▲ 2015年04月10日のサイエンスより。
相変わらず何だかいろいろとおかしなことが起き続ける春に
なんだかこう・・・何となく変な出来事が多いですね。
今日、東京の山手線で、「支柱が倒れて」電車が止まっているみたいなんですが、
「そんなもん普通倒れる?」
と誰しも思うものではないでしょうか。
報道を見ると、結構派手に根こそぎ倒れています。
・朝日新聞
倒れた支柱のある架線は使われていないものだったようですけれど、もし、こんなことが走行中の架線で突然起きたら・・・。
今月の始めに書きました、
・テトラッドの3回目の皆既月食がやってくる中で何だかいろいろとおかしい…
2015年04月01日
というタイトル通りに、相変わらず「何だかいろいろとおかしい感じ」に包まれているような。
4月10日には、茨城県にイルカが 160頭打ち上げられていて、原因はわからないですが、読売新聞によりますと、
11日夕までにほとんどが衰弱死し、砂浜に埋められるなどした。
ということで、助かったイルカはほとんどいなかったようです。このイルカの大量座礁は海外でも広く報道されましたが、何だか変な方向の報道も目にしたりしました。
▲ 2015年04月11日の米国 Yahoo ! News より。
記事によりますと、東北の震災があった 2011年にも、地震の1週間ほど前の 3月4日に茨城県でクジラ 52頭が打ち上げられていたのだそう。
さらには、2011年 2月20日には、ニュージーランドで 100頭以上のゴンドウクジラが打ち上げられたことがあったのだそうで、今年もニュージーランドで、2月13日に 200頭以上のゴンドウクジラが打ち上げられていまして( CNN 日本語版)、そのあたりが事象としてはリンクするということで、日本で騒ぎになっている…という内容の記事でした。
日本で騒ぎになっているのは知りませんでしたが、確かに事象としてはリンクしていますね。
まあしかし、地震は起きるまではわからないですので、いつ起きてもいいような準備をしておく以外は対策はなさそうです。
他にもいろいろと「何だかおかしい」というように感じる状態が続いています。
そんな中、キプロスで「黒いフラミンゴが発見された」という冒頭のニュースを見かけました。
これはもう本当に珍しいものだそうで、英国のインディペンデントの記事には「多分、世界でこの1羽だけだろう」という記述があります。この黒いフラミンゴは、昨年、イスラエルで目撃されたこともありますが、それと同じものもだろうと。
黒い鳥で珍しいものとしては、ブラック・スワン(黒い白鳥)があり、そこから「ブラック・スワン理論」というような言葉もあります。
ブラック・スワン理論
ブラック・スワン理論は、「ありえなくて起こりえない」と思われていたことは、いったん急に起きる場合、予測できない、非常に強い衝撃を与える、という理論。とりわけ予測できない金融危機と自然災害をよく表している。
ヨーロッパでは白鳥は白い鳥だけと思われていたが、1697年にオーストラリアで黒い白鳥が発見される。以来、ありえなくて起こりえないことを述べる場合、“ブラックスワン”という言葉を使うようになった。
ブラック・スワンより珍しいと思われるブラック・フラミンゴが突然現れたというのは何となく象徴的な気がしないでもないです。
いずれにしても、何となくおかしい空気の中で、春は淡々と進んでいます。
今回は、前回の、
・健康ブームの中でガンが増え続ける理由 : 世界でもダントツの「薬」消費国である日本は「薬に人間の自己治癒能力を奪われながら」滅ぼされつつあるのかもしれない
2015年04月10日
の補足的な記事ですが、自分自身の過去にも関係することでもあります。
そして、このことも「日本の未来」に深刻な影響を与えかねないことと関係していると思っています。
世界一の処方量を誇る日本のベンゾジアゼピン系薬剤
前回の記事では、冒頭に、松本光正医師の著作『高血圧はほっとくのが一番』の中にある
日本は、世界の 40 %もの薬を消費している。その量は、アメリカに次いで第2位だ。一人当たりに換算すれば、日本が1位である。
という文章を抜粋しました。
そして、その日本の中で最も消費されている薬が降圧剤で、今では1兆円を超える市場規模であることも記しました。
今回は、やはり「世界で一番、日本人が消費している薬」であり、また、日本で「徹底的なまでに」処方されている「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる向精神薬についてのことです。
