2014年08月25日



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地球を動かしているものは何か : 一夜にして出現したメキシコの断層、シベリアのクレーター。そして、磁極から遠く離れたアメリカ周辺で続く地殻異変と多すぎる地震



8月21日に英国カウスヒルに突如間いた直径60メートルのシンクホール

穴の上に写っている小さな影が人の大きさです。

uk-sinkhole-2.jpg
Daily Mail






 



最近、冒頭のようにイギリスのカウスヒルという場所で、直径 60メートル、深さはわからないようですけれど、記事によると「相当深い」シンクホール事例が発生しました。

上の写真の穴の上に立っているのは、この穴の近くに住む住人の方なんですが、何とこの穴は、その方の自宅のたった「 80メートル先」に開いたのだそう。

house-and-hole.jpg
BBC


このあたりは、1800年代に鉄や鉛が掘り出されていた炭鉱があった地域も含まれるとされている場所で、そのせいではないかと考えられているそうですが、これまでの 200年間にこんなことはなかったので、住民もやや不安なようです。

調べてみると、英国では昨年、別の場所で、さらに巨大なシンクホール事例があったことを知りました。下の記事は、 2014年 8月 22日の英国のダービシャー・タイムスというメディアの記事からですが、このシンクホール自体が開いたのは、昨年の 12月のクリスマスの頃でした。

uk-2013-filled.gif
Derbyshire Times


上の記事は、地主がこの穴を埋め立てるための計画を進めているというストーリーですが、しかし、その予算は 25万ポンド(約 4,300万円)かかるとのこと。これらのシンクホールがいかに巨大なものかを物語るもののようにも思います。

それでも、上のシンクホールは、原因が何であろうと、ガタガタな形状で崩れており、土砂崩れなどと同じような、「自然性のある」大地の崩壊の様相を見せています。

そして、これを見て、「シベリアのクレーターの異常さ」にあらためて気づく次第です。この英国のシンクホールのニュースはその引き合いとして出させていただいたような感じです。




あらためて気づくシベリアの「穴」の内部の形状の異常さ

この夏は、シベリアに開いた3つの「穴「について何度か記事にしました。

気温40度の中に降った爆撃のような雹。そして、「世界の終わり」という地名がつくシベリアに突然開いた巨大な穴 : 「ウラジーミルの栄光の国」を襲い続ける異常な気象と現象
 2014年07月16日

ロシア国防省が報告したという「シベリアの穴と地球の磁場反転の関係」。そして「未知の大気物質」の存在
 2014年08月11日

などです。

開いた穴は(わかっているものだけで)下の3つです。

map-crater.gif


上の中の、特に最初に発見された直径 80メートルの穴の内部の様子を今ふたたび見ると、冒頭のシンクホールなどとは違った現象であることが改めて感じられます。

シベリアで最初に見つかった穴の内部は下の写真のように「まるで磨かれているように」きれいな筒状でした。

最初に見つかったシベリアの穴の内部の様子(直径80メートル)

hole1-top.jpg


底に見える水のようなものは、公式発表では、永久凍土が溶けたものだとのことです。

この感じは、下の写真の 2010年 6月にグアテマラの首都に開いた巨大なシンクホールと、やや似ているような感じもありますが、それよりさらに「滑らかな感じ」があります。

2010年9月1日にグアテマラシティに開いたシンクホール

guatemala-city-sinkhole.jpg

▲ 直径30メートルで、深さは約60メートルでした。シンクホールができた原因は、いろいろな説がありましたが、結局は不明のままのようです。


それはともかく、シベリアの穴の騒動の時に翻訳してご紹介しましたニュースでは、やや怪しげなソースではあるとはいえ、ロシア政府が、これらの「穴」の現象を、

「潜在的なロシア国家と国民の脅威」として分類した

というようなことが書かれています。

さらに、記事には下のような記述があります。


北極南極調査研究所と地球雪氷圏研究所が、ロシア国防省の専門家たちと共に作成した報告書では、これらの穴に「未知の大気が存在する」可能性があることを明らかにした。(中略)このそれぞれの穴が、「確定できない未知の《大気性物質》」によって作られたと結論づけることができる。

これらの「未知の大気性物質を活性化させたトリガー」について、報告書では、6月にコペンハーゲンでの会議で、欧州宇宙機関( ESA )が、前例のない磁気の揺らぎがシベリア領域に渡って発生していることを観測したことについてふれている。

