2014年12月12日



2015年10月7日に In Deep は http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




「2015年は地獄の真っ只中」:デンマークの投資銀行サクソバンクによる 2015 年の「アウトレージな予測」から見る来年の世界



saxo-prediction-top.gif

▲ サクソバンク「大胆予測」表紙。ダウンロードはこちらからできます(英語)。無料です。




「ツケを払うときが迫っている」

デンマークに「サクソバンク」という投資銀行があります。

日本にもオフィスを構えていますが、この投資銀行は、毎年12月に「翌年の 10大予測」を発表していて、それを自ら「大胆予測」( Outrageous Predictions )と呼んでいます。

投資銀行ということで、予測は経済に関してのものが多いですが、「火山の大噴火による混乱」(アイスランドのバルダルブンガ火山噴火の二酸化硫黄排出によるヨーロッパの気候の変化と農作の大不作から来る混乱)など、経済だけではとどまらず、いろいろとあります。過去はそれなりに当たっていたものもあるようですので、2015年の予測も簡単にご紹介したいと思います。

ちなみに、その3番目には日本が出てきます。

「日本はアベノミクスが抑制不能なミサイルとなり、インフレ率は5%上昇」

というようにあります。

なお、サクソバンクの大胆予測のオリジナルはかなり長いものですが、冒頭部分だけが日本語にも短く訳されていて、それはこちらのページにあります。そのタイトルは、「ツケを払うときが迫っている」で、以下のような記述があります。

将来は常に不確実です。サクソバンクの「大胆予測」は、10のテーマに焦点をあて、今後起こるかもしれないことを、論争を招くことを承知で、文字通り大胆に予想するものです。

ロシアのデフォルト(債務不履行)、火山の大噴火による大混乱、インターネットの終焉であれ、最悪のシナリオや出来事を想定することは、実際に危機が発生してもうまく対応する能力の向上につながります。

2015年は厳しい1年になると予想していますが、後から振り返ると「どん底」の1年になっている可能性もあります。ウィンストン・チャーチルは「もしも地獄の真っただなかにいるのなら、そのまま突き進むがいい」と言っています。

というように、厳しい予測となっているようです。

「インターネットの終焉」などという言葉も出てきて、これはサクソバンクの予測では、主にハッカーの攻撃の増加により、インターネットサービスがかつてない混乱に陥る可能性を指しているのですが、このあたりに関しては、過去記事の、

「インターネットの終末の日」や「パーソナル端末の終末の日」が頭をかすめる秋(Bashバグとかゲームオーバーゼウスとか etc……)
 2014年09月26日

の中に、ロシアのセキュリティ専門家が、時期を明言しているわけではないですが、「全世界の通信網としてのインターネットは消滅する」という予測を立てていたりもします。

そのロシアは、サクソバンクの予測では、来年デフォルトするとなっています。

ところで、上の記事の中に、

> それにしても、今年になって「史上最悪の」という冠がついたセキュリティバグ(脆弱性)がこれで2つ目。

と書いてある部分があるのですけれど、実は現在「3つ目の史上最悪級の脆弱性」が露呈しているのですよね……。今はまだ大きく報道されていないですが、普通の個人ではあまり対応できないものです。なので、どんなものかは今は書かないことにします。

来年の春あたりまでには、その OS (パソコンの基本ソフト)の会社が解決してくれると思いますが。


それでは、ここからサクソバンクによる 2015年の大胆予測です。

オリジナルの文書はそれぞれの項目の説明がかなり長いですが、基本的には、タイトルと簡単な概要を記したいと思います。また、経済問題について私が理解していないものについては、タイトルとサブタイトルのみを記しています。

結構長いですので、先にタイトルだけを書いておきますと、

1.ロシアが再びデフォルトに
2.火山噴火が穀物生産を直撃
3.日本のインフレ率が5%に上昇
4.ドラギECB総裁が辞任
5.ユーロ建て社債:スプレッドが倍に拡大
6.ハッカー集団がオンラインショッピングを攻撃
7.中国が人民元を20%切り下げる
8.カカオ豆先物が1トン=5,000ドルを突破する
9.イギリスの住宅バブルが崩壊
10.イギリスは 2017年にEUを離脱

