▲ 2015年1月6日のデイリーメールより。
この数年、銀河系の中心部で観測されるいろいろなこと
今回は私たちの銀河系の中心でX線フレアと呼ばれる爆発現象、しかも観測された中では最も巨大なX線フレアが起きたことを NASA が発表したことを、英国デイリーメールの記事からご紹介したいと思います。
その現象について科学者たちが困惑しているという内容ですが、そもそもが、私たちの「天の川銀河」というものについては、実際にはほとんどわかってはいないというのが現状です。
何しろ、「銀河系全体の形状」について、下のようなものであるとわかったのが、ほんの4年ほど前のことなんです。
・New York Times
上の写真は、
・銀河系の中心で巨大なことが進行していることに天文学者たちが気づき始めた
2010年11月11日
という記事で、2010年11月10日のニューヨーク・タイムズに掲載されていた報道をご紹介したものですが、その記事の最初は以下のようなものです。
銀河系の中心部で何か巨大なことが進行している。
天文学者たちはそれが何であるのかわからないと言う。
NASA フェルミガンマ線宇宙望遠鏡からのデータを調査している科学者チームは、2010年11月9日に、銀河系の中心部から噴出している2つのエネルギーの泡を発見したと発表した。
11月10日にリリースされた学術雑誌アストロフィジカルジャーナルによると、NASA の調査チームは記者会見を行い、 この泡が、銀河系の両サイドから各方向に 25,000光年の距離で広がっており、これは超新星 100,000個分にも相当するものだと語ったと記した。
「これは非常に巨大だ」と、今回の現象を発見したハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームのダグフィンク・ベイナー氏は言った。
どこからその泡が来ているのかはわかっていない。
というもので、私たちの銀河系というのは、その中心部から想像もできないほどの強大なエネルギーを噴出しているということが最近になって少しずつわかり始めています。
なお、上の写真は、天の川銀河を「横」(横というのは便宜上です)から見たものですが、今回の記事にも登場します NASA のX線観測衛星チャンドラの観測データから構成した「上」から見た天の川銀河の全景を 2009年に NASA が発表していまして、それは下のようなものです。
銀河の中心から私たちの太陽までの距離は約 26,000光年から 35,000光年です。
X線観測衛星チャンドラのデータから構成した天の川銀河
それで、この天の川銀河の中心付近に「いて座A*」という「存在」があるのです。
・Wikipedia
超巨大なX線フレアはこの「銀河の中心」で発生した現象であるわけですが、この「いて座A*」というものが何なのかは、どうもよくわかっていないようなのです。
今回ご紹介するデイリーメールの記事では、「超特大ブラックホール」というようにされていますが、いて座A*- Wikipedia を見てみますと、
いて座A*は、我々銀河系の中心にある明るくコンパクトな天文電波源。より広い範囲に広がるいて座Aの一部分であり、仮説によると多くの渦巻銀河や楕円銀河の中心にあるとされる超大質量ブラックホールが、いて座A*にもあるとされる。
と、そこに特大ブラックホールがあることに関しては、「あくまで仮説」であることを記しており、さらに、
結局見ているものはブラックホール自体ではなく、いて座A*の近くにブラックホールが存在するという仮定でのみ観測されるものである。
とあり、あくまでも「ここがエネルギー源ではあるが、それが何かはわかっていない」と、理解して構わないようです。
何かはわからないながらも、「渦」である銀河系の「天体の中心」の意味は大きなものであるはずです。
たとえば、太陽系も「渦」であり、その中心は太陽ですが、「太陽なんか大した意味がない」と考える人は、悪魔的な存在以外ではいないと思います。太陽は私たち人間にとっても何よりも大きな存在です。
太陽系の渦の中心の「太陽」はあまりにも存在としての意味が大きい。
このことは宇宙の他の「渦」にも当てはまることだと思われます。
そして、宇宙の存在は、そのほとんどが「渦」と「円」に支配されています。
「法」に支配され、「奇跡」が具現化しているこの宇宙
下の図は、過去記事の、
・NASA の星間境界観測機が初めて「太陽系外の物質の成分」を検知
2012年02月01日
に載せたもので、2012年1月に、 NASA の探査機ケプラーが新たに特定した 26個の「他の太陽系」です。
ケプラーが特定した26個の「他の太陽系」の形
・Astrobiology Magazine
大きさや惑星の数に違いがあるだけで、基本的にすべてがまったく同じタイプの形をしているといっていいかと思います。宇宙の形式がいかにグリグリの「法」によって支配されているかがわかります。
「法」
これがすべてを貫いています。
そして、たとえば、太陽系の中心にある「太陽」。
この完ぺき性は、過去記事の、
・私たちの太陽が「宇宙の中で最も完全な球体」であったことが判明してショックを受ける科学者たち
2012年08月18日
でご紹介したことがありますが、科学者たちの計測によって、
太陽は、この世にあるものの中で最も完ぺきな球状をしているものだった。
ことがわかったのです。
そして、さらに驚くのは、太陽系で最も大きなものが太陽だとすれば、「最も小さなもののひとつ」といえる「電子」も「完全な球体」だったのです。
・電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった : 英国の研究者たちの10年間に渡る執念の研究が突き止めた「宇宙の奇蹟」
2011年05月27日
という記事で、そのことを書いたことがあります。
上の原子の中で回っている、この世で最も小さなもののうちのひとつである電子も太陽と同様に、「最も完ぺきな丸を持つ形状」だったのです。
