▲ 海底火山フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイの2009年の噴火。2014年12月30日の THE WATCHERS より。
新年になりました。
明けて、おめでたいのかどうかは微妙ですので、そちらの挨拶は控えさせていただきまして、今年もよろしくお願いいたします。
ところで、昨日の記事、
・小惑星の地球への突入から始まった2014年の最後の日々に「世界の海氷面積が観測史上最大」に
2014年12月31日
に、2014年のラストの大きな出来事が「海氷面積が観測史上で最大になったこと」としたのですけれど、今日になって、もう少しいろいろと起きていたことを知りました。
12月の終わりに、世界の有名な2つの火山が大規模な噴火を起こしていたのです。
ここ数年活動の激しいインド・オーストラリアプレート周辺で起きた大噴火
ひとつは冒頭の写真の海底火山です。
トンガの首都ヌクアロファの北西 63キロメートルに位置する「フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイ」( Hunga Tonga-Hunga Ha’apai )という、これもまたやや覚えにくい名前の海底火山が噴火していることが地元の漁師たちに目撃され、空中撮影により噴火が確認されたのでした。
・WIRED
上の空中撮影写真を見ると、海水の変色は 20キロメートル以上にわたっているように見え、海底でかなり激しい活動が起きているようです。
冒頭の写真は 2009年に噴火した時のものですが、当時のニュース映像で、その激しさがわかります。
下は AP通信が撮影した当時の噴火の様子です。
この場所なんですけど、地図に示すと下の位置になります。
以下、名称を「フンガ・ハーパイ」と記載します。
この地図だけで見ましても、この場所の「意味」がわかりにくいと思いますが、実は、ここは、「「太平洋プレート」と「インド・オーストラリアプレート」の境界」のあたりにありまして、このインド・オーストラリア・プレートの周囲では、ここ2、3年、いろいろなことが起きているのです。
たとえば、過去記事、
・地図から消滅した南太平洋のサンディ島: 古代の超大陸が分裂したと考えられる海域での「異変」
2012年11月23日
でご紹介した「地図から消えた島」の位置なども加えて、プレートを同時に示したものが下の地図となります。
地図にある「2日間で400メートル海底が隆起したことが示された場所」というのは、
・インド・オーストラリアプレートの境界で急速な「海底隆起」が起きているかもしれない: NOAA のグラフが示した異常な水深変化
2012年12月05日
という記事でご紹介しました、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の水深グラフに下のような異常がいくつか見つかった場所です。
2012年8月20日〜9月3日の水深の変化
また、「 2010年に海域に突然、山が隆起した場所」というのは、
・インドネシアのバリ島海域に新しい島が突如隆起
2010年11月14日
という記事でご紹介したもので、
大量の岩か、あるいは山のような隆起がバリ州ジュンブラナ県の海域に突然現れた。住民たちはこれを「山の子ども」と呼び、地区の住民たちの間には、火山が現れたのではないのかとして不安が広がっている。
という内容のインドネシアの報道をご紹介したものでした。
西之島のような現象が起きたのだと考えられますが、続報の有無がわかりませんので、出現した山が今どうなっているのかはわかりません。
あと、地図に「海底火山モノワイ」というのがありますが、これは、2012年に、「南太平洋に大量の軽石が浮かんでいる」ことが報道されたことがあり、海底火山モワイの活動と関係しているのではないかとされていました。
下は当時の CNN の報道です。
南太平洋上に白い巨大物体が浮遊、海底火山噴火が原因の「軽石」か
CNN 2012.08.11
ニュージーランド海軍は9日、南太平洋上に浮かぶ約2万6000平方キロメートル以上の巨大な軽石を発見した。
火山学者のヘレン・ボストック氏は、この軽石は海底火山の噴火でできたと見ており、今後噴火した火山を特定するための調査が行われるが、最近この付近では海底火山「モノワイ」の活動が確認されており、軽石はモノワイの噴火によって生成された可能性があるという。
こんなように、わりといろいろなことが起き続けている海域なのです。
その海域で、現在、フンガ・ハーパイが大噴火を起こし始めているわけでして、上の地図を見ますと、「ほぼすべての出来事がプレートの境界の近辺で起きている」ということもあり、このあたりのプレートの活動が活発化している可能性があります。
なお、ニュージーランドには、「7つの超巨大火山」のうちのひとつで、1900年前頃に噴火したと考えられる「タウポ」と呼ばれるカルデラ群があります。
火山活動は、たとえ海底火山の噴火であっても、天候の寒冷化に関係することについては、多分同じで、このあたりの地質的変化がさらに激しくなった場合、変化そのものはゆっくりとしたものでも、気候や環境に影響を与え続けていくもののように思います。
また、過去記事、
・環太平洋火山帯の目覚め?
