
・Satflare
ロシアの目的不明の衛星「物体 2014-28E 」のその後
少し前の、
・2014年の終わりまでに開くはずだったマヤ神官の言う「時間の窓」は開かず、ロシア・ウラルの空では人びとが「天空の門」と呼ぶオレンジの光が炸裂する
2014年11月19日
という記事の後ろのほうで、ロシアから打ち上げられた「かもしれない」目的不明の衛星「物体 2014-28E (Object 2014-28E)」について少しふれました。
この物体は、最初のうちは下のガーディアンの報道のタイトルのような捉えられ方でした。

・Guradian
すなわち、
・宇宙ゴミなどの破片の可能性
・そもそもロシアのものかどうかわからない
などとなっていて、いろいろと不明だったのですが、その後、ロシアから打ち上げられたこと、それが自ら動力を持つ衛星であることなどが確認され、その軌道も特定されました。
現在では、サテフレア( Satflare )という、人工衛星の軌道を追跡できるサイトでの下のリンクから、この「物体 2014-28E」の軌道を確認できます。
・Satflare - COSMOS 2499
冒頭に貼りましたように、北米の西海岸沖の太平洋上空から、ロシア西部などの上空を周回しているようです。
ロシア周辺のほうでの正確な軌道は下のようになります。

その一方で、中国も昨年7月以来、「目的不明の人口衛星」を次々と宇宙空間に打ち上げています。
昨年から続く中国の「目的不明」の衛星の打ち上げ
つい数日前にも、中国の宇宙開発部署「中国航天科技集団公司」が「快舟二号」という、公称の目的は自然災害観測のための地球観測衛星を打ち上げています。
謎に包まれた中国の快舟ロケット、2号機が打ち上げに成功
Sorae 2014.11.23中国航天科技集団公司は11月21日、地球観測衛星「快舟二号」を搭載した快舟ロケットの打ち上げに成功した。快舟ロケットは昨年9月25日に初めて打ち上げられ、今回が2機目となるが、その姿や性能は謎に包まれている。
衛星「快舟二号」は、災害観測を目的としているということ以外は、姿かたちや性能などは明らかにされていない。
中国はこの2機だけではなく、昨年の7月にも衛星を打ち上げています。
その頃の米国サイト Space.com は「中国の衛星の謎の行動が専門家たちに抱かせる推測」というタイトルの非常に長い記事をリリースしました。

▲ 2013年9月9日の Space.com より。
この記事には、たとえば、下の図のような現在(図は2011年時点)のアメリカと中国の測位観測システム衛星の位置状況についての図が示されています。

この図のキャプションには、
中国の新しい衛星攻撃兵器(ASAT)のテストは、地球の中軌道に到達する能力を披露した。一部のアナリストは、これはアメリカの全地球測位システムの航行衛星の配置に対してのリスクを持つと強調するだろう。しかし、中国の測位システムも同じリスクを持つことになる。
と記されています。
このあたりのことについては、衛星攻撃兵器 - Wikipedia に、
2013年現在は、中国としても国際的非難を避けるためにあからさまな衛星攻撃兵器の実験はできず、2010年頃から、弾道弾迎撃ミサイルの実験を行っているが、衛星攻撃兵器の実験も兼ねていると考えられている。
とあり、常に「衛星攻撃」という概念を持ちながら、様々な機器の開発を進めているという面はあるようです。
ちなみに、上の写真の左上にある文字を見ますと、アメリカの方には
・US GPS
とあり GPS 衛星だとわかるのですが、中国のほうは
・Chinese Beidou
とあります。
「 Beidou ナビゲーション・システムって何だ?」
と思って調べてみますと、Beidou は漢字では「北斗」を意味するようです。それで探してみましたら、北斗 (衛星測位システム) - Wikipedia という項目がありました。
北斗衛星導航系統は中華人民共和国が独自に開発を行なっている衛星測位システムである。2012年12月27日にアジア太平洋地域での運用を開始している。中国はアメリカ合衆国のGPSに依存しない、独自システムの構築にこだわってきた。
第二世代のシステムはコンパスまたは北斗-2として知られ、完成時には35機の衛星で構成される全地球測位システムになる予定。
中国は方位測定システムでも、アメリカから離れた独自のものを構築していることを知りました。
私は衛星測位システムはアメリカの GPS に全世界が頼っているものだと思っていたのですけれど、グローバル・ポジショニング・システム - Wikipedia によりますと、独自の衛星測位システムを開発している国はそれなりにあって、
・ロシア(GLONASS / 2011年から稼働)
・インド(インド地域航法衛星システム/一部稼働)
・日本(準天頂衛星システム / 未完成)
などがその試みをおこなっているようです。
他に欧州連動は「ガリレオ計画」という衛星測位システムを開発しているようですが、予算などで厳しい状態のようです。
確かに、戦争をする場合、今の時代ですと、衛星からの位置の正確な把握は大事でしょうしね。
それが、現時点では、基本的に多くがアメリカの GPS に頼っているわけですから、やはり独自のシステムがほしいという考え方はわかります。
さらに、仮に大国間などの大きな戦争になった場合、
「相手の衛星を破壊する」
ということはかなり重要なミッションにもなってくるのかもしれません。

