キャンプの設置が求められている。
病気の時代 2014年
人間にしても、あるいは動物にしても、どうも「様々な病気の拡大がやや異常にも思えるほど続いている」という感じがあります。今回は動物のことには触れませんが、アメリカの PED という豚の感染症での豚の死亡数が「 700万頭」にも達していることがナショナルジオグラフィック・ニュースに出ていました。
2014年になって「病気の時代」とタイトルをつけた記事が2本ありました。
・病気の時代 : 致死率が 20パーセント台となっている中国の H7N9 の真相の謎。そして、カザフスタンで感染が拡大する謎の眠り病にタラビッチの予言した「未来」を思う
2014年01月30日
・病気の時代 : 太陽活動での地磁気の乱れが誘発するもの。そして「新種」の病気の出現に震え上がるアメリカ国民
2014年02月27日
そういえば、最近は日本でも「再流行していることが奇妙に聞こえる病気」の報道を見ます。
たとえば、「くる病」です。
▲ 2014年5月2日の毎日新聞「くる病:乳幼児に増える 母乳、日光浴不足、食事が要因」より。
くる病は、ビタミンDが極端に不足することで血中のカルシウム濃度が下がり、骨の変形などを引き起こすものですが、しかし、くる病など 50代の私の子どもの頃でさえ「過去の病気」でした。
上の毎日新聞の記事によると、
1990年代はほとんどみられなかったが、2000年ごろから学会報告が目立ち始め、最近は臨床現場で珍しくなくなった。東大病院ではこの10年ほどで、診断したり他施設からの相談を受けたりしたケースが約100件に上る。
とのこと。
原因としては、上の記事では、
・母乳栄養の推進
・日光浴不足
・偏った食事
とありますが、どうもしっくりと来ません。母乳が出るお母さんなら母乳で赤ちゃんを育てるのは当たり前ですし、赤ちゃんの免疫そのものも母乳から得ている部分があります。
人類は何万年もの間、赤ちゃんを母乳で育ててきたわけで、「母乳で育て過ぎるのが良くない」というのはどうもわからないですし、何となく間違った意見だと感じます。
そもそも、後に書きますが、ビタミンDは「口からとらなくてもいいもの」です。
そして、「偏った食事」とありますが、これも離乳前に当てはめられる概念ではないように思いますし、基本的には食事とビタミンD不足はそれほど関係があるとは思えないです。
というのも、ビタミンDは基本的に「太陽に当たることで人間の体内で作られる」もので、食べ物にも含まれますが、食べ物からの摂取はなくても十分な量が体内で作られます。
となると、残る「日光浴の不足」が原因ということになってしまいますが、これもどうも合点がいかないです。
ビタミンDを体内で作るために必要な日光浴の時間は、ビタミンD 生合成 - Wikipedia によりますと、
ヒトにおいては、午前10時から午後3時の日光で、少なくとも週に2回、5分から30分の間、日焼け止めクリームなしで、顔、手足、背中への日光浴で、十分な量のビタミンDが体内で生合成される。
とあり、週2回、5分〜 30分の顔と手の日光浴なら、普通にベビーカーで散歩をしたり、あるいは単に買い物などで外出しただけでもなし得るはずです。
どうもわからない。
実は、他の病気も含めて、私は太陽活動と最近の病気の蔓延についての関係を疑っている部分がありまして、この「くる病」も「日光浴不足」のほうに問題があるのではなく、
・太陽光線そのものに問題があるのでは
というように思える部分もあります。
話がそれるかもしれないですが、なぜ、太陽と病気(そして、血液内の白血球)との関係があり得るかということを書きたいと思います。
太陽は血液をコントロールしている。そして、血液にある「好中球」
過去記事の、
・太陽と暴動。そして、太陽と戦争
2014年03月04日
には、嶋中雄二さんの『太陽活動と景気』に書かれてある、ロシアのチジェフスキー博士の論文と、イタリアのビッカルディ博士の実験、そして、日本の東邦医科大学の血液学者だった高田蒔教授のそれぞれの研究を掲載しています。
チジェフスキー博士(20世紀初頭)
「チジェフスキーは、動物の血液、リンパ液、原形質等のコロイド電気変化が、太陽活動の変化やバクテリアの成長と平行関係にあることを突きとめた。」
ビッカルディ博士(1985年)
「太陽活動の変化に伴って、コロイド溶液の沈殿物が変化することを突き止めた。」
このビッカルディ博士の実験の意味はわかりづらいのですけれど、要するに、人間の体液も基本的にはコロイド溶液だそうで、つまり、「太陽とコロイドとの相互作用が人間の体内でも起きている」と考えることもできるかもしれないということです。
高田蒔教授(1951年)
「血液中のアルブミン水準を検査する指標である「高田反応指標」が太陽活動の変化により変動することを発見した。アルブミンは、血液の凝固を促進する有機コロイドである。」
