2014年06月08日



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本格的な降雨シーズンを前にして「世界のどこもかしこも洪水だらけ」の異常な様相を見せる地球



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▲ 2014年6月4日の The New Yorker より。






 


冒頭の記事は、5月にボスニアやセルビア、クロアチアなどを襲った大洪水のその後についてのことについてふれていた記事でした。

約 100万人が被災し、約 10万棟の住宅が住居不可能となった未曾有の被害。

そして、現在でも電力は洪水前の 50パーセントしか復旧しておらず、この洪水での経済的な被害額は、日本円では何千億円以上ともいわれ、「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の被害を上回る」とされているのだそう。

しかも、洪水で流出したその戦争の際の「地雷」が、生活に影響を与える可能性などを書いています。

ちなみに、地雷に関してのことは、

歴史的に弱い活動のままピークを迎えた太陽活動サイクル24の中、大洪水がボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の悪夢の記憶を呼び覚ます
 2014年05月21日

という記事に少し書いています。

それはともかく、上の「洪水の中で失ったもの」という記事には、それらの説明の後に、

「でも今、世界の誰がこのことを気にかけている?」

と書かれており、どんな大きな災害でも「世界は、そしてメディアはすぐにそのことを忘れていく」というようなことが書かれています。確かにどんな災害でも、起きた時には大きく報道されますが、時とともに報道もされなくなり、人々の記憶からも消えていきます。

しかし、当人たち、つまり被災者たちは違います。

かなり多くの国の自然災害において、被災者は住む場所などを失ったまま、何ヶ月も、あるいは何年も厳しい生活環境の中で暮らし続けざるを得ないということが多いです。アメリカの竜巻やハリケーン被害などでも、その後どうにもならない状況の人たちがどれだけ多いかはよく報道されます。

これは日本でも、どの災害という具体的な言い方はできないですが、ある程度は同じようなことが多々あると思います。被災者は一度の災害からの影響を長く受ける。

でも、他では忘れられていく。




毎年規模と頻度を拡大させ続ける「洪水」

最近は、毎年、夏から秋にかけては、世界中で洪水、しかも「過去になかったような大洪水」が起こり、特に 2011年頃からは加速度的に巨大な洪水が繰り返し発生していました。

洪水は何度も記事にしていまして、昨年 2013年は、

世界でさらに拡大し続ける黙示録的な洪水 : 今や「神話」を越えつつある現実の世界
 2013年09月15日

という記事など多数あり、2012年は、

洪水...洪水...洪水.. 世界中で異常な数と規模で発生し続ける洪水
 2012年08月26日

という記事などがありました。

そして、わりと最近では、

水は浄化なのか、それとも単なる害悪なのか : 2014年も世界各所で頻発が予測される黙示録的な洪水を前に
 2014年05月27日

という記事に、今年も昨年までと同様か、あるいはそれ以上の豪雨と洪水が予測されそうだというような記事を書きました。

ちなみに上のタイトルに「浄化」とあるのは、ルーマニアの宗教学者であるミルチャ・エリアーデの『世界宗教史』という本の中にある概念で、簡単にいうと、宗教学的には、


洪水は新しい宇宙の創造を可能にするために世界の終末と罪に汚れた人間の終末を宇宙規模で実現するものだ。



というようなことが書かれてありまして、そこからの連想です。

まあ、宗教的なことはともかく、今回は現実の話です。

やや羅列的になるかもしれないですが、ここ数日の全世界での豪雨と洪水についての報道をご紹介したいと思います。

まだ6月に入ったばかりだというのに、あまりにも豪雨と洪水の報道が多く、これはすでに「異常」といっていいと感じます。最近の豪雨による最も大きな被害はアフガニスタンの鉄砲水による洪水で、100名近くの方が死亡・行方不明となっています。

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▲ 2014年6月7日の BBC Afghanistan flash flood kills dozens in Baghlan province より。




世界もですが、日本の雨もすごい

ところで、上にリンクした「2014年も世界各所で頻発が予測される黙示録的な洪水を前に」という記事を書いた頃は日本全土でとても暑い日が続いていて、豪雨だとか洪水だとかは無縁な感じがしていましたが、数日後、日本の各地で梅雨開けすると同時に、ドドッと豪雨に突入しています。

西日本も、ものすごい雨だったようですけれど、関東も結構すごくて、 6月 8日のウェザーマップの「関東甲信 梅雨入り早々1か月雨量超え」という記事によりますと、


5日の降り始めから8日午前5時までの雨量は、神奈川県箱根で419.5ミリ、東京都青梅市で340ミリ、東京都心では209.5ミリなど。

いずれの地点も、梅雨入りしてたった3日ほどで、6月1か月分に匹敵する大雨となっており、平年の6月に降る雨量の2倍を超えている所もある。




とのことで、関東の多くでは、たった3日で、「6月の1ヶ月間の雨量を超えた」ということになっているようです。6月は大抵は多くの地域で梅雨入りする時期ですので、通常でも雨量が多い月のわけですから、この3日間の雨量はかなりのものだと言えそうです。

これは気象庁のデータにもよく出ています。

下は、気象庁の今日の全国観測値ランキングというページのうちの「現在までの 72時間の降水量の日最大値」というものです。

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6月の1位の値を更新」という文字が並び、観測史上の記録を次々と更新していっています。

ちなみに、私の住んでいる埼玉県の所沢という場所が8位にあり、すぐ近くの飯能という場所が6位に。そして、比較的近い場所の東京の八王子が7位にあり、どれも、この3日間は、6月としての観測史上の記録を更新した雨が降ったようで、この3日間、私は「豪雨の中で生活していた」ようです。

