▲ 2014年7月1日の米国 Yahoo! News より。
あくまで感覚的なものですけれど、「なんだか今年は地震が多い感じはするなあ」というようなことは思っていました。
そうしましたら、今回ご紹介するアメリカ Yahoo! News の出だしはこのようなものでした。
今年2014年はいつもより地震が多い感じがすると思われている方。あなたの考えは正しい。 最新の研究では、2014年の最初の四半期に発生した規模の大きな地震の数は 1979年以降の平均と比較して、「倍以上」であることがわかったのだ。
実際に今年は地震が(今のところまでは)多いのでした。
しかも、「通常の2倍より多い」という尋常な率ではない今年の地震の数が浮かび上がります。
それだけではなく、この統計はマグニチュード7以上の「大地震」に関してのものですのです。この約 35年くらいの間に、発生件数は徐々に増え始め、ついに 2014年には「2倍」ということになったということのようです。
今年は、たとえば、過去記事の、
・2014年 3月 15日に環太平洋火山帯で「同時多発的な連鎖発生」を起こした中規模地震群
2014年03月16日
という出来事などのように、どうしても目立ってしまうような「世界全体で遠い距離のあいだで同時に起きるような群発地震」が多かったように思います。
▲ 上の記事より。
あるいは、もっと長い周期で見てみても、マグニチュード5から7くらいの間の地震については、過去記事、
・太陽活動と地震・噴火の活動に関しての2つの考え方
2011年02月17日
の中に、1900年から 2010年までのそれぞれの平均値を並べたグラフを載せたことがあります。
西暦1900年からのマグニチュード5〜5.9の地震の統計
西暦1900年からのマグニチュード6〜6.9の地震の統計
どちらも、1,000年間くらいの間に増加しているのですが、しかし、上のグラフは 2010年までのもので、今回、翻訳した記事などを見てみますと、
・その後また急激に増えている
という感覚を受けます。
なお、今回の翻訳記事は比較的長いですので、あまり余談を書かずに入りたいと思いますが、研究者のテーマとしては、
地球の遠く離れた場所同士で連動して起きる地震は単なる偶然なのか、それとも、何らかの「関連性」があるのか。
ということについて、「関連性」を探す試みをしている科学者たちの話であり、地震が増えたということそのものがメインの話ではないです。
個人的な考えとすれば、自然現象に「偶然」という概念が入り込む余地はないと考えますけれど、このあたりを書き出すと、余分に長くなってしまいますので、今年3月に書きました記事、
・虚実が混合する「地震」の話
2014年03月30日
の中の「地震予測に対しての私見」というセクションに書きました以下の部分が、私の地震予測に関心のある部分の大部分となると思います。
地震予測に対しての私見
私は現在の巷で言われているタイプの地震予測には関心を持ちませんが、地震予測の可能性が含まれているものがあるとすれば、次の2点だと思っています。
1. 大気中の赤外線量の測定と電離層中の電子数の変化
2. 銀雲
です。
というようなことを書いていますが、それぞれについてご興味のある方は過去記事などもお読みくだされば幸いです。なお、上の「1」の「大気中の赤外線量の測定と電離層中の電子数」というものについては、2011年3月11日の東北の大地震の際に、NASA が震災直前に東北の震源の上空で赤外線量の強烈な変化を観測し、同時に、上空の電離層の「電子数」というものが強烈に上昇していたことをデータで確認した、ということが発表されたことがありました。
▲ NASA の観測艇が収集した 2011年 3月 10日から 3月 12日までの赤外線のエネルギー量の変化。過去記事「衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化」より。
そのように、私は、
「地震は下(地球)だけではなく上(宇宙)からとの関係性を持つ」
とは今でも思っています。
しかしまあ、「地震のトリガー」ということに対しての考え方というものは、人それぞれ非常に多彩でして、確定していない意見をごり押しする必要もないとも思いますので、とにかく、今回は、
2014年は今までのところ記録的に地震が多い年
という事実を念頭に置かれていただければ幸いです。
これはある意味では、「2014年はこれからも地震が多く起きる可能性も高い」という意味に捉えていただいても結構です。
記事は、そのような「地震の連動」の可能性を探る科学者たちの話です。
ここからその記事です。
Big Earthquakes Double in 2014, But They're Not Linked