現在、地球の北の磁極は、加速度的にシベリアのこの領域に向けて移動し続けている。そして、地球の磁場は特に、西半球で劇的に弱まっていることを示している。


ということで、つまり、「シベリアの穴」と「地球の磁場の逆転」との関連を指摘して記事は終わっています。

ちなみに、上にある「欧州宇宙機関( ESA )によって観測された磁極の移動」に関しては、現在、地球の北の磁極(磁場としての北極)は、下のように移動しています。

移動の速度は現在は計測されていません(あるいは発表だけされていないのかもしれません)。

poleshift-after-0ae32.gif

▲ 2014年7月269日の記事「シベリアでさらに次々と見つかるクレーターと「現在北極がシベリアに向かって猛スピードで移動している」という状態から浮かびあがる「ポールシフト」の概念」より。


さて、それにしても、最初の英国のシンクホールとシベリアのクレーターと「地球の磁場の移動」は、まったく別の話だと思われる方もいらっしゃるかもしれないですけれど、実は今日これから書こうと思っているのは、アメリカのほうの話なのです。

というか、「地球のどこで起きていることにも適用できる共通の原因」というものがあるのではないかというような話でもあります。

昨日、サンフランシスコ近郊でマグニチュード6の地震が起きたり、また、その少し前にはメキシコで突然、長さ1キロメートルにわたって、最大で幅5メートルの亀裂が現れたりしています。

これらの最近の出来事を見ていて、ふと、「3年半ほど前に続いて起きた出来事」を思い出しました。



地球の磁場の移動が影響を与えるのは世界のほぼ全部である可能性

その「3年半ほど前ほど前の出来事」とは何かといいますと、

米国フロリダのタンパ国際空港が磁極の移動(ポールシフト)の影響で滑走路の閉鎖へ
 2011年01月08日

という記事でご紹介したデイリーメールの記事で、オリジナル記事のタイトルは、

「北の磁極の移動が影響を及ぼす……アメリカのタンパ空港に」
(Shift in magnetic north pole affects... Tampa airport)

というものでした。

これは、米国フロリダにあるタンパ国際空港が、地球の磁極の変動のために滑走路を再カウントせざるを得なくなり、滑走路の数が新たに増やされることになったために、一時的に滑走路が閉鎖されることになったことを取り上げたものです。

当時、北の磁極(磁場の北極)があった(とされている)カナダのエルズミア島と、磁場の移動の影響を受けたフロリダのタンパ国際空港の距離は 6000キロメートル近くも離れています。

pole-5886.gif


つまり、この出来事は、

極の磁場の移動は世界のあらゆる場所に影響を与えている

ということを認識させることになったできごとでもありました。




メキシコの亀裂で思い出す「南米の異変」とアメリカの異変

米大陸の過去10日ほどの地震や出来事と地層

us-2014-geo.gif

▲ 最近のアメリカ周辺での出来事と、サンアンドレアス断層などを加えて図を作ってみました。


昨日の記事でも、冒頭で少し載せましたが、「メキシコで一夜にして数キロメートルにわたる亀裂が出現した」という出来事が、8月15日にありました。

下の動画がその規模を示していると思います。




亀裂の幅は下の写真での、車や人などとの比較でおわかりになるかとも思います。

mexico-f1.jpg
Expreso


そして、8月24日には、アメリカのサンフランシスコ近辺で、マグニチュード6.0の地震が発生して、地域的には非常事態宣言なども発令されています。


米国:サンフランシスコ北部M6.0地震けが120人以上
毎日新聞 2014.08.25

米カリフォルニア州サンフランシスコ湾北部で24日にマグニチュード(M)6.0の地震があり、負傷者は約120人に上った。うち子ども1人を含む3人が重傷。ブラウン州知事は震源に近いナパ郡南部に非常事態宣言を発令した。



これはマグニチュード 6.0と、大規模な地震ではなかったですが、このアメリカ西海岸・・・というか、今のアメリカは全体として地震が多いのですね。

過去記事の、

「地質の憂鬱」の中にいるアメリカ : 全土で多発する地震の中、イエローストーン火山で過去 30年来で最大のマグニチュードの地震が発生した日
 2014年03月31日

などで、そのことを取り上げましたが、この傾向が「将来の巨大地震へと結びつく可能性」について、アメリカの各メディアは報じ続けていました。そして、それらメディアが「その最悪のもの」として報じていたものは、マグニチュード9クラスの地震のことなのです。

それは、サンアンドレアス断層や、あるいはカナダとの国境に近い「カスケード沈み込み帯」などを震源として起きる可能性がある(そして、実際に、かつて起きていた)超巨大地震のことです。

ところで、今回のサンフランシスコでの地震のようなマグニチュード6規模の地震と、日本の 2011年の震災のようなマグニチュード9クラスの「差」というのがどれほどのものかご存じでしょうか。

もちろん、地震は発生場所や深さや、様々な条件によって結果は大きく異なりますので、あくまでも大ざっぱな計算ですが、 マグニチュード - Wikipedia にある、