下のグラフは、ベンゾジアゼピン系の国別の「 1000人あたりの消費量」のグラフです。
・ベンゾジアゼピン薬物乱用 - Wikipedia
1位はベルギーとなっていますが、グラフ中に記しましたように、このグラフでは、日本で最も重複処方されているベンゾジアゼピン系の「デパス」という薬が含まれていませんので、事実上、日本は1位だと思われます。
また、「処方の実数」となりますと、ベルギーの人口が約1千1百万人であるのと比較して、日本は約1億3千万人となりますので、日本での消費量の実数はベルギーの 10倍はありそうです。
意外だったのは、薬大国のアメリカとか、最近、メンタルヘルスの病気がクローズアップされることの多い韓国での処方量がかなり少ないことです。
いずれにしましても、消費量の実数としては、日本は比較できる国がないほどダントツの「メンタル病国家」だと言えます。
ともかく日本では、 1000人中 50人以上にベンゾジアゼピン系が処方されている。
この5%を日本の人口に当てはめますと、結構とんでもない数になることがわかります。
ところで、「ベンゾジアゼピン系」という言葉を使うとわかりにくいかと思いますが、睡眠薬や抗不安剤では、最もポピュラーなもので、多分、成人の方でしたら、5人に1人とかの割合で、「人生で一度は処方されたことがある」と思われるほど一般的な精神薬です。
種類としては、大きく、
・抗不安薬(不安障害、パニック障害の他、あらゆる科で処方)
・睡眠薬(不眠に処方)
とわけられていて、たとえば、ベンゾジアゼピンの一覧 - Wikipedia には、おびただしい種類のベンゾジアゼピン系の薬の名称が載せられていますが、ソラナックス、デパス、メイラックスなど、精神科や心療内科だけではなく、内科、外科、あるいは、耳鼻咽喉科をはじめ、どこかで処方されていたことのある薬名が多いと思われます。
場合によっては、「肩こり」を訴えて病院に来た人に出される場合さえあります。これは、ベンゾジアゼピン系に、筋肉の緊張を和らげる作用があるからですが、そのくらい気軽に処方されている。
神経内科医だけではなく、どの科の医者も気軽に出します。
そして、日本の特徴として、「尋常ではなく長期間服用している人が多い」ことが挙げられます。
何より、私自身が若い時から二十代、三十代と長く飲んでいたレキソタンという薬は、まさにベンゾジアゼピン系で、私はそれを毎日ではないですが、十数年単位で服用していた時期があります。
検索中に「精神科の「薬」をやめたら「病気」が治った!」というブログを見かけたのですが、このブログの作者の方は、
僕は、このベンゾジアゼピン系の薬を13年間(676週間)以上も、毎日、1日もかかすことなく飲み続けていました。
いつでもやめられると思っていました。
しかし、薬を止める、断薬は大変なものでした。
と書かれていますが、このような可能性の人が、日本には数百万人規模でいる可能性があるのです。
なお、他の国では、このベンゾジアゼピン系は、日本のように気軽に処方されないですし、まして、長期間に渡って処方することは禁じられています。ベンゾジアゼピン薬物乱用 - Wikipedia によりますと、欧米の主要国のガイドラインを見ますと、2週間から4週間以上の処方は禁じられていて、処方自体にも慎重です。
そのような薬が、日本では「肩こり」にまで処方されています。
たとえば、私が服用していたレキソタンという薬を「おくすり110番」で調べますと、タイトルには「気分をリラックスさせるお薬です。不安や緊張感をやわらげたり、寝つきをよくします」とあり、
実際の処方例としては、心身症や不安神経症、パニック障害など各種の不安障害を中心に(略)。
さらに、筋肉をほぐす作用があるので、緊張型頭痛や頸椎症、腰痛症、肩こり、けいれん性の病気などに応用されることも多いです。このように、この系統の薬は副作用が少なく安全性が高いこともあり、各診療科でいろいろな病気に幅広く使われています。
と書かれていて、なんだかやさしい感じで、「何もコワイ感じがしない」し、「想像以上の厳しい離脱症状を示すことがある」ことも想起させないと思います。
そのように「気軽に処方され」て、「気軽に飲む」ベンゾジアゼピン系ですが、私や先ほどのブログの方のように、10年、20年と飲み続けるうちに、本格的な依存となっていく。
そして、そのまま離脱症状(禁断症状)のため薬をやめられなくなっていく。
人によっては、最終的な断薬のゴールが自死であることは珍しくはないと思います。
そして、世の中には、20年、30年などの服用歴になっている人はたくさんいると思われます。
