2014年11月08日



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西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類。しかし、今回はどうなる? 太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム



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▲ 2014年10月31日の Dr Sircus より。



予測を上回る「異常に早い冬」が世界各地に到来している2014年の北半球

冒頭の記事は、アメリカの東洋医学の医師として著名であるというマーク・サーカス( Mark Sircus )医師のブログの記事で、通常は、薬学や鍼灸などの題材の記事が多いサーカス医師の記事で、唐突に、

「なぜ(今年は)こんなに早く寒くなっているのか?」

というタイトルの記事が出されました。

この「なぜ、こんなに早く寒くなっているのか」という感覚は、日本は今のことろ季節感の崩壊はない感じですので、私たちにはあまり実感がないかもしれないですが、ヨーロッパやロシア、アメリカなどの一部などでは現在かなりの範囲で「記録破りの早い雪と寒さ」を迎えているのです。

11月としては73年ぶりの早い大雪の記録を塗り替えたロシア

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▲ 2014年11月7日の英国テレグラフより。


50年前の寒波の記録が各地で破られている米国フロリダ州

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▲ 2014年11月2日の Naples News より。南フロリダなどの温暖な地域の各地で、 1950年台に記録された最低気温を更新し続けています。


猛吹雪により数万世帯が停電となっているフィンランド北西部

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▲ 2014年11月6日のフィンランド・タイムズより。ポフヤンマー県という場所にある地域が広範囲で猛吹雪に見舞われ、気温も氷点下3度を下回ったのだそう。


他にも例を挙げればキリがないですが、すべての地域というわけでは決してないにしても、地球(北半球)全体として見ると、「今年は非常に冬が早い」という傾向が見られます。

冒頭の記事では、サーカス医師は、ロシア科学アカデミーの科学者たちが 2006年から予測していた

「太陽活動の縮小がもたらす地球寒冷化が 2012年から 2015年の間に訪れる」

という説を紹介すると共に、そこに、ロシアの科学者たちが寒冷化の原因としては加えていなかった「火山の噴火の増加による寒冷化」について記述しています。

もちろん、地球が寒冷化していく理由は、過去の寒冷化や小氷期も含めて原因は複雑で、さらにそれは周期的でもあるわけで、複合的な要因によるものであり、決して火山の噴火で説明できるようなものではないですが、「さまざまな要因の中のひとつの大きな原因」とサーカス医師は述べています。

今回はそのサーカス医師の記事の内容の概要をご紹介したいと思います。

オリジナルの記事は、『罪と罰』でも読まされているような感覚に陥るほど果てしなく長いものですので、要点をわかりやすく訳したいと思っています。

ところで、タイトルに入れました、

1750年頃の「何らかの理由」で氷河期入りから救われた人類

というフレーズは意味がわかりづらいかと思います。
これも気候と関係したものですので、ちょっと記させていただきます。




1750年頃の地球に何があったのか

このことは、米国の気象サイト「クライメイト・オーディット」の Warmest since, uh, the Medieval Warm Period (中世の温暖期以来、今が最も暖かい)という記事にあった下のグラフを見て思ったものでした。

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Climate Audit


これは加重平均で西暦 2000年間の気温をグラフ化したものだそうです。

加重平均というのは、金融用語として使われるもので、コトバンクによりますと、

平均値の算出方法のひとつ。平均する各項の条件の違いを考慮に入れ、対応する重みをつけてから平均すること。また、その平均値。ダウ平均株価の類。

とのことで、あまりよくわからないですが、そういう平均値の算出方法があるということです。

そして、その算出方法で出された気温の推移を見ると、西暦 1000年頃から西暦 1750年くらいにかけて気温はどんどんと下がっていっていることがわかります。

このまま下がり続けると、いよいよ人類社会に影響が出るほどのレベルに突入する……と思われた 1750年くらいから「突如」という感じで気温が上昇しています。

これについて、やはり気象や海氷の状況を記事にしている sunshine hours という(人為的な原因による地球温暖化説を強固に批判している)ブログの記事で記者は、

1750年頃に地球に何が起きたにせよ、これは地球の人類を凍死から救ったことになる。それが、(ありえないが) CO2 によるものだとか、自然変動によるものだとかの理由が問題なのではない。この時、人類が凍死から救われたことを私たちは素直に感謝すべきだ。

と書いています。

そんなわけで、グラフにある通り、現在も含めて、西暦 2000年以降の地球は、西暦 400年代に迫るほど暖かい時代だということになっています。

それにしても、1750年頃に地球に何があったのでしょうかね。

その頃、日本は江戸時代。

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NAVER


あるいは、文献などを丁寧に調べれば関係する現象のような記録が残っているかもしれないですが、見つけ出すのはなかなか難しそうです。

ちなみに、その少し前までの地球は、太陽黒点数が著しく減少した期間であるマウンダー極小期と呼ばれる時代で、それは、1645年から 1715年のおよそ 30年間でした。

