2015年01月15日



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コマではなかったエリートたち : フランスのデモ行進で、各国首脳は市民とは交わらず「安全な別の場所で映像を撮影して編集」していたことが露呈



テレビ報道映像用の撮影風景での「指導者たちの演技」

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▲ 2015年1月12日の Twitter より。場所はパリ11区のヴォルテール駅近く。一般道を閉鎖して、警護した上で撮影した模様。今回ご紹介するドイツの DWN によりますと、多くのメディアがライブ中継を許可されなかったのだそう。




史上最大のデモ行進で、史上最大の「演出」が発覚

シャルリー・エブド事件の話が続いてしまいますが、パリの襲撃事件の後、1月11日には、フランスで 370万人が参加した史上最大のデモ行進が催されました。

その際「市民たちの先頭を切って、世界 50カ国の首脳たちがデモ行進に参加した」というような感じで報じられました。

それは、たとえば、下のように報道などを見まして、

marcher-001.jpg
AFP

その後に、下のような写真を見たりしますと、

mainichi-march-002.jpg
毎日新聞

これらの写真の流れなどから、何となく、

「 370万人の集団の先頭に立ち、民衆を率いる世界の首脳たち」

という勇ましい構図が「勝手に見ている私たちの頭の中で構築されていく」という部分があります。


……ところが。


実は、「民衆を率いてはいなかった」ということが、その後、わかってしまいました。
行進の先頭に、世界の指導者はいなかったのです。

それどころか、デモ行進そのものに参加していたかどうか自体も怪しい流れとなっています(というか、参加していなかったようです)。

どういうことかというと、

各国首脳たちは、閉鎖された別の道路で警備兵に囲まれながら行進に参加している「演技」をした映像を撮影し、それが後に編集されて映像メディアで報道された。

ことが、英国のインディペンデントや、ファイナンシャル・タイムズなど様々なメディアによって暴露されてしまったのです。

今回は、ドイツの Deutsche Wirtschafts Nachrichten (ドイツ経済ニュース)というメディアが、その顛末をまとめていましたので、それをご紹介します。

下がその記事です。

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▲ 2015年1月13日のドイツ Deutsche Wirtschafts Nachrichten より。


上の報道では、Twitter 上に投稿された「各国首脳がデモ行進が行われているのとは違う場所に集って撮影している様子」を数多く掲載しています。

world-leader-fake.gif
Twitter

この場所について、フランスのル・モンド紙は、周囲の風景から「パリの地下鉄駅ヴォルテール近く」だと断定しています。

周囲には一般人の姿があまり見えないですが、事前に交通封鎖がなされたようです。
警護兵たち、あるいは警察官たちの姿が確認できます。

sec-march.gif


それにしても、今回あとでご紹介するこのドイツのメディアの記事は、まだ発表されてから、実質1日なんですが、Facebook の日本語で「いいね」に相当する「 Empfehlen 」の数が、2万以上となっています。

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英語のメディアならともかく、ドイツ語のニュースですので、読んでいるのは、そのほとんどがドイツ人だと考えると、なかなかすごい数だと思います。

いずれにしましても、フランスのデモ行進では、各国首脳たちは、決して「感情に流されてデモに参加したりはせず」に、きちんと身の安全を守りつつ、民衆へのアピールのための映像編集も忘れない、という「まさに現代社会のエリート指導者」そのものといってもいいような部分を見せてくれたのでした。

