2015年04月16日



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シュタイナーが「子どもへの詰め込み教育は絶望的な社会を作る」といった100年後に、完全なるその社会ができあがった日本。その日本人の生命エネルギーは驚異的なまでに低下しているかもしれない



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・覆面画家バンクシーの作品 No Future


詰め込まれる子どもたち

最近、健康に関して書くことが多いですが、その大きな理由は、

「今の日本人があまりにも心も体も病んでいる」

ことを最近になって知ったからです。

成人の疾病の多くのグラフが爆発的な上昇を示しています。

また、子どもの弱さも目立っています。

児童生徒のぜんそく罹患率と先天性異常発生の推移
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文部科学省


私は昔、東京の大手タレント養成学校で、小役さんのオーディションとか、 CM 出演のための小さな子どもに演技指導をしていたことがあります。

私が担当していたのは、小学1年生から小学3年生くらいまでの3クラスで、全部で 40人くらいでしたかね。

その時はうちの子どもはまだ赤ちゃんでしたので、最近の小学生がどのような生活を送っているのかを知らなかったんですが、その学校で、生徒さんたちと話しているうちに、

「こんなことになっていたのか」

と驚いたことがありました。

それは、その学校に来ているのが、比較的、経済的に余裕のあるご家庭の人たちが多かったせいもあるのでしょうけれど、子どもたちの、

ほぼ全員が塾に通っている

ということと、

8割以上が塾以外に、習い事をしている

のでした。

小学1年生とか2年生ですよ。

私には、小学生の低学年が塾に通うという概念がまったくなかったので驚いたのと、「そんなに習い事させて何にしたいんだ?」という強烈な価値観の違和感でした。

その中には、小学2年生の男の子で、「1週間に8つ習い事している」と言っていた子もいました。

 「1週間に8つ?」
 「土曜にふたつ行くから」
 「今日、土曜だけど、この後また何か行くの?」
 「英会話」
 「小学2年が英語習ってんの?」
 「うん」
 「どの習い事が楽しい?」
 「楽しいのなんてあるわけないじゃん!」


吐き捨てるように言った後に、苦笑していました。

ちなみに、この学校では、先生や講師たちへのしゃべり方は「敬語で丁寧に」と厳しく決められていましたが、私は子どもに敬語で話しかけられるのが苦手だったので、普通に話してもらっていました。

聞けば、他の子も塾を含めて、3つや4つ習い事をしている子は普通でした。

私はそんな子どもたちの状況を知って切なくなり、それに、この学校もまた「習い事」であって、何だか「習い事ラッシュ」に荷担しているような気がして、その後、学校の講師は辞めました。

しかし、「小学生低学年が塾に行く」というのは、私の子どもの頃は、狂気か冗談のような話でしたけれど、今ではそれほど珍しいものではないようです。

どのくらいの子どもが塾に通っているのかを調べてみると、下のようになっていました。

小学生と中学生の通塾率の推移
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Biz STYLE

推移としましては、1970年代から 1980年代くらいまでは、ほとんどの小学生は塾には行っていなかったことがわかります。

1980年
小学生 10%
中学生 40%


それが、理由は知らないですけど、1995年頃から急激に上昇して、2000年代になりますと、

2002年
小学生 40%
中学生 70%


となっていまして、現在は中学生においては、塾に通う方が多数を占めるということになります。

このデータも 10年以上前のものですので、その後どうなっているのかはわからないですが、多分、減ってはいないような気がします。

「こりゃ、日本の学力も低下するよな」

と、その学校で、子どもたちから話を聞いた時に思いました

私は、自分の経験からも、

「詰め込まれた知識や、嫌々おこなう勉強は絶対に身につかない」

と強く思っています。

ちなみに、別に関連はないですけど、上の、塾に通う子どもたちが急速に増えた 1996年くらいから、日本の国際競争力は急速に落ちています。

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社会経済状況の変化

私は国際競争力なんてのはどうでもいいのですけれど、日本の子どもたちがどんどんと「学習することを嫌いになっていく」ことが恐ろしいです。ここでいう「学習」とは学校の科目の勉強のことではなく、広範囲な意味においての「学習」です。

子どもは、自分の好きなことは一生懸命やりますから、遊んでいれば、自然と興味のある対象ができて、そして、そのことについて学習します。ですので、基本的には、特に小さな時には「学習に対しての自由」(小さな時には、どんなことでも学習であるという意味で)が最も大事で、そのためには遊ぶことです。

子どもは(少なくとも自分の子どもの時は)強制されたり、そこに自由がないことに気づくと、すぐ、それが嫌いになります。

私は小さな頃は本が大好きでしたが、小学校で「読書感想文」というものを書かされるようになってから嫌いになり、小学校の高学年からは、ほとんど本を読まなくなりました。

読書感想文は全然自由ではなかったですからね。
「定型」の中に入っていなければ、点数はもらえません。

たとえば、「野口英世」を読んだとして、


アフリカはあついので、野口英世もアイスが食べたいとおもったとおもいます。アイスはアフリカで食べてもおいしいとおもいます。うちはアイスはあまり買えないです。でも、お父さんがスイカを畑で作って、トマトも作ってておいしいです。