地震のエネルギーが1,000倍になるとマグニチュードが2増えることを意味する

マグニチュードが1大きいとエネルギーは約32倍大きい



という説明を単純に当てはめますと、マグニチュード6を基準とした場合、

マグニチュード8の地震はマグニチュード6の地震の「 1000倍のエネルギー」を持つ

ということになりそうです。

まして、マグニチュード9となると、これは実は計算としての意味を越えているもの(頭打ち状態)であり、本当は計算すべき値ではないのだと思いますが、

マグニチュード9の地震はマグニチュード6の地震の「3万倍以上のエネルギー」を持つ

というようなことにもなり得るわけで、この意味では、2011年に東北で起きた地震のマグニチュードのエネルギーは、まさにとんでもないエネルギーの地震であったわけで、また、歴代の地震のエネルギーの比較ということだけではなく、「人が多く住む地域に影響を与えた」という意味では、「近現代の文明史上最大」の地震による自然災害だったことがわかります。

もちろん、そのような超巨大地震は、地球の歴史や人類の歴史の中で、そして、ほぼどこの地域でも数限りなく起きていたことだし、「これから起きることも(疑う余地のない)事実」です。

私たちは次に起きる地震の時期を知りようがないので、知らないというだけで、いつかは必ず起きることです。欧州でもアジアでもアメリカでも、そして、もちろん日本でも、いつかは必ず起きます。

この世の中に「 100パーセント」を当てはめられることは多くはありませんが、時期を限定しなければ、超巨大地震は「 100パーセント起きる」と言える自然現象です。


そして、最近のアメリカでの出来事で、思い出したことがもうひとつあり、それは、やはり3年ほど前の過去記事の、

中南米の「地殻変動ライン」: メキシコの地割れとグアテマラのシンクホールの位置
 2011年07月22日

というものがあります。

その記事に掲載した図がしたのものです。

south-america-2011.gif

それぞれの出来事の詳細は上の過去記事をご覧いただければと思いますが、図は新しい順にアルファベットがふってあり、つまり、2011年には、コロンビアからメキシコまで、

南米からアメリカの西海岸に移動するかのように地殻異変が起きていた

ということがあったのです。

このラインに矢印を引きますと、それはサンアンドレアス断層や、カスケード沈み込み帯を指し示す方向に伸びています。

usa-1.gif


何となく、記事の内容がとりとめのない感じになってきていますが、ともかく、この2〜3年の世界の地殻異変も、あるいは、最近の「あからさまな」異常気象も、それぞれには関係性があり、決してランダムやバラバラのものではないと思っていることを書きたいと思ったのでした。



地球は「真の極移動」の最中にある

それらの異変の原因が、地球の磁場の逆転のようなものだけではないこともまた明白で、たとえば、地球はかつて、現在起きているような「磁場のポールシフト」だけではなく、過去記事、

地球は「角度 50度以上の傾き」の大陸移動(真の極移動)を過去6度経験している
 2012年11月21日

にありますような、地球の表面が移動する「真の極移動」という状態を過去に何度も経験していた可能性があることを、2012年にハーバード大学の研究者たちが発表しています。

下の図のような状態のことです。

True_polar_wander-2012.gif


あるいは、こちらの記事では、現在、すでにそれが起きているとする論文のこともご紹介しています。

もちろん、それは何千万年もかけてゆっくりと起きていくものなのかもしれないですし、「あるいは、非常に早いものかもしれない」という考え方などもあり、しかし、過去何度もあったということは、今後もまた、

地球の自転軸が大きくずれる

ということになる時が来ることがあるはずです。

しかし、「自転軸がずれる」というような状態は異常にも思えるかもしれないですけれど、太陽系の他の惑星、たとえば、天王星などは、地軸 - Wikipedia によれば、

地軸の傾きの絶対値が最も大きい太陽系の惑星は、天王星(97.86度)である。ほとんど横倒しのまま自転していることになる。

こんなように「横に倒れて回っているような様相」で自転している天王星みたいな惑星もあるのです。

天王星は、下の図の左のように「(黄道面に対して)真横に倒れて回っている形」で自転しています。

uranusneptune_03-1.gif
・国立科学博物館「天王星は横回しになってまわっているって本当ですか?


ちなみに、天王星の公転周期は 84年で、これは例えば、極地から観測すると、「約 40年間、昼または夜が続く」ということになるのだそうです。

言い換えれば、地球も「50度」などの地表の移動を経験した後には、「 20年間以上、昼か夜が続くというような地域ができる惑星となる可能性もあるわけです。


・・・それにしても今回は全体として、あまりにも話が混沌としてしまいましたけれど、私は、「秋」という季節にはいつも何かが起きる感じがつきまといます

何か起きるのは・・・それは今年か 1000年後かはわからないですが、「秋」なのだと思っています。