2014年08月06日



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南極の氷が異常なほど急激に増加しているその一方で、南極に「異常に高い表面温度」を示す地域が出現。これは一体何を示すのか?



antarctic-ice-top.gif

▲ 2014年8月1日の英国ガーディアンより。後述しますが、現在の南極の海氷の面積は、観測史上最大となっていて、最近はさらに急上昇を描いています。






 



今回は「南極」のことで気になることがありまして、そのことを書きます。

それにしても、南極はともかく、私の住んでいるあたりもずいぶんと暑くなってきました。下は、私の住む場所から比較的近い熊谷の天気予報です。

kion-39-85.gif
Yahoo! 天気


見るとげんなりするような数字が並びますが、ただ、暑さに非常に弱い私が、不思議なことに今年は暑さでは、さほどダメージを受けていないのです。もちろん暑いことは暑いのですけど「まあ、夏だし」くらいで済ませている自分がいます。

日中の太陽の照りつけは激しいものがありますが、日陰ならさほど厳しい感じでもないです。特に、風が比較的涼しく感じられます。

体質が変わったのか、気候の何かが変わったのかわからないですが、まあ何となく「気温の数字ほどではない夏」といった感じはあります。

ところで、冬を迎えている南半球のオーストラリアは、現在大変な寒波に見舞われていて、アデレーデという街では、126年前の最低気温の記録を更新したのだそう。

au-cold-126.gif
abc


上の記事によると、この地域の周辺では、軒並み氷点下を下回っているそうで、また、オーストラリアは全体として、近年の寒さの記録を上回る地域が続出しています。

そして、その理由なんですが、

南極からの冷たい風


と上の記事にはあります。

さて、その南極。
ここが今、何だか気候的な意味では大変に混沌とした状況となっているようなのです。





南極を巡る混沌

冒頭の英国ガーディアンの記事は、タイトルだけでは意味がわかりにくいかと思いますが、南極は今年に入って以来、大変なことになっていまして、何が大変かというと、「データ上であまりにも氷が多い」のです。

連続して南極の海氷面積の「観測史上最高値の更新」を続けていて、上の記事では、科学者たちが、「人工衛星のデータがエラーを起こして、そのために、過大に氷の量が示されているのではないか」ということを言い始めているということなんですね。

まあ・・・この科学者の方々は、立場としては地球温暖化「系」の方々で、「このとんでもないデータを事実だと認めるわけにはいかない」という部分もあるのかもしれません。

後で最新のデータを載せますが、下のは今年の4月のもので、イリノイ大学の海氷面積の集計データをグラフ化したものです。

これを見ても、今年の南極の海氷面積が突出して多いことがわかります。

Antarctic_Sea_Ice-28Apr2014.gif
stevengoddard


このような「異常に多い南極の海氷」について、科学者たちは「観測衛星のデータのエラーの可能性がある」と言い始めているということのようです。根拠なく主張するとも思えないですので、実際にエラーである可能性もあります。

しかし、データはともかくとしても、この夏の南極は実際に「気温自体が低い」ということは確かであって、

極地の超寒冷化: 南極で6月としては観測史上で最も低い気温記録を更新
 2014年07月14日

という記事でご紹介していますが、7月に、南極のフランス基地局のあるアデリーランドでは、観測史上の最低気温を更新しています。

france-Terre-Adelie.gif

▲ 2014年7月12日のフランス気象局のニュースより。


上の記事で、ニュースを訳したものを掲載しておきます。

Coldest Antarctic June Ever Recorded
WUWT 2014.07.12

6月としては南極で最も低い気温を記録

フランスの南極基地、デュモン・デュルヴィル基地で、これまでの南極大陸の6月としては最も寒い気温が観測されたことが、フランス気象局によって報告された。

南極では「地球温暖化」の傾向をまったく無視するかのような非常に低い気温が続いている。

フランス気象局の発表によれば、南極の今年の6月の平均気温はマイナス 22.4℃となり、これまでの観測記録の平均より 6.6℃低かった。そして、これは同基地で観測された6月の平均気温としては、これまで最も低い気温の記録となった。

また、南極の6月でこれまで最も気温が低かったのはマイナス 34.9℃の記録があるが、この記録も更新した。

そして、6月の南極の日照時間は通常は平均 7.4時間なのに対して、今年の6月は 11.8時間あるという珍しい特徴があり、静かな風が異常に吹いているという特徴がある。



上の短い記事では、気温が低い他にも気になるフレーズがあります。

・日照時間が平年とかなり違う
・静かな風が「異常に」吹いている


という普段の南極とは違った現象が、地域的な条件もあるでしょうけれど、起きているところでは起きているらしいのです。

そんな中、「どう考えていいのかわからないデータ」があります。





南極の混乱を示す2つのデータ

まずは、最新の「南極の氷の面積のデータ」をご覧下さい。

antartic-seaice-0805.gif
sunshine hours


今年の南極の氷の面積は、もともとずっと観測史上で最高かそれと並ぶ数値を示していたのですが、この1週間ほどで今まで以上に急激に増え始めているのです。

海氷が増えたからといって、気温が下がっているということでもないのかもしれないですが、ただ、

「暖かくなっているということはないだろう」

とは思いますよね。

ところが!

もうひとつのデータを見て、私は愕然としました。
そして、南極の一部地域に「異常に高い表面温度」に見舞われている場所があるのです。





平年より「 20度近く表面温度が高い状態」が継続している地域

下はアメリカ海洋大気庁( NOAA )の 7月 30日から 8月 5日までの全世界の地球の表面温度の平年との差を示したデータです。

surface-2014-0805s.gif
NOAA


平年との差は、世界全体としては「白い部分」、つまり、平年とほぼ同じ程度の表面温度のところが多く、続いて、黄色や緑色などの「平年の記憶より 6度から 10度くらい高い」(これはこれでかなり高いと思います)地域が続きます。日本も平年より高いですが、これはまあ、今の状況から理解できます。

しかし、世界の大部分では「極端に異常な温度差」が表示されているところはあまりないこともわかります。

南極以外は。

南極の真っ赤な部分は、平年より表面温度が「 18度以上高い」ということになり、さらに、昨日の8月5日のデータに至っては、下のような状態になっているのです。

surface-s-0805.gif
NOAA


平年より 20度高いというのは、地球のどこの地域であっても、「一種の異常」だと思います。

よく見てみますと、南極の他の部分も黄色などの色が多くなっていて、表面温度が平年より 10度以上高い地域が多いということも示されています。その一方で、平年より 18度以上「低い」ところなども見受けられます。

しかし、全体としては、

南極自体の気温は低下していっているのに、「南極全体の表面温度」はかなり上がっている。


ということのようです。


いったい、南極で何が起ころうとしているのか?


特に真っ赤な地帯はどうしてそんなに表面温度が高くなっているのか。

メタンか天然ガスが噴出したり、新しい海底火山でも活動している?
それとも、シベリアみたいな大きな穴でも開こうとしている?

そういえば、ちょうど1年ほど前に、南極の記事で、

南極の「氷床の下」からウジャウジャと何かが露出し始めた?
 2013年08月17日

というような記事の中に、

南極で部分的に地表から消えている氷の「下」から何か出てきている?


などということを書いたことを思い出したりしました。

いずれにしても、海氷が増えている一方で「超高温」に見舞われている地帯がある南極で何が起きようとしているのか、目が離せない展開となってきているのかもしれません。