2014年08月07日



2015年10月7日に In Deep は http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




エボラ患者がアメリカへ搬送された理由。あるいは、生物兵器として有効化し始めたかもしれないこと



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▲ 2014年8月5日の Vox より。


エボラ出血熱での死亡者は一気に 900人を越え、サウジアラビアでも死者が出て、アメリカとイギリス( RT )でも患者が発生しています。

下は、8月 5日時点までのエボラ出血熱の患者数、死者数のグラフですが、8月 5日に 887人と発表された死者数は、その翌日には「死者数 923人」と発表されています。毎日の死者の数が急激に上がっているのです。

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AFP


特に、7月中旬からの死者の急増は、「制御不能になっている」ことを示すかもしれないことで、また、7月下旬には、医療ボランティアやキリスト教系の人道団体も、現地を退避しています( CNN )ので、治療や、遺体の扱い(感染は血液や体液からによるため慎重な扱いが必要)など、多くの面で状況は悪化していく可能性も強いです。



過去から実験されていたエボラの血清治療

冒頭の報道は昨日のもので、新しいものですが、内容的は以下のことについて、事実と憶測を兼ねて書いているものです。CNN の報道からの部分的な抜粋です。

エボラ感染の米医師、未承認薬で「奇跡的に」容体改善か
CNN 2014.08.05

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・左の男性がケント・ブラントリー医師。

西アフリカのリベリアでエボラ出血熱に感染した米国人のケント・ブラントリー医師は、人間に使われた前例がない未承認薬の投与で症状が大幅に改善したことが5日までに分かった。複数の情報筋が明らかにした。

この薬は、米カリフォルニア州サンディエゴのマップ・バイオファーマシューティカル社が開発している「ZMapp」。冷凍状態でリベリアへ運ばれ、発症から9日後のブラントリーさんに投与された。

ZMappはまだ臨床試験の段階にない。エボラ出血熱に感染したサルの実験では、感染後24時間以内に投与した4匹と、48時間以内に投与した4匹のうち2匹が生き延びた。治療を受けなかった1匹は感染後5日以内に死んだ。

現場の事情に詳しい複数の情報筋によると、ブラントリーさんとライトボルさんはZMappが開発初期だという危険性を承知したうえで投与に同意した。

薬はブラントリーさんの病室に運ばれ、投与された。それから1時間もたたないうちに、ブラントリーさんの症状は劇的に改善する。呼吸が楽になり、体中の発疹も消えた。医師団の1人は「奇跡的」な出来事だったと振り返る。

翌朝、ブラントリーさんは帰国便に乗り込む前に自力でシャワーを浴びるほどまで回復していた。



このようなことがあったのです。

その後のこの医師の回復状況は明らかになっていませんが、多分、ここまで改善したのなら、完治する可能性が高いと思われます。

冒頭の記事のタイトルは「科学実験の対象」とありますが、人体実験的なニュアンスの話ではなく、どんなウイルスの発明もそうだったように、エボラ・ウイルスに対しても過去にも何度かワクチンや「血清」治療を試みていた歴史が記されています。そして、少数の例とはいえ、効果を示していたのです。

「血清」というのは、知られているのは、毒蛇にかまれた際などに血清を使うことなどだと思いますが、ワクチンのような予防ではなく、治療に有効な材料です。

血清療法 - コトバンク

ウマその他の動物を,病原体またはその産生毒素で高度に免疫し,多量の抗体を含むその血清を注射する伝染病の治療法。



これは、かつてのアフリカでのエボラの流行の際にも「試み」としておこなわれていました。たとえば、1995年のコンゴ民主共和国での流行の際のエボラ出血熱では「死亡率が 80パーセント」に達していたのですが、8人の患者に血清を投与したところ、その8人の中の7人が死亡せず、治療することに成功したのでした。

血清により劇的に死亡率を下げることに成功していたということになります。

これは当時の医療報告書や医療ジャーナルに報告されていたものですが、しかし、その後の実験では、どのような理由によるものかはわかりませんが、血清治療に関しての研究は進行されなかったために、発見から数十年たった現在でも、

エボラ出血熱には一切の治療法がない


というままになっているのが現状のようです。

しかし、アフリカの現地で治療に当たっている医師の中には、公的な形ではなくても、その「血清治療の存在」についての知識を持つ人たちはいると思います。

私などは、エボラのような病気の治療にあたる現地の医療スタッフたちには尊敬の念を感じずにはいられませんが、その一方で、治療と共に「治療法の開発も行う」という目的もあると考えています。

できれば、ワクチンなども作りたい。

そういえば、ロシアでもエボラ出血熱のワクチンを作る計画があるようなことが、先日のロシアの声で報じられていました。

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VOR


数十年前からあったウイルスに対して、なぜ今このようになってきているのか?




生物兵器としてのエボラ出血熱

それは以下の報道のタイトルに理由があると思われます。

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news.com.au


なんとなく奇妙な文脈だと思われませんか?