下は3年前の読売新聞からです。
抗不安薬依存 深刻に
読売新聞 2012.11.20
医師が漫然処方/使用量 アメリカの6倍
欧米では、治療指針で処方期間を4週間以内とするなど、早くから対策が講じられた。英国ではベンゾ系薬剤をやめるための専門施設もある。
ところが日本では、多くの精神科医や内科医が「飲み続けても安全」と、漫然と使い続けた。国連の国際麻薬統制委員会の2010年報告では、日本はベンゾ系睡眠薬の使用量が突出して多く、同一人口当たりの使用量は米国の約6倍だ。10年以上の服用者も多く、常用量依存患者は相当数に上ると見られる。
こんなことになっているんですよ。
このようなものが、日本では、不眠や「何となく不調な人」なども含めて、全国で何百万人もに処方されているというのは、やはり異常だと最近初めて感じだしました。
私自身が長くベンゾジアゼピン系を飲んでいたので、その異常性を傍から眺められなかったためでしょうけれど、こんなことが「異常」だということにさえ気づいていなかったのです。しかし、この問題は「処方の気軽さ」と比較すると、その結果は、たとえば、ベンゾジアゼピン依存症 - Wikipedia には、
ベンゾジアゼピンへの依存および離脱は、自殺や自傷行為に結びついており、特に若年層に顕著である。
という記述があるように、かなり深刻なものです。
なぜ、こんな状況になってしまっているかというと、現実、今の日本の精神医療には、ほぼ「薬」しかないのが現状で、他の方法を模索していません。
そして、もうひとつは、このベンゾジアゼピン系という薬は、
「効く」
のです。
特に、不安障害、神経症、パニック障害と、呼び名は様々でも、それらと関係する症状に、「最初は」場合によっては劇的に効果があります。
私がはじめて心療内科に赴いたのは、つまり、ベンゾジアゼピン系の薬を処方されたのは、23歳の時でした。
今から約 30年前です。
その頃で、パニック障害となって1年以上経っていましたが、その日、パニック発作で、「これはもうダメだ。死ぬか他の選択をするか」と考えた末に、自分の街の心療内科に飛び込んだのでした。
そして、処方されたベンゾジアゼピン系のレキソタンという薬を飲んですぐに、
「今までの苦しみは何だったんだ?」
というほど劇的に効いたのです。
これが問題のふたつめで、実際に苦しみから解放される瞬間を経験してしまうと、問題解決の他の選択肢を放棄してしまうのです(ちなみに、ベンゾジアゼピン系は、うつ病に処方されることもありますが、後述するように、うつ病には効果がありません)。
言い方を変えれば、その人はその瞬間から「薬の精神的奴隷」となっていくのです。
そういう意味では「実際に効果がある」ことが「薬をやめることへの不安」につながっている面はあると思われます。
しかし、効果は最初のうちだけで、次第に効かなくなります。
そうなると、どうなるかというと、「薬の量が増えていく」のです。
そして、当時は知る由もないですが、このベンゾジアゼピン系も、脳や体に多大な影響を与えます。
前回の記事で、
薬というのは、「望んだ箇所だけに効くのではなく、体のすべてに影響を与えてしまうものが非常に多い」ことが問題
と書きましたが、さらに書けば、「効果の高い」ものほど「体の他の部分への影響も強い」傾向があると思われます。
ですので、作用効果の高いベンゾジアゼピン系も他に大きく影響を与え続けているはずですが、最も影響を受けるのが「脳」です。
精神安定剤や睡眠薬からの離脱を希望する人たち向けにベンゾジアゼピン離脱専門クリニックを運営していたという方のサイトの「ベンゾジアゼピン系薬剤: 体内でどう作用するか」というページには、
ベンゾジアゼピンを止めることに苦労している人なら誰もが、薬は治療効果だけでなく、精神や身体に計り知れない影響を及ぼすことに気付くことでしょう。ベンゾジアゼピンは、直接的あるいは間接的に、事実上ほとんど全ての脳機能に影響をもたらします。
とあり、さらには、
正常な注意力、記憶、筋緊張、協調運動、情動反応、内分泌作用、心拍数・血圧のコントロール、その他多くの機能に欠かせないものですが、これら全てがベンゾジアゼピンによって損なわれる可能性があります。
とあります。
また、腎臓、結腸、血球、副腎皮質もベンゾジアゼピン系から悪い影響を受ける可能性があることが書かれています。
自分でも、こんなものを何十年も続けて飲んでいたことに愕然としますが、ただ、一応書いておきますけれど、パニック障害の方で、激しい発作や、あるいは「それが起こりそうな時」に緊急的に飲むことは否定できないと思います。代替えとなり得るものが存在しません。