・Examiner
そのあたりのことなんかもあって、いろいろと騒がしくなっているのかもしれないですね。
しかし、そういう衛星の破壊とかが宇宙空間で広がりますと、少し前の記事にも載せましたけれど、今でさえ1万2000個もの宇宙ゴミが地球の周りを飛び回っているわけで、これ以上増えると、なんだか良くない感じもしないでもないですが。

それはともかくとして、上に書きましたようなことがあるのかどうかはわからないですが、ロシアの謎の物体に関しても、中国の目的不明の衛星にしても、「衛星攻撃兵器」のたぐいなのではないかとする見方が西欧では多く述べられています。
どうにも、私たち一般人にはわからないことがたくさん裏では起きているのかもしれないですけれど、とりあえずは、謎のロシアの物体2014-28Eについてのガーディアンの記事をご紹介します。
記事は比較的軽い感じで書かれていて、兵器の可能性もあるにしても、それほど深刻なものではないのではないだろうかというような推測が書かれています。
What is Object 2014-28E – a Russian military satellite or a piece of unidentified debris?
Guardian 2014.11.18
物体2014-28Eとは何か。それはロシアの軍事衛星? あるいは正体不明の破片?
名称:物体 2014-28E( Object 2014-28E )
年代:不明
外観:不明
目的:不明
申し訳ないが、この「物体 2014-28E」についてはほとんど何もわからないのだ。そして、それを特定することは難しい。
わかっていることといえば、軍事通信衛星を展開する使命の一環として、6ヶ月前にロシアから軌道上に打ち上げられたものだということだ。
最初は破片の一部であると考えられていたが、その後、物体2014-28Eは、軌道を周回しだし、他のロシア宇宙艇を訪問し、そして、ついには先週にはロシアの宇宙艇一機と結合した。
最終的に、この物体はが核戦争への策略の一部になるのだろうか。……いや、実際には今回の出来事に悪人が関わっていると考えることは、誇大妄想である可能性が高い。
しかし、そうでない場合、この物体はたしかに戦争用かもしれないと考えることのできるいくつかの推測がある。
その場合は、これはロシアの対衛星兵器に関するもので、そして、これは今までにないまったく新しい何かなのかもしれない。
まったく新しい何かとは?
たとえば、電気系統をすべて無効にする(映画『007 ゴールデンアイ』に出る)ゴールデンアイ・パルス装置とか? それとも、支配者民族が地球の人口構成の再編を行うための準備として、神経ガスを地球にばらまく装置?
しかし、そのどちらの可能性も低い。
多分、これは兵器のたぐいではなく、宇宙ゴミを収集する目的や、あるいは、衛星の修理や補給の目的などを持っているのではないかと思われる。
しかし、ロシアがこの衛星の打ち上げを公表しなかったことは奇妙には感じる。
アメリカと中国はすでに双方が衛星を攻撃するテクノロジーを持っている。さらに、中国は昨年7月に、やや不審に感じる物体を打ち上げた。
なるほど、そういう部分から見れば、あるいは、これらはすべて、宇宙空間での大規模な戦争への準備としての機器の可能性もあるということだろうか。