2014年11月21日



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冬のカオス:凍てつくアメリカ、焼け付くオーストラリア、いまだに消滅し続けるヒトデ。そして「過去の小氷河期はたった数ヶ月の間に突入していた」という事実



異常な寒波。そして異常な熱波

昨日の早朝ドアを開けると、今期はじめて吐く息が白くなっていました。

子どもに「息が白くなってる」というと、自分でも息をして「本当だ」と確かめていました。
まあしかし、息が白いとはしゃいでいる場合ではない場所も多くあります。

日本の関東はこの程度の寒さで済んでいますが、アメリカは「全 50州(ハワイを含む)で氷点下を記録した上に、ニューヨーク州では大雪で非常事態宣言」となっていたりします。

ny-snow-chaos.jpg
読売新聞


この雪の壮絶さは、11月20日の CNN の「記録的な大雪で7人死亡、さらに積雪の見通し 米NY州」というタイトルの記事の中にある、

1年分以上の雪がこの1週間で降り積もる可能性もある。

という表現でも想像がつく部分があります。
普通なら、ワンシーズンで降るすべての雪が1週間で降り積もる。

気温もすさまじいものです。

11月18日の全米の気温

2014-1117.gif
来たるべき地球のかたち


この時期にハワイも含めた全米 50州が氷点下になったことは、少なくとも近年ではなかったのではないでしょうか。

その一方で、夏に入りつつあるオーストラリアでは、「時期としては異例の猛暑」に見舞われていて、シドニーやその周辺で連日 40度近くの気温が続いている中、ニューサウスウェールズ州のカシノという町では、

44度の猛暑に見舞われた後に、5000匹のコウモリが次々と死んで木から落ち、町全体がコウモリの死臭で包まれた。

という、自然災害ではありつつも、むしろオカルトを感じさせるような出来事も起きています。

5000-bats-dead.gif
Mirror

上の出来事は熱波の中で突然、5000匹以上のコウモリが木から「死んで」落ちてきたという記事に書きました。

オーストラリアはここ数年も異常に熱い夏が続いていたとはいえ、「コウモリが暑さが原因で大量死を起こし、それが木から落ちてくる」なんてことは、これまでなかったわけで、すでに「自然の動物が生きることのできる環境を越えてきた」と言えるのかもしれません。




異常性が増しているアメリカ周辺の海域

そういえば、最近、ナショナルジオグラフィックで、

数百万のヒトデが溶ける、北米西海岸
 ナショナルジオグラフィック ニュース 2014.11.18

という報道がありまして、「まだ続いているんだなあ」と知りました。

これに関しては、ちょうど昨年の今頃から何度か In Deep の記事で取り上げたことがありました。下の記事などがそうです。

「星が消えて海が壊れる」:アメリカ周辺のヒトデの大量死の状態は「分解して溶けて消えていく」という未知の奇妙なものだった
 2013年12月05日

米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ
 2014年06月06日

oregon-seastar-2.gif

▲ 2014年6月4日の米国オレゴン州立大学ニュースリリース Sea star disease epidemic surges in Oregon, local extinctions expected より。


この現象が判明しだしてから、すでに1年以上経っているわけで、ヒトデの崩壊現象の原因がわかってきたからこそのナショナルジオグラフィックのニュースなのだろうと思って読みましたら、下のようなことでした。

大量死の原因はパルボウイルス科のウイルスであるという。

というところまではわかったようですが、

広く存在しているウイルスが、突如として数百万の生物を死に至らしめるのはなぜか。原因はまだ解明されていない。

ということで、結局よくわかっていないようです。

上のほうに貼りました米国オレゴン州立大学の報告では、

推定では現在、地域的に最高で 60パーセントのヒトデが消耗性疾患で死んだと考えられるが、じきに 100パーセントが死に絶える海域が出るだろうと予測されている。

とあり、それが今年の6月の報告ですので、アメリカ西海岸のいくつかの地点で、すでにヒトデは絶滅している可能性があります。

ちなみに、これは「単に死ぬ」のではなく、「溶けていってしまう」のです。

まず手足や胴体がバラバラになり、それがすべて溶けていき、最終的には下のような粘体となって海底に付着していきます。

seastar-death-5.gif


その過程は上にリンクしました記事「星が消えて…」の中に写真で示してあります。

ところで、その原因というわけでも何でもないのですが、現在、アメリカはこれだけ強い寒波に見舞われていますが、実はアメリカ周辺の「海」では奇妙な現象が起きています。

それは「海水温が異常に高い」のです。

低いのならわかる気もするのですが、「高い」のです。
しかも、一過性のものではなく、最近ずっと高いままなのです。

下はアメリカ海洋大気庁( NOAA )による9月の世界の海水温度の平年との差異ですが、アメリカ西海岸からアラスカにかけての海域と、東海岸沿いの一部の海水温度が平年に比べて異常に高いことがわかります。

sea-temp-201409.gif
・NOAA


さらに下の気温の比較を見ると、今年の異常さがよりわかります。これは1年前のアメリカ西海岸沿いの太平洋の海水温度と、今年の同じ日の海水温度を比較したものです。

warm-water.gif
San Jose Mercury News


華氏表示ですが、場所によっては昨年より 10度以上も海水温度が高い場所があります。

たった1年間でここまで急速に海水温度が変化すると、環境に対応できない生物が出てきても不思議ではないと思いますので、ヒトデの件も含めて、いろいろと関係している面もあるのかもしれません。