そのマウンダー極小期が終わって、わりとすぐに地球は「温暖化」へと向かっていき、しかも、その温度上昇の曲線はものすごい急カーブを描いていたことがわかります。

ちなみに、このマウンダー極小期の黒点の数なんですが、「 30年間でわずか 50個」の黒点のみ観測されたという時代ですが、当時の10年ごとの黒点観測数の表を見ると、1645年から 1715年までの 30年間の黒点の少なさの異常さが、よりハッキリとします。

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Wikipedia

10年ずつの単位でこれです。

ちなみに、最近は黒点に関して記事にすることも多かったですが、マウンダー極小期の「 30年で 50個」という黒点は、今現在なら「1日分にも及ばない」ものです。

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NICT 黒点情報


30年間は 10950日ですので、マウンダー極小期の時代は、最近の太陽の「2万分の1ほどの活動しかしていなかった」ということになりそうです(計算が適当な点についてはお許し下さい)。

いずれにしても、1750年頃に何があったのかはわからないにしても、それまで一方的に下がり続けていた気温が、突如として反転したということは事実のようです。

この 1750年頃に地球の気温が上昇に転じず、その時よりもさらに気温が下がり続けていた場合、凍死はしなくとも、農業生産の衰退による極端な飢饉や飢餓で人口そのものが減っていった可能性はありますし、それは地球の文明の発達とも関係していたかもしれません。

要するに、人口が減る上に、大雪や寒波は活動範囲を狭くします。その上、黒点活動が弱いと「情熱そのもの」が人から消えていくと思いますので、文明が発達していかなかった可能性があると思います。

いわゆる「現代人類の文明」といわれるものも氷河期が終わった1万年前頃から始まったような部分もありますし、基本的に「寒いと人間文明は進まない」という面はあるのかもしれません。

そういう意味で、今後の展望として懸念として思うことは、これから先の気温が下のような状況にならないかどうかということです。

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いずれにしましても、「地球」という単語を頭に付けないでという条件でしたら、確かに「寒冷化」は世界各地に拡がっています。そして、昨年も一昨年も日本を含めていろいろな場所で「大雪」に見舞われましたが、それは今年も続くのかもしれません。

ちなみに、記事に出て来るロシア科学アカデミーの科学者は「寒冷化は西暦 2055年まで続く」と予測しているそうです。

では、冒頭の記事をご紹介します。



Why is it Cooling So Fast?
Drsircus 2014.10.31

なぜこんなに早く寒くなり続けている?

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ロシア科学アカデミーの宇宙研究セクションの局長を務めるハビブロ・アブダッサマトフ( Habibullo Abdussamatov )教授は、2006年のプレスリリースの中で、これから訪れる世界的な寒冷化に備えて、世界は準備すべきだと述べた。

教授の 2006年の予測では、「世界寒冷化」は 2012年から 2015年の間頃から始まるだろうとしていた。そして、2055年までそれは続くと予測した。

しかし、このロシア人科学者たちの予測は、太陽活動の縮小による寒冷化を想定したもので、彼らの予測には、現在、記録的な量に達している火山の噴火による火山灰と塵が地球の冷却化を促進することについては含まれていなかった。

過去 14年間、火山の噴火による大気中への灰の噴出は増加し続けており、これは地球寒冷化の原因のひとつとなり得ることを最近の科学的研究は示唆している。

研究者たちは、1998年から 2012年までの間の 17の噴火の後の、地球の上層大気の二酸化硫黄の分子の分布状況を調べた。

結果は、火山灰の分子は、むしろ地球の表面よりも、太陽光の背後に液体粒子を作っていることがわかったのだ。これは、火山灰の分子が、太陽光の地球への到達を遮っていること示唆している。

そして、地球全体での火山噴火の数は着実に増え続けている。

火山噴火の年間の平均数は 50から 60であり、たとえば、1990年には 55の噴火が記録されたが、 2013年は 12月5日の時点までだけで 83の噴火を記録した。

この火山噴火の増加は 2014年も継続している。

そして、過去 10年間で、成層圏のエアロゾルの量は増加し、太陽光の反射に影響を及ぼしている。

ローレンス・リバモア国立研究所の気候科学者のベンジャミン・サンター(Benjamin Santer)博士は、プレスリリースで「この現象は、地球の自然変動としての寒冷化を作りだしている。そしてこれは、地球表面の気温上昇と人間の影響による気温上昇のどちらをも相殺している」と述べている。

もし、これからの冬が、昨年の冬より寒くなった場合、私たちは厳しい時代に突入していくことになるのかもしれない。寒冷化は食糧供給に影響を与え、世界的に重大な局面となる可能性もある。

たとえば、現在噴火しているアイスランドのバルダルブンガ火山( Bardarbunga )が1日に排出している二酸化硫黄の量をご存じだろうか。それは、何と3万5千トンにのぼる。たった1日でだ。

これだけの量の二酸化硫黄の多くが地表よりも、むしろ上層大気で太陽の光を反射する液体粒子を形成していると考えると、この火山ひとつだけとってみても、どのくらいの寒冷化につながっていることかと考える。


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