2015年03月16日



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ファティマの聖母から知る「永遠の地獄」への序章(2) - 毎年5千万人の赤ちゃんが「生まれてこない」現代社会の中のロシア由来のカタストロフ



「世界は恐るべき深淵の縁にいる...人々は人類が決して見たことがなかったようなそのような苦しみのために準備を整えなければならない」
− ピオ十二世の1945年の言葉

「私たちは、それほど遠くはない未来に大きな試練、それは私たちの生命を放棄する準備をするように私たちに要求するであろう試練を堪え忍ぶ準備をしなければならない」
− ヨハネ・パウロ二世の1976年の言葉






・前記事:ファティマの聖母から知る「永遠の地獄」への序章(1) - 「地獄」は神話ではなく、事実として存在する

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ファティマ第三の秘密

昨日の記事で、1917年の「ファティマの聖母」といわれる出来事について簡単にふれました。

ポルトガルのファティマにおいて、ルシア、フランシスコ、ヤシンタの3人の少女少年が、「聖母」と名乗る女性から6回(それぞれの個別ではさらに何度も)に渡り、「メッセージ」を受け取った事象のことです。

メッセージの内容は、大きく4つ(3つの予言+ロシアについて)の内容でしたが、予言の3つ目は「 1960年まで公表してはいけない」と聖母マリアから命じられて、その内容を記したメモはバチカンに預けられることになります。

しかし、 1960年になっても、バチカンはこの「3つめの予言」を発表しませんでした。

そのあたりの経緯は、ファティマの聖母 - Wikipedia に以下のようにあります。


ファティマ第三の秘密

教皇庁は聖母が発表を命じた1960年になっても啓示の第三部について公表せず、メッセージの中身について多くの憶測を呼んだ。過去の予言が世界大戦などで60年代当時は東西冷戦真っ只中であることから、核戦争や第三次世界大戦ではないかと危惧する者もいた。

1981年5月2日にアイルランド航空164便がハイジャックされたが、犯人はカトリック修道士で要求は「ファティマ第三の秘密を公開せよ」であった。

1960年代に閲覧したローマ教皇ヨハネ23世は内容に絶句して再度封印し、次代教皇パウロ6世も再度封印を解くもあまりの内容に数日間人事不省になったという。こうした経緯を経て、教皇庁は2000年5月に1960年以来40年間発表を先送りにしてきたファティマ第3のメッセージを正式に発表した。



というように、その内容は、

> 閲覧したローマ教皇ヨハネ23世は内容に絶句して再度封印し、次代教皇パウロ6世も再度封印を解くもあまりの内容に数日間人事不省になった

というほどのものだったようで、大の大人、しかも、いろいろな意味で百戦錬磨のローマ法王たちが「その記述内容を読むだけで人事不省に陥る」というのは、中途半端な内容ではないことが伺えます。

しかし、バチカンが 2000年に発表した「第三の秘密」の内容は、

「1981年5月13日の教皇ヨハネ・パウロ二世の暗殺未遂事件についてだった」

というものでした。

この程度の記述を読んで、絶句したり、人事不省に陥ったりするほど法王はヤワではないはずです。そういうこともあり、「この内容は真実ではないのでは」という憶測が一般的になっています。

ちなみに、この 2000年の発表の時に、公開された文書の作成を担当したのは2人で、そのうちのひとりは、後のローマ法王ベネディクト16世となるラッツィンガー枢機卿でした。

そのラッツィンガー枢機卿は、ポール・クレイマー神父という方が書かれた文書の訳文があるこちらのページには、

ラッツィンガー枢機卿は、2000年6月26日、教皇ヨハネ・パウロ二世の個人的な友人との私的な会話の中でこう訊ねられた:「第三の秘密全体はあなたの記者会見の中で明らかにされましたか?」

ラッツィンガー枢機卿は「確かにあれは秘密のすべてではなかった」と認めた。

とあり、ベネディクト16世は「これをそのまま公開するべきではない」として、言い方は良くないかもしれないですが、改変して発表したということになりそうです。

しかし、この「第三の秘密」に関しては、聖母からの言葉を直接聞いたルシア自身の表現から想像できる部分があるのです。



ヤシンタがルシアに諭した言葉

1917年にファティマで聖母と主に話をしたのは、3人の少女少年たちのうちのルシアでしたが、共に聖母との出会いの現場にいたフランシスコ( 10歳で逝去)とヤシンタ(9歳で逝去)が若くして亡くなった後は、97歳で亡くなるまで修道女として生きます。

