2015年03月07日



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集団的・無意識的に自殺を進めている大国:1億人の精神疾患者と毎年10万人の捨て子が発生している中国という国



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▲ 2009年4月28日の英国テレグラフより。






 

年間100万人の先天障がいを持つ赤ちゃんが生まれる中国

早いもので、今年も3月を過ぎていることにようやく気づきましたが、1月の終わりの記事、

日本の未来 : 子どもに関しての、そして、高齢者に関しての統計データから受けた衝撃
 2015年01月28日

以来、身体的な健康も精神的な健康も含めて「健全性が損なわれつつある(かもしれない)今の社会」について書いたりすることが何度かありました。

そして、上の記事なども含めて、特に世界で最も少子化の著しい日本の将来に何となく悲観的になったりしていました。

世界191カ国の年齢の中央値(数値が高いほど高齢化の国家)
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MEMORVA

上の調査では、世界191カ国の中で「 15歳以下の人口比率が最も少ない」のも日本で、現在の日本の異常な少子化(世界で単独で一番ですので、「異常」と表現しても構わないと思います)は、そろそろ「国家の存続の限界値」ともいえそうですが、解消する目処もなさそうです。

そんなわけで、日本は日本で非常に将来の存続の展望が見えにくいことは確かなのですが、今や人口でも経済でも世界最大に迫ろうとしている中国に関して、下のような報道を見ました。




中国:「捨て子」が重大な社会問題に、毎年10万人=専門家
newsclip.be 2015.03.06

中国では「捨て子」が年間で10万人を数えるまでに増加し、すでに重大な社会問題となっている。

正確な統計はないものの、年間の「捨て子」人数は、1980年代が約5000人、90年代が5万人で推移していた。ただ、国の救済制度不備などを背景に、近年になって段階的に増加しつつあるという。

先天的な障害を持って生まれてくる赤ちゃんが捨てられる例が多い。先天的な障害を持った赤ちゃんの出生比率は、年を追うごとに増えてきた。

これに対処するために、中国では2011年6月に、河北省石家荘市に国内初の「赤ちゃんポスト」が設けられた。その後も、江蘇省、陝西省、貴州省、福建省、内モンゴル自治区、黒竜江省、広東省などに相次いで試行的に設置されている。

ただ、広東省広州市の「赤ちゃんポスト」では、運営わずか50日あまりで大量の嬰児を収容。保護スペースが限定されるなか、運営休止に追い込まれる異常事態も発生した。多くが「脳性マヒ」を抱えている。

「赤ちゃんポスト」に収容された嬰児、幼児は、全体の99%が身体や機能に障害を持っていたという。





というように、中国で「捨て子」が増えているという報道ですが、従来から理由として挙げられることのあった経済的な理由からなどではなく、「捨て子の 99パーセントが先天性の異常を持って生まれた赤ちゃん」だということが書かれています。

先天異常を持って生まれる子どもは、日本を含めて、世界的に増加傾向にあると思われます。
日本でも下のように、1996年頃から急激に増えています。

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先天異常モニタリング:わが国と 世界の取り組み


上のグラフは 2002年までのものですが、2014年4月の朝日新聞の報道などからみますと、全体の先天異常の数も 2002年以降も上昇し続けていると考えていいようにも思います。

しかし、中国はさらにその比率と増加ぶりが激しいようで、2013年9月19日のサーチナの「障害児の出生率が年々増加=50人に1人、多岐にわたる誘発原因―北京市」という記事には、

2012年に北京市で誕生した新生児は20万人以上だが、そのうちの4000人(50人に1人)以上が障害児である。

中国では障害児の誕生率が比較的高く、毎年80万〜120万人の障害児が誕生している。

とあり、毎年 100万人前後の障がいを持つ赤ちゃんが生まれている。

100万人というのは、当然ながら少ない数ではありません。

たとえば、比較として、日本の 2013年の総出生数は 102万 9816人でしたので、日本で1年間で生まれたすべての赤ちゃんと同じ程度か、あるいはそれより多くの障がいを持つ子どもが中国では1年間で生まれているということになります。