しかしまあ、その渦中にいると、「そういうことはあまり気づかないものなんだなあ」とも上のグラフを見て気づきます。

確かに思えば、ずっと大雨だったんですけれど、「梅雨だしねえ」くらいの感じで過ごしていました。しかし、その雨は、上のように記録的な大雨だったようです。

いずれにしても、まだまだ雨のシーズンは続きます。

日本のインフラは豪雨に対しては比較的強いものがありますが、それでも、「耐えられるレベルを超えてくる豪雨などの際に起きる災害」は、残念ながら、今の状況だと確実に起きてしまうと考えるのが妥当のような気がします。

今年、あるいは今年からは、特に天候には注意深くお過ごしいただきたいと思います。

とはいえ・・・ 2012年の、

私たちが経験している現在の気候変動は次の数万年の人類史への扉かもしれない
 2012年07月13日

という記事の中に、「人類は7万年前に全世界でわずか2000人にまで減少し、絶滅しかけていた」ことが DNA の研究からわかったことと絡めて、地球にはそのような循環のサイクルがあり、それは抗うことのできないものだとも思うことを書いています。

なので、個別の災害への対策はもちろんしておくとして、今がもし、地球全体として、何か「大きく変化して進むべく方向」にあるのだとしたら、そういう時代の流れの中にいるのだと考え、悲嘆や不安ばかりでなしに前を見て生きるのがいいと思います。

シュタイナーが、不安を前にした時に、「このように考えること」として語る下の言葉は、神秘学とは関係なく、人生の中で、特にこれからの世の中ではとても役に立つ言葉だと思います。


「あらゆる観点から見て、私が不安を抱いても、何の役にも立たない。私は一切不安を抱いてはいけない。私は、自分は何をするべきなのか、ということだけを考えなくてはならない」。



そんなわけで、ここ数日で起きている世界の洪水とその概略を掲載しておきます。





世界の洪水 2014年6月


中国

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▲ 2014年6月6日の sznews より。

中国では、南部などで5月の下旬から各地で豪雨が続いていますが、現在も地域的には収まっていないようで、6月2日以降、広西省、貴州省、重慶省、四川省、湖南省、福建省などの多くの川が氾濫が予測される水位を超えており、現在でも洪水が起きているこれらの場所は、今後も大雨が続いた場合、大洪水となる可能性が高いとのことです。

中国では、6月上旬までに貴州省で大洪水が長く続き、122万人が被災、9名の方が死亡しています。

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▲ 川と化した道路を自転車を押して歩く人。6月5日、広西チワン族自治区の柳州市。
sina より。



中国で5月下旬から豪雨と洪水の被害が続いているのは大まかに下のあたりです。

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ロシア

最近は毎年のように大きな洪水に見舞われるロシアですが、今年もアルタイ地方という地域で、大きな洪水が発生していて、これも終息の兆しは今のところは見えていません。

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▲ 2014年6月5日の Today.kz より。


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▲ 川が氾濫し、水没した家。アルタイ地方のバルナウル市。2014年6月3日の AIF.RU より。


ロシア緊急事態省は、現時点で、アルタイ地方で家が浸水した 4000棟の住人たち約 7000名に対しての大規模な避難活動を始めたとのこと。

なお、アルタイ地方は最近の洪水の頻発のために、多くの家で「避難用のボート」を用意しているそうで、そのため、自主的に避難する人も多いのだそう。アルタイ地方では今では地域の多くの人々が「常にノアの方舟を用意して生活している」状態の様相を呈しているようです。




英国

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▲ 2014年6月7日の Express より。

昨年の終わりから、気温は暖かいのですが、ずっと大雨と洪水が続いている英国。
現在また、激しい豪雨に見舞われているようです。

今回は英国の西部で過去最悪の豪雨が予測されていて、それによる洪水や鉄砲水、土砂崩れなどの発生が警報として出されています。




ニュージーランド

ニュージーランドでも、今週から豪雨と洪水が発生する予測が出ています。

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▲ 2014年6月8日の Radio New Zealand より。

記事によると、今日(6月 8日)あたりから、来週中旬まで非常に激しい雨が、ニュージーランドのクライストチャーチ市を含んで降ることが確定的になっていて、洪水が発生した後の、水の吸い上げについての市議会での決定に関しての報道でした。


他にもニュースを検索するといくらでも洪水の報道が出てきます。

北半球においては、2014年において、「過去最大の豪雨があった地域」や、「過去最悪レベルの洪水が起きた国」を色で示していくと、次第にすべて塗りつぶされつつあるような状況です。

昨年は、世界の洪水の報道が本格化したのは7月以降でしたので、今年もまた似たような天候状況なら、「まだ始まったばかり」と言えなくもないかもしれません。


宗教的に洪水が「浄化」なのだとしたら、こんなに何度も何度も浄化しなければならないほど、今のこの地球は穢れているのですかねえ・・・なんてことさえ思ってしまう次第です。


本当にまったく関係ないですけれど、この「穢れ」(汚れ / けがれ)というのは、もともとは、人の「気」が「涸れる」というところ、つまり「気涸れ」に由来していると聞いたことがあります。大地や、あるいは宇宙から人間に常に通じているとされている「気」が涸れてしまったと。

そういう状態が「けがれ」であり、だから人間も自然も病気になる、というような、おばあさんの話しそうな昔話風な説話もあながち疑いきれない部分もあるのかなと思うのは、たとえば、「ニュースアクセスランキング」なんて見ても下の状態だったり(・・・)。

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▲ 6月4日の Yahoo! ニュースの国内ニュースのアクセスランキング。


これらの事件の事実や善悪は、さすがにどの記事も読む気になれず、どれも読んでいない私にはまるで判断できないですが、「なるほど洪水も増えるわけだ」と妙に納得したりしたことも事実でした。