▲ 2015年3月2日の RAW STORY より。
神のいる場所
今回は、「宗教に関わらないアメリカ人が劇的に増えている」という記事をご紹介しようと思います。
アメリカで彼らは「ノンズ」(発音としては「ナンズ」が近いです)という言い方をされているようですが、その数はすでに政治政策的にも甘く見られないほど増加していて、宗教的グループとして、プロテスタントの次に多い第2位の位置を占めるまでの率となっているのだそう。
ただ、宗教を持たないとはいっても、「信仰を持たない」という意味ではないようで、今回の記事の中に、
彼らを「無信仰者」と呼ぶのは正確ではない。
なぜなら、彼らの中には感覚的なものの中に信仰とスピリチュアリティを持ったり、あるいは他の何かの中にそれらを見出していることがあるからだ。
とあり、ノンズのうちの約 30パーセントは「神や宇宙に存在する普遍的な精神性」を信じていて、約 20パーセントほどは、「毎日、お祈りを捧げている」という調査結果が示されていて、信仰が消えたというより、
「信仰の対象を他に見つけた」
ということになるようで、そして、それは権威化した既成の宗教ではなく、多分は、多くの人たちが
・自分の中
・宇宙
・自然などの森羅万象
に神を見ているということかもしれません。
ただまあ、現在のアメリカ人は「信じる対象」も、なかなか多彩でありまして、過去記事の、
・2600年前のブッダが語った「無数の宇宙 / パラレルワールド」が現代の量子論の中で蘇る中で感じること
2014年11月05日
の中で、2014年10月24日のワシントンポストの記事にあった、
「アメリカ人たちはどんなものを信じていて、どんなものを信じていないか」
という調査の結果のグラフを日本語でご紹介したことがあります。
・Washington Post
グラフは文字がどうしても小さくしか収められず、あまり見やすくないですが、
「ポジティブな思考を通じて物理的な世界に影響を与えることができると信じているアメリカ人成人は全体の 70パーセントもいる」
ことがわかり、また、続けて、
「かつて、アトランティスのような文明が存在したことを信じる」
「夢が未来を予言できることを信じる」
「幽霊の存在を信じる」
などの人が 50パーセントを超えているということになっています。
考え方は人それぞれですが、アメリカ人の 70パーセントが信じている「ポジティブ・シンキング」をはじめとして、上のグラフのいくつかは、過去記事の「閑話休題 : スピリチュアルとは何か」という記事などで書いた、やや不安な部分もないではないジャンルと触れるところがありまして、「内なる神」という存在も、方向性を間違うと、「妄想の表象」というようなことにもなりかねないところはあるのかもしれません。
ローマ法王の発言を思い出し
宗教の否定ということについては、たとえば今は、ローマ法王自らが「天地創造を否定している」という時代でもあります。
▲ 2014年10月30日の記事「神の敵の登場:神による天地創造を否定し、ビッグバンと進化論を演説で肯定したフランシスコ法王」より。映像は ODN にあります。
上は 2014年10月のバチカンの公式会議の場で、その内容の冒頭は以下のようなものでした。
2014年10月27日 バチカンでのフランシスコ法王の演説
世界は、何か他に起源を持つようなカオス(混沌)の中から始まったのではありません。しかし、愛から作られた至高の原則を直接的に派生させます。
現在では世界の始まりとされているビッグバン理論は、神の創造的な介入と矛盾するものではありません。逆に創造論はビッグバンを必要としているのです。
自然の進化論は、神による創造の概念の逆にあるものではありません。なぜなら、進化論には「生物の創造」が必要とされるからです。
神の使いのトップがこのように言うのなら、そりゃ神はいないかもしれないと考える人が増えるのも仕方がない気もしますが、その以前より、アメリカでは加速度的にキリスト教を含む宗教信者の数が減少し続けているようです。
ところで、未来予測プロジェクトのウェブボットには、5〜6年前のレポートで「宗教の死」という言葉が何度も登場しました。
今回の記事と関係あるわけではないですが、本文記事の前に、少しその中のひとつをご紹介しようと思います。2010年のもので、その後、実際に起きたことも起きていないことも含まれています。
ウェブボット ALTA レポート
2010年8月15日配信
・多くの人々の意識の覚醒が進み、影の支配勢力と、現実の実態に気づく人々が多くなる。この覚醒は主要メディアでも話題となる。
・多くの宗教は影の支配勢力が民衆を洗脳しコントロールするために作り出したものだが、覚醒が本格的に進むにしたがって、宗教の多くが信者から放棄されるようになる。宗教的指導者やグールーが捨てられるのだ。
・宗教にとっては厳しいときが迫っている。カトリックとモルモンで大規模なセックススキャンダルが明らかになる。聖職者のスキャンダルがさらに発覚する。この発覚によって、多くの聖職者は処罰の対象になる。
・こうした事件が明るみで出ることで、かつての信者は暴動を起こす。この暴動で政治家も圧倒される。
・このようにして、人々の意識は、宗教に対する奴隷状態から、向こう側の世界の存在の認識へと変化していく。
・宗教のこのような没落は、「時間感覚の変容」を体験する人々が多くなるにつれ加速する。新しいクロノスとカイロスの体験から、これまで宗教が与えてきた概念がまったくのウソであることを実際に知る人々が増えるのである。
というように、ウェブボットにおいては、宗教からの離脱は「覚醒によるもの」とされていますが、ただ、先ほどの「アメリカ人の信じるもの」を見ていますと、現在のアメリカで起きている宗教からの離脱が覚醒といえるのかどうかわからない面もないではないです。