そして、その 100万人の赤ちゃんのうちの 10万人の赤ちゃんが「捨てられる」という社会。

中国の出産数のうち、障がいを持つ赤ちゃんが生まれる割合の推移は WHO によれば、

・1996年 0.87%
・2012年 5.6%


と、十数年で6倍以上になったそうですが、正確なデータはないながらも、これを 30〜 50年前からと比較すると、おそらくは大変な増加となっていると思います。その根拠は、ガンなど他の疾病も、中国では凄まじい増加を示しているからです。

こうなってきますと、いかな大国である中国とはいえ、次第に問題となっていくと思います。

何しろ、(日本もそうですが)国の基盤を作る労働力も、あるいは軍を担う兵士たちも、若者によって構成されるわけで、高齢者がそれに代わることは基本的にはできません。

そして実は、現在でも中国では、大都市で「労働力が足りていない」という現実があったりします。




すでに都市での労働力が不足

何となく、「人口の多い中国では労働力などいくらでもあるだろう」と考えてしまいがちですが、実際には、たとえば、首都北京では下のような状態のようです。


北京で人手不足深刻、建設作業員は月給18.3万円
newsclip.be 2015.03.05

北京市の人手不足は全国で最も深刻だという。北京などの大都市は家賃や物価の高騰など生活面のプレッシャーも大きいことから、地方からの出稼ぎ労働者が避ける傾向にあるためだ。

なかでもドライバー、建設、宅配、救命、メイク、チケット予約サービスといった業種で人手不足が顕在化しているという。うちドライバーの求職倍率はわずか0.22で推移している。

一方、供給不足の業種のうち、最も平均給与水準が高いのは建設作業員で、月額9621人民元(約18万3227円)となっている。同額は全国トップの上海市(5825人民元=約11万934円)など1線都市を上回っている。またホワイトカラーの平均も超えている。



ということで、労働力が足りていない上に、建設労働者が「月給 18万円」という給与水準であることにも驚きます。ちなみに、北京のホワイトカラーの月収は、こちらによれば、平均 5453元ということで、10万円くらいでしょうかね。

要するに、現在の北京では、若いエリート・サラリーマンの2倍ほどの月収を建設作業員が得ているという構造になっているようなのです。

しかも、「それでも人が集まらない」と。

理由は上にもありますように、中国の大都市は家賃や物価が高いということもあるのでしょうけれど、ホワイトカラーを上回る給料をもらっていれば、住めないということもなさそうです。

しかし、実際の理由はともかくとしても、都市部での労働力が不足しだしているのは事実のようで、今後もさらに激しい高齢化社会となっていく中国では、このような状態が続くのかもしれません。

ただ、少子化の問題は主要国ではどこも同じような問題ではあります。

1940年から 2013年までの7カ国の出生数の推移
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厚生労働省 人口動態統計

日本(黒い折れ線)は、1960年くらいからずっと出生数2くらいからそれ以下ですが、 1950年以前を見ますと、日本でも一人のお母さんが4人くらいの子どもを産んでいたというようなことが普通だったことがわかります。

韓国なんて「6」などという数字がありまして、どの国もこの数十年間で、いかに子どもの数が減ってきているかがよく現れています。

少子高齢化というのは主要国全体としての問題となりつつありますけれど、とりあえず、話を中国に戻しますと、先天異常などを抱えて生まれる赤ちゃんが劇的に増えているだけではなく、若者や成人で精神疾患を抱える人の数も飛躍的に増えています。




数億人の精神疾患予備軍を持つ中国

冒頭に載せました「中国では1億人が精神疾患を抱えている」という報道は、2009年のものですが、そのデータはかなり大ざっぱな統計をもとにしているとは思われます。なぜなら、 2014年の報道でも1億人という数が見出しで見られるからです。

下の記事は、2014年6月11日の日経ビジネスの記事からの抜粋です。


精神疾患1億人、心病む中国 本当の患者は病棟の中か外か
日経ビジネス 2014.06.11

13人に1人が心の病、2分に1人が自殺

中国には精神疾患者が1億人以上いるとわれている。13人に1人が心の病という計算になる。何をもって精神疾患というかはあいまいながら、これは中国衛生部疾病コントロールセンターの推計だ。

