2014年08月18日



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東アジアとアフリカ、そして全世界に存在する物理的なネットワーク( with エボラ・ウイルス)



8月14日のコートジボワールの首都アビジャンの電光掲示板

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Fox News


最近、エボラのことを取り上げることが多いですが、毎日毎日いろいろな報道があります。

主要感染地域のひとつであるリベリアでは、

武装集団が「エボラは存在しない」と叫びながら、エボラ出血熱患者の隔離施設を襲撃して、その後、エボラ患者 20人から 30人が逃走した。

という出来事も起きています。

エボラ熱の隔離施設を襲撃 リベリア、患者20人逃走
日本経済新聞 2014年8月18日

フランス公共ラジオは17日、エボラ出血熱が猛威を振るう西アフリカ・リベリアの首都モンロビアで、武装した男らが「エボラは存在しない」と叫びながら、感染者の隔離施設を襲撃し、少なくとも患者20人が逃走したと報じた。

目撃者によると、男らは夜中にドアを壊して侵入。「大統領は(支援などによる)金が欲しいだけだ」とエボラ熱の流行を否定し、施設内の物を略奪していったという。

リベリアやシエラレオネでは治安部隊が感染地域を封鎖し、市場が閉鎖されるなどして食料価格が高騰し、社会に混乱が広がっている。



「エボラは存在しない」と叫んでも、やはり存在はするわけですが、このような考え方、あるいは、「何らかのアメリカなどの陰謀」だと考える人たちの数は多いようで、そのあたりのために、上のような「患者の拡散」という事件も起きてしまっています。

ちなみに、患者が逃げた施設そのものかどうかはわかりませんが、同じリベリアの首都のスラム地区「ウエスト・ポイント」にある「エボラの隔離施設」というものがどのような状況下にあるものかというと、8月 17日のグローバル・ポストに下の写真が掲載されていました。

リベリアの首都モンロビアの西部のスラム地区ウエスト・ポイントにあるエボラ隔離センターの様子

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Global Post


このような状態の場所ですので、逃走した患者の数が、報道によって、10人だったり、30人だったりと様々なのは仕方のない感じもいたします。多分、もっとも正確なのは、「何人逃げたかはよくわからない」というところではないでしょうか。

「隔離センター」などという響きは、管理されている雰囲気を持つ響きですが、いくつかの写真を見ると、

「単に隔絶するために選ばれたスラム地区」

というイメージもしないではないです。

そもそも、過去記事でも書きましたが、7月の時点から、エボラの流行地では、

・医療ボランティアたちが退避を開始
・人道団体も次々と出国
・いくつかの国では国境を閉鎖


というようなことになっていまして、それに加えて、前回の記事で書きましたように、ナイジェリア政府などは、自国で患者が出ている状況に関わらず、賃上げストライキに参加していた医師たち 16,000人を解雇したりしています。

nigeria-16000.gif
アルジャジーラ


そんなわけで、 WHO や、あるいは国境なき医師団などが奮闘しているとはいえ、少なくともアフリカでのエボラ拡大の現在の状況は「地域的には放置されつつある場所が出現している」といえるように思います。

特に、エボラ・ウイルスは体液感染が主ですから、上のリベリアの隔離施設のような「人々が肌を寄せ合うようにしているような状況」はどうにも心許ない感じもします。




さらに拡大していっているかもしれない感染地域

先日の記事、「始まったエボラ戦争のこれから」では、すべて「疑い患者」で、エボラと確定しているわけではないですが、

・アルバニア
・モンテネグロ


でも、病院で隔離され、経過を観察されている複数の人々がいることを書きましたが、8月 17日のインドのメディア「タイム・オブ・インディア」では、ニューデリーの病院に3人の「エボラ疑い患者」が運ばれたことが報じられていました。

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The Time of India


下がその内容です。

ラム・マノハール・ローヒアー病院に3人のエボラ疑いの患者が搬送

8月16日の午前にニューデリーに到着したナイジェリアから来た3人は、必要に応じての検査と治療のため、ニューデリーのローヒアー病院に入院した。これら 79歳、37歳、4歳の3人は到着時に熱があり、国立疾病管理センター( NCDC )でサンプルの試験が行われている。

これに加えて、ナイジェリアから帰国したチャッティースガル州の32歳の インド人もビライの病院に入院しており、 NCDC で検査がおこなわれている。



アフリカには「熱を伴う病気」は、マラリアなどをはじめとして、とても多く、ほとんどの場合はそのようなものだと思うのですが、何しろ今の状況が状況ですので、「流行地から帰国して、何らかの症状がある」という場合はすぐに隔離と検査が「どの国でも」おこなわれています。

もちろん、今の「どの国でも」という書き方はまったくブラックなジョークでしかなく、先のナイジェリアの例にしても、リベリアの「隔離」の実態にしても、あるいは、流行地の周辺では、内戦や紛争が多い場所も多く、満足な試験や治療ができない場所が多いと思われます。



手を伸ばすだけで最強の生物兵器が手に入れられるアフリカのテロ集団

また、前にも書きましたけれど、アフリカとその周辺の地域には、中東の「イスラム国」や、ナイジェリアのボコ・ハラムなど過激なテロリスト集団も多く、そんな彼らの中には「エボラに感染した人をいつでも獲得できる場所」で活動している者たちもいます。