2014年06月23日
という記事などで書いたことがありますが、現在、「環太平洋火山帯」の全体で火山活動が増加しています。
特に、下で丸で囲んだアリューシャン列島付近の噴火活動が激しいのですが、そこに今度はインド・オーストラリアプレート近辺での活動も活発化してきているのかもしれません。
全宇宙を崩壊させたテュポンが封印された山で
あとは、イタリアのエトナ火山も一昨年の噴火以来、最大の噴火を起こしたことが報じられています。
エトナ火山自体は頻繁に噴火する火山ですが、今回のはかなり強力なもので、写真を見ても、幻想的でありつつ悪魔的にも感じる姿を見せています。
ところで、タイトルに「全宇宙を崩壊させたテュポンの封印が解かれる日」という言葉を入れた理由なんですが、エトナ火山 - Wikipedia に以下の記述があったからです。
エトナ火山は、神話において、テュポンが封印された場所だとされる。
この「テュポン」とはどんなものかといいますと、テューポーン - Wikipedia によりますと、
テューポーンは、ギリシア神話に登場する神、あるいは怪物たちの王。体躯は宇宙に到達するほど巨大とされ、地球を焼き払い、天空を破壊し、灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させた。
その力は神々の王ゼウスに比肩するほどであり、ギリシア神話に登場する怪物の中では最大最強の存在である。
という、
> 灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させた。
だとか、
> ギリシア神話に登場する怪物の中では最大最強
というような存在だそうです。
そして、ギリシア神話の主神であり、また、全宇宙や天候を支配し、人類と神々双方の秩序を守護する天空神であるゼウスと、このテュポンは「宇宙最大の死闘」を繰り広げるのです。
死闘は一時は、テュポンの優勢で進みますが、後半に他の神々がゼウスの救援にやって来て、今度は、テュポンが劣勢となります。この続きを Wikipedia から抜粋いたしますと、
敗走を続けたテューポーンは悪あがきとして山脈そのものをゼウスに投げつけようとしたが、激しい雷によって簡単に弾き返され、最後はシケリア島まで追い詰められ、エトナ火山の下敷きにされた。
不死の魔神であったため、ゼウスも封印するしかなかった。以来、テューポーンがエトナ山の重圧を逃れようともがくたび、噴火が起こるという。
ゼウスとテューポーンの全宇宙を巻き込む激闘の後、ゼウスは激しい雷の一撃で世界を尽く熔解させ、そのままテューポーンを全宇宙の奈落にあるタルタロスへ放り込んだとする説もある。
という、もう、地球に住む他の者にとって、迷惑この上ない死闘を繰り広げたわけですが、不死の魔神とありますように、「かつて全宇宙を崩壊させたテュポン」は、神話の上では死んだわけではなく、今もエトナ火山の下に封印されたままということのようです。
もし、封印が解かれたしまった場合、またも、主神ゼウスとテュポンの死闘が始まり、「灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させる」というようなことになってしまうのですかねえ。
いやあ、いい1年になるといいですね(そう思える話の流れじゃないぞ)。
まあ、冗談は抜きにして、いろいろと大変なこともあるのかもしれないですが、In Deep を読んで下さっている皆様方においては良いお年となることを期待しております。
もちろん、私自身もできるだけ良い年として過ごしたいと思っております。