2014年11月07日



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太陽黒点が人間社会にばらまいた「暴力の種子」の数々は今後どこに向かうのか



ベルギー・ブリュッセルの10万人の暴動の現場 / 10月6日

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Daily Mail






 



また地球側に大きな黒点群がやって来る

先月 10月 28日頃まで地球方面に向いていた歴史的な巨大群 2192 については、

歴史的な巨大黒点群 2192 の示した「行動」は「太陽はまだ地球を守ってくれている」ということなのか、それとも「太陽の異常性の増大を示唆しているだけ」なのか
 2014年11月03日

という記事に書きましたように、結果として、6回のXクラスのフレアと 26回のMクラスのフレアを地球方面に向けて発生させました。そして、上の記事に書きましたように、これだけの数のXフレアとMフレアが頻発していたにも関わらず、

「1度もCME(コロナ質量放出)を発生させなかった」

ということにおいて、かなり希な太陽フレアが連続していたことを書きました。

通常でしたら、Mクラス以上のフレアは、その多くがCME、つまり「磁気の雲」を壮絶なスピードと量で宇宙空間に放出するのです。それらが地球を直撃した場合、通信や人工衛星などを含めて様々な影響が出る場合があります。

ところが、通常なら巨大フレアと共に発生するCMEが今回はなかった。
それも 30回も連続でなかったのです。

それだけの回数のMクラス以上のフレアの発生があるにも関わらず「CMEが0回」というのは、太陽観測史上でもとても珍しいことなのではないかと思います。

どうして、そのようなことが起きたかというと、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)の言葉を借りれば、

「その理由は誰にもわからない」( No one knows why )

というほかないようです。

しかし、それらの黒点群も「地球に面していない時」には、黒点群は活発にフレアと同時にCMEを放っていることが、たとえば、今、地球に面してきている黒点群 2205 の活動でもわかります。

黒点群 2205 は、昨日、黒点番号がつけられたもので、それまでは、下のような表現で紹介されていました。

something-come.gif

▲ 2014年11月3日の Spaceweather より。


地球方面から見て太陽の裏側で盛んにフレアを起こしている「何か」がやってくるという記事でしたが、 11月 6日になって、それが比較的大きな黒点群であることが確認されました。

下の赤い丸で囲んだものが、その黒点群 2205 です。

ar-2205.gif
Spaceweather


そして、この黒点群は、地球の方向に面して回り込んで来るのとほぼ同時のタイミングで、(まるで祝砲のように)下のようにMクラスの太陽フレアと巨大CMEを発生させたのでした。

2205-cme-flare.gif
SOHO


上の中のモヤッとした雲のようなものがCMEです。

しかし、これもまた「地球にはダイレクトに向いていない場所」でのCMEでしたので、このCMEの影響を地球が受けることはないはずです。

ただ、地球は大丈夫ですが、上の図でもおわかりかと思いますが、スペースウェザーによりますと、「金星はCMEに覆われた模様」とのことで、現在の金星は磁気嵐で大変なことになっているかと思われます。

そして、やはり、スペースウェザーによりますと、この黒点群 2205 は「ガンマ・ベータ・デルタ構造( beta-gamma-delta )の磁場」というものを持つ黒点だそうです。

先日まで地球を向いていた巨大黒点群 2192 も同じくガンマ・ベータ・デルタ構造を持つ黒点群でした。ガンマ・ベータ・デルタの意味は私は理解していないですが、この構造の磁場を持つ黒点は大きなフレアを発生させやすいとされています。

実際、先日までの黒点群 2192 も 30回を越えるMクラス以上の太陽フレアを発生させていたわけで、今、地球の方面に回り込んできた黒点群 2205 も、さらに成長した場合、2192 と同じように、比較的大きなフレアを発生させる可能性がありそうです。

今回の黒点群 2205 は小さく見えますが、先日の巨大黒点群 2192 も、地球に面して回ってきた 10月 20日頃は「地球程度の大きさ」だったのです。

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▲ 2014年10月20日の記事「超巨大黒点群が地球に向いてくる」より。


それがたった2日後の 10月 22日には「木星を超えるような大きさ」にまで成長したのですから、「黒点群があっという間に巨大化する」という光景をも私たちは目撃したことになります。

そんなわけで、前回の黒点群は数多くの巨大フレアを地球方面に放出しながら、CMEは1度も伴わないという「離れ業」をなしとげたことにより、地球は磁気の影響をほとんど受けなかったのですが、

「今回の黒点はどうなのかなあ」

ということに興味があります。

くどいようですが、前回の黒点群のように「まったくCMEを伴わない巨大フレアが数十回も続く」というのは奇妙なことなのです。その奇妙なことが今回も続くのか、あるいは違うのか。

巨大フレアのCMEの直撃をまともに受けた場合、規模によっては何らかの影響はあるものです。

その影響は、磁気による電波や通信などの障害といった直接的なもの以外にも多岐にわたっていますが、たとえば、「人間の興奮」も太陽活動に連動しています。




世界的な「荒れた状況」は回避できるのか

人間の興奮も太陽活動に連動している、などと書くと、はじめて読まれる方は何のことだかおわかりにならないかもしれないですが、このことは、過去記事の、

太陽と暴動。そして、太陽と戦争
 2014年03月04日

など、 In Deep ではわりと以前より多く取り上げるテーマのひとつで、ロシアのアレクサンドル・チジェフスキー博士(1897 - 1964)の言葉をお借りしますと、