しかし、その一方で、このアメリカ周辺の急速な海水温度の変化が「新しい生物」のすみかを作ってきているという事実もあります。

odd-species.gif

▲ 2014年11月2日の米国 San Jose Mercury News より。


上の生物は「ガラスウキヅノガイ」( Hyalocylis striata )というもので、クリオネだとか、そっち系の生き物だと思うのですが、本来はメキシコなど熱帯から亜熱帯に住むもので、今年9月に、はじめてカリフォルニアで採取されたことが確認されたのだそう。

他にも、熱帯の海域にしか生息しない海洋生物が、大型、小型を問わず、アメリカ周辺の海域に住みついていることが上の記事で報じられています。

どうやら現在、「アメリカ西海岸は海水温では熱帯地方になっている」ようなのです。

そんな中で、アメリカの大地の方は記録的な寒波というアンバランスはなかなかすごい要素が含まれているのではないかと感じたりもいたします。

なお、海域の海水温が高いカリフォルニアですが、大地でも絶望的なレベルの干ばつが続いています。

そんなカリフォルニアですが、先に記しましたように、今回の寒波は「アメリカの全州に氷点下の気温をもたらし、全土の 50パーセントが雪に見舞われた」わけで、カリフォルニアも例外ではありませんでした。

つまり、カリフォルニアでも雪と寒波を経験したようなのです。

そして、報道では下のように「干ばつで草木も枯れきった大地に雪が積もる」という、やや終末的な光景の写真が掲載されていました。

snow-drought.jpg
Farm Future


そして、この雪は干ばつに関して良い方向に働くのでは? と思ったのですが、農業に関しての専門サイトの昨日の記事は、「ほとんど好転していない」ということでした。

drought-few-changes.gif

▲ 2014年11月20日の米国農業系ニュースサイト Farm Future より。


干ばつで農業がやられている上に雪まで降り、今度は冷害が加わるという、カリフォルニアの農家の方々は踏んだり蹴ったりの状況のようです。

こんなように、何だかとても荒れている感じが明確になっている地球の気候なんですが、最近、氷河期についての少し昔の論文の存在を知りました。




1万2800年前に1300年も続いた小氷河期は徐々にではなく「たった数ヶ月」のあいだに起きた

その論文は、2009年11月の科学誌ニューサイエンティストの下の記事です。

mini-iceage-12800.gif
New Scientist


ところが、上の記事はすでに「アーカイブ」となっていて、全文を読めるのは有料会員だけとなっていまして、私は読めないのでした。

しかし、この論文の内容についてふれた米国サイト Ice Age Now の記事に概要が出ていますので、ご紹介します。

ちなみに、ニューサイエンティストの上の見出しは「ミニ氷河期」となっていて、この言葉は一般的には中世の小氷期を指しますが、この調査でのミニ氷河期は、下のグラフにある 12800年前に始まり、約 1300年間続いた「氷河期の中のミニ氷河期」です。

ice-age-temp1.gif
良い時代と悪い時代


この期間はヤンガードリアス、あるいは新ドリアス期と呼ばれているそうで、 氷河期時代の最終氷期の頃に約 1300年間も続いた気候寒冷期と分類されています。

ニューサイエンティストの記事の概要としては以下のようなものです。

これまで、氷河期は 20年以内の期間の中で始まり定着していくと主張する学説があったが、今回の研究を主導した地質学教授ウィリアム・パターソン( William Patterson )教授の調査結果は、実際は小氷河期はそれよりもはるかに早く定着していたことがわかった。

約 1万 2800年前、北半球は、ヤンガードリアス、あるいは「大凍結( Big Freeze )と呼ばれるミニ氷河期に見舞われた。これは、メキシコ湾流の低迷によって引き起こされたと考えられており、約 1300年間続いた。

パターソン教授は、アイルランド西部の湖から、わずか5ミリの厚さずつ泥の層を収集し、それを分析した。それぞれの層は土砂堆積の3カ月間ごとの時間を示すために、非常に短い時間の区切りでの気温変化を測定することができる。

その結果、教授は、気温がわずか数ヶ月間で下がり、湖の植物や動物たちが急速な勢いで死滅していったことを発見した。

今回のパターソン教授の発見は、気候変動に関して、地球の気候は信じられないほど急速に変化するという理論を補強することになった。

世界の気温は大体 1,000年くらいのサイクルで大きな上下を繰り返してきたようなんですが、上のグラフを見ている限り、「徐々に下がっていって、また徐々に回復していく」というように見えます

しかし、この研究は、そもそも

上のグラフのような気温変化のゆったりとした曲線は間違いかもしれない

という可能性をも示すものです。

1300年間も続いた寒冷期が「数ヶ月でその気温にまで落ちて、そのまま 1300年間続いた」ということになるわけで、本当に一瞬にして地球の気候が変わってしまった歴史がここにもあることを知らされます。

それにしても、過去がそういうことがあったのなら、

これから小氷河期に入る場合も「たった数ヶ月」で突入する可能性がある

ということにもなりそうです。

今のアメリカを見ていると、そろそろそんな感じもしてきますが、灼熱のオーストラリアを見ていると、小氷河期なんてまだまだ、とも思えますし、一体どうなっていくのでしょうか。

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