2014年05月20日



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戒厳令下の微笑みの国 : タイで発生した事実上のクーデター。そして北緯33度線でのクーデターの双方の今後



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▲ 2014年5月20日、タイの陸軍系のテレビ局が、「軍が治安維持の全権を握る」戒厳令をタイ全土に発令したことを司令官が伝えた様子。タイ Post Today より。


タイは昨年以来、政情から何からむちゃくちゃではあったんですけれど、何となくイヤな感じがしたのは、つい最近の記事の、

タイで観測史上最大の地震が発生。飛騨高山では群発地震に紛れて「地震ではない揺れ」までも観測
 2014年05月06日

では「タイの観測史上最大の地震が起きた」ことなどを記したのですが、なんか、そこで、「仏像の首とかが壊れたり、やたらと仏教寺院が破壊された」ということでした。

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▲ 上の記事より頭部が倒壊したタイ・チェンライの巨大仏像。 2014年5月5日のタイ字紙 banmuang より。


そうしましたら、そのタイで「戒厳令の発令」という事態になってしまいました。
今回のそのことを書こうと思います。
タイは思い出の多い国でもありますし。


ところで、突然、話は変わりますが、タイ王室は日本の皇室とも縁が深いですが、さきほど、

皇后さま、強い痛みで公演鑑賞お取りやめ
 msn産経ニュース 2014.05.20

という見出しのニュースがあり、見てみると、その理由に、


皇后さまは、以前からの頸椎(けいつい)症性神経根症の症状で、左肩から左腕にかけての痛みが強いために



とありました。

「ああ、皇后さまって頚椎症性神経根症なんだ・・・」

と初めて知り、ご同情いたしました。

実は、私も 20年程前から同じ病気で悩まされていて、その半端ではない痛さを知っているのです。

どんな病気かというと、首の骨に原因がある病気なんです。
首の骨って下のようになっているんですね。

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頚椎症性神経根症より。


それで、この首の骨が、日本整形外科学会の説明によりますと、


加齢変化による頚椎症の変化によって、脊髄からわかれて上肢へゆく「神経根」が圧迫されたり刺激されたりして起こります。



ということで、症状としては、首、肩、腕から指や背中に痛みが走るのですが、その痛さ

もちろん、程度は人により様々ですし、また、いつも痛いわけではなく、私の場合だと、年に1度か2度くらいなることがあり、数年に一度、激しい痛みになることがあります。上には原因は「加齢変化による」とありますが、私はレントゲン検査で、骨の形そのものに異常が見つかっています。

それにしても、あの痛みは、私がこの世で味わったものの中でも最大級で、ひどい時など、痛さで起き上がることもできないほどのこともありました。それが収まるまで、場合によっては1ヶ月くらい続くのですよ。

今から7年前には、痛みを抑えるために医者から処方されていたポンタールという鎮痛剤が原因となり重篤な胃潰瘍を発症し、結果、大吐血で緊急手術ということにまでなったことがあります。

今となればいい思い出です(いい思い出かよ)。

最近は痛みに対しての対処法も自分なりに学んだので、昔ほど苦しむことはないですけれど、あの痛さでは皇后さまもお大変だと思います。しかし、天皇陛下も皇后さまもさすがに公務を続けるにはご高齢なのでは・・・と誰しもが思っていても、それを言えずに、おつらい体で各地を回り続けなければならないご心情というのも。

まあ、話が逸れすぎましたので、タイの話に戻ります。





「タイ戒厳令」の進行状況

衛星テレビ局の前を封鎖するタイ陸軍兵士。この後、この放送局は放送停止

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▲ 2014年5月20日タイ字紙 thairath より。


タイの戒厳令は5月20日の未明、唐突に軍の放送で宣告されたものですが、そもそも「戒厳令」という言葉は何となく意味は知っていても、厳密な定義を今一度見てみたいと思います。


戒厳 - Wikipedia

戒厳とは、戦時において兵力をもって一地域あるいは全国を警備する場合において、国民の権利を保障した法律の一部の効力を停止し、行政権・司法権の一部ないし全部を軍隊の権力下に移行することをいう。また、戒厳について規定した法令を戒厳令という。



つまり、戒厳令というのは「国の体制が軍のもとに入る」ということで、


・現行法律の一部の効力を停止
・行政権・司法権の一部ないし全部を軍隊の権力下に移行する


などの状態になるということのようです。

その「戒厳」の状態となった今日 5月 20日のタイの動きを記してみます。

日本語の情報は newsclio.be など。
写真はタイの現地メディアからのものです。

5月20日未明

タイ軍、戒厳令布告


タイ陸軍のプラユット司令官は20日朝、戒厳令を布告した。国民の安全、財産を守るためで、クーデターではないとしている。

陸軍は20日未明に主要な地上波テレビ局、衛星テレビ局に兵士を配置した。




5月20日午前

戒厳令布告のタイ軍 デモ隊の移動禁止、政府の治安維持権限奪取


軍は戒厳令を布告して、政府の治安対策本部を解散させ、権限を軍による治安対策司令部に移管させた。また、必要な場合はテレビ放送を管理するとして、主要な地上波テレビ局、衛星テレビ局に兵士を配置した。