となります。

それでは、ここからです。




サクソバンクによる2015年「大胆予測」


1.ロシアが再びデフォルトに

russia-default-again.gif

「ロシア経済にパーフェクトストームが吹き荒れ、ロシア経済が終焉すると共に、ロシア政府は、自主選択的にデフォルトに移行する」

ロシアは西側による経済制裁以前から景気後退局面にあり、原油価格の下落、ウクライナとの対立、ルーブルの低下、1340億ドル(約 16兆円)の債務などの要因から、ロシア経済はパーフェクトストームの中に沈む可能性がある。



2.火山噴火が穀物生産を直撃

volcana-crop-01.gif

「噴火は、ヨーロッパすべての産業排出より多くの二酸化硫黄を排出している」

2014年に噴火したアイスランドのバルダルブンガ( Bardarbunga )火山は現在も活発な噴火を続けているが、2015年は、この噴火による二酸化硫黄ガスの噴出がさらに激化し、ヨーロッパ全域の気象パターンに変化を及ぼす。

そのため、ヨーロッパの穀物生産はダメージを受け、食糧価格は高騰する。

今回のアイスランドのバルダルブンガ火山の噴火は、過去1万年の中で最大の噴火だ。バルダルブンガ火山の噴火の溶岩量は、1783年のラキ火山の噴火以来、最大の溶岩量を記録しており、今後のヨーロッパの環境に大きな影響を与える。


(訳者注) この項目については、環境などとの関連として重要だと思いましたので、「来たるべき地球のかたち」の、

アイスランドのバルダルブンガの噴火の火山ガスは、2015年にヨーロッパ全体の気候パターンを変えるかもしれない

にそのページの翻訳を記しました。

また、アイスランドのバルダルブンガ火山の二酸化硫黄の排出量に関しては、11月に書きました、

西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類。しかし、今回はどうなる? 太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム
 2014年11月08日

という記事で訳しました記事の中に、このような記述があります。

たとえば、現在噴火しているアイスランドのバルダルブンガ火山( Bardarbunga )が1日に排出している二酸化硫黄の量をご存じだろうか。それは、何と3万5千トンにのぼる。たった1日でだ。

これだけの量の二酸化硫黄の多くが地表よりも、むしろ上層大気で太陽の光を反射する液体粒子を形成していると考えると、この火山ひとつだけとってみても、どのくらいの寒冷化につながっていることかと考える。

もし、これからの冬が、昨年の冬より寒くなった場合、私たちは厳しい時代に突入していくことになるのかもしれない。寒冷化は食糧供給に影響を与え、世界的に重大な局面となる可能性もある。

とありまして、さらに、バルダルブンガだけではなく、世界すべての火山噴火に関しましても、

火山噴火の年間の平均数は 50から 60であり、たとえば、1990年には 55の噴火が記録されたが、 2013年は 12月5日の時点までだけで 83の噴火を記録した。この火山噴火の増加は 2014年も継続している。

というように、火山の噴火自体が増え続けているという現実があります。



3.日本のインフレ率が5%に上昇

japanese-inflation.gif

「日銀は麻薬中毒者のように緩和を積み続け」

アベノミクスと、安倍政権による3つの矢は、現在までに経済を復活させるための効果は出ていない。実際に、2016年までの成長見通しは下方修正されている。

外国人投資家による日本資産からの逃避などがあり、日本の状況は厳しさを増す。


(訳者注)これに関して、海外では、アルマゲドンをもじった「アベゲドン( Abegeddon )」という言葉などもよく目にします。

abegeddon-01.gif

▲ 2014年11月17日のオーストリア Kleine Zeitung より。



4.ドラギECB総裁が辞任

dragi-quit.gif

「ドラギ総裁の、単に市場へ語るだけのやり方は限界に達すると考えられる」



5.ユーロ建て社債:スプレッドが倍に拡大

「高収率の信用でパーティを楽しむ時は終わりに近づいている」



6.ハッカー集団がオンラインショッピングを攻撃

「このようなハッカー攻撃は異常なほど高度な技術を必要とされる」

この数年、大企業に対してのハッキングの件数は増加し、流出する顧客名簿の数も1度のハッキングで数百万人規模といった流出被害が出るものが多い。

このようなハッカー攻撃はさらに拡大し続け、2015年は、電子商取引(オンラインショッピング)の最大手がターゲットになり、方法も攻撃的になる。




7.中国が人民元を20%切り下げる

china-yuan.gif

「中国は、2015年を通じて、自国通貨を切り下げるために迅速かつ持続的に行動する」

中国は、国内の住宅と信用のバブルが正される際に、巨大なデフレ圧力からもたらされる大崩壊に結びつかないための方法を模索している。中国の設備過剰での生産者デフレは3年間続いている。