では、たとえ書いたのが小学生でも、感想文として多分「ダメ」ということになると思います。

しかし、実際に「野口英世」を読んでいる時にそのように思っていたのなら、これは「素直で正直な感想文」ということになるのですが、それではダメというのなら、「感想文ってウソを書くものなのか」という「現実」がわかってしまい、興味など一瞬にして消えます。

個人的にみれば、この感想文は、アフリカの気候的特徴をよくとらえ、そこで苦労した野口英世の苦難を思わせ、そして、そこに感情移入までした後に、自分の父親への感謝も添えるという、大変な労作だと思うのですが、学校側の評価は、多分、あまり良いものとはならないはずです。

私自身、小学校時代、作文にしろ読書感想文にしろ、「書きかえなさい」という旨のことを何度か言われたことがあります。絵などでもダメを出されたことがありますし(天国の様子を書いただけです)、ダメだしは多かったですね。

まあ、私のことはいいです。




詰め込みは現実の成績も含め、あらゆる方向に悪い作用を及ぼす

とにかく、どんなものでも、「知識を詰め込まれて喜ぶ子どもはいない」です。

いや、これは理想論ではないです。

たとえば、「塾に通わせること」に関しては、下のふたつの比較図が、塾と学力上昇とはほとんど関係ないばかりか、むしろ「塾に行くと成績さえも悪くなる」ことを示すのではないかと思います。

各都道府県の中学生通塾率(2014年)
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中学生通塾率

塾へ通う生徒の率が最も「低い」のは秋田県です。
では、その秋田県の生徒たちの成績は悪いのでしょうか。


各都道府県の全国学力テスト順位(2014年)
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全国学力テスト

これを見ますと、秋田県が成績で日本一です。
秋田県は、塾へ行く子の率が最も「低い」ところです。

東北は、青森などを含めて、「塾へ通う率が低く、成績が高い」傾向が見られます。

それでは、逆に、塾に通う生徒が多い県を見てみます。

特に多いのが、

・神奈川
・奈良
・和歌山


などとなっています。

しかし、学力テストの成績は、その3つの県はどれも全国から見ると成績下位で、つまり「塾に行く率が高い県ほど成績が悪い」という傾向を示していることがわかります。

特に、和歌山県の成績は全国で最も低いレベルとなっています(データ上の説明で悪意はありません。気分を害された方がいらっしゃいましたら、すみません)。

他の多くの県でも、「通塾率」と「学力テストの成績」を比較していただくと、多くが「逆の関係」にあることがわかります。

これを見る限りでは、手っ取り早く子どもの成績を上げたいのでしたら「塾に行かない」という方法が簡単だと思います。

人間はロボットではないですので、自分から、心の底から学びたいと思わないと何も学ばないと思っています。詰め込めば、詰め込むほど、その子どもは学習は身に入らないし、「学習を憎む」ようにさえなっていくように思います。

しかし、成績などはどうでもいいことで、

「詰め込み教育は、さらに深刻な影響をもたらす可能性がある

ことを最近知りました。

下は、約 100年前に、ルドルフ・シュタイナーが人智学協会の会員向けに行った講演の一部です。

シュタイナーの『人間の四つの気質―日常生活のなかの精神科学』というものに収録されています。



シュタイナーの 1912年の神智学協会会員に向けての講演より


大学には多くの学部があり、教授たちが思考と研究以外のことに、一年中かなり駆り立てられています。学生が試験のために知らなくてはならないことを、二、三週間で習得させます。つまり、最も必要なものを詰め込むのです。そのような詰め込みが最悪なのです。

小学校でも詰め込み教育が行われるようになると、その害は想像を絶するものになるでしょう。詰め込み教育の本質は、心魂つまり存在の最奥の核と、詰め込まれるものとの結びつきが、まったくないことです。心魂は詰め込まれる内容に、関心を持てないからです。

習得したものをしっかりと自分のものにしたい、という気持ちがないのです。人間の心魂と自分が習得するものとのあいだに、興味の絆がわずかしかないのです。

その結果、活動的に公的生活に関わることができなくなります。詰め込まれたものが、自分の職業の課題と内的に結びつかないからです。心魂が、頭の活動から遠く離れているのです。

