2014年10月25日



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カルデラ破局噴火の報道で「地球には同じ系統の文明を継続させないメカニズムがある」ことに気づき、同じ日に「新たに数千以上の海底火山の存在が確認された」ことも知り



sea-volcano-map.gif

▲ 2014年10月3日のロサンゼルス・タイムズより。



「カルデラ破局噴火」がメディアで大きく報道された日

先日、下のような報道を見ました。

巨大噴火100年で1% 神戸大教授予測
東京新聞 2014.10.23

巨大なカルデラ(陥没地形)をつくる巨大噴火が今後百年間に日本列島で起きる確率は約1%とする試算を神戸大の巽(たつみ)好幸教授(マグマ学)らがまとめ、二十二日発表した。最悪の場合、一億二千万人が死亡し、実質的な「日本喪失」もありうるとしている。(中略)

巽教授らは、二万八千年前の姶良カルデラ噴火と同規模の噴火が九州中部で起きたと想定する被害を予測した。

九州のほぼ全域が火砕流に襲われ、約二時間で七百万人が死亡する。西日本は一日のうちに五十センチの火山灰が積もり、四千万人の生活の場が埋没する。北海道と沖縄以外は十センチ以上の火山灰で覆われる。生活の糧を奪われ救援もできないため、日本の総人口に近い一億二千万人が死亡する恐れがあるとした。

この記事を読んで、

「こういう記事が出ると、海外に過剰に伝わりがちで……」

と思っていましたら、今朝の海外の報道は下のようなものでいっぱいでした。

volcano-japan-01.gif

▲ 2014年10月23日の Yahoo! News (米国)より。


2011年以来、「日本と自然災害」というキーワードは、特に西欧では敏感に反応されるようになっているのか、日本の政治のことは西欧世界で話題になっているのを見たことがないですが、日本の自然災害関係は大きく扱われやすいです。

上のニュースの冒頭を訳しますと、下のようなものとなっています。

日本は次の世紀までに超巨大火山噴火によって破壊され尽くしてしまうかもしれない。

大学による新しい研究によると、日本の人口の 1億 2700万人以上が、この脅威にさらされている可能性があるという。「それは日本を絶滅に陥れることになるかもしれないといっても過言ではない」と神戸大学の巽好幸教授は研究の中で述べている。

話がどんどん大きくなっていっている感じもしまして、何というか、まるで「日本版イエローストーン的な話題」として海外で伝えられているわけですけれど、神戸大学の教授の言う、

> 巨大噴火が今後百年間に日本列島で起きる確率は約1%とする試算

のそのものが何らかの具体的な目安になるというものではないとは思います。

というのも、ここでいう「巨大噴火」の発生のサイクルの「期間」には非常に幅があるために、発生確率のパーセントでの表示での理解は難しい感じがするのです。

なお、報道では「巨大噴火」という言葉が使われていて、「破局噴火」という言葉はあまり使われていないようですが、ここでは「破局噴火」という言葉を使わせていただきます。

過去記事で何度か記したことがありますが、今一度、この噴火について書いておきます。

破局噴火 - Wikipedia

破局噴火とは、地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火形式で、しばしば地球規模の環境変化や大量絶滅の原因となる。

大規模なカルデラの形成を伴うことからカルデラ破局噴火と呼ぶ場合もある。また、そのような噴火をする超巨大火山をスーパーボルケーノとも呼ぶ。

確率の予測に意味があるかどうかはともかくとして、神戸大学の巽教授の「 700万人が火砕流で2時間で死亡し……」というような描写そのものは、破局噴火においては誇張ではなく、たとえば、アメリカのイエローストーンが破局噴火を起こした場合のシミュレーションについて、上の Wikipedia では、以下のように記されています。

イギリスの科学者によるシミュレーションでは、もしイエローストーン国立公園の破局噴火が起きた場合、3 - 4日内に大量の火山灰がヨーロッパ大陸に着き、米国の75%の土地の環境が変わり、火山から半径1,000km以内に住む90%の人が火山灰で窒息死し、地球の年平均気温は10度下がり、その寒冷気候は6年から10年間続くとされている。

イエローストーンとなると、そのサイクルはさらに大きく、数十万年単位(前回の噴火は 64 万年前)となったりしますが、巨大火山がある国や地域では、海底の巨大火山を含めて、いつかは必ずこれらの災害に遭遇する時が来るということになります。



