2014年08月16日



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始まった「エボラ戦争」のこれから



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▲ 2014年8月11日ロシアのプラウダより。


上のプラウダの記事は、ここではとりあえず置いておきまして、エボラ出血熱そのものの状況ですが、その死者数を急激に加速させています。

8月11日のデータでは、「2日間だけで 56人が新たに死亡した」と CNN などが報じました。

しかし、この数についても、それが正確なものかどうかは、少し前の「アメリカ本国がエボラ・ウイルスを迎える日」という記事で、国境なき医師団のギニアの代表が、

「感染者が出ていながら、我々がまだ把握できていない場所が多数ある。制御できないまま、状況が悪化し続けている。」

と語っていた通り、数字は「大体」という形だと考えてもいいいのかもしれません。しかし、その点を別としましても、感染スピードと死者数が急激に上昇していることは確かなようです。

そんな中、さまざまなエボラに関しての混沌としたニュースが報じられていまして、いくつかご紹介したいと思います。




エボラを巡っての各国の大混乱

アフリカでは、当然のことながら、どの新聞も一面はすべてエボラです。
下は 8月 7日のナイジェリアの屋外の売店の様子。売られている新聞は、どれもエボラ出血熱関係の記事がトップニュースのようです。

nigeria-newspaper.jpg
mashable


しかし、アフリカ以外でも次第に報道の枠が拡大しています。
いろいろな国の状況を簡単にご紹介したいと思います。


バルカン半島各地でもエボラ疑いの患者が複数現れる

まずは、唐突感のある「アルバニア」で、5人のエボラ出血熱の疑いのある患者が発見されたというアメリカのニューズウィークの報道です。

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▲ 2014年8月14日の Newsweek より。


これは、簡単に概要を書きますと、

検疫を受けた5人のアフリカ人不法移民が、アルバニアでエボラ出血熱の症状を見せている。

というものです。

そもそも、「アルバニアってどこだ?」と地図を見ますと、下の緑の位置にある国です。

albania_map.gif


ギリシャと隣接するヨーロッパのバルカン半島地域の国なのですが、アフリカなどからの不法移民が「ギリシャ経由」で大量に押し寄せるのだそう。

上のニューズウィークの記事にも、

この5人はギリシャを経由して、アルバニアに不法に到着した。

とあります。

そして、このニュースが報じられる前には、

モンテネグロでエボラ出血熱に感染している疑いのある患者が隔離された。

という報道があったことをニューズウィークは伝えています。

このモンテネグロというのは、アルバニアと隣接した国で、地図の矢印で示したあたりにあります。

さらに、このニューズウィークの記事では、

セルビアでも、リベリア、シエラレオネ、ギニアとナイジェリアから来た14人を医師の観察下に置いていることをブルガリアの新聞が報じた。

ということで、あくまで、これらはすべて「疑い」でしかないですが、ヨーロッパ方面に向けて拡大を始めた可能性もあります。

もっとも、これらの不法入国者の問題とは別に、「アフリカ以外で次にエボラが拡大する地域は、ヨーロッパの可能性が高い」ということは、少し前から言われていました。

下は今年8月に WHO が集計をとった、「リベリア、シエラレオネ、ギニア(エボラ出血熱の流行地)から航空便に乗った乗客の最終目的地がどこか」ということをあらわしたものです。

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Vox


エボラ出血熱の流行地の3カ国からの乗客のうちの3割ほどの人たちの最終目的地がヨーロッパとなっているのです。

ヨーロッパで、「アフリカへの渡航経験のない人の中にエボラ出血熱の患者が他に現れる」ようなことがあったとすれば、ほんの少しずつではありますけれど、欧州地域にも感染が拡大してもおかしくはない状況にあるのかもしれません。

エボラ出血熱は感染スピードが強力な病気とはいえず、アフリカでも、現在のような爆発的な感染状況に至るまでには、6ヶ月以上の時間がかかっています。なので、仮に他の国に拡大することがあるとしても、最初は非常に穏やかなペースだと思われます。