たとえば、ボコ・ハラムなどは日常的に人々の誘拐などを繰り返して、数日前にも、アメリカの CNN で「ボコ・ハラムが村襲撃 約100人誘拐 28人殺害」と報じられていましたが、この「誘拐」というのも、たとえば、以下のような使い方もできなくもないかと感じます。

もちろん、「あくまで、たとえば」であって、こんな非人道的なことは考えるのも良くないことですが、どうも頭の中にふと浮かんできてしまいます。

その方法とは、


1. 誘拐した人たち多数を1度に同じ部屋に監禁する

2. そこにエボラ出血熱の感染者も入れる

3. 数日後(つまり発症前)に全員釈放して、「自由な場所へと」逃がす


ebola-weapon.jpg


というだけです。

この方法だけでも、十分に「攻撃方法」としては有効なのではないかと私は思ってしまったりするのですが。

それだところか、誘拐されていた各自が「自由な場所へと逃げ出していい」とされたのですから、「自由意志で動く生物兵器」というような概念を適用できる可能性さえあります。


まあ、それはともかくとして、東アジアに住む私たちは「なんとなく遠い話」として、エボラの話を考えてしまいます。私もそうです。しかし、今日、ある記事を見て、ふと、アフリカはそんなに遠い国ではないかもしれないと思ったりしたのでした。




東アジアとアフリカの関係

今日見たその記事というのは、ラジオ・フリーアジアの下の記事です。

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▲ 2014年8月15日のラジオ・フリーアジア韓国語版より。


要約しますと、

北朝鮮がアフリカのジンバブエで大規模な農地の確保に乗り出し、ムガベ政権からジンバブエの代表的な穀倉地帯を確保することに成功したことがわかった。北朝鮮は、この地で、米やトウモロコシなどの穀物を栽培する計画を立てているという。

北朝鮮は 2011年にジンバブエに食糧支援を要請するなど、農業分野での協力に大きな関心を見せている。

慢性的な食糧不足に苦しんでいる北朝鮮は、最近になってロシア極東地域を中心に農業協力を強化するなど、食糧確保に努めて​​いる。元米下院外交委員のデニス・ヘルピン氏は、北朝鮮とジンバブエは多くの分野で協力する余地が多いと指摘している。



というようなものでした。

北朝鮮はともかく、考えてみると、東アジアでも特に中国などはアフリカでの開発をかなり積極的におこなっていて、人員の交流も大きなものとなっているはずです。

たとえば、2006年から 2012年までに中国の企業がアフリカの鉱物資源のために投資をした国は以下のようになります。

ch-africa-investment.gif
独立暁星法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構


ギニアやシエオラレオネといった、現在のエボラ出血熱の流行地とも多くの企業的な人材交流がありそうな感じです。

というわけで、最近のエボラの様々な状況をまた少し書かせていただいたわけですが、今回の締めは、先日の記事「始まった「エボラ戦争」のこれから」で、ご紹介できなかった、ロシアのプラウダの記事「米国は生物兵器としてエボラウイルスを作ったか?」というものをご紹介しておきたいと思います。

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Pravda

ちなみに、先に書いておきますと、この記事は、タイトルとは違い、「エボラのワクチンを最初に作るのはロシアだ」といういかにも冷戦下らしい内容の記事となっています。




USA created Ebola virus as biological weapon?
Pravda 2014.08.11

米国は生物兵器としてエボラウイルスを作成した?

アフリカのジャングルの奥で生まれた致命的なエボラウイルスの流行は、前例にないスピードで世界中に広がっている。

公式統計によると、犠牲者の数はすでに 1,000人を超えており、感染者の数はほぼ 2,000人に近づいている。 WHO はこの病気に対しての世界的な脅威を宣言した。

このエボラに対処するための方法は何かあるだろうか?

実は、このエボラに対するワクチンが存在することが判明した。アメリカ国防総省の科学者が 30年前にそれを開発したとされ、薬剤のためのすべての権利は、米国の政府に属している。

今回の流行で感染した米国の2名の医師は、ワクチン注射を受け、彼らはすぐに病気から回復し始めた。

なぜこれが今になって大々的に公開されている?
なぜワクチンの使用のためのすべての権利を米国が保有している?

これらの質問に対してはふたつの最も明白な答えがある。

そのひとつとして、エボラが完璧な生物兵器であるという可能性である。エボラ・ウイルスはすぐに広がり、ほぼ 100%の死亡率を示す。ワクチンがあれば、他者に対しての影響力を行使できる。

ふたつめの答えは、純粋に商業的な関心だ。エボラは、鳥インフルエンザなどいくつかの流行の場合と同様に、メディアの助けを借りて、人心をパニック状態に置くのに十分である。その後、任意の価格で治療薬を販売することが可能となるわけだ。

しかし、ロシアの科学者たちは、アメリカ人が実際に治療薬を作り出したことを疑っている。

ロシアの科学者たちもまた、エボラに対するワクチンを作成するため、ウイルスの性質を特定するための研究を行っている。

なお、ソ連時代からの科学者であるアレクサンダー・ブテンコ博士は、未知のウイルスが発見されたギニアの熱帯雨林で 1982年から毎年ほぼその地で過ごした経験を持つ。 そのため、ロシアの科学者がワクチンを作成するための最も広範な科学的な基盤を持っていると、ブテンコ博士は述べる。

あるロシア人研究者は、「現在、エボラのワクチンは、経過した5つの試験の結果が非常に良く、じきに最終段階に行く着くと思われるが、その時期については、誰も明言はできない」と述べている。