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▲ 修道女時代のルシア。 corazones.org より。


そのルシアが長い期間信念を貫き通せたのは、亡くなる直前の9歳のヤシンタから言われた言葉による部分が大きかったように思います。

このあたりのことは、ヤシンタ・マルト - Wikipedia に亡くなる少し前の病床でのルシアとの会話の記録が記されています。


1920年、9歳になる直前に彼女は、12歳であったルシア・サントスとイエズスと聖母の信心について議論し、こう言っている。

「これを言う時は、逃げ隠れしてはいけません。聖母の無原罪の御心を通して、神からの救いがもたらされる、ということをみんなに伝えなさい」

「そして、イエズスの御心は、傍にいる聖母の汚れなき御心が崇敬されることを願っている、と。また聖母の汚れなき御心に祈り、願うように伝えなさい、神様はマリア様にそれを委ねたのだから」



当時、12歳だったルシアは、9歳のヤシンタから上のように「命じられ」て、それがルシアの長きにわたる心の糧でもあったのかもしれません。

実際、ヤシンタはファティマでの出来事以外に、非常に頻繁に未来のヴィジョンを見続けています。もしかすると、ルシア以上に聖母からのヴィジョンを受け続けていたかもしれません。

そして、ヤシンタは、

「どのようなことが地獄に導くことなのか」

なども多く語っています。

その記録が Wikipedia にもいくつか載っていますので、記しておきます。




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「戦争は世の罪に対する神の罰以外の何物でもない」

「他のどの罪より人を地獄に招いてしまうのは肉欲の罪です」

「死後の地獄は一度そこに落ちたら永遠に抜けられず、永遠の意味を理解したら人は自分の生き方を変えるためになんでもするでしょう」





話がヤシンタの方に逸れてしまいましたが、ルシアに戻します。

ファティマの3人の中でひとり長く生きて、聖母のメッセージを残し続けたルシアは「第三の秘密」を当然知りながら修道女として成長します。

ルシア修道女は、 1957年にフエンテス神父という人に、その内容と関係すると思われることを語っています。

これは、フエンテス神父が、ファティマの司教の承認を得て公表された記録です。

悪魔の最後の戦い - われわれの時代のための黙示録的解答

というページに記されています。

全体は長いですので、要所要所を抜粋しています。




シスター・ルチアの啓示
1957年12月26日

「神父様、神は世界を罰せられるでしょう。そしてこれは恐るべき仕方でなされるでしょう。天からの懲罰は間近に迫っています」

「神父様、彼らに告げてください。聖なるマリアは、フランシスコとヤシンタ、そして私自身に、多くの国家が地の面から消え失せるでしょうと告げられました」

「聖母は、もし私たちが前もってあの可哀相な国[ロシア]の回心を手にしていないならば、ロシアが世界を罰するために神によって選ばれた懲罰の道具となるでしょう、と言われました」

「神父様、悪魔は聖なるマリアに対する決定的な戦いに参加する気になっています。そして悪魔は最も神に背くことが何であるか、そして短期間に彼にとって最大多数の霊魂を獲得するものがどれであるかを知っています」

「聖なるマリアの汚れなき御心とイエズスの聖心を苦しめているのは、修道者や司祭の霊魂たちの堕落です。悪魔は彼らの美しい使命から転落した修道者や司祭たちが無数の霊魂たちを地獄に引きずって行くことを知っています」





ルシア修道女は、この中で、「これは、1960年まで秘密のままに留まるでしょう聖母のメッセージの第三の部分です」と述べています。

ですので、第三の秘密は、この内容と近いものであるだろうことは考えられますが、それでもまだ、

> ローマ教皇ヨハネ23世は内容に絶句し

というほどのものなのかどうか。

しかし、ルシア修道女が「多くの国家が地の面から消え失せるでしょう」と述べたり、「悪魔の戦い」への言及があったり、あるいは、1982年5月13日にヨハネ・パウロ二世がファティマでおこなった演説の中で、法王は、ファティマのメッセージに対して、

「私たちの救いの基礎そのものが掘り崩されているという聖母の警告」

という表現をしたりするものがあるというあたりから、いろいろと考えてみると、非常に大ざっぱに、第三の秘密は「起きることの具体的な状況は別として」次のようなことなのではないでしょうか。