Yahoo! News (アメリカ) 2014.07.01
2014年の大地震は通常の倍の発生数となっている。しかし、それらに関連性はない
▲ 2014年4月4日に、南米チリでマグニチュード8.2の地震が発生。
今年2014年はいつもより地震が多い感じがする、と思われている方。あなたの考えは正しい。 最新の研究では、2014年の最初の四半期に発生した規模の大きな地震の数は 1979年以降の平均と比較して、「倍以上」であることがわかったのだ。
調査を率いたカリフォルニアにあるアメリカ地質調査所( USGS )の地球物理化学者のトム・パーソンズ( Tom Parsons )博士は、このように言う。
「私たちは今、これまでの歴史で最大級の高い大地震の発生率の時代を経験しているのです」
しかし、世界的な地震の数が増加しているにも関わらず、これらの地震の増加は、依然として「偶然」によって説明することができると、トム・パーソンズ博士と論文を共著したアメリカ地質調査所のエリック・ガイスト( Eric Geist )氏は語る。
彼らの調査結果は、地球物理学専門誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ( Geophysical Research Letters )のオンライン版に掲載された。
▲ 2000年から世界で発生したマグニチュード7以上の地震。
2014年に非常に多くの地震によって地球が揺さぶられている中、パーソンズ博士は、実際には彼が「多くの地震」というポイントから「逆」を見出すことができるかもしれないと期待している。
つまり、それは、現在の 2014年の大地震の増加は「別の巨大な1つの地震」から生まれている揺れなのではないかということだ。
以前の研究では、ひとつの地震が、世界全体を駆け巡っていくことを示していて、それは小さな地震のトリガー(引き金)となっていることも示した。
パーソンズ博士は、ライヴサイエンスのインタビューに対して、以下のように語っている。
「私たちの研究チームは、1つの地震が、世界的な規模で他の地震に対して与える影響について関心を持ち続けています。そして、私たちがそれが起きている示唆を見た時には驚いたものでした。私たちは、『偶然性では説明できない何か』の証拠を見つけることを本当に期待しているのです」。
このような研究、つまり、地震が時間と距離を越えて、その発生に関連性を持つということについての研究への試みや、その失敗は今回が初めてではない。
以前の研究では、地球上で最大規模であるマグニチュード8やマグニチュード9といった大きな地震が、マグニチュード2とかマグニチュード3などの小さな揺れ(いわゆる余震)のトリガーとなることは典型的によく見られることだ。
しかし、1つの大きな地震が他の大きな地震を誘発することについては、誰も証明してはいない。彼らは、このような地震と地震の関連の証明を統計的に見出さそうとしている。
しかし、最近の地震の嵐にも関わらず、世界の大地震はランダムに発生しているとする新しい研究が見出されてしまってもいる。
大地震と呼ばれる範囲であるマグニチュード7以上の規模の地震が発生する平均値は、1979年から1年間に 10回だったと以前の研究では報告されている。そのレートは、1992年までには 1年間に 12.5回に上昇し、2010年までには、16.7回にまで上がった。
そして、2014年の最初の3ヶ月では、マグニチュード7以上の規模の地震が発生した数は 1979年からの平均値の倍以上となっている。
地震の増加は、コイン投げの結果と統計学的には似ているが、パーソンズ博士は、「コイン投げのプロセスはランダムであっても、まれに表ばかり出ることや、あるいは、裏ばかりが繰り返し出ることがあります」と言う。
そして、以下のように続けた。
「基本的に、私たちは、2014年の最初の四半期に見たもの(異常に多い地震)の理屈を証明することはできません。これは、コイン投げのような単純な話ではないのです」。
しかし、パーソンズ博士は、巨大な地震が非常に遠い距離を越えた場所で起きる大地震のトリガーとなるという可能性について、統計学的な発見での排除はしていないと言う。
研究者たちには、単にこのような地球規模での『地震のコミュニケーション』に関するデータが欠如していると博士は言う。
しかし、マグニチュード5.6より小さな規模の地震に関して、これが全世界的スケールで連動することを研究者たちは発見している。これらの研究は、より小さな地震が他の大きな地震の発生から影響を受けていることを強く示唆している。
例えば、日本とスマトラで発生したマグニチュード9の壊滅的な大地震の後、マグニチュード5クラスの地震数が震源から最大で 1,000キロメートルを超える場所でも急増したことが見出されている。