2014年11月03日



2015年10月7日に In Deep は http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




歴史的な巨大黒点群 2192 の示した「行動」は「太陽はまだ地球を守ってくれている」ということなのか、それとも「太陽の異常性の増大を示唆しているだけ」なのか



hyder-flare-1103.gif

▲ 11月1日に「ハイダーフレア」と呼ばれる、黒点から発生するフレアではなく、磁気フィラメントから発生する強力なフレア現象と共にCME(コロナ質量放出)が起きましたが、ギリギリ地球方向をそれていたので、地球に磁気などの影響はないはずです。 11月 3日の Spaceweather より。



巨大黒点群 2192 は「6回のXフレアを地球方面で発生」させたのにも関わらず、1度もCME(コロナ質量放出)を伴わなかったために地球はまったく被害を受けなかったとい異常性

10月20日の記事「超巨大黒点群が地球に向いてくる」という記事以来、歴史的な巨大黒点群 2192 のことについて書いていました。

この黒点群は、大きさが木星ほどもあり、過去の巨大黒点群と比較しても非常に大きなもので、過去 30年程度の間では最大クラスだと思われます。

過去の巨大黒点群と黒点群 2192 との比較

sunspots-compared-3.jpg
Spaceweather Gallery


その黒点群 2192 は、10月28日には、ほぼ地球への影響を及ぼさない位置へと移動しました。
下は、その 10月 28日の黒点群 2192 の位置です。

fade-2192.gif


そして、現在は地球から見て太陽の裏側に回っていて、すでに観測できなくなっています。

この巨大黒点群がいろいろと起こす可能性については、記事、

黒点群2192は過去数十年で最も巨大な黒点群と並ぶ規模にまで成長
 2014年10月23日

の中で、過去の巨大黒点群では大きなフレアが起きていたことにふれまして、特に観測史上の歴代3位の巨大太陽フレアである、

第1位 2003年11月14日 X28.0 の太陽フレア
第2位 1989年08月16日 X20.0 の太陽フレア
第3位 2001年04月02日 X20.0 の太陽フレア
(データは NICT より)


を起こした黒点群も歴代で上位に入るような巨大黒点群であったことが多いことなどを記しました。

さて、それでは今回の黒点群 2192 はどうだったのか。

結論から言いますと、上のような巨大規模のフレアではないにしても、地球に向いている間の1週間ほどで、「 6回のXフレアと 26回のMクラスのフレア」を発生させるという非常に活発なフレア活動を続けていました。

巨大黒点群 2192 が地球方向に発生させたXクラスの太陽フレアの記録は下のようになります

10月19日 X1.1
10月22日 X1.6
10月24日 X3.1
10月25日 X1.0
10月26日 X2.0
10月27日 X2.0


さらにXより1レベル下のクラスのMクラスフレアで、ほとんどXクラスに近いものとして、

10月21日 M8.7
10月26日 M7.8
10月27日 M6.7
10月28日 M6.6


などのフレアも発生させていました。

NASA が、この巨大黒点群 2192 が地球方向に向いている時に発生させたすべての太陽フレアの記録を公開しています。

オリジナルは YouTube の NASA チャンネル Fireworks on the Sun にありますが、少し長いですので、20秒くらいに短縮したものを載せておきます。

見方としては、上から2番目のラインに達しているフレアが「Xクラス」と考えていただいてよろしいかと思います。

x-flare-line.jpg


下が動画となります。

巨大黒点群 2192 が地球方向に発生させたすべての太陽フレアの記録




さて、このように非常に活発に太陽フレアを発生し続けた黒点群 2192 には、NOAA (アメリカ海洋大気庁)の担当官の言葉を借りると、

「なぜだか理由はわからないが、普通の太陽フレアとは非常に違う」

ところがありました。

それは、本来ならXクラスなどの大きな太陽フレアは同時に、CME(コロナ質量放出)を放出することが多いのに、

黒点群 2192 は 30回以上のMクラス以上の太陽フレアを連続して発生させたのにも関わらず、1度もCMEを伴わなかった

ということなのです。



通常では考えられないほどCMEを発生させなかった黒点群 2192 の太陽フレア

普通、XクラスやMクラスなどの強い太陽フレアが発生した場合、大なり小なりCMEを伴います。

このCMEというものは、コロナ質量放出 - Wikipedia から抜粋しますと、

コロナ質量放出(CME)とは、太陽活動に伴い、太陽から惑星間空間内へ突発的にプラズマの塊が放出される現象。宇宙飛行士や飛行機パイロットの人体に与える影響も大きい。

太陽フレアにともなって放出されることが多いものの、太陽フレアより先に起こったり、太陽フレアとは独立に発生することも約半数ある。

とあり、さらに、

コロナ質量放出は、太陽フレアよりも地球磁場への影響が大きいとされており、(中略)直接の被害は太陽フレアに比べ、コロナ質量放出のほうが大きいという主張がゴスリングによってなされている。

ということになり、つまり、地球への磁気の影響、あるいは、場合によっては停電や通信、インターネットなどのインフラの破壊に結びつく「磁気の嵐」は、太陽フレアそのものより、CMEによるものが多いと考えられているのです。

そして、普通ですと、Xクラスほどの太陽フレアになると、まずは、ほとんどの場合でCMEを発生させ、これが地球の磁場に影響を与えるということになるのですが、今回の場合、いくらフレアが発生し続けても、CMEが伴わなかったのです。