・世界の霊魂(生命)の危機
・信仰と教会の崩壊
・悪魔との戦争での敗北


というあたりのことなのではないかという気はします。

これ以上いくら予想しても、意味があるものではないですけれど、一種の「この世の終わり」のようなことを聖母は少女少年たちに述べたのかもしれません。

もちろん、「人々(とロシア)が心を変えなければ」ということが前提ですが。

ちなみに、ルシアは聖母マリアから、

「3つめの秘密は主要なひとつの大戦の間に明らかにされるでしょう」

と告げられていたことがこちらに書かれています。

公表してもいいとされた 1960年は、第一次大戦も第二次大戦も終わっていた年ですので、この「主要なひとつの大戦」はその次の大戦、すなわち「まだ起きていない世界大戦」を意味していると思われます。

ルシア修道女は、

「あの可哀相な国[ロシア]の回心を手にしていないならば、ロシアが世界を罰するために神によって選ばれた懲罰の道具となるでしょう」

と述べていますが、それが 1957年12月26日。

それから、58年後の 2015年3月16日、これを書いている時点で今日なんですが、下のような報道がなされていました。

russia-nuclear.jpg

▲ 2015年3月16日の NHK ニュース「ロシア大統領 クリミア併合で核兵器準備を指示」より。


これは、ロシアのプーチン大統領が 1914年にクリミアを併合する過程で、核兵器使用に向けた準備を指示していたことが明らかになったというものでした。

そして、ファティマの予言の成就は「ロシアに大きく左右されそう」なのです。




ロシアは世界の人々を地獄へと引き連れていくか

ファティマの予言とロシアの関係については、ファティマの聖母 - Wikipedia の「ロシアの奉献」というセクションに以下の記述があります。

ロシアの奉献

ファティマの啓示の第二部にあるロシアの奉献はファティマでの聖母の主要な要請の一つであり、ローマ教皇は数度にわたる奉献式を行った。

とあります。

1917年7月13日、少女少年たちの前に姿を現した聖母は以下のようなメッセージを伝えます。


「神様はいろいろな罪を戦争、飢餓、教会と教皇の迫害の形で罰されるでしょう。それを阻止する為に、私はロシアが私の汚れない心に奉献されることを望みます」

「もし人々が私の望みに耳を傾けるなら、ロシアは回心し、世界に平和が訪れるでしょう。もしそうしなかったら、ロシアは世界中に誤謬を広めて戦争と教会の迫害を推し進めることになるでしょう」

「罪のない人達が殉教し、教皇様には多くの苦しみが訪れます。いくつかの国はもう無くなってしまいます」



書いてあることは何となくはわかるのですが、ここに「奉献」という言葉が出てきます。

普通の日本語の意味としては、コトバンクでは、

> 社寺、貴人などに、物をたてまつること。

とあり、献金や貢ぎ物をするというような意味のようで、これだと今ひとつよくわかりませんので、「キリスト教的な意味での奉献」とは何なのかと調べて見ますと、こちらのページに、

「奉献は、元来の順序で行くと、これは陪餐の前に行われていました。ここで、「感謝」が捧げられ、「祈り」が捧げられ、「愛」が捧げられるのです。しかし、それだけではありません。パンと葡萄酒が運ばれて捧げられ、同時に、「キリストがご自身を捧げられた」ことを見るのです。

とありまして、奉献とは、物などを献ずることではあっても、そこに自分自身の犠牲と感謝を奉じるというような意味でよいのではないかと思われます。

あるいは「回心する」というような意味でも良さそうです。

そこから見ますと、上の聖母の言葉は、

ロシアが回心しない限り、今後の世界は(主や聖母から見て)悪い方向へと進んでいく。

ということを聖母マリアは言っていたということのようです。

その後、ロシアは、共産主義のソ連を経て現在に至りますが、1917年のファティマの聖母出現以来の約 100年の間に、ロシアが「回心」したかどうかは、いろいろな意見があるとはいえ、南山大学の三上茂教授の訳した「ファチマ:世界平和への唯一の道」などを読むと、

「回心していない」

という考え方は根強いようです。

このあたりのことは、世界情勢的な問題とも絡んで、それらに詳しいわけではない私にはまったく何とも言えないことではあるのですが、現在「ロシアを巡るいろいろ」は、世界の最大の懸念のひとつであることは事実だと言えると思われます。

もし、1917年のファティマの予言が今に至るまで続いているものなのだとすれば、そして、ロシアがいまだに、「聖母マリアが望まれていたような奉献をしていない」とした場合、世界は・・・ヨハネ・パウロ二世の 1976年の言葉をお借りしますと、