「大衆の興奮も太陽の周期に従っている」

という研究結果が多くあるのです。

嶋中雄二さんの著作『太陽活動と景気』から抜粋します。

『太陽活動と景気』 第6章より

チジェフスキーによれば、太陽の影響力は、個体から集団、群生に至る生物系のすべての組織レベルに及んでいるとされた。

そして彼は、動物の血液、リンパ液、原形質等のコロイド電気変化が、太陽活動の変化やバクテリアの成長と平行関係にあることを突きとめた。

こうして、チジェフスキーは、地球上のあらゆる生物の発達は、太陽宇宙因子の直接的影響下に進んだものであり、人類もその例外ではないと考えた。彼は、戦争や革命など人間の不穏状態に関する徴候、あるいは「大衆の興奮も太陽の周期に従っている」とした。

下のグラフは、1740年から 1920年までの「太陽活動」と「社会の暴動や騒乱や紛争」の相関関係を表したチジェフスキー博士の研究論文にあるグラフの一部です。

ac-1920.gif
Cycles Research Institute


このグラフは、

黒点が増えると社会暴動や軍事紛争が増える。

という非常に単純な事実を示唆しています。

そして、まあ、何と今のリアルタイムの時代は、暴動、紛争のタネが尽きないものかとも思います。

・イスラム国の勢力や支持団体の拡大
・中間選挙後のアメリカの政治バランスの崩壊
・東アジアの不穏
・荒れ始めている欧州
・わりと泥沼化している香港のデモ


など、他にも、いろいろとあるでしょうけれど、ヨーロッパの「爆発」が冒頭のようにデンマークから始まったのは意外でした。下の写真もブリュッセルの様子です。

bb-01.jpg
Daily Mail


日本では NHK が報道していました。

ベルギー新政権に反発 10万人がデモ
NHK 2014.11.07

ベルギーで、先月発足した新政権が示している財政緊縮策に反対する10万人規模のデモが行われ、一部が暴徒化して警官隊と衝突するなど混乱が拡大しました。

ベルギーでは先月、ミシェル首相による新しい連立政権が発足し、年金の受給年齢の引き上げや公共サービスに関する予算の削減をはじめとした財政緊縮策を打ち出しています。

これに対して、労働組合が、労働者の生活を圧迫するなどとして反発し、6日、首都ブリュッセルの中心部で10万人規模のデモが行われました。

デモの大部分は平穏に行われていましたが、参加者の一部が警官隊に対して発煙筒を投げたり車に火を放ったりして暴徒化し、警官隊が放水車や催涙ガスで応酬するなど混乱が拡大しました。

ベルギーのようにヨーロッパ各国では、信用不安以降の景気回復が遅れるなかで、緊縮策を続けることなどへの国民の反発が強まっています。

とのことで、

> ヨーロッパ各国で、国民の反発が強まっています。

と言われていたり、何となく沈静化していたのかと思っていた香港の民主化デモは、1ヶ月を過ぎた今でも、特に夜間を中心に、いまだにわりと激しく続いていたり。

hong-kong-demo.gif

▲ 2014年11月6日の Epoch Times より。


イスラム国も、世界各国のイスラム過激派がイスラム国支持を表明する中、11月5日の THP に、

オバマ大統領のシリア戦略が破綻 イスラム国とアルカイダ系組織が手を組み北西部を侵攻、事態は複雑化
 THP 2014.11.05

というタイトルの記事があったり、「爆発の予感」をひめた出来事が多い気がします。

もう……すでに「爆発」しているのかもしれないですが、それでも一応、「世界は一触即発」という感じのする今、太陽活動がとても気になります。

そういえば、フランスでは、原子力発電所の上空に「所属不明の謎の小型無人機」の飛来が相次いでいるという何となく不安げなニュースもありました。

フランスの原発上空に謎の無人機、相次いで飛来
ウォールストリート・ジャーナル 2014.11.04

フランスの原子力発電所の上空で謎の小型無人機による違法飛行が相次いでいる。それを受け、同国の安全保障当局が調査を進めている。

ある政府関係者はAP通信に、当局は10月1日以降、6カ所の原発上空で無人機の飛行を約15回確認したと述べた。(略)フランスの総発電量に占める原子力発電の比率は3分の2強と、世界で最も高い。

あくまで感覚的なことですが、何かこう、「どこかの一点に向かって」何かが進行している……という雰囲気を感じたりします。

今年、黒点が多かった期間は、おおむね2月から6月中旬までに集中していました。

その時期には、

・タイの政治的動乱の始まり
・ウクライナ騒乱の始まり
・中国のテロの連続の始まり
・マレーシア機の消失
・台湾で学生による国会の占拠
・韓国のフェリー転覆事故
・ボコ・ハラムによるナイジェリア生徒拉致事件
・ベトナムと中国の南沙諸島を巡る衝突
・タイで軍事クーデター
・イスラム国の台頭


などがありました。

それらの多くは今にいたるまで影響が残るか、あるいは、事態そのものが進行中だったりします。

2014年は前半に多くの「暴力のたね」が蒔き続けられたということになり、それらの発芽はもう始まっているのかもしれないですけど、総決算的な「爆発的成長」がいつやって来るともわからない。

紛争の話ではないですけれど、日本の先行きもいろいろと。

日銀が追加の金融緩和を発表した 10月 31日、米国のサイト「ゼロヘッジ」には下のタイトルの記事が掲載されました。

qe-japan.gif
Zero Hedge


モルヒネはガンなどの末期患者や、戦場なら助かる見込みのあまりない負傷兵に対して、死亡するまでの苦痛を軽減するものです。依存性が強いために通常の治療薬として使うものではなく、「すぐ先の死が決まっている人のために使われる」ものです。

記事の筆者は、日本をこの「末期の患者」に例えて表現しています。

経済には詳しくないので、何がどうなのかの判断材料を持ちませんが、さほど先が長くないと思われる自分のことはともかく、日本の子どもたちや若い人たちは、これからどんな「近い未来」を経験していくことになるのかな、とは思います。