それにしても、ギリシャなどにも多数のアフリカ大陸経由での難民や不法移民がやってきますので、地中海諸国も含めて、それらの周辺地域は全体としてあまり安心していられない部分もありそうです。

ところで、アフリカではナイジェリアでもエボラ出血熱の患者が確認されていますが、この「ナイジェリアの今後」の状況も気になります。

それは下のようなことがあったからです。



ナイジェリア政府の「非道」

現時点で 11人のエボラ出血熱の患者が出ているナイジェリアでは、「エボラとは関係のないストライキをした医師たち1万人以上が政府から一斉に解雇される」というニュースが伝えられているのです。

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▲ 2014年8月15日のアルジャジーラ Nigeria sacks 16,000 doctors in midst of rising Ebola concerns Nigeria sacks 16,000 doctors in midst of rising Ebola concerns より。


このストライキは単に「賃金や労働条件の改善を要求する普通によくあるストライキ」だったのですが、ナイジェリア政府は、これから本格的にエボラ対策に乗り出さなければならない時だというのに、それに参加した医師と医療関係者たちを解雇してしまいました。

その数 1万 6000人。

この「エボラ危機」の中で大量の医者を解雇することに、国民などから非常に怒りの声が上がっていて、地元の新聞では、下のように見出しに「非道」などの文字を交えて報道しています。

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Breitbart


ナイジェリアに何人くらいの医者がいるのかはわからないですが、 1万 6000人の医者がすべて解雇されるという数は少なくはないと思いますし、何よりすでにエボラ患者が出ている状況では、この政府決定は、「非道」というか、何とも「負のエネルギッシュ性」を感じる政策決定だと驚いた次第です。




アメリカ人の想い

少し前の記事で、アフリカで治療に当たっていたアメリカ人のケント・ブラントリー医師が米国で治療を受けるために送還されたことなどについてふれました。

そのアメリカの人たちが「今後のエボラとアメリカについて、どのように考えているか」ということをとてもわかりやすく示しているのが下の報道です。

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▲ 2014年8月14日の Fox Newsより。


この世論調査の数値を正確に書きますと、

「エボラ・ウイルスが米国に感染の影響を及ぼす」と考えている人の割合は 62%で、その中でも「非常に懸念している」という人の割合も 30%にのぼっています。

とはいっても、現時点では、さまざまな面から見て、アメリカ本土でエボラ感染が「自然に」広がるという可能性は考えにくいことで、ありうるとしたら、「自然ではない何か他のキッカケ」しかないとは思います。

先日の記事、

エボラ患者がアメリカへ搬送された理由。あるいは、生物兵器として有効化し始めたかもしれないこと
 2014年08月07日

で取り上げたような「人為的」なことが加わると、話も違ってくるのかもしれないですが。

今回は、本当は、このことを含めて、冒頭のロシアのプラウダの「米国は生物兵器としてエボラウイルスを作った?」という記事を翻訳して締めたいと思っていたのですが、お盆の余波というか、いろいろと時間が足りなく、明日以降ご紹介できる時にしたいと思います。


いずれにしましても、すでに、エボラは、国境なき医師団の会長が下のように「戦争状態」と語っている状態に突入しています。

war-ebola.jpg
時事通信


ちなみに、上の会長の話の中に、

現地では感染に対する恐怖心がまん延し、「あいさつの握手をしなくなった」と語った。

という部分がありますが、現地の Facebook で下のような写真を見かけました。
本気なのか冗談なのか。

shake-hands.jpg
Facebook


この「戦争」の終結がどのように訪れるのかはわかりませんが、すでに、過去最大の患者数を出したという問題を通り越え、「過去最大の広い地域へとウイルスが拡散した」という事実の重みは多少あると思います。

つまり、この病気の流行が収まり、そのことを忘れた後にでも、また世界のどこからともかく「ふと芽を出す」という状況が整いつつあるという意味なのかもしれません。