ブラントリー医師が実験的な抗体血清で「症状が改善した」


のなら、それは喜ぶべきことで、なのに、なぜ、

エボラの「汚い爆弾」を懸念している


のか。

ちなみに、汚い爆弾というのは、一般的には核汚染を引き起こす兵器のことを呼びますが、ここでは、「生物兵器」のことを比喩的に記述しているようです。

この文脈を理解するには、テロではなくとも、通常兵器としての「生物兵器」の定義を見てみることで理解できる面もでてくるかもしれません。 Wikipedia - 生物兵器には以下の一文があります。

治療法があって自分の身を守りつつ敵国にダメージを与えられる細菌やウイルスが適し、治療法が確立していないものは適さない



つまり、世界最悪の感染症のひとつであるエボラ出血熱に、これまで細菌兵器としての懸念が出てこなかったのには、「いかなる治療法もない」というこの病気の特徴にあったのです。

しかし、「仮にワクチンや治療法が確立すれば、ただちにエボラ出血熱は生物兵器として研究対象となり得る」ということが上の記事のタイトルの意味だと考えられます。

今回、アメリカ人医師がこのまま病気が完治した場合、テロ組織のような小さなものだけではなく、「国家の軍事的計画」として、研究開発を始めるところも出てくるかもしれません。

生物兵器の特徴は、さきほどの Wikipedia から引用しますと、

生物兵器は感染者が移動することにより広範囲にわたって影響を及ぼす。特に近年は、丸一日あれば世界のどこにでも行けるほど移動手段が発達しているため、被害は想像以上に大きくなる可能性がある。

特にテロに使用されやすいとするもう一つの理由は潜伏期間の問題で、感染してから数日たってから発病するため、感染経路の特定が難しく、その間に実行犯は国外などへの逃走が可能となる。




ということがあります。

つまり、「誰がおこなったかを特定することがとても難しい」という特徴です。

エボラ出血熱の致死率を見ると、生物兵器として着目されなかったことがむしろおかしいのですが、それを食い止めていたのが「治療法がない」ことだったと言えそうです。

攻撃したほうまで被害に遭うものは兵器としての意味をなしません。

そして、今回、完全な血清やウイルス、そして「患者自身」を手にしたアメリカと、そして、イギリスにも感染者がいますが、それらの国では、本格的にワクチンか血清治療かはわかりませんが、その方法を確立させていくものと思われます。

日本の厚生労働省は、平成 13年( 2001年)に、「生物兵器テロの可能性が高い感染症について」という資料をリリースしています。


生物兵器テロの可能性が高い感染症について
平成13年10月15日
厚生労働省


地生物兵器テロとして用いられる可能性が高い、4種類の病原体・毒素による疾病の概要、治療等に関して、厚生労働省で取り急ぎまとめましたので、ご参考にしていただければ幸いです。

(1) 炭疽症
(2) 天然痘
(3) ペスト
(4) ボツリヌス症




ここに

(5) エボラ出血熱


というのが加わることを英国の科学者は懸念しているようです。

また、今回のアメリカのブラントリー医師への血清投与に関しては、製薬会社などの問題も絡む可能性もありそうで、かなりスケールの大きな話でもありそうですが、製薬会社の利害関係とか、そのようなものは私にはよくわかりませんので、兵器としてのエボラということに関して書かせていただきました。

まして、今は「大量死」の時代であり、そして、西側とロシアや中国などが、かつてないほど対立している時代でもあります。今後もエボラについては、書くこともあると思いますが、今回は、上の news.com.au の記事をご紹介して締めたいと思います。




UK raises fears of Ebola “dirty bomb” as doctor Kent Brantly ‘improves’ after taking experimental antibody serum
news.com.au 2014.08.05


英国は、ブラットリー医師が実験的な抗体血清で「症状が改善した」ことについて、エボラ・ウイルスの「汚い爆弾」を懸念している


専門家は、テログループたちが、エボラウイルスを含む「汚い爆弾」(生物兵器)を英国の都市で使用する可能性に懸念をしめした。

英国サン紙は、このような壊滅的な攻撃の懸念が、英国ケンブリッジ大学の生物学的人類学者であるピーター・ウォルシュ博士( Dr. Peter Walsh )によって提起されていると報告した。

博士は、テログループが粉末としてウイルスを管理し、それを使用した爆弾を人口密度の高い公共エリアで爆発させると、恐ろしい数の死者が発生する可能性があると語る。

最先端の研究施設にある一握りのエボラウイルスは、現在厳重に管理されているが、アフリカのテログループ、たとえば、ボコ・ハラムのようなメンバーの者なら、西アフリカから直接、感染したサンプルを獲得することが可能だろう。

「これは非常に重大な脅威だ」と、ウォルシュ博士は言う。

1976年にはじめて発見されたエボラウイルスは、現在までに感染者の3分の2が死亡している。


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