2014年06月05日



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大量死の続報。そして、また始まった極端な天候。あるいは「地球の海が死んだらどうしよう」と思う梅雨入りの日



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▲ 2014年5月19日の米国のクリスチャン・サイエンス・モニターより。






 



水の惑星「地球」のほとんどは海の水

先日、

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

という記事で、世界規模での海や川などでの海洋生物の大量死が続いているかもしれないということについて書きました。

前回は、その数が多いこともあり、羅列しただけで終わってしまったのですが、今回は前回羅列した記事から、印象的なものについて個別にピックアップしてみたいと思います。

多分、アメリカの大量死ばかりになってしまいそうなのですが、他の国の大量死報道は、報道自体の記事が曖昧なものが多く、状況や、あるいは、数値も今ひとつ確証できない面もありますので、結局そのあたりが比較的、正確に記事に示されているアメリカの記事をご紹介することになると思います。


ところで、地球というのが、

・陸の比率 約 29パーセント
・海の比率 約 71パーセント


という水の惑星だということは何となく知っているのですけれど、さらに、「地球の水全体の割合」というものは下のようなことになるそうです。

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▲ 喜多方市水道課「地球上の水」より。


地球にある水のうち、97パーセント以上が海の水ということで、地球とは実に「海の惑星」であることにも気づきます。





極端な天候も「海」が要因を作っている部分がとても多いのです

先月の5月あたりから、日本を含めた東アジアでは、非常に極端な気候に見舞われ続けています。

韓国の猛暑 5月31日

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朝鮮日報より。


大邱(テグ)は韓国の首都ソウルより東南にある町ですが、上の通り。
記事の写真は、熱で曲がってしまった線路です。


中国の猛暑 5月29日

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iask より。


中国の暑さは、先日の

「気温 40度の5月」の光景が気になりつつ、聖書とクインビー博士と森田正馬博士の言葉から考える「この世」と「神の子である人間という概念」
 2014年05月31日

で、北京の気温が「 42度」に達したことを書きましたが、上の記事の見出しは、ついに「 500年」という数も出ています。ただ、この中国のほうの記事の「 500年」という数字は、500年ぶりという意味ではなく、


中国科学院の研究では、気候変動は 500年の変動サイクルを持っていて、地球温暖化は過去一世紀に及んで続いていたことが示されている。現在はその変動サイクルの 500年の最後に位置していると同研究は述べる。



と書かれてあります。

日本は、すでに各地で梅雨入りしていますけれど、ほんの少し前まで、観測史上1位の記録が続出する猛暑が、日本や中国や韓国で続いていました。6月 1日には、岐阜県で「36度」を超えていたことが、報道されています。

何よりもスゴイと思ったのは、下の「北海道」のニュースです。

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▲ 2014年6月2日の tenki.jp より。


さらには、6月 3日の次のニュースのタイトル。

美幌で気温37・2度 北海道内、観測史上最速の猛暑日
 北海道新聞 2014.06.03

そして、この日の全国の気温のランキングをご覧下さい。

気象庁発表 - 全国観測値ランキング(6月3日) 14時00分

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これを見て、私は思わず「あのなあ・・・」と呟きました。

30年前までとはいえ、20年近く北海道で過ごしましたけれど、北海道の夏というのは8月の真夏のほんの一時だけ、「 30度以上になる日が何日かあるかどうか」といったあたりが普通の北海道の夏というものなのです。

しかも、今はまだ夏じゃないというのに。

これを異常気象と言わずして何といったらいいのか。

また、下の気温分布は、その 6月 3日の 14:00 の全国の気温分布です。

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そして、今日 6月 5日には、


高知 6月雨量を超える大雨が一日で
ウェザーマップ 2014.06.05

5日午前、動きの遅い低気圧の影響で、太平洋側では局地的に激しい雨が降っている。高知県では降り始めからの雨量が500ミリを超えた所があり、6月の月降水量を大きく上回る記録的な大雨となった。



なお、中国でも5月下旬から南部で連日の豪雨により、激しい洪水が発生している州があります。

中国南部で繰り返す豪雨と洪水。数日前に洪水被害が出た貴州省でふたたび洪水により20万人が被災
 来たるべき地球のかたち 2014年06月05日

などに現在の中国の洪水について記していますので、ご参考下されば幸いです。

いずれにしても、世界の気候に影響を与えることで有名なエルニーニョ(南方振動)や、 NAO (北大西洋振動)なども「海と大気の相互作用」で発生するとされていて、やはり地球の表面の主は海なのだと実感します(地球の内部の主はわからないです)。

