2014年05月17日



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セルビアで起きた同国史上最悪の洪水で思い出す「黙示録的な洪水の連続」の時代



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▲ 2014年5月16日の英国 BBC より。






 



セルビアで史上最悪の洪水により非常事態宣言。隣国ボスニアでも過去120年間で最大の降雨量を記録

日本は比較的穏やかな天候が続いています。しかし、他の地域に目を向けると、相変わらず気候は荒れていて、アメリカなんて、5月になってもまだ吹雪のニュースなんてのが出ています。


現在、セルビアとその隣国のボスニア・ヘルツェゴビナで、「過去 120年で最大の豪雨」に見舞われ、セルビアでは、同国の自然災害としては過去最悪と首相が述べたような大きな被害が発生していて、一部地域には非常事態宣言が発令されています。

下の写真は、空撮によるセルビアのシャバツという地域の様子。
大部分が水没していることがおわかりかと思います。

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in Serbia より。


セルビアの位置

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ZenTech より。


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▲ 水没している車の数々。セルビアでは各地でこのような規模の洪水となっているようです。 dalje.com より。


セルビアの首相であるアレクサンダル・ブチッチさんは被災地の視察をした後、「セルビア史上最悪の自然災害だ」と語ったことが伝えられています。

5月16日の時点では、死者5名、避難した住民 3,300人。
また、10万世帯が停電しているそうです。

さらに、多くの町で洪水と共に、土砂崩れなどの災害も発生していて、その上、雨だけではなく、強風も吹きあれているようで、かなり厳しい天候となっているようです。


昨年 2013年も壊滅的な洪水が世界中で数多く発生しましたが、今回の報道でも、多くのものに、「カタストロフ的な洪水」という見出しが見られます。

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▲ 2014年5月15日の AFP より。

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2012年から続く「黙示録的な洪水の連続」を振り返る

洪水は 2008年頃から発生の数そのものも増えているのですが、2012年頃からは、規模が「何百年に一度」といったようなものが頻発するようになっています。

2012年 7月には、ロシア南部のクバン地方という場所で、「一昼夜で6ヶ月分の雨が降った」という異常な豪雨によって大規模な洪水が発生しました。

これは、

私たちが経験している現在の気候変動は次の数万年の人類史への扉かもしれない
 2012年07月13日

というタイトルの過去記事でご紹介したことがあります。

この洪水に関して、モスクワ国立大学の気象学者は、

「同地方では過去100年間こうした集中豪雨はなかった」

と述べています。

また、この同時期の 2012年7月12日頃には、日本の九州でも豪雨による大きな被害があり、これは、死者 30名、損壊家屋は 2000棟以上となる大きな自然災害となり、平成24年7月九州北部豪雨と名付けられました。

そして、2013年になると、世界での洪水の規模はさらに激しくなり、2013年 6月にドイツなどを中心にして起きた大洪水は「 500年に 1度」と表現されたほどのものでした。

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▲ 2013年6月11日の過去記事「夜光雲の様子がおかしい」と科学者たちが語るその下の地球は未曾有の洪水に覆われより。


上の「史上最悪級」の洪水はヨーロッパの下の範囲を長期間に渡って続きました。

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そして、

世界中で止まらない「黙示録的な洪水」の連鎖
 2013年06月20日

では、インド北部(ウッタラカンド州、ヒマチャルプラデシュ州、ウッタルプラデシュ州)で、数百名が亡くなった大洪水が起きたことを記しました。

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▲ 洪水時のウッタラーカンド州の聖地リシケシのシヴァ神の巨大な像。2013年6月18日の BBC より。


ちなみに、洪水発生直後は、「死者数百名」となっていましたが、1ヶ月後、AFP は、「インドの洪水でいまだ行方不明となっている 6000名は死亡したとみなされた」という報道をしています。下の記事です。

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▲ 2013年7月16日の地球の記録「インド北部の大洪水は確認された死者580人に対し、行方不明者約6000人を残したまま1ヶ月」。報道は AFP より。