ほんの 10日ほどの間に 30回以上も強いフレアが発生し続けて、その中の「ただのひとつも」CMEを同時に発生させなかったのというのはかなり異常なことだと思います。それは後に記します、スペースウェザーの記事にも示されています。

なので、太陽活動は非常に活発ながら、地球の地磁気は穏やかという奇妙といえば奇妙な状態が続いていました。

これは例えば、太陽フレア活動が活発だった 11月 25日頃の NICT(独立行政法人情報通信研究機構 宇宙天気情報センター)の記事を振り返ってもわかります。

NICT 今日の宇宙天気情報(日報:2014年10月26日 15時00分)

概況・予報

活動領域2192でXクラスのLDEフレア(継続時間の長いX線フレア)が発生し、太陽活動は非常に活発でした。引き続き今後1日間、太陽活動は非常に活発な状態が予想されます。

太陽風速度はやや低速な380km/s前後で推移し、地磁気活動は静穏でした。
引き続き今後数日間、地磁気活動は静穏な状態が予想されます。

とあり、長時間の強いフレアが起きているのに地球の地磁気はとても穏やかな状態だったのです。
これはCMEが発生しなかったためだと思われます。

スペースウェザーでも、黒点群 2192 のXフレアを報じるたびに

「特筆すべきはCMEをまったく伴っていないということだ」

というフレーズを毎回のように書いていました。

今日のスペースウェザーでも黒点群 2192 の回顧のような記事がありまして、それを翻訳してご紹介したいと思います。



SOLAR ACIVITY ... BY THE NUMBERS
Spaceweather 2014.11.03

黒点数から見る太陽活動

10月の最後の2週、過去 25年間で最大の太陽黒点群 2192 は地球方向に面して回転しながら、強い太陽フレアを発生させ続けた。

この 2192 が地球方向に向いている間、合計で6度のXフレアを発生させ、26回のMクラスのフレアを発生させた。ところが、それだけの強いフレアが数多く発生していたのにも関わらず、地球方面に対してのCMEの発生はゼロだったのだ。

このモンスター級の黒点は、太陽フレアの発生数の多さも顕著だったが、それと共に、CMEの発生の「少なさ」を合わせ持っているという点で歴史的といえる。

通常は、巨大フレアの発生の際には、その電磁放射の爆発と同時に宇宙空間に大量の雲を投げ込む。これがCMEで、フレアの際にはこの現象が頻繁に現れる。ところが、黒点群 2192 は、30回以上の強いフレアを発生させながら、CMEを一切放出しなかった。

なぜ、そのようなことが起きたのか。
その理由は誰にもわからない。

いずれにせよ、黒点群 2192 は、地球に対してひとつのCMEも投げつけなかったため、私たちの地球は今回の多数の太陽フレアの中で、まったく磁気の影響を受けずに済んだのだ。

ただし、オーロラの観測を期待していた人たちには、黒点の大きさのわりに、オーロラの発生が不発気味だったので、残念だったかもしれない。

現在黒点群 2192 は、太陽の裏側を通過している。もし、この巨大黒点群が太陽の裏側であまり縮小しない場合、11月の中旬にまた地球方面に回ってくる黒点群 2192 と再開できるかもしれない。その場合は、太陽黒点数も再び増加してくると考えられる。





というもので、上の訳では「その理由は誰にもわからない」としたところは、記事では、

No one knows why.

となっていて、太陽の専門家がこのようなフレーズを使うというのは、今回の「CMEをまったく伴わない巨大フレア」という現象、しかも、三十数回連続で発生し続けた大きなフレアすべてがそうだったということは大変に珍しいことだったのかもしれません。


そして一昨日。

記事の冒頭に貼りました「ハイダーフレア」というものが発生しました。

多くの太陽フレアは黒点から発生しますが、このハイダーフレアというのは、磁気フィラメントが爆発するもので、規模も巨大になりやすいものです。磁気フィラメントは、下のように、太陽表面に黒い線のように浮かび上がっているものです。

filaments_2013-06-13-02.jpg

▲ 2013年06月14日の記事「太陽の表面にこれまで見たことのないヘビのような磁気フィラメントが多数這い回っている」より。


今回のこのハイダーフレアは、CMEも同時に発生させました。

しかし、このハイダーフレアによるCMEは、地球方向に向いていないため、このCMEによって地球が磁気による影響を受けることはないとスペースウェザーは報じています。

とにかく、どうにも、

太陽は地球へのCMEの放出を避けているようにしか見えない

という太陽の「生命性」みたいなものを今回の一連の出来事で感じざるを得ませんでした。

今回のことで書きたかったことはそのことだったのかもしれません。

もしかすると、まだ太陽は地球の文明を守ってくれているのかな、と。

まあそんな、太陽の生命性とか太陽の意志とかいう、ややオカルト的な響きを除外して考えてみましても、今回の太陽フレア現象がとても不思議な連続だったことは確かです。

しかし、あるいはこれが「太陽活動の低下」や「現在の太陽の異常」を物語るものなのかもしれないですし、そのあたりも含めて、太陽活動はますます「以前とは違う」ようになってきているようです。

しかしその真の理由は、NOAA の天気予報官の言うように「誰にもわからない」のです。

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