私は、少し前の記事の「満開する軍事カオス…」という記事で、

パリのデモに参加した 50カ国にも及ぶ各国の首脳たちも、すでに扇動者でも何でもないコマにしか見えないわけですが

というように書きましたが、これは完全に私の考え違いでありました。

50カ国の首脳たちは「決してコマではなかった」ということになりそうです。

むしろ、「熱狂とは関係のない冷静の中にいた」と言えそうです。

あるいは、前回記事の、

「第三次世界大戦が侮辱画から始まるとは誰が想像しえたか」
 2015年01月14日

の中に書きました、「南北戦争時の南部連合将軍アルバート・パイクが 1871年8月15日に書いたとされる手紙」の中にあります、

そこら中にいる市民たちに、世界の少数派の革命家たちから市民各々が自らで守ることを義務づけることによって、市民たちは文明の破壊者たちを駆逐するだろう。

という扇動、あるいは、先導の役割を見事に果たした、あるいは「演じ」たのでありました。

albert-pike-05.jpg
・フリーメーソン33階級「最高大総監」アルバート・パイク氏。Wikipedia より。




すぐに現実化した懸念と予測

ちなみに、今回のフランスの襲撃事件の後に最初に書きました、

シャルリー・エブドは最初の聖戦:1000人の「フランス人イスラム国戦闘員」が過激思想と戦闘スキルを携えて母国に帰還する時
 2015年01月10日

という記事に、米国ノースイースタン大学のテロ専門家マックス・エイブラハム氏の予測として、

エイブラハム氏は、フランスの 600万人のイスラム教徒に対するフランス政府の過激な反動が起きる可能性を予測している。

というものとか、

ジハード主義者の暴力の増加が、フランスの極右過激派たちによるヨーロッパのイスラム教徒たちへの報復攻撃や追放行動につながっていく可能性

を懸念したりしていたわけですが、まったく、その通りの動きになっています。

2015年1月13日のテレ朝newsの記事によれば、

過激派のイスラム教徒によるパリのテロ事件以降、ヨーロッパでは反イスラム感情の高まりが懸念されていて、フランスでは事件後にモスクなどイスラム教の施設を狙った事件が50件以上、発生しています。

とあり、

「テロとの戦い」

という大義名分は瞬間的に消え去っていて、

「反イスラム」

という、過激主義だとかジハード主義だとかは関係なく、「イスラムそのもの」に対しての動きとなっていたりするわけです。

あと、下のニュースなんかも結構ムチャクチャな感じがします。
これは、本題のニュースよりも、後にくっついている方のニュースがかなりのものです。

仏コメディアン逮捕、表現の自由めぐり問題も
TBS News i 2014.01.15

フランスでは、襲撃された新聞社『シャルリエブド』が最新号を出版し、表現の自由を貫く姿勢を明らかにしましたが、一方で、容疑者の名前をもじった文章をソーシャルメディアに投稿したコメディアンが逮捕されるなど、表現の自由をめぐって問題も起きています。

(略)

フランスでは、この他にも12日、飲酒運転で逮捕された男が新聞社を襲撃した兄弟の名前を出し、「クアシ兄弟がもっといればいい」と言ったとして、すぐに裁判が開かれ、この男には本来よりも加算された懲役4年の判決が言い渡されました。

この記事にある、

> 「クアシ兄弟がもっといればいい」と言ったとして、すぐに裁判が開かれ、この男には本来よりも加算された懲役4年の判決が言い渡され

うーん。

1月12日に逮捕されて、1月14日に「懲役4年」。

これは何という罪状での判決なのかわからないですが、普通に読めば、「酔っぱらって暴言を吐いて、懲役4年」というようにも受け取れないでもない感じで……というより、いくら何でも、フランスって、起訴から判決までこんなに早いわけなんですかね。

何だかヨーロッパ社会の一部が均衡を失った状態に陥っている感じもします。


精神の均衡を保つ……といえば、先日の記事でも少し抜粋しましたけれど、クレアなひとときに書きました「2015年からの未来を考えるために知っておきたい 「アメリカ先住民の倫理の智恵」」というアメリカ先住民の倫理規定 20ヶ条の中から最後の5つを抜粋したいと思います。

16. あなたがどのように在るか、あるいはどのように反応するかの意志決定を意識的に行いなさい。あなたの行動のすべてにあなたが責任を持ちなさい。

17. 他の人々のプライバシーと個人的な空間を尊重しなさい。他の人々の財産には決して触れてはいけない。特に、神聖で宗教的なものに関しては。他人のそのようなものに触れることは禁止されている。

18. まず最初に自分自身に対して真実でありなさい。あなた自身があなたを育み、助けられなければ、あなたが他人を育み、助けることはできないのだ。

19. 他の人々の宗教的な信念を尊重しなさい。あなたの信念を他の人々に押しつけてはならない。

20. あなたの幸運を他の人々と共有しなさい。慈愛と関わりなさい。

こういう「自分の心の規律」が、頭のどこかの隅に、ほんの少しでもあって、そして、ほんの少しでも、それに従って行動したりするようになれば、「扇動」や「心の混乱(社会が混乱しても)」から少しは解放されるような気もします。

