
▲ 2014年8月2日のペルー El Comercio より。
ナスカの地上絵の中でも有名なものの位置関係

ナスカの地上絵で有名なペルーの平原で、「砂嵐による強風によって」新たな地上絵がふたつ見つかったということが報じられています。
最初に報じたのは上のペルーのメディアです。
このナスカの地上絵は、存在自体も不思議なものではありますが、今回興味を持ったのは、
「今になって、強風で砂が吹き飛ばされたことによって突然出現した」
ということです。
他のものはかなり以前(最初に発見されたのは 1939年)から次々と発見されているわけで、つまり、強風で砂が吹き飛ばされて出現するのなら、もっと以前から出現してもよかったのではないかと。
この混沌とした 2014年に「唐突に姿を現した」というところに何となく興味を持ったのです。
発見したのは、ナスカの砂漠を飛行調査していた地上絵の研究者であるゴメス・デ・ラ・トーレ( Gómez de la Torre )博士でした。
新しく見つかった地上絵は以下の2点です。
ペルーのチャングリオ( Changuillo )の平原で発見された地上絵

▲ トーレ博士は、何らかの鳥と考えているようです。
フマナ(Jumana)で見つかった地上絵

▲ 曖昧な感じの地上絵ですが、博士は「ヘビ」だと考えているようです。
長さは 60メートル。
ナスカの地上絵は、存在としてあまりに普通に有名になっているので、その「不思議さ」を忘れがちですが、 ナスカの地上絵の Wikipediaを読んでみても、改めて、その不思議さを思います。
以下は、 Wikipedia からの抜粋です。
あまりにも巨大な絵が多く、空からでないとほとんどの地上絵の全体像の把握が難しい。このような巨大な地上絵を何故描いたのかというのが大きな謎の一つとなっている。
成層圏などの超高々度からでなければ見えないものもある。
地上絵の線についてはマリア・ライヒェが、夏至と冬至に太陽が日没する方向に一致するものがあることを明らかにした。
線の方向についてコンピューター分析を行ったところ、1年の太陽と月の運行の方向に合うものが偶然と考えられる場合の2倍に達するという結果を得ている。
「宇宙飛行士」などと呼ばれているもの、片手が4本指の「手」など不可思議な図柄もある。
というような記述を目にします。
最初の「空からでないとほとんど見えない」ことについては、興味深い写真が載せられています。
下の写真の木( Tree )と呼ばれている地上絵を地表から見た光景です。
この地上絵の大きさは上下が約 83メートルです。

まず、地上約 1.5メートル(大体、人の目線くらい)からだと、地上絵の「線」さえ見えません。
地上約 1.5メートルから地上絵「木」を見る
そして、5メートルの高さから見て、ようやく「線が少し見えてくる」のです。
地上約5メートルから地上絵「木」を見る
つまり、「身長が5メートルの人なら、線を確認できる」ということになりそうです(笑)。
ちなみに、 Wikipedia にある「宇宙飛行士」と呼ばれているものは下の地上絵です。

また、「4本の指の手」の地上絵はこちらのものだと思います。

片方の手だけが4本となっていて、何となく日本の「指詰め」を彷彿とさせます。
ちなみに、これらが描かれた時期ですが、 Wikipedia によりますと、紀元前 200年から紀元後 800年と、千年近くに渡って描き続けられたものであるとされているようです。
見つかった地上絵の「鳥」と「ヘビ」はマヤの創造神の象徴
今回新しく見つかった地上絵は、最初に発見した博士が見るところによると、それぞれ、「鳥」、そして、もうひとつのは「ヘビ」ではないかということでした。

この「鳥」と「ヘビ」というのは、合わさると、メソアメリカ文明では強い存在となるもので、たとえば、マヤ文明やアステカ文明の神話の神「ケツァルコアトル」は、「羽毛のあるヘビ」という意味で、マヤ文明ではククルカンと呼ばれますが、どちらも同じ神で、そして、マヤ文明では
「創造神」
なのです。

▲ テリェリアーノ・レメンシス絵文書( Codex Telleriano-Remensis )にある、やや恐ろしげなケツァルコアトル。
創造神という意味では、あらゆる宗教の神と同じような存在であるといえそうで、こちらのページには以下の訳文が出ています。
ケツァルコアトルは、しばしば、それを崇拝していたメソアメリカの人々とは似ていない白く光り輝いているものとして描かれます。
また、多くの場合、ケツァルコアトルは「羽を持つ蛇」として描かれます。蛇が人間の DNA か物理的な現実を表していて、羽は、人間の起源への意識の上昇を表している、とされています。
ケツァルコアトルは、トト ( Thoth =神の書記官)が、神聖な幾何学を通して表したものですが、あくまで現実として描かれています。
それは、「空から来て、また戻ると約束した」という、ひげもじゃの白い神として描かれているので、モルモン教徒学者たちの中は、イエスをケツァルコアトルと信じる者もいます。モルモン教によると、イエスは、彼の復活の後にアメリカ人のネイティブを訪問したとしています。
というように、
モルモン教徒学者たちの中は、イエスをケツァルコアトルと信じる者
もいるというような考え方もあるもののようです。
あるいは、この「ヘビ」というのも、過去記事でよく取り上げたものでした。
過去記事の、
2012年04月08日
では、「ケツァルコアトル」という名前がつけられた小惑星があることもご紹介していました。
小惑星ケツァルコアトル( 1915 Quetzalcoatl )の軌道

ケツァルコアトルは「金星を象徴する神様」だそうですが、小惑星ケツァルコアトルも、また「水星と地球と金星を守るように周回している」軌道を持っている小惑星です。
そんなわけで、2014年に突如として現れた新しい「鳥とヘビの地上絵」は、神様の再来の兆し「的」なものなのかどうなのか・・・というような、ロマン系の考えをしたくなるのも、現実の社会の殺伐さが絶好調に達しているからかもしれません。