2014年12月13日



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12月16日から22日までの6日間「地球は完全な暗黒に包まれる」という…デマ報道なんですが、その日も近づいたので一応思い返してみました



デマ・ストーリーを報道大手が躍起にして否定した理由

今年10月の終わり頃に、下のような報道が、海外のツイッターや、フェイスブックに拡散されたことがありました。

nasa-6days-darkness.gif
Huzlers


12月16日(日本時間17日)から22日まで「6日間、地球は暗黒となる」というものです。

とはいえ、そのタイトルを読まれるだけでおわかりかと思いますが、これはもちろん作り話で、虚実混ぜた「ニュースのような記事」を発信する Huzlers.com が掲載したものです。

しかし、こういうような「虚実ミックス報道サイト」は英語圏には数多くありますし、それ以外にも、インターネット上での作り話やホラ話はどこにでも満ち溢れているわけで、普通、このようなものを大手の報道メディアが「否定する報道をする」というようなことはあまりないはずです。

ところが、この報道が出て、しばらくして、

「この記事はデマだ」

とする内容の報道が、非常に多くのメジャー報道サイト、たとえば、英国のインディペンデントや、インターナショナル・ビジネス・タイムズ、あるいは、ロシア・トゥディ、といったメディアが記事にしていたのでした。

普通だと相手にするようなものとも思えないのに、真剣に記事で否定した」という出来事が相次いだのです。

independent-hoax.gif

▲ 2014年10月28日の英国インディペンデントより。


参考までに、最初の発信元となった Huzlers.com の報道(のようなもの)の概要をご紹介します。

NASA Confirms Earth Will Experience 6 Days of Total Darkness in December 2014!

2014年の12月に地球は6日間の完全な暗闇に包まれることを NASA が確認!

NASA は、12月15日から 22日まで、地球がほぼ完全な暗黒の6日間を経験することを確認した。塵やスペースデブリが太陽嵐によって満たされることによって、太陽光の 90%が遮られる。その太陽嵐は過去 250年間で最大のものとなる。

この発表を行った NASA のチャールズ・ボールデン( Charles Bolden )長官は、人々に冷静さを保つよう求めた。

当局は、地球は6日間の暗闇に包まれても、何か特別な問題や被害が起きるということはないと述べる。

このような記事を間に受けることもないでしょうが、一応書かせていただきますと、

・太陽嵐により宇宙空間が数日間も塵や宇宙ゴミで満たされるという状態はあり得ない(太陽嵐の速度は桁違いに高速)
・そもそも、2カ月も先の太陽嵐を予測することはできない
・仮に、過去250年間で最大の太陽嵐が起きたとすれば、「問題や被害が起きるということはない」ということはない(必ず磁気嵐による被害が起きる)


などがあり、このような記事を高級メディアが相手にすることはない・・・とは思ったのですが、しかし、これを躍起に否定する、その「背景」は、まったく理解できないというものでもないのです。




2011年の NASA 長官の緊急メッセージ

3年前の 2011年 9月6日に、NASA のウェブサイト上に、唐突に、NASA のチャールズ・ボールデン長官の、「自然災害に対して、来たるべき事態に備えて下さい」といった内容の緊急非常事態に関するメッセージを述べるビデオがアップされて、憶測を呼んだことがあります。

その後、日本語吹き替えをしてくださった方がいらっしゃいまして、日本語で見ることができます。それが下の動画です。




最後のフレーズなどは、

「まずは、とにかくこれ以上ないというような準備を整えて下さい」

となっていて、何となく緊急性の漂うメッセージです。

内容の全体としては「いつ、どんな自然災害が来るかわからないので、日頃からその準備をしておいて下さい」という、どこの国でもよくあるメッセージですけれど、しかし、

「自然災害への準備を促すことは NASA の職務上の分担ではないのでは?」

とは思ってしまうわけです。

アメリカには、連邦緊急事態管理庁( FEMA )を始めとして、自然災害を担当する部署は多くあり、メッセージが出るのなら、そういう方面から出るのが自然な気がします。

というより、予測される何らかの自然災害に対しての、こういうメッセージは「アメリカ大統領が言うべきことなのではないのか」という気もします。

NASA は地球関連の調査も数多くおこなっていますが、それでも、

基本としては NASA の担当部署は「宇宙」

であるわけで、そのことなどもあって、人々のあいだに、

「何か宇宙からの災害が起きることを予測しているのじゃないだろうね」

というような憶測が流れたのでした。

幸い、NASA の長官が緊急メッセージを掲載した 2011年10月から現在まで、特別に大きな「宇宙からの災害」はなかったわけですが(強いて言えば、2013年チェリャビンスク州の隕石落下くらいだと思います)その「緊急メッセージ」の記憶が、いまだにある部分もあるのかもしれません。