そんなわけで、いろいろなことが露呈しつつも、世界は何かに向かって着実に進んでいる、あるいは、進まされているのかもしれない空気を感じます。

それでは、最初に書きましたドイツの報道の概要をご紹介します。



Trauermarsch der Staatschefs in Paris war Inszenierung auf Nebenstraße
DWN 2015.01.15


世界の首脳たちのパリでの追悼行進は、他の路上で演じられた


パリでおこなわれた大規模な追悼デモ行進で、世界の指導者たちは人々の先頭に立って歩いてはいなかった。その時、彼らは、閉鎖された道路で治安部隊に守られていた。

この「演劇」は、政治エリートたちと市民たちの間のギャップを示している。

しかし、現代の政治政策者は、自分たちの信頼性を危うくさせないための、このような茶番イベントを行うべきではないと我々は考える。

パリでテロ犠牲者たちの追悼のための壮大な連携が見られた 1月11日の行進の後、これらの首脳たちの写真は、世界中に広まった。


paris-art-event.jpg


この日、すべてのテレビチャンネルには、世界の指導者たちが映され続けた。
それは、世界の指導者たちが市民たちと団結して、追悼行進に参加する構図だった。

しかし、この日、世界中で報道された「市民たちのトップに立って行進する指導者たち」の錯覚は、写真によって、すぐに、それが幻想だと判明した。

指導者たちは、市民たちの先頭にはおらず、実際には、レオン・ブルム通りの閉鎖された道路にいた。そして、指導者たちの後ろにいるのは「市民」ではなく「治安部隊」だった。

これらが撮影された場所は、地下鉄駅のヴォルテール近くだと、ル・モンド氏は確認した。

この日のデモ行進をフルで報道したメディアは、皮肉なことにロシア国営のロシア・トゥディで、この日のデモを5時間の長さで動画報道した。

その動画を、フランスの編集手腕の中を進みながら見ると、キーとなる場面が 2:00:00 から、2:33:05 のシーンにある。政治家たちが手順に従って準備していることがわかるかと思われる。

政治家たちが行進をやめる。
その道路にはなぜか異様な静寂が漂う。
フランスのオランド大統領が仲間たちと場所に向かい、握手をする。

それらの映像は、まるで市民たちと共に行動しているように見えるが、デモに参加した市民たちの中に、指導者たちと握手した者はいないし、ふれあった者も1人もいない。

多分、指導者たちは、撮影現場からリムジンで帰宅したのだろう。

これを最初に報じたのは英国インディペンデントで、英国ミラーも報道した。
ファイナンシャル・タイムズ紙の記者は、ツイッターに以下のように投稿した。

このような”演出”にはいくつかの問題がある。それは、世界のすべての政治社会は誤魔化しであるという真実の陰謀論の意見が育ってしまうということだ。実際、今回のことで、トップのエリート政治家たちは一般大衆の波の中に入ることは決してしないということがわかってしまった。

また、メディアが「真実」を報道していないこともわかってしまった。

しかし、あなたがたは、このことを読者や視聴者たちに伝える必要がある。

そして、第2の問題がある。それは、われわれ DWN を含む報道メディアの多くが、ライブでの取材ができなかったことだ。

したがって、私たちは映像や写真を DPA (ドイツ通信社)から得なければならなかった。
DPA は、非常に慎重に映像・画像を操作する。

ともあれ、「パリの路上で各国の政治指導者たちが、フランスの一般市民たちと共に記念行進をした」ということについては、それはまったく実現していない「幻想」であった。

そして、最も重要なことは「政治とドラマの境界線は一体何なのか?」ということだ。

今回の件が示すことは、政策にも儀式が必要だということだが、問題は、メディアと市民たちが、これらの儀式を広めるもととなってしまったことだ。

今後、市民たちも、あるいは多くのメディアも、政治家のどんな声明をも疑うようになるだろう。

それは、政策が絶望的なピエロとして進むことを示している。

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