人間にとって、頭の活動と心魂が遠く離れていること以上に悪いことは、他にありません。



戦後の日本の教育は、上の 100年前の講演でシュタイナーが述べていた、

> 小学校でも詰め込み教育が行われるようになると

を具現化したものですが、

> その害は想像を絶するものになるでしょう

とシュタイナーは言っていて、今の日本は、学校だけでも詰め込みなのに、そこに加えて、小学生の 40%が塾に通い、中学生の 70%が塾に通う。

シュタイナーは上のことを述べた後、エーテル体などの単語を使った言葉を述べますが、難しい言葉はともかく、シュタイナーが言うには、詰め込みは、ただ知識が身に入らないだけではなく、

「人間の生命エネルギーを弱くする」

と言っています。

それが問題なのです。
シュタイナーの言っていることが、あまりにも今の日本の「健康的状況」とリンクするからです。




人間の生命エネルギーが弱くなっているかもしれない現在

先ほど、「塾に行くと成績さえも悪くなる」と「さえも」と書きましたが、成績が悪くなることなどはどうでもいいのです。小学生の時の成績など将来の何に関係があるものかと思います。

そんなことより、この「生命エネルギーが弱くなっていく」ことがコワイのです。

生命エネルギーという言い方ではなく、単に「生命力」でもいいですが、確かに、私たち日本人は年々、弱くなっています。

どうしてそうなってしまったのかはわからなくとも、弱くなっています。

身体そのものも弱くなっているでしょうが、「精神系の疾患」の増え方が著しいです。

精神疾患別増加数
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現代日本でなぜ精神疾患が増えているのか

理由はともかく、ものすごい増加であることは確かです。

ただ、上のグラフで、赤い部分は「うつ病」ですが、これがに関しては、過去記事「ふと思い出す世界を支配する医薬品ビジネス」の後半の方に書きましたが、うつ病が増加した理由は「うつ病啓発キャンペーン」と、抗うつ剤投与を無理矢理上昇させた、ということが大きく、ビジネス的な理由によるものだと思われます。

なので、うつ病は除外しましても、多くが 1999年との比較で、何倍という単位で増えています。

たった 10年ほどの間にどうしてこんなに増えたのか。
さまざまな理由が考えられて、実際のところはよくわからないですが、とにかく、

「日本人は心も体も弱くなっている」

ということは言えるかと思います。

それに加えて、少子化が止まる気配はありません。
その少ない子どもたちも、詰め込みで勉強を「心から憎む」ようになり、そして、時間的余裕もない。
心も弱る。体も弱る。

冷静に考えてみれば、子どもに対して最も大事なことは、

・その子の身体の健康
・その子の心の健全
・生きている上での安心感


くらいでいいわけで、何より、詰め込みが「現実的に成績さえも悪くする」ことは、上のほうの通塾率の分布でもわりと示されていて、詰め込みを続けていると、実際に「知能的にも日本人はどんどん劣ってきてしまう」と思います。

日本の学力低下は著しいですが、詰め込みと塾の増加が続けば、これはさらに徹底的なまでに進むはずです。なので、現実の社会的にも損失の部分が大変に大きいように感じるのです。

そして何より、今以上、日本人の心と体が弱くなった場合、それはもはや日本という国の死活問題になると思うほど、現状の「病気の増加」ぶりはひどいです。




どこかで何かかが歯止めをかけないともう止まらない

さきほど挙げました「精神疾患系の患者数の増加」や「ガンの患者数の増加」などのグラフを見て、お気づきの点がありますでしょうか。

それは、

上昇曲線に高止まりする気配がない

ということです。

グラフは、それ以上に上まで行かなくなりそうな時は、高いところで横ばいのような状態となりますが、上昇の曲線が「上を向いたまま」のものが多いです。

普通にチャート的な考えからですと、それらの疾病は「今後まだまだ増える」ことを示唆します。

こういうことも、少し前までは「化学物質」などが主要な原因かとも思っていましたけれど、しかし、考えてみると、私たちの子どもの時などは今より公害も排気ガスも食品添加物の問題もひどかったはずです。

なので、単純に化学汚染や環境の悪化というだけなら、最近になってこんなに急激に病気の数が増加してくるというのは、「原因の複雑さ」を思います。

理由は単純ではないでしょうけれど、ただ、最近の記事、

健康ブームの中でガンが増え続ける理由…

とか、

数百万人の「ベンゾジアゼピン依存症」が作られている日本

で書いていますように「薬の過度な服用」の影響は少なからずあると思います。

そして、出生してくる子どもたち自体が、

日本の未来 : 子どもに関しての、そして、高齢者に関しての統計データから受けた衝撃
 2015年01月28日

などで書きましたことを含めて、あまりにも急速な変化を見せていて、いよいよ、「普通ではない」ということになっている感じはしませんでしょうか。

その理由も原因も明確なところはわからないとはいえ、どうすれば「良い方」に向かうことができますかね。

もうすでに状況は、崖っぷちにいるのではなく、「崖っぷちを越えている」と認識していますが、崖そのものが完全崩壊するまで進まない手は何かあるのかどうかを知りたいです。

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