さらに、イギリスでは、2013年の終わりから荒れた天候が収まらず、降り続く雨で長い間、各地で洪水が発生し続けていました。





雨量そのものが年々多くなっている上に、今年はエルニーニョ現象も加わる可能性が高く

以下の記事は、2013年のブログ「地球の記録」の「洪水と干ばつ」カテゴリーから抜粋したものですが、そのタイトルだけでも「雨量の多さ」が尋常ではなくなっていることがおわかりかと思います。

たった2時間のあいだに「1ヶ月分以上の雨量」が降ったカナダ・トロントの猛烈な雨と洪水
 2013年07月10日

四川大震災の被災地を含む中国西部で「過去 50年間で最悪の洪水」により大きな被害が発生
 2013年07月11日

豪雨の連鎖 : 韓国ソウルでも記録的な短時間降雨による洪水が発生
 2013年07月23日

ロシア極東での洪水は過去 120年で最悪の被害に
 2013年08月22日

ルーマニアで「6時間で2ヶ月分の雨量」を記録した猛烈な豪雨による洪水で壊滅的な被害
 2013年09月13日

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▲ 上の中の 2013年7月22日の韓国での豪雨の報道より。あっという間に道路が川となってしまい、多くの車がこのような状態になってしまっていました。


今年も世界の降雨や洪水の状況が同じようになるかどうかはわかりません。

しかし、この「洪水」と「干ばつ」の両極端の状況は世界中で進行していて、さらに、今年は、予定通りだと「エルニーニョ現象」が発生します。

以前から予測されてはいたものですが、日本の気象庁は 5月 12日に正式に発表しました。

下は日経新聞の速報記事からの抜粋です。


夏から秋までエルニーニョ現象が続く可能性 気象庁
日本経済新聞 2014.05.12

気象庁は12日、ペルー沖の太平洋赤道海域で海面水温が高い状態で保たれ、異常気象の原因となる「エルニーニョ現象」が夏に発生し、秋にかけて続く可能性が高いと発表した。

エルニーニョが発生すると日本の夏はほぼ全国的に気温が低くなる傾向がある。

直近のエルニーニョは2009年夏から10年春に観測された。09年夏は、北日本で降水量が多かったほか、気温は現在の平年値と比べ0.4度低かった。




もちろん、エルニーニョ現象が、いつも同じような気象の状況を招くというわけではありません。 Wikipedia から、最近のエルニーニョの起きた年の「日本の夏の状況」を記してみます。

「1978年冬 - 1979年夏」などの年数は、エルニーニョが継続した期間です。


エルニーニョ現象が起きた時の日本の気温と天候

・1978年冬 - 1979年夏  日本は冷夏
・1991年春 - 1992年夏  日本は猛暑
・1993年夏 - 1994年冬  日本で大冷夏(日本の稲作はほとんどの地域で不作)
・2002年夏 - 2003年冬  東・東南アジア・欧州で大雨
・2009年夏 - 2009年秋  アジア全土で多雨、西日本で長期的な豪雨
・2012年夏 - 2012年秋  西日本〜北日本の日本海側を中心とした猛暑




となっていて、多くは冷夏となっていますが、1992年と 2012年のエルニーニョの際の夏は「猛暑」となっていますので、エルニーニョ現象が発生するというだけでは、「どのようになるかは、その結果でしかわからない」ということになると思います。

そういえば、私は今でも覚えていますが、21年前の 1993年の時には「全国で米が不足する」という1993年米騒動という事態にまでなりました。

どこのお米屋さんにも「タイ米しかない」というような状態が続いたと記憶しています。

「コメが買えなくなる」なんて、想像したこともない方もいらっしゃるかもしれないですが、あの時も「あっという間に消えた」という感じでした。2011年の震災の時のような災害が起きたわけでもないのに、コメがあっという間に手に入らなくなったのでした。

まあしかし、それらの懸念は先のこと。

太陽活動だとかエルニーニョだとか、あと火山噴火なんかも多くなると、噴煙などで気温の低下などに影響するなどとか、いろいろと懸念材料はありつつも、今のところは日本の春は穏やかなようです。