地球の文明のリセットを考える

先日の、

タイムリーな黒点の姿と「 X 100,000 クラス」の超特大スーパーフレアの存在
 2014年10月21日

では、太陽系外の星で「 X 100,000 」クラスの超巨大フレアが観測されたことを書いたのですけれど、記事の最後のほうに、もし、私たちの太陽が同じような超巨大フレアを「連発」して地球に直撃させたような場合、それは、

「地球のリセットを意味する」

というようなことを書きました。

そして、火山もそうです。

日本だけでも数千年〜1万数千年に1度は、どこかで破局噴火が起こり、その場合には、日本列島の全部ではないにしても、基本的に「命も文明もリセットされる」ことになります。

これらの太陽や火山の存在が示すことは、

「地球はひとつの場所で1万数千年以上同じ文明が存続できないようになっている」

ということを示すものなのかもしれないとも思います。

それは決して火山の周辺の局地的なものに限られるわけではなく、たとえば、上のほうに書きましたイエローストーンのシミュレーションの破局噴火のシミュレーションで、

> 地球の年平均気温は10度下がり、その寒冷気候は6年から10年間続くとされている。

とあるように、広い範囲で農業の存続も難しいような状況となるようなことが何年も続くわけです。


今までぼんやりとは思っていましたが、今回の報道で、、

地球には同じ系統の文明を継続させないメカニズムがある

ということを知った気がします。


ところで、日本で破局噴火が最後に起きたのは、今から 7,300年前のことです。

これは、過去記事、

アメリカ政府はイエローストーンが噴火した場合のために、南アフリカ、ブラジル、オーストラリアなどへの「米国人の数百万人規模の大量移住」を要請していた
 2014年05月09日

などにも書いたことがありますが、東大名誉教授の藤井敏嗣さんが書かれた「カルデラ噴火! 生き延びるすべはあるか?」というページによれば、

わが国では、100立方q以上のマグマを放出するカルデラ噴火は、1万年に1回程度発生しています。数10立方q以上の噴火ならば12万年間に18回、つまり6千年に1回程度は「起こっている」ことになります。

もちろん、これは平均発生頻度で、前のカルデラ噴火から2,000年のうちに起こったものもあれば、1万数千年以上の後に起こったものもあり、このような規模の噴火で、最後に起こったものが先の鬼界カルデラ噴火なのです。

ということになり、破局噴火は平均サイクルが非常に長く、そして規則的でもありません。
1万数千年起きないこともあれば、2000年で起きることもあるというものです。

ですので、

「 2000 年の間隔で起きたことがある」

という事実と照らし合わせれば、前回の破局噴火から 7300 年経っている現在は、日本のどこかで破局噴火が起きる可能性は十分にあるということにもなります。

しかし、

「1万数千年の期間起きなかったこともある」

という視点から見ると、「まだまだ起きることはない」とさえ言えそうで、結局、カルデラ破局噴火の予測に「今後何年で何パーセント」というような数字を入れることの意味にはやや疑問も感じますが、それでも、

新聞記事にある

> 九州のほぼ全域が火砕流に襲われ、約二時間で七百万人が死亡する。

という響きには確かに迫力があります。

今回の神戸大学の巽教授の研究に従って作成した想定される被害地図は下のようになります。

super-volcano-japan.jpg
東京新聞


これは 7300 年前の鬼界カルデラの破局噴火の際の被害の構図とほぼ同じで、7300 年前には下のような被害を出したとされています。

鬼界カルデラから噴出した火砕流の分布域とこの噴火で降り積もった火山灰の暑さ分布
kikai-7300.gif
NHK


そして、この 7300 年前の噴火の後、九州から四国に関しては、藤井名誉教授によれば、以下のような状態になったとされています。

南九州から四国にかけて生活していた縄文人は死滅するか、食料を求めて火山灰のない地域に移動し、1,000年近く無人の地となったようです。というのも、この火山灰層の上下から発見される縄文遺跡の土器の様式が全く異なっているからです。

ふと、「そういえば、富士山が破局噴火を起こしたら、自分が住んでいるあたりはどうだろう」と思い、大体同じ縮尺で、「2時間で 700万人が死亡する」範囲の円を富士山に合わせてみましたら……その中にきれいに収まりました(ああ、ダメだ)。

LocMap-Fuji-Mountain.gif


ここに越してきたときには「富士山がベランダから見えていいなあ」と思っていましたが、富士山が破局噴火を起こした場合、この地は周囲に存在するすべてと共に(多分、分子レベルで)消滅してしまう地域でもあるようです。