そして、中国人民元が史上最高値となる中で、中国は 2015年に通貨切り下げをおこなうために迅速に動く。




8.カカオ豆先物が1トン=5,000ドルを突破する

「エボラの懸念から2014年初頭に突然値上がりしたカカオ」

(訳者注) このことは、2014年9月のブルームバーグ「エボラ熱の感染拡大懸念、米カカオ豆先物一時3年半ぶり高値」という記事に、

西アフリカでのエボラ出血熱感染が従来予想より急速に拡大するとの見通しが示されたことから、ニューヨーク市場のカカオ豆価格が一時上昇した。世界最大の生産国であるコートジボワールからの輸出に支障が出る可能性があるとの懸念が高まっている。

とありまして、カカオの価格はアフリカのエボラのニュースに反応するもののようです。

ちなみに、現在のカカオの取り引き価格は、2014年11月時点で1トン 3000ドル程度ですが。これが 5000ドルになるというのがサクソバンクの予測です。



9.イギリスの住宅バブルが崩壊

uk-crash.gif

「イギリスの住宅価格の急激なリバウンドは、ハウスオーナーたちの住宅売却の波を誘発する」

(訳者注) これについては、2014年7月7日の NHK 「イギリスBBC バブル?住宅価格が急上昇」など、日本でも取り上げられています。サクソバンクは、2015年にイギリスの住宅価格が 25%低下すると予測しています。

bbc-bubble.jpg



10.イギリスは 2017年にEUを離脱

uk-eu.gif

「世論調査によれば、イギリスの大部分の人々は、欧州連合( EU )からの離脱に投票している」




(訳者注) ここまでです。サクソバンクは、デンマークに本社があるため、ヨーロッパの予測が多いですが、その冒頭の概要には、

世界では、中国が台頭する一方で、アメリカ合衆国の力が後退し、大国間の順位も入れ替わるなかで、混乱と戦争が続いています。

ということや、

原油価格は、1バレル=65米ドルと、インフレを考慮すると1970年代の1バレル=20〜40ドルに相当する水準まで値下がりしています。投資家は誤った安心感を抱いていますが、それこそが2015年の市場に混乱をもたらす最大の要因になるかもしれません。

というようなことも書いていて、他にも様々な混乱の要因があることを述べています。

最近の原油価格の下落は、ちょっとした「ミニ・リーマンショック」的なチャートを示していまして、仮にこれ以上、下がっていくと、本当にそっくりとなりそうです。

crude-oil-2014.gif
Chart Park

それと、12月10日の米国のサイト、ゼロ・ヘッジの記事によりますと、アメリカの株式市場のテクニカル的な株価暴落の前兆のシグナルとしてチャート上に現れる「ヒンデンブルグ・オーメン」が、「7日間のあいだに6回も出現している」のだそうです。

Hindenburg-Omen.gif
"Some Market Folks Are Turmoiling..." As 6th Hindenburg Omen Spotted

私はこれらのことについてはよくわからないですが、ゼロ・ヘッジには「近年の歴史でこのような頻度で出現したことは見たことがない」と記されています。

ヒンデンブルグ・オーメンが発生した場合、

・77%の確率で株価は5%以上下落する
・パニック売りとなる可能性は41%と算出されている
・重大なクラッシュとなる可能性は24%と算出されている


とされています。

最近、株式も為替も、上がるにしても下がるにしても振幅が大きいようで、何となく危険を感じさせる徴候が続いているということは素人ながらに感じます。

何にしても、2015年は誰にとっても「楽な年にはならなそう」という予測となっているようで、大変そうではあります。日本は特にそうかもしれません。

Sponsored link


・ In Deep も» 人気ブログランキングに登録しました。よろしければクリックして下さると幸いです。