2014年11月05日



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2600年前のブッダが語った「無数の宇宙 / パラレルワールド」が現代の量子論の中で蘇る中で感じること



Parallel-Worlds-Top.gif

▲ 2014年11月3日の英国インターナショナル・ビジネス・タイムズより。






 



今回は、昨日の記事「私たちの宇宙から「時間」が徐々に消えている?」でも少しふれたのですが、「パラレルワールドは存在する」とオーストラリアの物理学者たちが明言したことが様々なメディアで報じられているので、ご紹介したいと思います。

実際には、パラレルワールドの存在も含めて、この世の中の真実なんてことは結局わかりようがないわけなんですが、真実はともかくとしても「この世のことを他の人々はどのように考えているのだろう」ということについて、興味深い記事がありました。

やや余談となってしまいますが、ご紹介したいと思います。


アメリカ人が信じるもの

それは、米国ワシントンポストの、

Study: Americans are as likely to believe in Bigfoot as in the big bang theory
(研究:アメリカ人たちは、ビッグバンを信じる人たちとビッグフットを信じる人の割合が同じ程度のようだ)

という10月 24日の記事でした。

カリフォルニア州にあるチャップマン大学による調査で、全米 2500人の成人男女の「いろいろな超常現象を信じる割合」というものを調査したものでした。

ワシントンポストの記事には、その詳細なグラフが載せられているのですが、そのグラフを日本語にしたものが以下のものです。

us-belief.gif
Washingtonp Post


水色()と紫()の色分けは、

・水色が現代の科学などで「真実」とされていること
・紫は「確認されていないか、あるいは事実ではないとされること」


を表しているとのことです。

つまり、上の図を文字にしますと、アメリカの人々は、おおむね以下のように考えているという傾向があるということになりそうです。

約 70パーセントの人が「ポジティブな思考を通じて物理的な世界に影響を与えることができる」と信じている。

約 63パーセントの人が「かつて、アトランティスのような文明が存在した」ことを信じている。

約 58パーセントの人が「夢が未来を予言できること」を信じている。

約 52パーセントの人が「家や部屋が幽霊に取り憑かれること」を信じている。

約 52パーセントの人は「ワクチンは安全かつ効果的である」と確信している。

約 47パーセントの人が「この世の悪の原因はサタンにある」と信じている。

この次あたりからは、信じているほうが少なくなっていきます。

約 40パーセントの人が「UFOは宇宙船だ」と信じている。( 60パーセントは信じていないということ

約 32パーセントの人が「人為的な活動が地球温暖化の原因」だと確信している。( 68パーセントの人たちはそれを信じていないということ

約 30パーセントの人が「地球の生命は自然選択を通して進化してきた」と確信している。( 70パーセントの人は進化論を信じていないということ

約 26パーセントの人が「地球の年齢は45億年だ」と確信している。( 74パーセントの人はそれを信じていないということ

約 20パーセントの人が「宇宙はビッグバンによって始まった」と確信している。( 80パーセントの人はビッグバンを信じていないということ

約 20パーセントの人は「ビッグフットは実際にいる生物」だとは信じている。( 80パーセントはビッグフットの生物としての存在を信じているということ

約 17パーセントの人は「占い師が未来を予見することができる」と信じている。( 83パーセントは占い師による未来の予見を信じているということ

約 12パーセントの人は「占星術は真実」だと信じている。( 88パーセントは占星術を信じているということ

となっています。

ワシントンポストの記事のタイトルの「アメリカ人たちは、ビッグバンを信じる人たちとビッグフットを信じる人の割合が同じ」の意味は、

・ビッグバンを信じる人が約 20パーセント
・ビッグフットを信じる人も約 20パーセント


ということで、アメリカ人にとっては、昔はいわゆる「雪男」などと言われていた未確認生物のビッグフットも、宇宙物理学の基本とされるビッグバン仮説を信じる人も「どちらも少ない」ということを、多少揶揄してのもののようです。