これは、要するに、太陽活動が活発な時は「血液が凝固しやすい」ということで、このことについては、1935年にも日本の学者たちが確認していました。
そして、ここで「人間の病気と密接に結びついている血液の中の物質」としての好中球の存在を思い浮かべます。
好中球とは何かというと、 Wikipedia によりますと、
好中球は、白血球の一種である。主に生体内に侵入してきた細菌や真菌類を貪食(飲み込む事)殺菌を行うことで、感染を防ぐ役割を果たす。
というもので、細菌などから私たちの体を守ってくれているものです。
文字の説明より下のイラストの方が私にはわかりやすかったです。
▲ 東邦大学メディアネットセンターのマクロファージ・好中球・単球より。
この、人間をバクテリアなどから守ってくれている好中球は5種類ある白血球のうちのひとつですが、「白血球と太陽黒点の関係」については下のグラフがあります。
▲ 1957年1月から8月までの「白血球減少症と太陽黒点数の相関」グラフ。アイゼンク&ナイアス『占星術 - 科学か迷信か』より。
上のグラフで示していることは「太陽活動が活発になると、白血球減少症の患者が増加する」ということです。この「白血球減少症」というのは、「好中球減少症」とも言われるようで、白血球の 50〜60%が好中球なので、このように言われるようです。
好中球減少症はコトバンクによりますと、
好中球は感染を防ぐ機能に重要な役割をになっているので、好中球が減ってくると、とくに細菌や真菌に感染しやすくなります。
というもので、上のコトバンクにはその原因として、「原因としてもっとも多いのは、薬剤の使用が引き金になるものです」とありますが、上の「白血球減少症と太陽黒点数の相関」のグラフを見ると、あまりにも正確な相関を描いていて、太陽活動も非常に強く関係しているように思います。
そして、太陽活動が活発になった時に、たとえば、下のグラフのように感染症が流行しやすい傾向が示されています。
▲ 赤痢、天然痘、猩紅熱、ポリオのそれぞれの地磁気活動との関係を示した 1971年の研究論文。記事「太陽活動での地磁気の乱れが誘発するもの」より。
感染症が流行する原因は単純ではなく、いろいろとあるでしょうけれど、実際に太陽活動の増加にしたがって「白血球が減る」という傾向がある以上は、
・感染を防ぐ役割を持つ好中球の増減に太陽活動が介入している
ということも言えるのかもしれません。
太陽活動の何が関与しているかというと、以前の「人類のボスは誰ですか?」という記事で書きましたが、血液のヘモグロビンは、ヘムとグロビンというものから成り立っているのですが、そのふたつは、
・ヘム → 鉄
・グロビン → 反磁性(物質が外部の磁場と反対の向きに磁化される性質)
ということで、「人間の血液」とは「鉄と反磁性」という組み合わせからできているもので、つまり、「血液は磁気に反応する性質を持っている」のです。
なので、地球の地磁気の多くをつかさどる太陽が人間の血液に干渉する原因がこのあたりにもありそうです。
もちろん、太陽は他に紫外線なども含めて、多くの光線を発していますし、それに「もし太陽が何か異常な状態だとすれば」ですが、その場合はこれまで知られていないような、太陽の人間への影響もあるかもしれません。
ここから、最近の世界の報道で「謎の病気」という言葉がタイトルとなっているものをいくつかご紹介します。
様々な場所で蔓延している「謎」とされる病気
謎の病気の「謎」というのは、「原因や、あるいは菌やウイルスがわからない。あるいは特定されていない」ものですが、この、ベトナムで拡大している謎の皮膚疾患は、2011年から流行が始まっていて、つまり、何年も経っているのに「謎の病気」とされていて、原因も治療法もわかっていないようです。
ベトナム
▲ 2014年4月18日の Thanhnien News Mysterious skin disease kills girl in Vietnam より。
上の報道を短く要約しますと、
ベトナム・クアンガイ州で 14歳の少女が謎の皮膚疾患で死亡した。同州では、2011年以来、26人がこの病気で死亡している。少女は、ホーチミン市の子ども病院で、4月 14日に容体が悪化し、複数の臓器の障害のために4日後に死亡した。
この病気は 2011年 4月に発見されたが、世界で他に症例は報告されていない。それ以来、231人がこの謎の病気にかかっている。症状は、食欲不振、手と足の水ぶくれから始まり、次に、最初に肝臓、そして次第に臓器全体にダメージを与えるという経過で進行する。
有効な治療法は確立されていない。
というものです。