これらのことに「奇跡」を感じないでしょうか。
もちろん、様々なことについて、奇跡を感じるか感じないかは人それぞれではあるのですけれど、宇宙の存在とこの現実の世の中について、上のような事実を知ることは、私たちが、
宇宙を貫く「法」の中に生きていて
そして、
そこには多くの「奇跡」を見ることができる
こととつながっているように思うのです。
「法」と「奇跡」のふたつが、この宇宙存在の基本だと私は考えていて、それはすべてを貫くものなのだと思っています。
話が逸れたかもしれないですが、天の川銀河の中心に何が「存在」していて、「何をおこなおうとしている」のかはわかりません。しかし、今後の宇宙に変化があるとしても、その「法」の中で進行していくはずです。
そして、天の川銀河ほど巨大な存在の中心、マヤ族が「フナブ・クー」と呼び、そこには「巨大な意志が存在している」と考えたような場所には確かに何か「巨大な存在」があるのかもしれません。
それは物理的な意味でのエネルギー源の意味もあるでしょうし、「精神的な意味でのエネルギー源」という意味も含まれる可能性もあるとも思います。
そして、この数年、次々と観測される銀河中心での変化は、銀河すべてを巻き込んだ巨大な変化の予兆でもあるのかもしれません。
なお、私たちの近隣銀河の「うお座極環状銀河 NGC660 」は、2012年に、
銀河の中心部が爆発的崩壊を起こした
ことが観測されています。
これについては、
・[重要] 私たちの銀河系の近隣銀河の中心が突然の爆発的崩壊! この事態に困惑する天文学者たち
2013年01月09日
という記事に書いていますが、最近、他にも銀河の形状が変化する事象が相次いでいて、広い範囲で何かが同時に進行しているのかもしれません。
ここからデイリーメールの記事です。
記事には、天文学者たちがフレアの原因として考える「2つの説」が記されていますが、どちらでもないように思います。
What is happening at the heart of our galaxy? Largest X-ray flare ever detected explodes from supermassive black hole at the centre of the Milky Way - and scientists are baffled by it
Daily Mail 2015.01.05
私たちの銀河の中心部で何が起きているのか? 天の川銀河中央付近にある超巨大ブラックホールから過去最大のX線の爆発が観測され、科学者たちは困惑している
天文学者たちは、天の川銀河の中心にある、太陽の 450万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールから、過去に検出されたどの爆発よりも規模の大きなX線フレア(爆発現象)を観測した。
NASA のX線観測人工衛星チャンドラによって検出されたこの出来事は、私たちの銀河系がどのように働いているのかについての疑問を提示する。
この超巨大ブラックホールは、「いて座A*」あるいは、略号の「 Sgr A* 」と呼ばれており、このブラックホールは私たちの太陽の 450万倍の質量を持つと推定されている。
この銀河系の中心部に存在する超大質量ブラックホールの周辺には、「 G2 」と呼ばれる公転するガス(星雲)が存在するが、天文家たちは、この G2星雲の動きを観測している時に、大爆発という予想外の発見をした。
今回の研究のリーダーである米国マサチューセッツ州にあるアマースト大学のダリル・ハガード( Daryl Haggard )教授は、
「自然現象はしばしば私たちを驚かせます。そして、今回、私たちが目撃したものは、何か非常に興奮を呼ぶものなのです」
と言う。
2013年9月14日に、ハガード教授と研究チームは、「いて座A*」から、通常での静謐な状態の 400倍もの強さのX線フレアを検出した。この「超特大フレア( megaflare )」は、それまで最も明るかった 2012年に観測されたフレアより3倍も明るかった。
その後、2014年10月20日にも、チャンドラ衛星は、通常よりも 200倍明るい別の巨大なX線フレアを観測した。
天文学者たちは、2014年の春、G2星雲がブラックホールから最も近かった時で、その距離は 240億キロメートルあったと考えている。チャンドラは、2013年9月にもフレアを観測しているが、その際には G2星雲はブラックホールまで、その何百倍も近い場所にあった。なので、フレアと G2星雲との関係はあまりないように考えられる。
研究者たちは、「いて座A*」からこのような激しいフレアが発生した原因について、2つの説を持っている。
第1の説は、小惑星が超巨大ブラックホールに接近しすぎて、ブラックホールの重力によって引き裂かれたという説だ。
このように破壊された場合、その破片はブラックホールの中に永遠に消滅していく前に極端な高温となり、X線を放出する。
この説が正しい場合、天文学者たちは「いて座A*」によって引き裂かれた中で最大のX線の放出をおこなった小惑星を目撃したという証拠となる。
第2の説は、「いて座A*」に向かって流れるガスの中の磁力線が、固く密封され、絡まったことにより起きたとするものだ。これらの磁力線は、時折、自分自身を再構成し、明るいX線の爆発を作り出すことができる。
これと同じタイプの磁気フレアは、私たちの太陽でも見られる。「いて座A*」のフレアは同じようなパターンを持っていた。
しかし、この現象の原因は今でも根本は理解されていない。
今回の論文の共同執筆者でもある、ドイツのマックス・プランク天文学研究所のガブリエル・ポンティ( Gabriele Ponti )博士は以下のように述べる。
「このような珍しくて極端な現象は、ブラックホールへと流れて落ちていく物質の観測により、私たちの銀河系で実際に起きている最も奇妙な現象の物理学的な理解への良い機会となると思います」。