それにしても、

「夢は未来を予言できると信じる人」が 60パーセント近くいるのに、「占星術を信じる人」は 12パーセントくらいしかいないというあたりは不思議な感じもいたします。

ともかく、多くのアメリカ人がアトランティスのような古代文明を信じている一方で、

・進化論を信じていない
・地球の年齢 45億年を信じていない
・ビッグバンを信じていない


という傾向が顕著にあるようです。

そういえば、上の質問の項目に

神の存在

に関しての質問が含まれていないことに気づきました。

「神の存在」を超常現象といっては怒られるということもあるのでしょうけれど、アメリカ人の「神への信仰度」も知りたい気がします。

先日の記事、

人類は宇宙へは行けないし、異星人たちも地球には来られないことを悟る中、人々から「神の存在が消えていっている」ことも知る
 2014年10月29日

では、イギリスでおこなわれた調査を載せました。

alien-uk-02.gif
The Herald


成人 1,500 人と、子ども 500 人を対象としてイギリスで行われた「信じている超自然的存在」に関する調査の詳細な内訳は成人と子どもでそれぞれ下のような結果となりました。

英国の成人が信じる超自然的な存在トップ5

1位 幽霊( 55 %)
2位 エイリアン( 51 %)
3位 UFO( 42 %)
4位 天使( 27 %)
5位 神( 25 %)

英国の子どもが信じる超自然的な存在トップ5

1位 エイリアン( 64 %)
2位 幽霊( 64 %)
3位 UFO( 50 %)
4位 神( 33 %)
5位 天使( 27 %)

のように「神」の存在が日々薄れていっているようなのですが、そういえば、このイギリスの調査では「天使」は出ていても、「悪魔」はトップ5にはないですね。

アメリカの調査では、45パーセント近くの人が「悪い出来事は悪魔の存在によって引き起こされていることを信じている」となっていて、超常現象では「悪魔」は幽霊に次いで5位にあります。アメリカの結果も英国と同じようにまとめてみますと、

アメリカの成人が信じる超常現象のトップ5

1位 ポジティブな思考が現実を変える( 67 %)
2位 アトランティス( 62 %)
3位 夢は未来を予言する( 57 %)
4位 幽霊( 52 %)
5位 悪魔( 45 %)

このようになります。


というわけで、これらは今回の話とは関係ないながらも、この調査には「パラレルワールド」というものは出てきていませんが、最近、この説が大きく報道で取り上げられています。

それをご紹介したいと思います。

パラレルワールドの簡単な説明としては、パラレルワールド - Wikipedia から抜粋しますと、

パラレルワールドとは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。

「異世界(異界)」、「魔界」、「四次元世界」などとは違い、パラレルワールドは我々の宇宙と同一の次元を持つ。

とのことで、

パラレルワールドは異次元や4次元の世界とは違う

と記されています。

ところが、昨日の記事「私たちの宇宙から「時間」が徐々に消えている?」では、4次元という概念が語られているわけで、つまり、

・「同一の次元」にある複数の宇宙としてのパラレルワールド

・「異次元」、あるいは4次元にある複数の宇宙としてのパラレルワールド


というふたつのパラレルワールドの概念が噴出してきたようで、何が何やら、よくわからないですが、しかし、アメリカでは、ビッグバンで宇宙が始まったと信じている人は 20パーセントしかいないわけで、宇宙の在り方も人の考え方と同じほどあるような感じさえします。

それでは、ここからインターナショナル・ビジネス・タイムズの記事です。

なお、記事に「エヴェレットの多世界解釈」という言葉が出ますが、これは Wikipedia によれば、

量子力学の観測問題における解釈の一つである。 プリンストン大学の大学院生であったヒュー・エヴェレット3世が1957年に提唱した定式を元に、ブライス・デウィットによって提唱された。

というもので、内容は難解でよくわからないですが、このような、パラレルワールドの先駆け的な理論があるのだそうです。




Parallel Worlds 'Exist and Interact' and Help Explain 'Weird Phenomena' of Universe
IBT 2014.11.03