確かに、こんなことを心配するのは馬鹿馬鹿しいことではあるかもしれないですが、

「太陽にも火山にも地球の文明をリセットする力がある」

ことは、おそらくは事実で、その「リセットされる時代はいつか」というような話とも関係するのかもしれません。


群馬大学教育学部の早川由紀夫教授は「現代都市を脅かすカルデラ破局噴火のリスク評価」というページの最後をこのようにしめています。

ひとの一生の長さはせいぜい百年であるから、そのようなリスクがあることはすっかり忘れて、日々の暮らしを楽しく送ったほうがよいとする人生観もある。

一生の間に遭遇する確率が1%に満たないカルデラ破局噴火を心配するのは、たしかに杞憂かもしれない。愚かしいことかもしれない。しかし地球上のどこかの現代都市をいつか必ず襲うだろうカルデラ破局噴火を、純粋理学の研究対象だけに留めておいて本当によいのだろうか。


そして、冒頭のロサンゼルス・タイムズの報道のように、最近になって、

「今まで知られていなかった数千以上の海底火山の存在が明らかとなった」

ということがありました。

今回の研究によれば、海底には 10,000 以上の火山が存在するということのようです。

海底火山は今まで、その存在が知られていなかったものが多く、「噴火して初めてわかる」ということが多いものでした。

hung-haapai1.jpg

▲ 2009年 3月 18日に爆発的噴火を起こした海底火山フンガ・ハーパイ( Hunga Ha'apai )。場所はトンガから北西に約60キロメートルの場所でした。


ちなみに、7300 年前に破局噴火を起こした鬼界カルデラも基本的には海底火山です。

そして、

御嶽山の噴火やマヤカレンダーが示した「 5000年間」という時代の区切りに「日本神話の根源神」は何を私たちに示そうとしているのだろうかと考える
 2014年10月06日

という記事に書きましたように、現在の日本の火山学では「死火山」という言葉も概念も存在せず、「どんな火山でも、いつでも噴火する可能性を持つ」という考え方が普通になっています。

そんな「いつでも噴火する可能性を持つ火山」が地球の海底に「万単位」で存在する。

そういう場所に私たちは住んでいます。

というわけで、ロサンゼルス・タイムズの記事をご紹介します。



Thousands of undersea volcanoes revealed in new map of ocean floor
LA Times 2014.10.03


何千もの海底火山の存在が新しい海底地図で明らかに


最近、科学者たちにより最高解像度の海底地図が作成された。そして、その地図によって現在は活動していない火山を含めて、今まで知られていなかった数多くの海底火山の存在が明らかとなった。

この地図と研究結果は 10月 23日に発表された。この地図は 20年前に作成された海底地図より少なくとも2倍正確だという。

研究を主導したカリフォルニア大学サンディエゴ校のデヴィッド・サンドゥエル( David Sandwell )教授は以下のように述べる。

「良い話には聞こえないかもしれないですが、海底には 5,000 以上火山の海底火山があると思われていましたが、今回の解像度の地図では、10,000 以上の古い海底火山を見ることができます」

深海の海底の状態については、科学者たちもいまだにほとんどのことを知らない。サンドゥエル教授は、海底の探査は、太陽系の別の惑星を探査することと同じようなものだと考えている。

新しい海底地図を作成するに当たっては、欧州宇宙機関( ESA )の地球観測衛星 CryoSat-2 と、米航空宇宙局( NASA )とフランス宇宙機関 CNES が運営する海洋観測マッピングミッションでの宇宙艇「ジェイソン-1 ( Jason-1 )」が使用された。

両宇宙船は、海洋表面の形状をインチ( 1インチは約 2.5センチ)単位で計測することができる機器を搭載している。海底の巨大な山や火山は、海の表面の水位に影響を与えるため、海水面を計測することが海底で起きていることを知るための手がかりとなる。

今回の研究以上に正確な海底地図の作成ができるかどうかについて、サンドゥエル教授は「不可能ではないですが、予算と時間がかかりすぎるのです」と述べる。

観測衛星ではなく、船に機器を搭載して計測すれば、さらに正確な海底地図を作成することが可能だが、 10隻程度の船に機器を搭載したとしても、計測が完了するのに10年間かかるという。しかし、そのためには莫大といえる予算がかかり、それを喜んで拠出してくれる機関は存在しないだろうという。


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