これは感染症ではなく、中毒(土壌汚染など)やアレルギーなどの系統の病気ではないかとされているそうですが、原因はよくわかっていません。
アメリカ・バージニア州
▲ 2014年4月25日の WDBJ7 Four hospitalized with mysterious illness discharged from hospital より。
記事の概要です。
ニューリバーバレーの小さな集団の中で、謎の病気が発生しており、2名が亡くなっている。
保健当局は、人から人に感染するような公衆衛生上の徴候はないと言い、原因はわからないながらも、孤立して発生したように見えると語った。
現在、患者から採取したサンプルの試験が進行している。この共同研究には、バージニア州保健省とアメリカ疾病管理予防センター( CDC )が加わっている。
とのことで、アメリカ疾病管理予防センターが調査に関わっているあたり、それなりに深刻な可能性を持って対応しているようです。
記事の後半によると、どうも、非常に致死性の高い「ハンタウイルス肺症候群」を懸念している部分もあるようです。ハンタウイルス肺症候群は、日本獣医学会のハンタウイルス感染症によると、
発症後急速に呼吸困難を起こして高い死亡率(当初は50%以上)を示す急性の熱性疾患として、1993年、米国南西部の砂漠地帯で突然出現した。
というもので、
> 突然出現した。
という言葉が含まれています。
こういう言葉を見ると、パンスペルミアにも絡んで書きたくなりますが、これ以上、話がややこしくなるのも良くないですので、今回はふれません。
これに関しては、過去記事の、
・太陽と火山の噴火とパンスペルミアのハーモニーが人間ひとりひとりの生と死を決定していると気づいた日
2014年04月08日
の中で、
人間の生と死、あるいは進化も含めて、人間の生命活動は、
・太陽活動(地磁気と宇宙線のコントロール)
・火山噴火(地中深くのあらゆる生命と細菌の要素を空中に戻して循環させる)
・パンスペルミア(宇宙から細菌・ウイルスを含む生命の要素を地球にもたらす)
この3つにより、ほぼすべてが決定されている。
というようなことを書いています。
まあ、冷静に考えれば「すべて」というのは書きすぎで、「大半が」というようなことになるでしょうけれど。
ずいぶんと記事が長くなってしまいましたが、中央アメリカで 20年にも渡り続いているのに「原因は謎のまま」で、しかも、若い人を中心に今でも人々が死亡し続けているという切ない記事をご紹介して締めようと思います。
中央アメリカの太平洋沿岸地域
▲ 2014年4月30日の NEPR より。
記事の概要です。
中央アメリカで、謎の腎臓病が主に男性たちを攻撃している。この病気の発症者は、太平洋沿岸の地域の男性の農業従事者に多く、特にサトウキビの伐採をする人々に集中している。
世界中の長年の研究にもかかわらず、科学者たちは、まだ決定的原因を特定することができていない。
また、この病気は比較的若い男性を死に至らしめている。ボストン大学での研究によれば、中央アメリカの過去 20年間の腎不全のうち、約 20,000人の死亡数がこの謎の病気に起因しているという。
原因はまったくわかっていないが、農薬が原因ではないかと主張する研究者は多い。また、一部の研究者たちは、呼吸器系の疾患を引き起こすハンタウイルスと関係しているかもしれないという。あるいは、地元の医師は、市販品の薬品の使いすぎを指摘する。
いずれにしても、この病気の原因は不明で、予防や治療法も確立されていない。
そういえば、中東で 100人以上の死者を出しているMERSというウイルスが、はじめてアメリカで患者が出たことが伝えられています。また、マレーシア、フィリピンでも死者が出ています。
・米、初のMERSウイルス感染を確認 サウジに渡航の男性
CNN 2014.05.03
・マレーシア、フィリピンでMERSによる死者2人―東南アジアで初
ウォール・ストリート・ジャーナル 2014.04.18
ゴールデンウィークは、日本人が数多く海外に行く時期ですが・・・・・まあ、気をつけようがないとはいえ、東南アジアではデング熱も大流行していて、昨年は、東南アジアから帰国した日本人も多く発症しています( 230名以上)ので、お気をつけ下さい。デング熱は致死率は低いですが、大変に苦痛が持続する病気です。
デング熱といえば、サッカーのワールドカップで、日本代表などが拠点を置くブラジルのサンパウロ州でも大流行していて、1月から4月の感染者が 1万 7000人を超え、過去最悪を記録しているそう。
・W杯キャンプ地でデング熱拡大=過去最悪、日本代表に影響も−ブラジル
時事通信 2014.05.03
デング熱を防ぐには「蚊に刺されないこと」しかないですので、サッカー観戦等で当地に行かれるような方々は、お気をつけください。
世界のどこも病気だらけです。