いずれにしても、今日( 6月 5日)あたりからは豪雨で荒れた天候になるところが多そうですので、重々お気をつけ下さい。過去の経験則を何もかも吹き飛ばすような天候の状態がいつ現れるかわからないのが「今」という時代だと思っています。

おばあちゃんの知恵袋が効かない地球となりつつあるようです。

長い前置きとなってしまいましたが、先日の記事、「海で何が起きているのか」の中から印象的な記事の概要を追記としてご紹介しておきます。





アメリカの「凶暴なアジア鯉」が死んだ理由

前回の記事でご紹介した、

50万匹のコイがケンタッキー州のカンバーランド川で腹を上にして浮いているのが発見

という報道ですが、この「 50万匹」という巨大な単位はやはり気になります。

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▲ 2014年5月18日の Columbus Dispatch より。


見出しに「アジアン・カープ( Asian carp )」とあり、直訳すると、「アジアの鯉」ということなのですが、単にアジアの鯉という意味ではなく、下のようなものを言うようです。


アジアンカープ

米国に人為的に移入された複数のコイ科の魚の、米国における総称。アジアンカープは外来種として移入先の生態系を撹乱しているほか、水面から高く飛び跳ねてボートの乗客などが怪我をする事例が多発していることも問題視されている。



ということで、アメリカにとっては外来種ということのようです。上にある「水面から高く飛び跳ねてボートの乗客などが怪我をする事例」というのは、意味がよくわからなかったのですが、調べると、下のような写真が次々と出てきました。

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irjci.blogspot より。


何だかスゴイ光景ですが、しかし、こんなに元気なアジアン・カープが、50万匹が一斉に死亡。原因については、上の記事のタイトルに「ウイルス」と書かれてありますが、記事には、以下のようにあり、実際には死因はわかっていないようです。


これらの原因について、ケンタッキー当局はまったく決定することができないでいる。この大量死は、たった1日か2日の間に発生した。疑われているウイルスは外来種のハクレンに感染することが知られているが、米国で自然に棲息する魚類には感染しない。

現在のところ、今回の大量死に対してのいかなる公式声明もケンタッキー州魚類野生生物局の調査関係者たちからは出されていない。




ウイルスだとしても、「謎のウイルス」ということなのかもしれないですが、50万匹もの数のほぼ同種の魚が「1日か2日の間に一気に死亡した」ということになりそうです。




カリフォルニア沖での大量の海洋生物の死

これは、前回の記事では、

5月中旬、カリフォルニア魚類野生動物管理局の局員が、アンチョビ、アカエイ、タコなど、何十万という魚が南カリフォルニア海岸沖で死んでいるのを発見。

としたニュースで、今回の記事の冒頭にその報道を貼りました。

ここにも「いったい何が起きているのか」というような単語が見えますが、このカリフォルニアの大量死では、

・アンチョビ
・アカエイ
・タコ


など種類も生態も違いそうな生物の大量死が発見されたのだそう。

全部で 35000匹程度死んでいたのではないかと地元の天然資源漁業省は語っているそうですが、沖合でのものですので、正確にはわからないようです。

これも正確な原因はわかっていません。「カリフォルニアの熱波による水中の酸素不足」が有力視されているそうですが、それなら他の魚類も死んでしまっていても不思議ではない気もします。

いずれにしても、この後のものも含めて、「明確に大量死の原因がわかった」というものは極めて少ないです。中国での魚の大量死では、工場の排水など、いわゆる公害が原因であることがほぼ確定できるものも多いですが、その他の多くは、「よくわからない」というものがほとんどです。


また、カリフォルニアでは、アザラシや若いアシカたちが記録破りの数で死にかけているということも報じられています。

Young seals, sea lions starving in record numbers
 SFGate 2014.05.03

上の記事を抜粋して翻訳しますと、下のような感じのようです。


モントレー獣医科学センターの局長は以下のように言う。

「私たちが今ここで見ている動物たちは、基本的に飢えて死ぬ間際にあるのです。しかし、原因がまったくわからない。ミステリーとしか言いようがない。私たちは、この現象が今後も普通に続いていくことだけはないと信じたい」