ただ、パニック障害の方でも、「発作の起こらない状態に少しずつ持って行くこと」、つまり「結果的に薬を飲まなくてもいい状態にする」ことは可能です。
何より、私自身が、そういうようにしてこられています。
そしてまた、「薬をやめない限り、どんどんひどくなる」ということも、他の薬と同じで、あるいは、「基本的に「すべての薬」は人間に良くないという理由の理論的なメカニズムがわかったのです」という記事に書きましたように、ほとんどすべての西洋薬が「緊急時の対応」以外に関しては、むしろ体の免疫を下げて、体を弱くしている可能性があります。
とはいっても、今、日本にある精神科や心療内科には「薬物療法以外の治療をしている病院はほとんどない」という現実があります。
まったく存在しないとは言いませんが、探し出すのは並大抵のことではないような気がします。
苦しい、死にたい、パニックが起きる、こういう症状に対応している病院に行けば、どこでも処方されるのがベンゾジアゼピン系で、共に抗うつ剤を処方されることもあります。
いずれにしても、薬物療法以外の治療法をおこなう病院は大変少ないと思います。
医学的アプローチは何か間違っているのかもしれない
薬も、あるいは、もしかすると「医学的見地の健康的生活」というものも、むしろ体に悪いものである可能性を示す研究はいくらでもあります。
例えば、下は「うつ病」に対してのものですが、 WHO の 1998年の調査は「薬の効果のなさ」を露呈します。
・精神科薬物治療の暴走
上の図の「回復」を見れば、
「うつ病に対しては何の治療もしないことが、最も治療効果がある」
ことがわかります。
神経症やパニック障害に同じことを当てはめるわけにはいかないかもしれないですが、ただ、自分の体験からいえば、神経症やパニック障害は、病院で治すものではなく、「自分で治すもの」です。病院は薬を処方する以外の治療法を持ちませんので、それは根本的治療ではないです。
ベンゾジアゼピン系の薬を長期連用していると、大なり小なり必ず依存に陥ることになります。
これは私の体験でもあります。
多分、長期連用すれば、ほぼ全員が依存に陥るのではないでしょうか。
フィンランドの調査が示すもの
そういえば、「健康」に関係して、興味深いグラフがあります。
1970年代にフィンランドで 18年間に渡って行われた調査のグラフです。
これは、38歳から 54歳までの男性会社員に健康診断を行い、そこから、高血圧や高コレステロール、喫煙、など健康に危険な要素を持っている人を 1222人抽出し、それらの人々を、
Aグループ(健康指導グループ)
食事、運動などに関して医療の専門家が細かい健康指導を行い、それでも血圧やコレステロールが下がらない場合、薬を投与されたグループ。
Bグループ(何もしないグループ)
積極的な治療や指導は何もしないで、放っておかれたグループ。
の2つのグループにわけて、18年間に渡り経過を観察したのです。
おそらくは、当初の目的は「医師や専門家による健康指導がどれだけ大事なものか」というものだったと思いますが、その結果は、皮肉なものとなります。
・松本光正『高血圧はほっとくのが一番』
結果は上の通り、健康指導を受けていたグループの人たちの死亡率が、常に「何にもしないグループ」を上回り続けてしまったのです。「何の健康指導も治療も受けなかった人たちの方が健康だった」という結果となってしまいました。
正確には、
調査開始後5年後の死亡累積数
Aグループ 10人
Bグループ 5人
調査開始後18年後の死亡累積数
Aグループ 95人(そのうち心筋梗塞は 39人)
Bグループ 65人(そのうち心筋梗塞は 19人)
となり、指導を受けていたグループでは、心筋梗塞で死亡した人が倍多かったことがわかります。
なぜ、このような結果となったか、はっきりとしたことはわからないですが、調査について、上のグラフを掲載していた松本医師は、常に自分の体をことを気にかけて、食べるものや飲み物にもいちいち気を遣い続けるような生活を送ること自体がストレスに直結する可能性について書いています。
ちなみに、私が、この『高血圧はほっとくのが一番』の著者の松本医師が好きなのは、
「人間の体の働きで無駄なものは一切ない」
と明確に語っているところです。
人間の体の働きに無駄なものがないのだとすれば、神経的・精神的な病気にもすべてに、何か原因と「対策」があるはずです。これに関しては、現代の精神医学が薬物治療オンリーの状態である限りは見出されることは難しいかもしれませんが、いつかは何かが出てくるはずだと信じたいです。