「われわれは今、人類が経験した最大の歴史的対決に直面している」

というような状況に陥りかねないというところにいるのかもしれません。
あるいはもうその段階に入っているのかもしれません。

まあ・・・何となく、個人的にはそういう予感はずっとし続けてはいたのですけれど、ファティマの聖母のメッセージなど知らなかったですので、このことを知って、むしろスッキリした感じです。

そういえば、偶然ほんの少し前に、ロシアの声の記事に「ロシアを悪魔視することこそ世界の脅威」なんていうタイトルの記事がアップされているのを見かけました。

あまりにタイミングがいいので、ちょっと苦笑しました。




2年で1億人ずつ消えている命

ところで、上で抜粋しました三上茂教授の「ファチマ:世界平和への唯一の道」の中に、2008年までのデータとしてですが、下のような表記がありました。


・今日、ロシアは世界で最高の中絶率を持っています。ロシアに8年間過ごしたダニエル・マウラー神父は、統計的に平均的なロシア女性はその出産年の間に8回の中絶をするであろうと言っています。現在ロシアにおいては中絶は無料ですが、しかし出産はそうではありません。

・ロシアの出生率は急落しています。そしてロシアの人口は毎年70万人の割合で下落しています - これは「平和時」の間の文明化された国においては先例のない出来事です。



他にいろいろと書かれてあるのですが、このロシアの中絶数を読んだ時に、「平均的なロシア女性」の数字は、いくら何でも誇張だろうと思い、資料を調べていましたら、下のグラフに行き当たりました。

abortion-russia-2006.gif
社会実情データ図鑑

ロシアの総数(茶色のほう)は、2位のスウェーデンの倍より多く、「 1000人に 40.3人」ということですから、100人に 4人の女性が中絶しているということになります。

上の表現は大げさかもしれなくとも、ロシアが突出して多いことは事実のようです。

・・・と、ここでふと「それにしても、全世界ではどのくらいの数に?」と思いましたが、そのことについて考えたことがないことに気づきました。

調べてみますと、こちらのサイトには、国連の『世界人口白書(2000年)』に、

推定で年間 5000万件の中絶が行われている

とあるそうで、その後に関しては、2012年1月19日の AFP 「世界の妊娠中絶、減少傾向が鈍化」という記事によりますと、

2008年の世界の中絶件数は 4380万件

とのことです。

とはいえ、データが存在しないも同然の国、あるいは、データに上がりようがない施術などが多々あると思われ、この数値は漠然としたものだと思いますが、いずれにしても、

毎年 4000万人から 5000万人の赤ちゃんが生まれてくることができない。

ということになりそうです。

この「この世に出現しなかった」人たちの数は紛れもない「死者数」となると思うのですけれど、そう考えると、21世紀になって 15年目で、6億人から7億人の死者が出ているということになります。

20世紀まで遡ると、ものすごい数となりそうです。

ちなみに、私はここで、中絶ということ自体について憤ったり、何が誰が悪いというようなことを書きたいのではないです。今までこのような数を知らなかったので驚いただけです。

中絶というものに関しての倫理的な問題ではなく、毎年 5000万人前後というおびただしい数の「命が生まれてこない」という実数に驚いたのです。

いろいろな状況はあるでしょうけれど、少なくとも日本の一般的な女性で、喜んで中絶する女性などいないはずです。個人個人の、場合によっては深刻な事情によって、そうせざるを得ない女性が多いと思います。

その場合、女性そのものが受ける精神的・肉体的ダメージは相当に大きいはずです。

願わくば、むしろ、そのような女性たちこそ、ファティマの聖母が言う「天国」へと行けるようにしていただければとも思います。

今の世の中、地獄行きの人たちに関しては事欠かないでしょうし、私自身も、自分の人生を振り返っても、天国へ行けるような要素がほとんど見当たらないですので、せめて、この世の傷ついた女性たちは天国へと行けますように願わせていただきます。

しかしながら、自分自身が罪深いとしても、ヤシンタが言っていた、

「永遠の意味を理解したら人は自分の生き方を変えるために何でもするでしょう」

の言葉を少し考えてみたいと思っていたりはします。

このヤシンタや、あるいはフランシスコやルシアのような子どもたちがこの世にたくさん出現するためには、もしかすると、一度、学校制度も社会制度も何もかも崩壊するカタストロフを経なければ、もうダメな段階にまでこの世界は来てしまっているのかもしれません。