パラレルワールドは「存在し、相互に作用」する。そして、これは宇宙の「奇妙な現象」を説明するのに役立つ


パラレルユニバース(平行宇宙)は、存在するだけではなく、それらは互いに相互作用を与えていると物理学者のグループは述べている。

オーストラリアのグリフィス大学の研究者たちは、我々が存在する宇宙は「数限りなく存在している無数ともいえる数の宇宙」の中のひとつの宇宙であるに過ぎないと言う。その中には、私たちと似た宇宙もあり、また、非常に違う宇宙もある。

パラレルユニバースの考えは、50年以上にわたって存在している。

たとえば、他のパラレル・ワールドの理論「エヴェレットの多世界解釈( Many-Worlds Interpretation )」は、理論を実現させる可能性のあるあらゆるシナリオが出された。

しかし、グリフィス大学の研究者たちの新たな理論の「相互多世界( Many Interacting Worlds )」 は、すべてのパラレルワールドがお互いに相互作用しているとする。そして、それらのパラレルワールドの存在をテストすることが可能なのだだと言う。

最近発表された論文では、科学者たちは、パラレルユニバースはそれぞれが独自に進化し、近くの他の宇宙との反発力によって、お互いに影響を与えると述べられている。

科学者たちは彼らの理論が量子力学を説明するのに役立つと考えている。

グリフィス大学の量子ダイナミクス・センターのハワード・ワイズマン( Howard Wiseman )博士は、「量子力学におけるパラレルユニバースの考えは 1957年以来続いています」と述べる。

量子論は、どのように宇宙が微視的なスケールの働きを持つかを説明するのに必要とされている。しかし、原因と結果の法則を満たさないと、原因と結果の法則に従わない奇妙な現象を示し、それを理解することは極めて難しい。

理論物理学者のリチャード・ファインマン( Richard Feynman )はかつて、こう言った: 「誰も量子力学を理解できないと言えると私は考えます」 。

ワイズマン博士たちが唱えるパラレルワールドは、「無数の宇宙が存在する」ことを示唆すると共に、私の宇宙と似た宇宙とそうではない宇宙があることをも示している。

それらの宇宙はすべて「現実」( real )であり、時間を通して存在する。そして、すべの量子現象は、近くの宇宙の普遍的な反発力よりもたらされる。

共同研究者のマイケル・ホール( Michael Hall )博士は「ただひとつの宇宙の存在の場合は、ニュートン力学に帰着しますが、莫大な数の宇宙の存在は、量子力学を再生させるものなのです。その合間に、ニュートンの理論でもなく量子論でもない、新しい何かの予測があります」と語った。





(訳者注) この「膨大な数の宇宙」という概念は、量子論が出るより 2600年位前に言われていたことでもあります。

おっしゃっていたのは、お釈迦様ですね。

何度か抜粋したことがありますが、過去記事「「宇宙は人間そのもの」という結論を夢想するとき」という記事に載せましたフレッド・ホイル博士の『生命はどこからきたか』 の記述を掲載しておきます。

『生命はどこからきたか』 より
フレッド・ホイル 1995年

紀元前六世紀に、ブッダの世界観はすでにコペルニクス革命以後に入っていた。彼は宇宙が、各々がわれわれの惑星系と似た数十億の ”小さな宇宙” から成り立っていると記している。ブッダの対話形式になっている古い仏教の教典のなかに無限の宇宙について述べられている。

「無数の太陽、無数の月、・・・、無数のジャムブディパス、無数のアパラゴヤナス、無数のウッタラクラス、無数のブッダビデバス」

ジャムブディパスとは当時の北インドの人々が知る限りの人の住んでいる地域を表す単語である。この対話から、ブッダが生命と意識が宇宙の構造に全体として結びついていて別々にできないものと捉えていたことは充分に明らかである。

とあり、ブッダは、今回のオーストラリアの大学の科学者たちと同様に、

「この宇宙は、われわれの惑星系と似た数十億の小さな宇宙から成り立っている」と述べていた

ようです。

このようなブッダあたりの話が現代科学の結末とシンクロしてきた……というあたりにも、何となく概念的に「この世の最終段階」という想いを持ちます。

もちろん、これは悪い方の意味での「最終段階」ではないです。