4月30日の時点で、429頭のアシカ、アザラシ、オットセイが獣医科学センターに運び込まれた。これは、1988年に記録された1年間の記録を、すでに4月で上回っているということになる。




というようなことになっているのだそうですが、原因として考えられているのは、

・藻の発生による赤潮

・ムール貝、アンチョビ、イワシやニシンなど、アシカなどのエサとなる海洋生物に神経毒のドウモイ酸が蓄積されているという可能性


などだそう。

ドウモイ酸というのは Wikipedia によれば、


天然由来のアミノ酸の一種で記憶喪失性貝毒の原因物質。神経毒であり、短期記憶の喪失や、脳障害を引き起こし、死に至る場合もある。



とのことですけれど・・・仮にこれが原因だとした場合は、ムール貝、イワシやニシンなんかは人間もよく食べるものですけど、うーむ。

しかし、それらの要因も考えられるというだけで、この原因も特定はされていません。





ミシシッピのウミガメの大量死

ミシシッピ州の海岸では、「数十匹の死んだウミガメが海岸に打ち上げら続けている」という出来事が起きています。

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▲ 2014年4月29日の米国 WSMV より。


打ち上げられたウミガメの数は、上の記事がリリースされた 4月 29日までほぼ 40体。そして、この「ほんの数日」のあいだにも 10匹の死んだウミガメが打ち上げられているそうですので、その後も続いている可能性も強いかもしれません。

正確な原因はわからないようですが、上の記事に出てくる「国際海洋鉱物学会( IMMS )」の環境学者であるアンディ・コールマン博士( Andy Coleman, Ph.D. )が挙げた「可能性」は下のようなものでした。

・2010年のメキシコ湾のディープウォーター・ホライズン原油流出事故の影響

・海水温の極度の低下

・海水温の低下のための水中の食べ物の不足


などです。

また、ミシシッピ州では、死亡したイルカも数十頭打ち上げられているそうで、何らかの海の異変が起きていることは間違いがないようです。

メキシコ湾の原油流出事故との関係は微妙ですが、事故後に、メキシコ湾で魚の大量死が常態化した時期があったのは事実です(参考記事:メキシコ湾に漂着し続ける大量のイルカの赤ちゃん)。


また、過去記事の、

鳥と魚の大量死をめぐる報道より(3) 世界に拡大する大量死と磁場変動説。そしてコレキシットの幻影
 2011年01月06日

の中で、ロシア天然資源環境省の言葉を引用したプレスTV の報道をご紹介したことがありました。


Oil spill threatens 'total destruction'
Press TV 2010.05.28

原油流出は「完全な破壊」をもたらす

ロシア天然資源環境省は、BP社の原油流出が北米大陸の東半分のすべてを 「完全な破壊」 に導くだろうと述べた。

不吉なこのレポートは、メキシコ湾で起きている BP の原油流出とガス漏れから生じる差し迫った災害を警告している。欧州の連合タイムズは、「人類史の中で最悪の環境大災害と呼ぶにふさわしい」と報じた。

ロシアの科学者たちは、BP社がメキシコ湾での原油の流出の規模を隠すために、何百万ガロンもの化学石油分散薬の「コレキシット9500 ( Corexit 9500 ) 」を海洋に注入していると確信している。

専門家によると、 コレキシット9500は、原油そのものより4倍以上有毒な溶剤だという。この 2.61ppm のレベルの毒性を持つ溶剤が、メキシコ湾の暖水と混ざることによって、その分子が「相転移」すると科学者たちは考えている。

この転移は、液体をガス状に変える作用があり、ガス化した後には雲に吸収される場合がある。そこから、地上に「毒性を持つ雨」が放たれ、あらゆる生き物たちの生態系を滅ぼす「想像もつかないような環境の破滅的災害」を引き起こすかもしれない、とレポートにはある。




この「相転移」という現象により、「毒性を持つ雨が現在実際に降っているのかどうか」はわからないですが、そのような可能性に関して、ロシアの科学者たちは 2010年に発表していました。


いずれにしましても、本当に思うのは、

海が死ねば私たちも死ぬ

ということなのかもしれないとは思います。

感覚的な話ではなく、現実的な話として。