このうち重篤な精神疾患は1600万人をこえるという。また鬱病の生涯有病率は人口の4%で約5500万人。

自殺者は多い。自殺大国と言われている日本よりも、比率は若干高いだろう。推計には諸説あるが、世界自殺予防デーなどで繰り返し報道されているのは、「2分ごとに1人自殺、8人が自殺未遂、1人自殺するごとに平均6人の家族・友人を直接的間接的に被害に巻き込んでいる」。



というようなことで、実数は曖昧ですが、以前と比べて、どのくらい増えたかということについては、

「中国でのメンタル系の薬の売り上げ」

のグラフで推移を見るという方法があります。

下は 2010年11月の科学誌ネイチャーに掲載された「中国のメンタルヘルス薬剤市場の拡大」をグラフにしたものです。

china-mentalhelth-market.gif
nature

1999年から 2010年の 10年間で、抗精神剤も抗うつ剤もどちらも十倍から十数倍という爆発的な伸びを見せていて、2010年には、

・抗精神薬剤の中国での売り上げ 約 360億円
・抗うつ剤の中国での売り上げ 約 240億円


と、ものすごい規模となっていて……まあ、これらの薬剤を作っているのは欧米の製薬会社だと思いますが、いずれにしても、とんでもない規模のマーケットになっていることがわかります。

ただ、上のグラフのうち、「抗うつ剤」に関しましては、過去記事、

うつ病だらけの世界の中…
 2014年10月01日

の中の、

うつ病が増えた本当の原因は「うつ病を治す薬」かもしれないという現実

というセクションに書きましたように、「うつ病と抗うつ剤の関係」には、いろいろなカラクリがある世界ではありまして、つまり、抗うつ剤に関しての事実として、

うつ病の薬が本当によく効くものであるならば、本来なら、うつ病の患者はどんどん減っていくのが正しいはずなのに、実際には薬の普及と共に、うつ病患者がどんどん増えている。

ということが、世界のいたるところで見られているということがあります。

ですので、うつ病患者の増加を、市場規模の拡大のグラフだけから見るわけにもいかないのですけれど、それでも、精神疾患と共に、10年で十数倍の増加というのは、ちょっと他の国では見ないです。

ところで、今回の記事のタイトルに、「集団的・無意識的に自殺を進めている大国」という言葉を入れているのですが、これは私が考えた言葉ではありません。

そのことを少し書いて締めたいと思います。




現在の中国人の資質

現在の中国に関しての「健康」に関して、他のいくつかのデータは、例えば、ほんの一部ですが、

2010年に中国で大気汚染が原因で亡くなった人は約 120万人(Record China

中国の1歳未満の赤ちゃんの死亡数は1日平均 573人(Record China

中国では1日に 8550人の新しいガン患者が発生(Global Voice

など、いろいろと壮絶な数字が並ぶわけですが、中国の「健全」が崩壊しつつある原因のひとつは、環境や食の安全などがあるでしょうけれど、それらすべてに通じる「現在の中国の人々の考え方」というものに本質がありそうです。

それを知ったのは中国人作家の方の書いた一冊の本によってでした。

中国の食の状況について書かれ、日本語でも出版された『中国の危ない食品―中国食品安全現状調査』(原題:民以何食為天)という著作の作者である周勍という人は、インタビューの中で、以下のように述べています。




中国の危ない食品 - 著者インタビューより

中国は、旧ソ連からプーチン政権下のロシアに代わったのと同じように、集権先制に資本が加わって闇社会化した典型です。すなわち、少数の利権利益配分グループが、言われているところの社会転換型の期間に、国家機構を利用して権力に変え、しかるのち、この権力を使ってブラックマネー資金を獲得し、この資金でもって絶対多数の民衆に対処、対応しているのです。

中国の食品汚染は人心の汚染から来ています。中国人のこの民族全体は知らず知らずのうちに、集団的に無意識的に自殺を進めているのです。

ですから私は、中国の悲惨さを増しつつある事態を救えるのは、国内にあっては中国人みずからしかいないと考えています。中国人自身が魂の救済運動を起こす。





というように、

> 集団的に無意識的に自殺を進めているのです。

とまで言っています。

作者ご本人も中国人ですから、中国人みずからが「心の汚染を排除する」ことに気づくことを願っているようですが、現状ではなかなか厳しいようです。

それにしても、日本、韓国、中国を含めた東アジアの 50年後の姿が想像しにくい世の中になってきています。どれかは消えて無くなっているかもしれないですね。