A_trace_of_the_meteorite_in_Chelyabinsk.jpg
・チェリャビンスク州の隕石落下。Wikipedia

実際、ロシア・トゥディでは、このホラニュースを取り上げた際に、2011年の NASA 長官の緊急メッセージを引き合いに出していましたので、結構多くの人がこの時の NASA 長官の緊急メッセージを覚えているのかもしれません。

rt-nasa-hoax.gif
RT

このロシア・トゥディの記事もご紹介しておきたいと思います。



Earth to face a 6-day blackout, viral hoax cites NASA as saying
RT 2014.10.29


地球が6日間の暗転に直面するという NASA の発言を引用したホラ話がウイルスのように広がる


NASA が「地球は 12月に6日間の完全な暗闇」に包まれることを確認したことを暴露したとする主張は完全な「宇宙デマ」だった。

しかし、この話がデマだとわかる前に、この内容はツイッターを通して、全世界に広がっている。

オリジナルのレポートは、風刺的なニュースサイト Huzlers.com に掲載され、内容のソースとして、NASA のチャールズ・ボールデン長官の発言を引用したとされていた。

タイトルは「2014年の12月に地球は6日間の完全な暗闇に包まれることを NASA が確認」というもので、12月15日から 22日まで、太陽嵐による塵やスペースデブリよって、太陽光の 90%が遮られ、地球がほぼ完全な暗黒の6日間を経験することを確認したとしている。

ボールデン長官の 2011年の緊急事態への準備に関してのビデオは、このレポートの内容に重みを追加するために文脈に付け加えられた。


nasa-bolden.jpg
Youtube

しかし、全体として見た場合、このビデオは、地震やハリケーンが起きた時のための防災の準備について語っているものにすぎない。





というものですが、先ほども書きましたように、「 NASA の職務上の分担というのは、地震やハリケーンに対しての防災上の意識をアメリカ国民に促すものなのだろうか」という疑問が出るのも不思議ではない気がします。




暗黒になるはずの12月18日には地球外生命体まで地球に来訪

なお、Huzlers.com は最近の記事(のようなもの)で、

地球外生命体が、12月18日に地球に到着することを NASA が報告した

というストーリーを載せています。

nasa-extraterrestrial-beings .gif
Huzlers.com


この記事(のようなもの)でも、 NASA の科学者の名前を挙げ、その人物の言葉を引用して書かれています。

記事によれば、

NASA のハップル宇宙望遠鏡により6機の宇宙船が地球方向に移動していることが観測された。6機の宇宙船のサイズは、それぞれがサッカー場の半分ほどもある。地球へ向かっている目的は今のところ不明。

とのことですが、Huzlers.com の記者たちは、「その 12月 18日は地球が真っ暗になるって記事を書いた」ことを忘れたのですかね・・・。

それとも、意図的にその日に合わせて書いたのでしょうかね。

いずれにしても、人騒がせなニュースサイトではありますけれど、「地球が真っ暗になる」という話題にそんなに多くの人びとが惹きつけられるということは、そのような現象を「願う人々」、あるいは、願わないまでも、「そういう現象を経験したい人」が多いということなのかもしれません。

もちろん、私も経験してみたいです。

しかし、そうなる状況というのは、普通の考えではどうしても現実として想像することが難しい。

特に「地球全体が暗黒に陥る」という状況は、太陽が一方向から光を照らしている以上、太陽そのものが消えてしまう(あるいは太陽の光が消えてしまう)」ということにならない限り無理だと思いますが、太陽や、その光そのものが突然なくなるというのも、それもまた考えづらい。

そういえば、私の NASA の太陽写真コレクションの中で最も好きなものに「太陽が消えた」ものがあります。下の一枚です。

2010年1月29日1時26分19秒に NASA の太陽観測衛星 SOHO が撮影した「太陽」の写真

20100129_no-sun3.jpg


消えてますでしょう(笑)。普通は真ん中に太陽が写っているのですが、理由はわからないですけど、この時の写真には太陽が写っていなかったのでした。

この写真は、過去記事の、

「太陽騒動」から3年目の 2012年に再び太陽の周囲に集まる「巨大物体」たちを前に無視もできずに呆然と見つめる私
 2012年12月18日

にあります。

ちなみに、2012年の 12月18日に「太陽の光が消えていた」ように見えた観測のことについて記事でふれたこともあります。




2012年の暮れに「光が消えていた」太陽

このことは、

「暗黒の3日間」を実際に NASA の太陽観測衛星で見た日: そして、12月21日から突如として「凶暴化し始めた地球」
 2012年12月24日

という記事に、

「太陽は3日間消えていた」かもしれないことを示す NASA の写真

として下の写真を載せたことがあります。

sun-black3.jpg


写真は、NASA の太陽観測衛星 SOHOのものです。

この時の現象も合理的に説明がつくものなのだろうとは思いますが、見た目には、確かにその数日間、「太陽の光は消えていた」ようにしか見えなかったのです。

まあ、「地球が数日間の暗黒に包まれる」というフレーズは、さまざまなところで語られることでもありまして、それが「地球の変化のきっかけとなる」としているものも多いわけで、確かに現実感はあまりないですが、魅力を感じる現象でもあります。

何はともあれ、 「暗黒の6日間が来る」とされた 12月16日はもうすぐです。

日本には「ひょうたんから駒」なんて言葉もありますしね。

故事ことわざ辞典より「瓢箪から駒が出る」の意味

瓢箪から駒が出るとは、思いもかけないことや道理上ありえないことが起こること。また、冗談半分で言ったことが現実になること。