では、ここから翻訳記事です。
Americans are turning away from organized religion in record numbers
RAW STORY 2015.03.02
記録的な数のアメリカ人たちが組織化された宗教から離脱している
炎を吹くような宗教が新たな国際紛争の懸念となり、家庭での政治的な議論は多くの場合、キリスト教の右派の人々によって支配されている状況の中、ともすれば、あなたは、街のいたるところで誰かの神によって襲われるような感覚に陥るかもしれない。
しかし、あなたが既成の宗教の前でひざまずくタイプの人間でないのなら、少しは良いニュースかもしれない − アメリカではあなたのような人が増えているのだ。
現在のアメリカは、以前と比較すると、既成宗教と関係しない人々が劇的に増加している
1980年代以降の、さまざまな種類の異なった世論調査の結果は、すべて「特定の宗教に帰依していない人々の増加」の結果を示している。そして、多分、その数はこの期間内で倍増している。
彼らはいかなる特定の宗教的なグループとも関係を持たないため、「ノンズ( nones / 無信仰者 )」と呼ばれることもあり、不可知論、無神論者、自然神教信奉者、世俗的なヒューマニストなどとも呼ばれることがある。
しかし、彼らを「無信仰者( nonbelievers )」と呼ぶのは正確ではない。
なぜなら、彼らの中には感覚的なものの中に信仰( faith )とスピリチュアリティを持ったり、あるいは他の何かの中にそれらを見出していることがあるからだ。
アメリカのシンクタンク「ピュー研究所」が 2012年に調査したところによれば、これら特定の宗教を持たない人々の約 30パーセントが「神や宇宙の普遍的な精神性(スピリチュアリティ)」を信じていて、ノンズの約 20パーセントの人々は毎日お祈りをする。
最近の研究によれば、彼らのようなノンズ、すなわち「どの宗教にも該当しないアメリカ人たち」が、国において重要な力を占めるようになってきている。他の宗教的グループ、たとえば、新生福音派のようなグループも数として成長してはいるが、ノンズは数の上で彼らを圧倒している。
米国議会超党派で作られている公共宗教研究所( Public Religion Research )は、3月4日、アメリカ人のこの急激な価値観の変化を文書化し発表した。この魅惑的な研究は、人口統計、宗教的データ、政治的なデータに基き、2014年を通して実施された。
公共宗教研究所のダン・コックス所長は、この調査結果について、
「アメリカの宗教的な光景は、劇的な転換期を迎えている。これは、基本的にアメリカの政治や文化を再形成するほどのものだ」
と述べている。
2014年には、アメリカでの調査において史上初めてプロテスタントが主流派からマイノリティとなった。調査ではプロテスタントの数は 50パーセントを下回り、アメリカ人の 47パーセントだった。
そして、2番目の規模となったのが、宗教と関係していない人々(ノンズ)で、その率は 22パーセントにのぼり、アメリカのカトリック信者などの主要な宗教団体と同等の数となった。
また、このノンズのクループは、ワシントン州、オレゴン州、ニューハンプシャー州では3分の1以上を占め、全米 13州で最も数の多いグループとなった。
ミシシッピ州は最もノンズの比率が低いが、それでも全体の 10パーセントを占める。
また、今回の調査では、特定の宗教と関わりを持たないグループが2番目の数となっている州が 15に上ることがわかった。
これら特定の宗教と関わりを持たない「ノンズ」はどのような傾向を持つのか。
ノンズは政治的にリベラルになる傾向があり、たとえば、ノンズの4分の3が同性愛結婚を支持し、法的中絶を支持している。また、ノンズは他の宗教的グループより教育や収入が高い傾向がある。
現在のアメリカでは5人に1人が宗教に属していないが、若い世代では、この数がかなり高くなる。ピュー研究所の調査では、30歳未満のアメリカ人の3分の1が特定の宗教を持たないことを示す。
昨年、ワシントン・ポスト紙は、オリン大学のコンピュータサイエンスの専門家アレン・ダウニー( Allen Downey )教授によっておこなわれた研究を引用した記事を掲載した。
教授によれば、人々がノンズになる理由は主にふたつだと主張する。
ひとつは、親による宗教的なしつけの不足。
そして、もうひとつはインターネットだという。
ダウニー教授によると、無信仰の 20パーセントは、インターネットの利用に起因しているという。
宗教を持たないアメリカ人の比率は 1990年には 8パーセントだったが、 2010年には 18パーセントになった。同期間、インターネットを利用するアメリカ人の率は 0パーセントから 80パーセントに急上昇している。
しかし、ノンズの増加とインターネットの関係性は、他の専門家も指摘しているように、その関係に明確な因果関係はないことは教授も認めている。
ただひとつ確実にいえることは、ノンズたちの投票は現在の政治を形作っている。彼らはオバマ大統領が二期目に勝利することの手助けとなりたいと考えている。
しかし、それでも、アメリカの人口の 18パーセントに過ぎないながら大きな影響力を持つ白人福音派の影響の低下の徴候は見られていないようだ。
大統領候補のスコット・ウォーカー( Scott Walker )氏は進化論についての質問に答えることを拒否した。それはまるで、広く受け入れられている科学を許諾することが背信者となるかのようであった。