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▲ テレビ局内に配置された兵士。 matichon online より。


5月20日午前

タイ軍、反政府系など衛星テレビ10局の放送停止


戒厳令を布告したタイ陸軍は同日、反タクシン元首相・反政府派、タクシン・政治支持派などの衛星テレビ局10局と地方の違法ラジオ局の放送を停止させた。

地上波テレビ局は放送を続けているが、時折、軍からの布告で放送が中断されている。




というように、同日中に、

・デモ行進の禁止
・治安維持の全権を掌握
・放送局の放送停止


などをおこない、メディアのコントロールを含む事実上のクーデターをおこなったといえるようです。 newsclip の記事でも、


タイの政治混乱は陸軍による戒厳令布告で新たな局面を迎えた。

プラユット陸軍司令官は「クーデターではない」と主張しているが、政府の権限を奪い、テレビ局、ラジオ局に兵士を送り込み放送内容を管理する手法は実質的なクーデターといえる。




と記事に書いています。

また、一方で、newsclip は「戒厳令布告のタイ、バンコクの市民生活は通常通り」というタイトルの記事も書いていて、通常生活には影響は出ていないというようなことが書かれてあります。

しかし、現地の写真を見ると、バンコクの街の中に至るところに自動小銃を構えた兵士たちが立っているという光景は「通常通り」というものとも心情的には違うような感じもします。

以下は今日のバンコクの様子です。

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▲ すべて、タイ Post Today より。


近代のタイでは軍がクーデターを起こした後、政権のどちらか側について決着というパターンが多いのですが、しかし、最近のタイの政情の混乱と、人々のデモの激しさは常軌を逸していたことが気になります。

昨年からの反政府デモでは、治安当局との衝突や、集会への爆弾や手りゅう弾での襲撃などで、昨年11月から 25人が死亡して、700人以上が負傷しています。

ですので、仮にタイ軍が今後どのような方向に動くにしても、今のタイの国民の、一種の「荒さ」は尋常ではないものがあるように思えるだけに、どうにも不穏な雲行きを感じざるをえません。

個人的には、タイは旅行先で最も好きな国のひとつでした。

私とよく旅行に行っていた年下の男性の友人などは、昔からタイに移住しようと考えていますけれど、最近のあまりにも暴力的になってしまった状況を見ると、微妙な国となってしまったのかもしれません。






北緯33度線の国でも

クーデター騒ぎといえば、未遂のようなできごとが、リビアでも起きています。

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▲ 2014年5月18日の Haveeru より。


時事通信の記事を引用しますと、


武装勢力衝突で79人死亡=リビア政府、クーデター警戒
時事通信 2014.05.18

リビア東部のベンガジで16日、元軍将校のハフタル氏率いる非正規部隊が、過激派「アンサール・シャリア」などイスラム武装勢力と衝突した。リビア当局者は、この衝突で少なくとも79人が死亡、141人が負傷したことを明らかにした。

ハフタル氏は、2011年のカダフィ独裁政権打倒で中心的な役割を果たした。リビア政府は、クーデターを起こす恐れがあるとみて、イスラム武装勢力よりもハフタル氏への警戒を強めている。




とのこと。

このリビアのベンガジという場所なんですけど、下の位置なんですよね。

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この「北緯 33度線という概念」は、最初は、2年ほど前の「フリーメイソンと高知に導かれて Google Earth 上で北緯 33度の旅をする」という記事以来、何かとよく In Deep に登場する概念なんですが、最近では、韓国のフェリー沈没事件の後に記しました、

「神の意志、あるいは悪魔の輪郭」 : 北緯 33度線にある韓国の済州島。そして「血の月」の連続と共にユダヤ教では祭りに突入
 2014年04月18日

という記事でも取り上げたことがあります。

この記事中には、


この2年ほどの間に、この北緯 33度線がどれだけ「世界のイヤな事件の場所」とリンクしたかということを挙げるとキリがないほどなのですが



という部分があり、そして、記事の最後は、


まさかとは思いますけれど、私の中では、「大規模な犠牲」を捧げ続けようとしているのでは?という概念に結びついてしまうような強迫観念的な思いが芽生えてしまった部分があるのです。

それは特に、赤い月と黒い太陽と、ユダヤ教の宗教的行事がシンクロして連続する 2014年 4月から 2015年 9月までの時期に。まさかとは思いながらも、「次に何が?」と考えてしまうのです。




などということを書いていますが、北緯33度線のことはともかくとしても、「大規模な犠牲」、つまり人命が失われるということについては、世界の様々なところで、避けることが難しい状況になってきているのかもしれません。